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オルレアンの魔女
「オルレアンの魔女」が甦り、監獄の島で惨劇の幕が上がる! 地下道、鉄仮面の女、孤島、魔女伝説……映画祭の町にセレブが集うとき、連続殺人の幕が上がる。数学的論理で謎を解く刑事とソプラノ歌手が辿り着く、現代史の闇。――中川右介(評論家)推薦! 映画の都、監獄島、そして魔女の街へと駆け巡る探偵行! パリ・オペラ座新作公演の主役に抜擢された天羽七音美。原作者レジーヌ・ブラパンがこだわる「黒髪のジャンヌ・ダルク」像にぴったりなのだという。演出家ジャック・ロランの依頼で、七音美は宣伝のためカンヌへ渡る。その頃、パリでは娼婦が丸刈りにされ殺される事件が起こっていた。被害者はカンヌのホテルの部屋番号と「オルレアンの魔女」という謎の言葉が記されたメモを握っていた。捜査にあたる刑事エミールもカンヌへ飛び、そして舞台は忌わしき伝説の残る「監獄島」へ。果たしてオルレアンの魔女とは…… 装画・佳嶋 -目次- Ⅰ東京 Ⅱパリ Ⅲカンヌ Ⅳ監獄の島 Ⅴ修道院の島 Ⅵオルレアン Ⅶカンヌ -
「ウルトラマン」の飛翔
●放送開始50年! 今こそ歴史的事実に迫る。 ●驚きをもたらす決定的ドキュメンタリー。 ●かつてない綿密な考証で定説に挑む!! 「こういうことだったのか…!!」証言と各種資料を丁寧に照合し、ヒーロー誕生の軌跡を再現する。 戦後日本最大のヒーロー「ウルトラマン」は、ちょうど50年前、 1966年7月17日放送の第1話「ウルトラ作戦第一号」でブラウン管にその姿を現した。 銀色に輝く巨大宇宙人という前代未聞のアイディアにたどり着くまで、 金城哲夫をはじめスタッフは文字通り産みの苦しみを味わった。 そして誕生したヒーローの物語は、才能溢れる若者達の情熱によって、驚くべき発展を遂げていく。 各メディアで絶賛された『「ウルトラQ」の誕生』の著者が、 いよいよ本丸「ウルトラマン」誕生の軌跡を追うドキュメンタリー第2弾。 証言と史料をつきあわせ、かつてなく丁寧に、限界まで歴史的事実に迫る。 こうしてウルトラマンは飛び立った。 【伝説から歴史へ。】 ・TBS版「WoO」とは何か? ・第1話誕生までの遠い道のり ・作家・金城哲夫の目覚め ・39話で終了したのはなぜか? -
「ウルトラQ」の誕生
・誕生50周年! 名作誕生の軌跡を追う、初の本格的ドキュメンタリー ・綿密な取材と緻密な考察で定説を覆す画期的な一冊! 「WOO」はなぜ実現しなかったのか? 映画界とテレビ界の当時の状況は? なぜ「怪獣路線」に変わったのか? 企画室長・金城哲夫の苦闘と成果とは?「特撮」に留まらぬ視点から圧倒的筆力で描く決定版!! ……ちょうど50年前、1966年1月2日、第1話「ゴメスを倒せ! 」の放送から始まった『ウルトラQ』は、テレビ史を変える画期的なシリーズだった。だが、名作誕生までの道のりは決して平坦でなかった。 スタッフは前代未聞の番組を作るため、文字通り暗中模索であった。 そして、番組成立の背景には、テレビの隆盛と映画の衰退という二つの歴史的潮流があった…。 テレビ草創期を活写した2冊(『円谷一 ウルトラQと“テレビ映画"の時代』『飯島敏宏 「ウルトラマン」から「金曜日の妻たちへ」』)の著者が、「特撮」に留まらぬ広い視点から描く画期的ドキュメンタリー。かつてない徹底取材で歴史的事実に限界まで迫る。 いま「伝説」は「歴史」になる! -
QUEEN スカイマーシャル 兼清涼真
公安警察の頂点『ZERO』、 国際テロに対抗する『外事警察』 日本から米国に向かういずれかの旅客機に不審者<QUEEN>が乗り込み危険行為 を行う可能性が高い、という情報を得た警視庁。警備部特務班の兼清、上司の矢 島、2名のスカイマーシャルが14時羽田発ニューヨーク行きの<さくら212便> に搭乗することになった。だが兼清の警戒を嘲笑うように、離陸から1時間半 後、一般客には存在や場所が知られていないクルーバンクで遺体が発見される。 いったい何者が、どうやって……? そして、スカイマーシャル・兼清涼真の孤独な戦いが始まる……。 飛行中の機内でテロを排除する特務警察“スカイマーシャル”の現実を描ききる、ノンストップ・エンターテインメント。 -
