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乳母車・最後の女 石坂洋次郎傑作短編選
戦後、一世を風靡した大流行作家・石坂洋次郎。小説『青い山脈』は映画化され、1949(昭和24)年に封切られると同時に大ヒットし、その主題歌とともにほとんど戦後民主主義の代名詞と見なされるにいたりました。以後、石坂原作の映画が封切られない年は、1960年代後半までありませんでした。それほどの流行作家だったのです。しかし、70年代に入るやいなや、その流行はあっという間に衰えてしまいました。かつて『青い山脈』を明朗健全であるがゆえに評価し、暗くなりがちな戦後に爽やかな風を送ったとして称賛した読者が、こんどはその明朗健全さに飽きてしまったのでしょうか? いずれにせよ、石坂は「忘れられた作家」のひとりとなりました。しかし、石坂には、明朗健全以上に重要な特徴があると編者の三浦雅士さんは言います。それは「女を主体として描く」という特徴です。主人公と言わずに主体と言うのは、女は主人公であるのみならず、必ず、主体的に男を選び主体的に行動する存在として描かれているからです。女は見られ選ばれる客体である以上に、自ら進んで男を選び、男に結婚を促し、自分自身の事業を展開する主体なのです。明朗健全な爽やかさはこの主体的な女性が結果的に醸し出すのであって、逆ではありません。この特徴に誰も気づかずにいたのは驚くべきこと、「明朗健全なるがゆえに売れっ子となり、またそれゆえに忘れられた作家」などというのがいかに浅薄な見方であったか、いまや思い知るべき時が来たと三浦さんは説きます。かくして選び出された「女性の主体的な生き方の最終的な姿を示してほとんど常識を覆す域に達している」短編9編。いまこそふたたび石坂作品の魅力を多くの読者に知ってほしいとの思いから選ばれた傑作です。 -
窓の外を見てください
江國香織さん、陶酔! 小説風に書くと、“「革新的? 確信犯的? なんといっていいかわからないわ、でも、すみずみまでほんとうにおもしろい」と香織は言った。「小説のなかで何度も発生するのね、小説が」そう続け、「それにしても、きび団子」と感に堪えたように呟いて、「こんな小説、片岡義男にしか絶対に書けないわ」と、幸福そうなためいきをついた”のでした。デビューしたばかりの青年作家・日高は、勝負の2冊目執筆のため、かつて親しかった3人の美女を訪ねようと思い立つ。その間にも、創作の素材となる出会いが次々に舞い込んできて……。小説はどのように発生し、形になるのか。めぐり逢いから生まれる創造の過程を愉しく描く。瑞々しい感性を持つ80歳の“永遠の青年”片岡義男、4年ぶりの最新長篇。 -
世界で最初の音
41歳の桜井達也は鎌倉のカフェのオーナー。以前は違法のノミ屋と金融業を営み数億の金を手にして足を洗っていた。ある日、上京した際、チェロのレッスン帰りの女性・衣公子がひき逃げに合う現場に遭遇。達也がすぐさま彼女を病院に運び大事には至らなかった。実は衣公子の父は現役大物政治家。警察は達也を表彰しようとするが拒否され、さらに達也が関係していた暴力団員の落合が行方不明になっていることから、敏腕刑事の押田が調べはじめる。衣公子が達也の店にお礼を言いに来た。境遇の差を超え、ふたりは惹かれあっていく。だが、衣公子は愛人の娘で認知もされておらず、達也にも少年時代に犯した大きな罪という秘密があった。やがて押田の捜査は進み、落合の失踪に親友の矢田が関係している疑いも生まれてくる。己の消せない過去、親友への思い、そして衣公子への愛。達也は、衣公子の奏でるチェロを聴きながら究極の選択を迫られる――。 三浦友和氏、感動&絶賛! 「全編に無償の心が溢れている。これを映像で表現するのは至難の業だ。だからこそか、挑戦したくなった」 -
口笛吹きと音楽の犬
100年分のエモが詰まった青春音楽小説! 大滝瓶太は、口笛で大ボラを吹く 野心とたくらみに満ちたその音は、 声にならない祈りまで響かせてくる (作家・芦沢央氏) 音楽家は呪われている でも、不幸じゃない (口笛世界チャンピオン・青柳呂武氏) ・・・絶賛のコメント、続々!! あらゆる楽器を操る作曲家志望の秋と、口笛で世界を切り開こうとする春菜。芸大キャンパスで出会ったふたりが挑むのは、世界口笛コンクール――誰もが知っているのに、超マイナーな楽器の国際大会だ。クラシックからJ-POP、さらには映画音楽にボカロまで、ジャンルを横断した音楽がそこでは奏でられる。 〈きみにこの楽器を少しだけでも信じさせてあげる〉。春菜の言葉に導かれ、音楽家としての覚悟を決めようとする秋。しかし野望を秘めた前回大会覇者の登場で物語は思わぬ方角へ…… 『その謎を解いてはいけない』では本格ミステリを、『花ざかりの方程式』では数学SFを世に放った異形の作家・大滝瓶太の最新作は、“100年分のエモ”が詰まった新領域の青春音楽小説。 -
