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Posted by ブクログ
読んでいて戸惑った。タイトル、装丁からはとうてい想像できないストーリーだったのだ。
とある大家さんの訃報から話ははじまっている。それを耳にした主人公は中年の男性だが、かつてはその大家である雪子さんのアパート・月光荘に下宿していた大学生だった。
高円寺にあるそのアパートは今どうなっているのかと足を運びつつ過去を思い出していく、という回想部分がメインになっています。
踏み込みすぎた親切。お節介。過干渉。絶望的に雲行きがあやしくてゾッとさせられるのだが、罪悪感と申し訳なさもごっちゃになる。なぜって、雪子さんのそれはどこまでも純粋な善意だからだ。悪意は一切ない。多少の下心はあれど、でも善意なのだ。
見返りを求めない優しさは素晴らしいものであるはずなのに、人はどうしてかそれに怯えてしまう。得体の知れないものに対する恐怖だろうか?
雪子さんに対するそんな恐怖と、行き場のない怒りや憤り、煩わしさや鬱陶しさを薫とまったくシームレスに私も感じていた。
小野田さんという女性住民の存在もまたこの不協和音をいっそう響かせている。
彼女らとどう付き合うべきだったんだろうか?正解はみつからず、やるせなさだけが残る。
ホラー小説と紙一重。
綿で首を絞められているような、どんどん空気が薄くなっていくような物語のはこびがとてもよかった。
8月の埃っぽい風。後味は悪い。が、あたたかみもあるのだ。なんともいえないこの感じ好きです。
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小説・文芸
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