EV
深刻な地球温暖化の前に、欧米では遅くとも2035年までにエンジン車の新車販売が規制される。つまり新車販売は電気のみで動く車に限られるのだ。加えて中国が2030年をめどに、国内の新車販売をすべて環境対応車に変更するという。このような世界情勢を前にしても、既存産業への配慮と圧力から日本政府は有効な手を打てずにいた。経産省の自動車課に籍を置く瀬戸崎啓介は焦りを募らせる。このままでは、日本の自動車関連就業人口534万人のうち多くが路頭に迷う可能性がある。だが、いったいどうすればいいのか……?電気自動車への全面移行に遅れた日本に、起死回生の一手はあるのか?『首都感染』で新型コロナ感染拡大を予言した著者が描く、〝日本経済、予言の書〟解禁! -
存在しない時間の中で
世界各国から百名以上の研究者や大学院生が集まり、宇宙の始まりや仕組みなどの疑問に答えるべく日夜研究に取り組んでいる天文数物研究機関。ある日、若手研究者たちが主宰するセミナーに謎の青年が現れ、ホワイトボード23枚に及ぶ数式を書き残して姿を消した。誰も見たこともないその数式には、人類の宇宙観を一変させかねない秘密が隠されていた。つまりその数式は、この宇宙、そして世界の設計図を描いた<何ものか>が存在する可能性を示唆していたのだ。悪戯のように思えるこの不可思議な出来事は、日本だけなく世界中23もの研究機関で発生していた。にわかに<神の存在>に沸き立つ世界。ほどなく人類は、<神の存在>にアクセスしようと試みる。そして、その日から現実は大きく変わることになる――。『嫌われ松子の一生』『百年法』の著者が、生きることの根源的な意味を問う〝いま読むべき物語〟の誕生。 「この世界は何ものかが創ったものだ」と証明されてしまったら、あなたはどうしますか? -
天路
国と国、言葉と言葉の〈間〉を旅する作家がたどりついた、世界の臨界点。記憶と言葉が響きあう越境文学の達成。 アメリカを捨て日本に移り住んだ作家は、故国に残した母の死を抱えて中国の最果て、チベット高原へと赴く。 一千年の祈りの地でたどる、死と再生の旅。 30年前から日本に暮らすアメリカ国籍の「かれ」は、故国の母の死を受けいれられぬまま、漢民族の友人とともにチベット高原を旅する。「世界の屋上」と呼ばれるその土地は、一千年来、ひたすら生と死に思いをめぐらせてきた人々の文化が息づく場所だった。異質な言葉との出会いを通して、死と再生の旅を描く読売文学賞作家の最新連作小説。 ・収録作「西の蔵の声」評より―― 「喪失の痛みからの回復をこうやって異質な言葉との出会いを通して描くことができるというのは、ほんとにすごい。リービさんの名人芸」松浦理英子氏(群像2019年3月号創作合評) 「エクソフォニーをさまよい続ける作者の、母の死との対峙と開眼の瞬間が描かれている小説であり、非常に感銘を受けた」鴻巣友季子氏(同上) 「言語だけを携えて、作者は世界に立ち向かっていく。この作品は一人の人間の中に沸き起こる複数の言語と文化、過去と現在の共振として読まれるべきように思う」 ――磯﨑憲一郎氏(朝日新聞2019年1月30日文芸時評) -
W☆ING流れ星伝説 星屑たちのプロレス純情青春録
1991年8月7日、後楽園ホール。 のちにプロレス史にその名を刻むインディー団体、「世界格闘技連合 W☆ING」がTAKE-OFF(離陸)した。 だが、わずか3シリーズをもって団体は分裂。 茨城清志は新たな団体、「W☆INGプロモーション」を設立へと動く。 大半のスタッフ、選手と共に同年12月10日、「SKY HIGH AGAIN」を後楽園ホールで開催する。 資金は持ち出し、リングは全日本女子プロレスから10万円で借りるなど、"ないない尽くし"の再旗揚げ戦。 茨城は破格のギャラを払ってミル・マスカラスを招聘。 満員にはならなかったものの、なんとか再スタートを切ることに成功した。 W☆INGのリングに集まった男たちは、誰もが世間的には無名だった。 メジャー団体の選手のようなめぐまれた体格や身体能力がはなかった。 だが、プロレスに憧れ、愛する気持ちだけは誰にも負けていない。 それは、団体の運営を担うフロントの男たちも同様だった。 どうしたら、リングで輝けるのか。