天橋立物語 ~三年菊組ロリィタ先生~
その教師、人としてクズ、ロリィタじゃ最強! 「筋が通った生き方、この先生が教えてくれます!」(吉本ばなな) 国語教師・大石タネ。人としてクズ、ロリィタとして最強。 「下妻物語」竜ヶ崎桃子のDNAここにあり! 混迷の時代をレースの日傘でぶった斬る、痛快青春物語。 天橋立で知られる京都は宮津。のどかな観光地にある小さな私立高校に、臨時教師、全身ロリィタの大石タネがやってきた! 赴任早々、物議をかもしまくる彼女に何故かなつかれ、堂々ヒイキされるようになった姫山奈緒恵。 初恋、文化祭、進路、そして難病を抱える妹の瞑羅(くらら)とのこと……マイルールに生きる「ロリィタ先生」に振り回されながら、奈緒恵は、そして12人の生徒たちは、己の進むべき道を探っていく。 嶽本野ばら作家デビュー25周年記念長篇。 (底本 2025年11月発売作品) -
立秋
匂い立つ情感、大人の恋愛小説の極北。 諏訪湖の花火大会の日、光岡は駅に降り立った。漆工の涼子とのつきあいは十年以上になる。二人の生が交差したきっかけは、漆器だった。シンプルで控えめな佇まいと、官能的とも思える光沢に魅かれ、光岡は盛器を購入。伝統工芸展の入賞作品であった。 そして、精神の疲れをいやす旅で、塩尻・奈良井に赴き、光岡は漆器店で作者の涼子と出会う。若い涼子の漆器創作に刺激を受け、彼は、かつて文学賞を受賞したものの、挫折していた小説執筆を再開した。 以来、二人は造形や執筆の傍ら、時に二人で憩いつつ、深い想いを育んできた。 やがて、涼子は漆芸作家として、パリで開催される漆器二人展に招聘される。もう一人は、沈金や蒔絵の輪島塗りの男性作家だという。成功したパリの二人展を契機に、光岡は人生の秋期を意識するが……。 -
【合本版】明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業
日がな一日サロンで惰眠を貪る日陽新聞社の記者、久馬。そんな彼も好奇心が疼けば記事を書く。傍に用意するのは、怪談奇談に妖怪本。彼が書く記事は全て妖怪にまつわるものなのだ。ある春の日、少女が新聞社へ乗り込んできた。彼女の名は香澄。久馬の記事が原因で、友人が奉公先を追い出されたのだという。冷たい対応の久馬に代わり香澄に声を掛けたのは、妖美な男・艶煙。曰く、むしろ妖怪記事は人助けになっており、友人は貞操の危機を免れたのだというが!? ※本電子書籍は、『明治あやかし新聞 怠惰な記者の裏稼業』全3巻を1冊にまとめた合本版です。 -
【合本版】桃の侍、金剛のパトリオット
1900年、清朝末期の中国で、魔神の「金剛力」を秘めた子を産む運命を背負う「桃源公主」が産声をあげた。「香桃」と名付けられた彼女は、神秘教団「義和団」の村で育つが、彼女を狙う清の将軍袁世凱の軍が村を襲撃する。だが香桃は村に潜んでいた旧長岡藩士鬼頭周蔵の機転で日本に亡命した。時は流れて1914年、浅草で占い小屋を営む書生、宇佐美俊介のもとに侍装束の少女が現れ、彼の占い札に妖力が宿っていることを告げる。彼女の正体は成長した香桃だった――。日本近代、辛亥革命、そして世界大戦――激動の極東に渦巻く謀略の最中に繰り広げられる歴史伝奇浪漫! ※本電子書籍は、『桃の侍、金剛のパトリオット』全3巻を1冊にまとめた合本版です。 -
白鯨 MOBY-DICK【上下合本版】
土佐の中浜村で漁師の次男として生まれ育った万次郎は、兄と釣りに出たときに見て以来、鯨に魅せられる。胸の内に棲み着いた鯨の存在は、日に日に大きくなっていった。やがて宇佐浦の鰹船に預けられた万次郎だったが、仲間たちと漁に出た際、足摺岬の沖合で遭難してしまう。さらに銛打ちの師匠・半九郎の形見の銛を追ってひとり、大海原に飛び込む。そんな万次郎を救出したのは、アメリカの捕鯨船ピークオッド号だった。船長エイハブは、自分の片足を喰いちぎった巨大な白いマッコウクジラ“モービィ・ディック”への復讐に異常な執念を燃やしていた。白い化け鯨の存在を銛打ちの師匠である半九郎から聞いていた万次郎も、彼らと同様、その熱狂へと身を投じていく……。海と鯨に心を奪われた男たちが神の生き物に挑む。ジョン万次郎とハーマン・メルヴィルによるアメリカ文学の金字塔『MOBY-DICK』が融合した超大作! 上下合本版。 ※本商品は1冊に全巻を収録した合本形式での配信となります。あらかじめご了承ください。 -
1+1
