熊はどこにいるの

熊はどこにいるの

小説・文芸
1,980円 (税込)

9pt

「わたし、殺しました、生みたての赤ちゃんを」──震災から7年の地で、身元不明の幼子をめぐり、4人の女たちの運命が、いま、動き出す。各紙誌絶賛! デビュー18年、著者最高傑作。

「これほどの強度の小説は滅多にないし、ここには真の意味での熊がいる。」──古川日出男
「いつかこんな夢の中に自分もいたような気がする。止まらない余震のような小説。」──斎藤真理子

生きるためにもがく者、
死ぬための場所を探す者──

暴力から逃れた女を匿う山奥の家に暮らす、リツとアイ。
津波ですべてを失ったサキと、災後の移住者であるヒロ。
震災から7年の地で、身元不明の幼子をめぐり、4人の女たちの運命が、いま、動き出す。

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  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    河出書房新社
  • タイトル
    :
    熊はどこにいるの
  • タイトルID
    :
    1854503
  • ページ数
    :
    192ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年04月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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熊はどこにいるの のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    物語の立ち上がり方は寒気を覚える程で、肌の上をゆっくりと爪でなぞられている様な、痛さと戸惑いと、その裏に覗く昏い快感みたいなものがない混ぜとなった読中感。中年女性ばかりの群像劇ということで、蠱惑的というか本能的に感じる‘混ぜたら危険’な雰囲気があるんですよね。タイトルに含まれる『熊』というワードから想起される野生的でコントロール不能そうなイメージとも上手くマッチする。一度湧き上がったら抑えられない性欲や攻撃性、はたまた母性。食事や排泄の場面がやけに細かく書かれるのも、人間をどこまでも動物の一種として捉えている視座によるのかな。
    欲求は理屈じゃないのよ。

    東北某県にある女性専用のシェルター「丘の上の家」に暮らす〈リツ〉と〈アイ〉。雪の降っていた日にアイが偶然にも道の駅の公衆トイレに捨てられていた男の赤ちゃんを拾い上げ、その子を丘の家で育てることにした、というところから物語の時間が進み始める。
    その子は〈ユキ〉と名付けられた。
    何らか事情があったにせよ親から捨てられてしまった子供の姿と、「太くなりすぎたのや曲がった胡瓜」(p24)という、形が不揃いだったというだけで他所に「おすそわけ」(同)されてしまう野菜の様子が私にはオーバーラップして感じられた。

    様々な立場の女性達が登場する作品であり、彼女たちそれぞれが抱える『熊』が何を示しているのか。
    過去の性的トラウマから来る男性不信。
    他人と比べた時にどうしても覚える劣等感。
    強烈な被災体験により壊れてしまった倫理観。
    地方から上京したものの弾き出された挫折の記憶。

    それぞれが対峙する『熊』は時に心をズタズタに掻き乱し、時に自分の身体も他人の気持ちも食い破らんとする勢いで暴走することもある。
    どうすれば『熊』を宥めることが出来るか。

    ひとつには‘愛’に触れる事なのではないか、という回答を木村紅美先生は「皮膚を合わせているとなめらかさとぬくもりが移り、はちみつ色の光に包みこまれる錯覚に陥る。」(p139)と表現されているのではないか、と私は思いました。
    この場面はリツがユキを性的な拠り所として抱き締めているシーンなので、見方によってはグロテスクな風にも捉えられるかもしれないのですが、『熊』にとって『はちみつ』はやっぱり嬉しいものだと思いますので、そこには何らかの示唆があると思います。

    そう考えてみると、本作に登場する女性達は皆【‘愛’に飢え‘愛’を探して市街地を彷徨い歩く『熊』】という事になるのではなかろうか。

    そのように私の中で納得のいく理解の折り合いをつけた時、確かに凄い作品を読んだな、という思いが再び肌を粟立てたのでありました。


    1刷
    2026.1.17

    0
    2026年01月18日

    Posted by ブクログ

    『熊はどこにいるの』木村紅美(河出書房新社)を読む。わたしもこの歳になってくると子育ての思い出ははるか彼方なのだが、「気がついたら、温かくて柔らかいものを抱きあげていた」という感覚は今でも懐かしい。ふわふわした肌触り、日に焼けた髪の毛の匂い。生まれたての赤ちゃんはたとえ安定した家族のもとでも、居場所を定めるのが難しく、どこかへ行ってしまえばそれなりに成り立ってしまうのが現代だ。ピンポイントの話が交互にさくさくと進んでいく。熊たちはどこへいくのだろうか。

