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〈「いったいあんたはんは誰のために、なんのために菓子をこしらえたはるんや」〉
〈第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品(原題『一菓』)。〉
大学を卒業し、とくに夢や目標があるわけではなく毎日を過ごしていた主人公の雄司。ところが偶然に入った和菓子屋「洛中甘匠庵」で目にした「求む、菓子職人」の貼紙をきっかけに、京都島原の有名和菓子店で修業を始める。一年後に後継者を決めるという。腕は一流だが昔気質で頑固な大将との衝突、他の職人との争い、地域の人々や店の仲間たちとの交流を通し、職人として成長していくが、やがて大将の体調にも変化が……。菓子職人としての覚悟、伝統を受け渡す者と受け取る者の想いを描き出す。第四回京都文学賞「一般部門優秀賞」「読者選考委員賞」ダブル受賞作品。
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Posted by ブクログ
舞台は古都京都 ───
主人公 宮本雄司は和菓子が人一倍大好きな京大卒のカーディーラー。
恋人との別れをきっかけに“自分の好きなことをしたい”と、職人の世界へ飛び込みます!
飛び込んだ先は京都一の和菓子の名店✨
鬼のような昔気質の頑固な大将と真反対な性格の柔和なおかみさんが守り継ぐお店でした。
今まで和菓子を作ったことない主人公が一つ一つ困難を乗り越え、職人として成長していく物語です!
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本文の
『この道を進む者は前の世から受け継ぐ覚悟と、後の世に譲り渡す責務がある。』
という言葉にグッときました。
職人さんならもっと沢山の想いが響くのではと考えさせられます。
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テンポの良い展開と繊細な世界観の描写が、読んでいてとても心地良かったです☺️
分厚い単行本でしたがあっという間に読み終えてしまいました!
Posted by ブクログ
何かにひたむきになることを
尊いことだと改めて教えてくれた作品。
優しく芯のある登場人物たちを支える京都の島原という地も趣深く、彼らの旅路を照らしてくれていた。
こんなにも優しくて、真っ直ぐで、温かくて…
この本に出会えたことを心から嬉しく思う
主人公宮本雄司は、京大を卒業しカーディーラーの会社で働くも上手くいかない。そんななか彼女との別れをきっかけに、大好きな和菓子を作りたいと強く思うようになり、有名和菓子店洛中甘匠庵で修行することに。大将の強情さ、ライバルたちとの雲泥の差…色々なものの板挟みになりながら、雄司は考え、考え抜いて、行動し、奮闘し続ける。彼の努力の姿勢はまさに圧巻としか言いようがない。
そんなに雄司が必死で掴み取る未来に、優しい涙が止まらない作品だった。
特に好きなシーンは、2つ。
1つ目は甘匠庵のおかみさんが、子育てを間違えたという雄司の親に対し放つ言葉。
『なにを言うてはるんですかっ。家族にはいろんな形があるんです。我が子のために一所懸命になってしはることに、どんな間違いがあるっていうんですかっ。(中略)幼い頃からお父様とお母様が培ってくれはった、学ぶ姿勢や集中力は超一流やないですかっ』
親にとって、他人から言われる言葉でこれ以上の褒め言葉があるだろうか??ただただ優しい涙が止まらないシーンだった。
2つ目は、雄司が自分よりも大将や島原の人々のために、動き続けるところ。
『たとえ賑わいを昭和に置き忘れてきたのだとしても、この地ですこれから根づいていく和菓子を作りたい。この商店街に笑顔をもっと増やしたい。』
彼は大将に選ばれたい欲や地域の人から褒められたいといった欲がない。ただ自分に勝ちたい、自分を見てくれている人に恩返ししたいという一心で動き続ける姿勢は、とても凛々しく美しかった。
この作品に出会えて本当によかった。
心の中のものを濾して濾して濾していった先に僅かに純度が残るとするなら、その純度をかき集めて紡いだものが本作だと思う。
この純度の高い傑作をぜひ読んでほしい!!
Posted by ブクログ
◼️ 髙田充「今日も私は、ひとつの菓子を」
京都de和菓子。京大出のボンが職人を目指すストーリー。京都文学賞読者選考委員賞。
スイーツ好き、詳しくはないが和菓子にも大いに興味あり。なんつったって京の都です。想像力がそそられる。
京大出、父の大病院を継ぐのを蹴って車のディーラーをしている若手社員の宮本。ある日ふと口にした、烏丸の有名和菓子店、洛中甘匠庵のわらび餅。興味を持ち、菓子職人を募集していることを知って申し込む。会社を辞め、行ってみた島原の洛中甘匠庵本店では、年配の大将が後継を探していて、素人の宮本は、応募してきた手だれの菓子職人2人と、名店の跡継ぎの座を争うことになるー。
職人気質、迫力ある大将は勝新太郎を想像しながら読んでいた。いやもうこの時代にあって大将の言動はまあ情け容赦なしでパワハラの塊でもあり、私の世代には少し懐かしくもある。
宮本は、辞めさせようとしているかのような厳しい雑用の日々の中、修行、特訓を続ける。
続々と出てくる創作和菓子、専門用語を目にするのも嬉しく、大いにイマジネーションを刺激された。食べ物の斬新なアイディアを出していく、というのは髙田郁「みおつくし料理帖」を彷彿とさせた。
大将と、おかみさんや店の面々のチームワーク、アトホーム感も素晴らしい。関西弁もので時々笑かすボケが入るのも気持ちいい。
島原界隈はレトロな地区で、私もかねがね行ってみたく思っている。三条四条祇園とは違って賑わいのあまりない商店街でもあるが、人情と、その地に溶け込み和菓子に何らかを取り込む発想も微笑ましく、京都へ潜航し、理解を深めようという気概が読み取れる。
ところどころに風情を感じる表現や言い回しの工夫があるのも目についた。長いとは言えない作品にもこれだけの要素が詰められるのかとしみじみ。
最近京大ものは目につくし、身体を壊すような前時代的な努力もうーんと思ったり、一部の決め言葉はちょっとありきたりだったり尖り過ぎているような気もするが、それを凌駕した感動を生む物語。読後感がとても良い。
やばいな、ふたばの豆大福や松風ばかりではなくて本格和菓子も食べてみたくなってきた。遠くはないし、京都行こう。
Posted by ブクログ
京大卒で就職した主人公が、会社を辞めて好きだった和菓子職人を志す物語。
300ページもない単行本であり、少し文字サイズも大きめのため、読みやすい。
主人公の決意から修行、成果までよく言えばテンポ良く、悪く言えば少しアッサリ目に進んでいく。個人的にはテンポの良さが心地よかったです。
職人気質なこの世界のことが十分よくわかる内容でしたが、実際はもっと凄いんだろうなぁ。けど和菓子のような唯一無二の繊細さを求められ、文化をも表現していくこの世界では、この本の重要なテーマでもある「継承」をどこよりも重視しなければならないのだろうと実感できました。
エリート街道を歩んできた主人公が全く異文化の職に踏み出すのは不安しかないでしょう。だけれども、それまで培ってきた自己の性質を活かしつつ和菓子への熱意をもって成長していく姿、他の人がそれを認めてくれる過程は、人生の幅広さを教えてもらえた気がして勇気をもらえました!
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