何を食べて、何を飲む? 人生に寄り添う 愛おしい味がある 俳句結社「水軍」の同人である瑤子は、行くべきかためらっていた。 同じ結社で人たらしの拓郎から誘われた、自宅での食事会。 直前に取った1本の電話が、その意味を変えてしまったから…… (「鱚のフライと白ビール」) それぞれの人生、それぞれの背景を持った、多様な登場人物たち。 当人たちが抱える“心のもや”が、 「ペアリング」を通して、少しだけポジティブへと変わっていく。 料理と飲み物、そして味わう2人。 2つの「ペアリング」をモチーフにした24編。 極上の掌編小説集を、ご賞味ください。 -
ギャルにひかれて寺マルシェ
亡くなった父親の酒屋を継いだ30歳の英介は、商売への向上心もなく、なんとなく毎日を送っている。そこに現れたのは、久しぶりに地元に帰ってきた、腐れ縁の悪友・光司。光司に誘われ英介は、子どものころに近所の陵泉寺に埋めたという高価なポケモンカードを掘り起こすことに。偵察のため、陵泉寺で開かれている〈寺マルシェ〉を訪れると、ギャルメイクで法話を行う尼僧を見つける。それは実家の陵泉寺で副住職を務める、元同級生の真実子だった。かつての優等生の面影のない姿に呆気にとられる英介の傍ら、光司は真実子を〈ギャル僧〉として売り出して金儲けすることを思いつき――!? 読めばきっと元気がもらえる、大人になりきれない大人たちの青春譚! -
退職クロスロード
人生の“大晦日”に奇跡が起きる!? 定年退職の日に炙り出される、衝撃の過去の真実とは…… 年度末の3月31日、総合メーカー・万屋カンザキ本社ビル。 清掃員の守田守は、早朝から退職や異動でごった返す社内を掃き清める作業に追われていた。就職氷河期の挫折を経て、 派遣先で粛々と仕事に臨んできた守田は、この日で定年を迎え、会社を去る窓際部長の佐和山義男から突然朝食に誘われる。 守田は5年前、図らずも佐和山の自死を阻止した「命の恩人」だったというのだ。 バブル期入社の剛腕営業マンで、親分肌と慕われた彼に5年前、何が起きたのか。 立場も世代も異なる二人の人生に、佐和山の同期や部下の願いと、因縁のライバル達の思惑が交錯する中で解き明かされる、封印された驚愕の真実とは―― ブックジャーナリスト 内田剛さん 太鼓判! 「人生を何色に染めるかは自分自身だ。迷える背中を優しく押してくれる極上の人間ドラマがここにある!」 【著者・安藤さんからのメッセージ】 「年度末の一日を時間軸にして数十年の縁の交差を描く形式は、今作が初の試みです。 佐和山、守田をはじめ、幅広い年齢層の勤め人たちの群像劇にできたと感じます。退職前後の方はもちろんのこと、たくさんの方々に読んでいただけたら嬉しいです」 -
数学者と聖骸布騎士団
数学を愛し、数学から愛されている上杉和典。 ライバルの早逝に触れ、大学受験目前に医学部に進学することに決めたが、まだ数学研究者の夢を諦められないでいた。 そんな矢先、父が膵臓癌であることが判明。さらにフランスの学会に出ていた母がアルプスの麓で自動車ごと崖に転落、遭難してしまった。当局に問い合わせをするも確認が取れず、生存率が下がる72時間以内に救出するため和典はフランスに向かう。 小学生時代、探偵チームKZ(カッズ)を組んでいた小塚、黒木、美門、七鬼が、そして立花彩が母親の捜索に力を貸す! 母は助かるのか、そして和典と彩の関係はどうなるのか……。 藤本ひとみ先生から読者の皆様へのメッセージも掲載! -
小麦畑できみが歌えば
北海道の小麦農家でのびのび育った18歳の唯吹。 幼少期に祖母と行ったリサイタルで美しい歌声に感動し、歌うことが大好きになった。 けれど、あの声を出したいという願望と、舞台に立ちたいと思うことは結びついていなかった。 あの日までは――。 憧れのひとを追いかけて、地元のオペラハウスのオーディションを受けると、知識不足でありながらも、特別な声で審査員を魅了する。 技術不足が理由で不合格となるが、アンバーオペラハウスのサマープログラムへの推薦をもらうことに。 優勝者はあのアンバーの研修生に選ばれるのだ。 自分の“楽器”と向き合い懸命にくらいつく唯吹だが、進むにつれて大切な仲間との別れもある。 果たして栄光を手に入れることができるのか―― 「わたしはなりたかった。音楽をするために生まれてきたひとに」 【全国の書店員さんから感動の声が続々!】 〇「 手に汗握るオーディションシーンに惹き込まれます。全力で推したくなる主人公です。 」 書店員 高頭佐和子さん 〇「 人と触れ合い、わかろうとする。今の時代に必要な物語。 」 オックスフォード貝津店 山本聡さん 〇「 全編に流れる心地いい旋律が涙を誘います。 」 BOOKSえみたす大口店 近藤さん 〇「 決してシンデレラストーリーではない自己の葛藤や成長がよく描かれている作品だと思います。 」 未来屋書店日の出店 關在我さん 〇「 人生を紡ぐ出会いの大切さをあらためて実感しました。 」 ブックスジュピター 林貴史さん 〇「 歩み続けた先に見えた勝敗よりも大切な心に、はっと目が覚めるようでした。 」 紀伊國屋書店福岡本店 宗岡敦子さん 〇「 不思議だ。オペラを目指す青春小説なのに土の匂いがする。 」 精文館書店中島新町店 久田かおりさん -