    0
    2026年01月17日

    Posted by ブクログ

    本の雑誌、2025年文学トップ10、1位であったため読んだ。重いテーマであるはずなのに、山の風景や、食べ物のシーンの情景がうかび、おとぎばなしのようだった。名前が、サキ、リツ、ヒロ、などカタカナで表記され途中まで男性なのか女性なのかもわからないような書き方も良かった。話の中身はしっかりダークで重いのに、(サスペンスっぽくもある)ひとつひとつの描写が心に残る、読み返したくなる。薄墨色とばら色に染めわけられた雲が流れ暗くなる青い空の下にはためくボロボロのスカーフ、、、のところの情景が美しくて。でも雑巾にするんですけど。

    0
    2025年12月28日

    Posted by ブクログ

    とても良かったです

    語る人を変えていく物語は、語られる人たちが知り得ないことを知ることができるので、読む人にとっては神の目なのかな

    神の目は嫌いじゃないけど、、、

    0
    2025年12月22日

    Posted by ブクログ

    ある時保護された5歳程度の子供
    その子を探すシェルターの女2人と、乳児を遺棄した女とその友人
    4人の女が時系列を行ったり来たりしながら交代して語る日々
    非虐待児で男嫌いであったのに肌の触れ合いから自分の欲望に気付いてしまうリツのギリギリの苦しさが印象的
    しかし感想が難しい
    救いもカタルシスもない
    生きづらい世界を生きるしかない人たちの現実を描く
    お料理がとても魅力的

    0
    2025年10月05日

    Posted by ブクログ

    色の表現が美しくてうっとりする
    出てくるご飯も、おしゃれで美味しそう
    ミント水、ビーツのポタージュなど
    もっと読んでいたかった

    0
    2026年08月27日

    Posted by ブクログ

    女だけの共同生活の中に
    赤ん坊が紛れ込んだ途端
    性というものに否応なく絡めとられ
    避けようとすればするほど
    女の匂いが立ち込め、男の形が際立つ。
    どこまで行っても
    女たちの明るい未来は見えそうもなく
    先へ進むのがどんどん苦しくなった。
    そして、その姿は見せないのに
    いつもかたわらに
    黒い獣の気配が漂っているようで
    落ち着かなかった。

    0
    2026年05月14日

    Posted by ブクログ

    朝井リョウさんが5冊展で選んだ1冊
    そうでなければ出会えなかったと思う

    いきなり不穏で驚いた
    題名だけで勝手に熊の話だと思ってたから…
    でも、朝井さん選出なので
    だろうな…って納得した

    装画も納得
    ただ、キレイな装画だなぁ




    0
    2026年04月21日

    Posted by ブクログ

    湧き上がってる嫌悪感は特定の誰かに対してのものではなく、言ってしまえば登場する女性全員に対するものであったと思う。
    利己的な性欲の気持ちの悪さは、身体的な男性から女性に対する場合で感じることが多かったが、女性から男性の場合でも当然同じように気持ち悪い。
    リツの行為には目を覆いたくなるが、アイの方が怖いのはなぜだろう。相手の気持ちを勝手に想像、というか妄想して全て自分の良いように脳内変換している辺りが相当怖い。青年を泊めてあげたときの行動には心底ゾッとした。
    この本を読んで、自分がOKなら相手も当然OKっしょ!という思い込みで不利な立場にある人に迫ったらあかん、ということを全人類にわかってほしい。

    0
    2026年02月01日

    Posted by ブクログ

    あらすじ紹介では4人の女とあるが、大部分はリツとアイによる山の上の生活である。特に、望まない子を殺すサキはかなり描写が少ない。

    谷崎潤一郎賞を受賞して、選者たちには絶賛されていた。でも、あらすじの大枠は、なんらかの理由で傷ついた女たちが疑似家族的な子育てによって回復する物語であって、そこまで特筆するほどのものではないと思う。
    むしろ、その物語を描く独特の文体のほうが良いと思う。ただ、自分はこの作家の小説は本作しか読んでないので、世の中では文体のほうはとっくに評価されてるのかもしれない。

    0
    2026年01月21日

熊はどこにいるの の詳細情報

  • カテゴリ
    :
    小説・文芸
  • ジャンル
    :
    小説 / 国内小説
  • 出版社
    :
    河出書房新社
  • タイトル
    :
    熊はどこにいるの
  • タイトルID
    :
    1854503
  • ページ数
    :
    192ページ
  • 電子版発売日
    :
    2025年04月18日
  • コンテンツ形式
    :
    EPUB
  • サイズ(目安)
    :
    1MB

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  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
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