在る。 SOGI支援医のカルテ【電子版特典付き】
「あなたの性にまつわる在り方は、あなたが決めて良いの。どんな選択をしたって、間違いなんてないしね」 富士見ウエスト病院には、性の在り方に関する不調をケアする「SOGI支援外来」がある。同外来を担当する、第七病棟医長の精神科医・海野彩乃先生は、マイペースな人だけど患者には優しい・意外と面倒見も良いという評判で、各地から患者が集まっていて……。 『藍色時刻の君たちは』で山田風太郎賞を受賞した現役看護師作家がおくる、希望が広がる医療連作短編集。 第一章「二人のエックス」 春、富士見ウエスト病院に勤める休職明けの看護師・倉木透子が配属になった第七病棟は、ストレスケアの治療を中心におこなう「病棟に見えない病棟」。病棟医長の海野彩乃先生とは、休職前にあるやりとりをしていた。復帰した倉木が紹介された患者は、十代のXジェンダーで……。 第二章「溶ける光」 夏、精神保健福祉士の岡田樹里は、アルコール依存症患者の退院支援をしている。担当する尾形佳奈のベッドの近くには、【公正証書 謄本】と書かれた封筒があった。 第三章「反転文字の向こうで」 秋、服飾学生の山口佑樹は、急性一過性精神病性障害で入院している。病室に持ち込んだ【自分史】には、「性別不合の診断を頂けたら、ホルモン療法を開始したいです」という文言があった。 第四章「種の行方」 冬、医師の滝本政成は、新しい病院への転職を予定している。海野先生が新担当となった患者の実姉の情報は、自身の境遇のことを思い起こさせるものだった。 エピローグ「春に」 当直明けの海野は、強迫性障害を患っている担当患者の千田光一から、亡くなった大学の同級生の話を聞く。 *電子書籍版特典として、「反転文字の向こうで」の番外編ショートストーリー「窓辺の声、輝く壁」を収録 -
ゾンビがいた季節
1960年代後半、アメリカ西部ネバダ州にある人口50人以下の町・ジェスロー。この町に住む人気小説家のトムはしばらく新作が書けずにいた。やる気のなさをごまかすようにギャンブルに明け暮れるトム。「世界が終わる日が来たら書くかもな」と言う彼を再起させるため、トムの妻であるメグは、ゾンビに扮してトムを襲う計画を立てる。そこに噂を聞きつけた映画監督がやってきて……。 貸したまま戻ってこないイヤリング、信念を曲げて書いた小説、自分を捨て街を去った彼女ーーこんなはずではなかったと思いながら生きる人々に訪れた最大の転機、それはゾンビ映画の撮影だった!! 読後、思わず家族や大切な人に会いたくなる、故郷や過ぎ去った時間についての物語。 -
ブレイク
震災や環境保護の影響で脱原発、脱炭素が叫ばれ、代替エネルギーの開発競争が熾烈を極める現代。地熱発電推進派の切り札として、宮城県で巨大な「蔵王復興地熱発電所」の開発が進められていた。人気の若手衆院議員・仁科良一の見守る中、ついに巨大な熱水層が掘り当てられる。仁科は、かつて日本最大の地熱発電所を手がけた開発業者のトップ安藤幸二と共に期待に胸を膨らませるが、熱水層はすぐに枯れ、蔵王の地熱発電は暗礁に乗り上げてしまう。実は開発前の調査データの改ざんがあったというのだ。誰が何の目的で改ざんを行ったのか? 巨大なエネルギー利権をめぐって政財界の謀略と駆け引きが過熱する中、不可能と言われる夢の発電方式「超臨界地熱発電」が実現に向けて動き出す。エネルギー問題が最も注目される今、「予言の書」と言われた名作『マグマ』の正統なる後継作がついに登場! -
影と踊る日
「おまえは出来は悪いが、うちの娘だ」 思いつめたら突き進む“跳ねっ返り”女性警察官の真情。 認知症の高齢女性を助けた青年が水死体で発見された。 鈴山澪は事件の背後に悪名高い刑事の存在を探り当てる。 不審な動きを見せる刑事は何を追っているのか? 特殊詐欺の闇を抉り出す渾身の警察小説! 心優しき青年はなぜ殺されなければならなかったのか? 新潟県警に勤務する鈴山澪は地元のテレビ番組で、特殊詐欺対策啓蒙コーナーを担当している。 共演者の麻子は、恋人を詐欺被害で亡くしていた。ある日、麻子は生放送で、未だに捕まらない 犯人への憎しみを口走って炎上する。 一方、澪の友人で、大雪の日に認知症の高齢女性を保護して表彰された青年がいなくなる。 その件に絡んで謹慎となった澪は行方を探し、富山の海岸で変わり果てた姿を目にする。 辿りついた防犯映像には地元暴力団との交際が噂される刑事の姿が……。 警察組織に背を向けて事件を追う澪は、いつしか、封印した自らの過去に踏み込んでいくことに――。 新潟を舞台にした新たなる警察小説 -
ハイスクール・ブッキッシュライフ
カフカ、ニーチェ、ランボー、プルースト――「密かな悪徳」としての読書を愉しむ、ちょっとディープな世界文学案内。 30年前の高校生を魅了した名作15篇を再読。知的興奮あふれる文学エッセイ! ● 読み返すというのは、奇妙な体験である。わたしは高校生であったころから、すでに三十年以上も馬齢を重ねてしまった。ある書物に最初に出会ったときの驚きと同じものを、現在なお求めようとするのは困難かもしれない。その代わりにわたしには、高校生のときに見過ごしていた細部を、より丁寧に、またより広い文脈のもとで理解し直すことができるのではないかという期待がある。(「はじめに」より) -
ルコネサンス
大学院でサルトルを学ぶ中条珠絵は、亡き祖母と母と暮らした一軒家で一人暮らしを続けていた。生後すぐに母は離婚し、父とは二十数年会っていなかったが、ある日、伯父から再会を勧められる。迷った末に銀座のバーで出会うが、なりゆきから娘と名乗らないままに食事を重ね、恋愛にも似た感情を覚える。自身の結婚を機に、改めて父娘としての再会を果たすも、家族であれば持っているはずの共通の思い出がないことに気づく。郷里への旅や父の闘病を経て、ようやくたどり着いた父娘の在り方とは――。父娘がお互いを家族とふたたび認める(ルコネサンス)までの軌跡を描いた著者の自伝的フィクション。 -
【2冊 合本版】円朝の怪談噺 真景累ケ淵・怪談牡丹燈籠・ 怪談乳房榎
『真景累ケ淵』根津の鍼医宗悦が、貸金の催促から旗本の深見新左衛門に殺された。新左衛門は宗悦の霊と誤り妻を殺害し、非業の死を遂げ家は改易。これが因果の始まりで、新左衛門の長男新五郎と次男新吉を不幸が襲う。新吉は宗悦の娘で富本の師匠の豊志賀と深い仲に。豊志賀は弟子お久と新吉の間を疑い、7人の女房を取り殺すと書き残し死ぬ……続く血族の殺し合いは前世の因縁か呪いのためか。円朝の代表作にして最高峰。解説・小松和彦 『怪談牡丹燈籠・怪談乳房榎』こまげたの音高くカランコロンカランコロンと……江戸は根津の清水谷に住む、若い美男の浪人・萩原新三郎のところへ、旗本の娘のお露と女中のお米が毎夜通ってくる。新三郎が悪い女に騙されては困ると、家来同様の伴蔵が、ある晩、新三郎の家を覗いてみると、彼が楽しげに語らうのは2人の「幽霊」であった。お露と新三郎の悲恋の結末とは!? 落語の神様による怪談噺の最高傑作。他に「怪談乳房榎」を収録。解説・堤邦彦 ※本電子書籍は『真景累ケ淵』『怪談牡丹燈籠・怪談乳房榎』を1冊にまとめた合本版です。 -
カブキブ!【3冊 合本版】
歌舞伎大好きな高校生、来栖黒悟(クロ)の夢は、部活で歌舞伎をすること。 けれどそんな部は存在しない。そのため、先生に頼んで歌舞伎部をつくることに! まず外せないのはメンバー集め。 親友の眼鏡男子、トンボとともにリストアップしたのは、 演劇部のスターで誰よりも二枚目な女子(!)、浅葱芳(あさぎ かおる)、 歌舞伎経験があるらしいが、なんとも残念な性格の自称ロッカー(音痴)、阿久津新(あくつ しん)、 日本舞踊の師範の息子だが今ではやめたという丹羽花満(にわ はなみち)。 まずは彼らにトライするものの、けんもほろろな状況。 メンバーだけでもままならないのに、 歌舞伎をするには他にも様々な試練がてんこもりで……? クロの夢の舞台は実現するのか!? ひたむきに走り続ける子犬系高校生と仲間達の、青春歌舞伎物語!! ※本電子書籍は「カブキブ! 1」「カブキブ! 2」「カブキブ! 3」を1冊にまとめた合本版です。 -
【合本版】警視庁文書捜査官シリーズ
『警視庁文書捜査官』『緋色のシグナル 警視庁文書捜査官エピソード・ゼロ』『永久囚人 警視庁文書捜査官』の3冊合本版。 右手首のない遺体が発見された。現場に残されたのは、レシート裏のメモと不可解なアルファベットカード。 「捜査一課文書解読班」班長で極度の文字マニア、鳴海理沙警部補に、出動要請が下る。 遺留品のメモから身許を特定した理沙は、被害者宅にあった文章から第二の殺人現場を発見。 そこには、またもアルファベットカードが残されていた。共に見つかった手描きの地図が示す所を探すと―。 理沙の推理と閃きが、事件を解決に導く! ※本電子書籍は『警視庁文書捜査官』『緋色のシグナル 警視庁文書捜査官エピソード・ゼロ』『永久囚人 警視庁文書捜査官』(角川文庫)の合本版です。 -
【合本版】ココロ・ドリップ ~自由が丘、カフェ六分儀で会いましょう~
そのカフェには、一風変わった飾り棚がある。ここに並ぶ“贈り物”は誰のものでもないし、誰のものでもある。なにか気に入った物があれば持ち帰ることができるが、条件がひとつだけ。“贈り物”を受け取った人間は、それと同じくらい価値のある物を、別の誰かへの“贈り物”として、飾り棚に残さなければならない。このカフェは待合室なのだ。“贈り物”は人との出会いを待ち、人は“贈り物”との出会いを待つ。そしてときには“贈り物”が人と人とを繋ぐ。香味豊かな一杯の珈琲のように、あなたに幸せなひとときをお届けする物語。 ※本電子書籍は、『ココロ・ドリップ ~自由が丘、カフェ六分儀で会いましょう~』全3巻を1冊にまとめた合本版です。 -
こんとんの居場所
謎の生命体「こんとん」の取材記者として調査船に乗り込んだ男女。たどり着いた島=こんとんの上で、二人が見たものとは……。(「こんとんの居場所」) 防衛省のシステムに侵入した天才少年ハッカーが開いたのは、人類を"次の段階"に進める禁断の扉だった。人々が次々と人間の姿を失っていく中、ある親子が再会する。(「白い霧」) それは滅びか、救済か――。 文藝賞受賞作『いつか深い穴に落ちるまで』(2018)、『孤島の飛来人』(2022)に続く、現代文学の異才による最新作品集! ◆赤坂真理氏、ラランド・ニシダ氏、推薦! 「退屈な日常から、非日常にグラデーションで少しずつ染まっていく感覚。読書の喜びの根源に触れた気がする」 ニシダ(ラランド) 「するする運ばれていくうちに思いがけないところにいて、たとえそれが破滅かもしれなくても、笑えてしまう。ああ、言葉にだけ可能な、こんな旅があるのだ」 赤坂真理(作家) -
日本三大歌集+百人一首編【4冊 合本版】 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』『百人一首(全)』
ビギナーズ・クラシックス日本の古典の大人気作品『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』『百人一首(全)』合本版。代表的な和歌とその意味、どんなところが優れているのか、入門者にもわかりやすく丁寧に解説した。総ルビつきで歌の朗読にも最適! 『万葉集』 日本最古の歌集から名歌約一四〇首を厳選。恋の歌、家族や友人を想う歌、死を悼む歌。天皇や宮廷歌人をはじめ、名もなき多くの人々が詠んだ素朴で力強い歌の数々を丁寧に解説。万葉人の喜怒哀楽を味わう。 『古今和歌集』 春夏秋冬や恋など、自然や人事を詠んだ歌を中心に編まれた、第一番目の勅撰和歌集。総歌数約一一〇〇首から七〇首を厳選。春といえば桜といった、日本的美意識に多大な影響を与えた平安時代の名歌集を味わう。 『新古今和歌集』 伝統的な歌の詞を用いて、『万葉集』『古今集』とは異なった新しい内容を表現することを目指した、画期的な第八番目の勅撰和歌集。歌人たちにより緻密に構成された約二〇〇〇首の全歌から、名歌八〇首を厳選。 『百人一首(全)』 かるた遊びとして広まり、誰でも1つや2つの歌はおぼえている「百人一首」。すべての歌の意味、どんなところが優れているのか、そして歌人たちはどんな人だったのか―。天智天皇、紫式部、清少納言、西行、藤原定家、後鳥羽院ほか、日本文化のスターたちが一人一首で繰り広げる名歌の競演がこの1冊ですべてわかる!歌には現代仮名でも読みを付け、コラムには歌の技法や歌を作る場、現代につながる文化など、楽しい話題も満載。 ※本電子書籍はビギナーズ・クラシックス 日本の古典「万葉集」「古今和歌集」「新古今和歌集」「百人一首(全)」を1冊にまとめた合本版です。 -
漫画でイけ
人気漫画家・鳥トマトの初小説集 「私には何もない。でも、漫画がある」 「絶対に埋められない穴を持った人にしか描けない漫画があるんだよ」 漫画家・鳥トマトによる小説×漫画ハイブリッド文学爆誕! 神様、僕は漫画に人生を捧げます。 お金もそんなにいりません。男も女も、大嫌いだから一生誰とも付き合えなくていいです。心が死んでるから幸せにもどうせなれないし、ならなくていいです。なので、僕が十年後も百年後も千年後も誰かに読まれる漫画が描けるようにしてください。僕の思う真実を漫画に閉じ込めて「永遠」にする力をください。 「漫画でイけ」 売れない漫画家のツグミは、人気作家・蛇川の紹介で「売れる漫画のロジック」を語る編集者・野分と出会う。彼に導かれ、漫画家として再起を賭けていくが…… 「僕の血」 出版社のライツ部に勤めながら、漫画を描いている主人公・鳩山。原作者の凄まじい執念に翻弄される一方、編集者・半本との出会いによって創作人生が大きく揺さぶられていく。 -
おとこ川をんな川
恋愛小説の名手が満を持して描く故郷・金沢の女たち 金沢の花街に生きる2人の芸妓。恋することすら許されぬ場所で、彼女たちが掴んだものは――。 【担当編集者より】 3年ぶりの新作で描くのは著者の故郷・金沢、昭和初年頃の花街です。デビューから40年、一貫して女性の恋愛や友情、生き方を描いてきた唯川さんらしく、本作で描かれるのも、置屋「梅ふく」で働く女性たちの生き様です。 主人公の朱鷺やトンボをはじめ、登場する女性たちは一人として恵まれた境涯の者はなく、余儀のない選択として花街に生きています。 こう書けば、ただ辛いだけの物語のように思われるかもしれません。確かに彼女たちの眼前には次々と御し難い問題が現れます。しかし、唯川さんの描く登場人物たちの、健やかで瑞々しくどこまでも気持ちのいいこと! それはきっと彼女たちが自らの運命を受け入れる覚悟をし、逆境を逆境として飲み込んだ上で、それでも前を向いて歩いているから。彼女たちにエールを送りながら読んでいると、最後には読んでいるこちらも明日からまた頑張ろうという気持ちになるはずです。 昭和の初めに比べれば、人生の選択肢は比べようもなく増えた現代ですが、選択肢が無数にある自分たちの方が、かえって周りに流されていないだろうか。そんな問いかけが聞こえてくるようです。 -
ポップ・フィクション
エンタメの深層をつかめ。 大正時代、出版華やかなりし頃。 「市民公論」編集部の松川は、窮地に立たされていた。 担当した企画のせいで、筆者が大学を追われることになったのだ。 奔走する松川に、主幹は驚きの決断を下す。 同じころ、当代きっての人気作家・菊谷は、 「書きたいものを書く」ための雑誌を立ち上げようとして…… 「100万部突破の常勝雑誌を作る」宿願は叶うのか? 徳川夢声、谷崎潤一郎―― 作家や文化人たちが侃々諤々の議論を交わしながら、 面白いものを作ろうと奮闘する様を描く。 刊行点数200冊に迫るエンタメ界のトップランナーが送る、出版お仕事小説。 -
天使の跳躍
「神に愛された天才」vs「人に愛された中年の星」 知られざる将棋のタイトル戦を舞台に繰り広げられる、感動の人間ドラマ。 恋愛小説の金字塔を立てた著者が開いた、新境地。 40歳までタイトルを獲れなかった棋士は、引退まで無冠に終わる――。 それが才能と加齢による限界がもたらす、将棋界の残酷な歴史。 田中一義は46歳。かつて5度もタイトル挑戦に敗れ、 あと一歩で栄冠に届かなかった「悲運の棋士」。 それでも諦めずにきた彼に奇跡が微笑み、 念願のタイトル挑戦権を手に入れた。 だが迎え撃つ相手は「令和の王」――源大河八冠。 まだ一度もタイトル戦で敗れたことのない、全盛期の若き天才。 それは誰もが絶望する、中年棋士のラストチャンスだった。 家族と戦友、元天才の弟子との絆、初恋と、青春の残光…… これまでの人生のすべてを星のごとく燃焼させる一義は、 神の子に届くのか。 熾烈な才能の世界と家族愛をみごとに描いた傑作。 -
オーグメンテッド・スカイ
僕たちは、テクノロジーで世界(CODE)を「書き直す」。 片田舎の少年たちが、世界を向こうに仕掛けるゲリラ戦。 武器は〈知恵〉と〈友情〉、報酬は〈自由〉。 SF小説の旗手が、VR世界大会を舞台に紡ぐ青春ハック小説。 2024年、鹿児島。県立南郷高校に通うマモルは、 男子寮の次期寮長に指名される。 下級生の指導や揉め事の解決など、マモルの負う役割は大きいが、 なかでも、学生VR全国大会出場に向けてチームをまとめるのが 最重要ミッションの一つである。昨年敗れた先輩たちの雪辱を果たすべく、 準備を進めるマモルだったが、大会事務局の対応にある違和感を覚える。 同じ頃、アマチュアVRの世界大会「ビヨンド」の存在を知り、 自分たちの進むべき新たな道を見出していく。 -
こんばんは、太陽の塔
アメリカ人の著者が全編日本語で書き上げた小説第二作。 少女時代から陶芸家を目指してきたカティアは、ある出来事をきっかけに、 師匠であり恋人でもあったライダーと決裂、偶然舞い込んだ 大阪の女子校の英語講師の椅子にとびつき、逃げるようにアメリカを離れた。 カティアの新地は、大阪の北摂。そこには、師ライダーとそっくりの顔をした 「太陽の塔」がそびえたち、あたりを睥睨している。 カティアにはひとに言えない悩みがあった。少女時代のある日、 ライダーに「伝承」されて以来、自分の手が師匠のものになってししまった。 ありえないことだが、腕先に、骨ばった長い指の「ライダーの手」がくっついているのだ……。 胸に傷を抱えながら、異国の地で未来を探して奮闘する、若きカティアの青春物語。 -
見果てぬ王道
孫文を支え続けた日本人実業家の、スケール感溢れる一代記 映画事業で大成功をおさめ、その資金で革命家・孫文を支援し続けた梅屋庄吉。その情熱と葛藤、国境を越えた友情を直木賞作家が描く。 長崎の貿易商・梅屋商店の跡継ぎとして育った庄吉は、香港で写真館を経営する。そこで出会ったのが、清朝を打倒し、西洋の武力支配からの自立を目指す若き孫文だった。西洋列強による東洋の侵略に理不尽を感じていた庄吉は、孫文の情熱を知り、革命を支援することを約束する。庄吉はやがて、日活の前身となるMパテー商会を創立。黎明期の映画事業は大成功を収め、その資金で革命を支援し続ける。 実業家・梅屋庄吉の熱き生涯! -
月岡草飛の謎
老俳人・月岡草飛が行くところに怪異あり? それは実際に起こった――そういうことだ。 俳人・月岡草飛は妻を亡くして気まま放題。月岡のもとには、謎めいた依頼の数々が持ち込まれる。 生きる欲望に貪欲に突き進むうち、いつしか異界に迷いこむ。 名手が贈る、ブラック&ナンセンスな奇譚集。 それはごく小さな空間で、真っ白な蓬髪を肩まで伸ばした老人が椅子に座り、背を丸め、眉根にしわを寄せて、 自分の前の台のうえに置いた大きなフラスコの中をじっと見つめていた。 月岡が思わず怯んだのは、その凝視のまなこに狂気の光としか呼びようのないものが炯々と輝いていたからだ。――本文より -
菊の剣
神剣なきまま即位した“すめらぎ”の秘めたる想い――。小さき者が小さきままに集い、大輪の花となる。日の本をそんな国としたい。菊を愛した後鳥羽院と刀鍛冶たちとの絆を描く、心震える連作短篇集。新たなる神剣を作るべく、後鳥羽院によって各地から集められた、則宗、延房、久国ら刀鍛冶(御番鍛冶)。共に剣を鍛えていくことで、“すめらぎ”たらんとする院の想いを知った彼らは、それに応えようとするのだが……。承久の乱を起こして鎌倉幕府に破れ、この国の政を武家のものにしてしまった「暗君」とされる後鳥羽院の真の姿に、刀鍛冶たちの視点から迫った歴史小説。『利生の人 尊氏と正成』で第12回日経小説大賞を受賞し、『あるじなしとて』で第12回日本歴史時代作家協会賞の候補となった著者渾身の最新作。 -
パシヨン
受難(パシヨン)を越えて、求めよ、自由を――。『熱源』で直木賞を受賞した著者による、新たな到達点! 禁教下における“最後の日本人司祭”となった小西マンショの人生を軸に、異文化同士の出会いと摩擦、争いの中での“希望”を描いた圧巻の歴史小説。キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。“受難の時代”を生きる者たちの魂の叫びが刻まれた、著者渾身の長編小説。 〈目次〉●序章 主の孫 ●第一章 天国の門 ●第二章 出日本 ●第三章 求めよ ●第四章 走る群雲 ●第五章 受難(パシヨン) ●終章 世の終わりまで -
朝星夜星
幕末から維新、明治と激動の時代の外交を料理で支えた男がいた――長崎生まれの料理人・草野丈吉で、店の名は「自由亭」。本書は、日本初の洋食屋を長崎で開き、大阪に進出してレストラン&ホテルを開業、近代大阪の発展に貢献した丈吉を、妻ゆきの視点から描いた歴史小説。貧しい農家に生まれた丈吉は、18歳で出島の仲買人に雇われ、ボーイ、洗濯係、コック見習いになる。そして21歳のときにオランダ総領事の専属料理人になり、3年後に結婚。夫婦で日本初の西洋料理店をオープンさせた。店には、陸奥宗光、五代友厚、後藤象二郎、岩崎弥太郎といった綺羅星のごとき男たちがやって来る。明治の世になり、大阪へ移った丈吉は、重要な式典で饗応料理を提供するまでになるのだが……。夫婦で困難を乗り越え、夢をつかみ取る姿を活き活きと描いた傑作長編。 -
天離り果つる国
飛騨の“幻の城”に織田信長の魔の手が――。戦国武将が喉から手が出るほど欲しいものは、金銀と、鉄炮火薬に欠かせない塩硝。それらは飛騨の「天離る地」で豊富に産するという。宝の眠る里を我が物にしようと企む、織田・上杉・本願寺……。そんななか、天下布武へ邁進する織田信長によって白川郷に送り込まれたのが、津田七龍太である。天才軍師・竹中半兵衛の愛弟子だ。“天空の城”とも言われる帰雲城に拠って、白川郷を治めるのは内ケ嶋氏理。氏理には、野生的な魅力あふれる娘・紗雪がいた。美しき山河と麗しき人々に魅せられた七龍太は、領民の平穏な生活を守るため、内ケ嶋の最強の姫武者・紗雪とともに立ち上がる。そこには、七龍太の出生に関わる、思いがけない出逢いも待っていた。『剣豪将軍義輝』『風魔』の著者、渾身の「戦国エンタテインメント」。 -
住友を破壊した男
この男なくして、「住友」は語れない。絶対的権力者の専横、目先の利益を追う者たち……すべてを破壊せねば、再生はできない。危機に瀕した住友を救った“住友中興の祖”伊庭貞剛の、知られざる生涯に迫る感動のノンフィクション・ノベル。住友家二代目総理事として住友銀行創設などの英断を下し、“住友中興の祖”とよばれた伊庭貞剛。彼の人生は、波乱に満ちたものであった――。幕末、志士として活躍したのち、新政府に出仕して司法界に。その後、叔父であり、住友家初代総理事の広瀬宰平に招聘され、住友に入社する。しかし当時の住友は、別子銅山の煙害問題を抱え、さらには宰平の独断専行が目にあまるほどであった。住友財閥の中にありながらも、住友を破壊せんばかりの覚悟を持って改革に臨んだ企業人を描き切った、傑作長編小説。
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