どうしたら、世間にW☆INGを知ってもらえるのか。 その煩悶の中、男たちは汗と血と涙を流しながら、きらめきを求めて過激なデスマッチへと身を投じていく。 夜空に一瞬、輝く流れ星のごとく――。 齋藤彰俊、松永光弘、金村ゆきひろ、菊澤光信(元W☆ING練習生)、茨城清志元代表、大宝拓治元リングアナウンサー、畑山和寛元レフェリー、ロッシー小川(当時、全日本女子プロレス広報部長)他。 当事者たちが語る、W☆INGの立ち上げから、崩壊に至るまでの2年7か月。 給料さえほとんど出ない中、男たちはなぜ血を流し、その闘いに観客は熱狂したのか。 当時、週刊プロレスの担当記者としてW☆INGを追い続けた小島和宏記者が描き出す、「世界で最も過激な団体」30年目の真実。 ★茨城清志「そんなこと言われてもさ、俺だって別に好きこのんでデスマッチやインディー団体をやっていたんじゃないんだよ。俺だって、本当はさ、プロレス団体をやるんだったら新日本や全日本みたいなプロレスをやりたかったよ! 」 ★齋藤彰俊「僕が(大迫和義・世界格闘技連合W☆ING元社長に)聞かされたのは近々、コカ・コーラがスポンサーについてくれる、という話。そして、マイク・タイソンを招聘するプランもある、と」 ★松永光弘「せっかく、こうやって一冊の本にまとまるのであれば、それこそ表紙に大きく書いてしまってもいいですよ。『W☆ING崩壊のA級戦犯は松永光弘だ! 』と。実際、そうじゃないですか? 私がW☆INGを潰したんですよ! 」 ★金村ゆきひろ「だって修行期間みたいなもんじゃないですか? 他の団体だったら、入門してから1年から2年はデビューすらできないわけで、お金をもらうという発想すらなかったし。(中略)家庭がある人は別として、会社に金がないんだから、それを求めるのはちょっとどうなの?って思ってました」 ★大宝拓治「よく初期のW☆INGは迷走していたとか言われるんですけど、僕に言わせれば、まったく迷走なんてしていないんですよ。旗揚げシリーズからずっと『コンビニみたいなプロレス団体』という目線で見てもらえれば、なんにもブレていないことはわかってもらえると思うんです」 ★畑山和寛「現地で営業するためにかかるお金を自力でなんとかするしかない。当時はまだ攻略要素のあるパチンコ台が結構、あったんですよ。(中略)その勝ち分で現地でのガソリン代や食費はなんとか工面できましたね。毎回、勝てるとは限らないので、ホテル代でお金を遣ってしまうのは怖くて車中泊は続けていましたけど」 -
傷口はきみの姿をしている
クラスメイトと適度な距離を保ち、深く関わりすぎないよう気をつけながら穏やかで平和な日々を過ごす高校生、卯月遥臣。そんな遥臣のクラスに美しい少女、鷹宮螢が転校してきた。 「ボクは、深く関わる相手は自分で選ぶことにしてる。だから、わざわざ気を遣って話しかけてこなくていいよ」 螢の人を寄せつけない転校の挨拶に、遥臣はクラスの雰囲気が壊れることを不安に思い、そして期待した――。 遥臣が人との深い繋がりを避けてきた理由とは? 螢に惹かれる理由とはなんなのか。 どこにでもいる普通の高校生たち、彼らが抱える秘密とは――。 心に傷を持った思春期の少年少女たちの青春群像劇。 -
男性性の探究
ひとりの男性として自分は何が語れるだろうか? #MeToo運動をきっかけに覚えた、男性としての居心地の悪さ、動揺、そして目覚め。 フランスの哲学者・宗教社会者である著者が、男性支配の構造と、その解体を語る。 リオジエが問題視するのは、女性の身体に向けられる男性の視線である。歴史的・社会的・文化的に培われてきたこの眼差しが、女性を客体化(objectiver)し、もの(objet)として所有すること、資本として蓄積することを可能にしてきた。そのようにして男性優位の構造が形作られてきた。そこに問題の核心がある。(「訳者解説」より) -
半逆光
人を好きになってしまうことに、解などないのだ――。 恋愛小説の名手・谷村志穂が描く大本命不倫小説! 息子が就職して家を出たことを機に部屋を片付けていた香菜子。 クローゼットの奥にしまわれたPCを開き、夫のメールを見つけてしまう。 そこには、夫と女が親密に名前で呼び合い、 2人が子供のように育てていた猫が死んでしまったなど、 21年以上にわたるやりとりが書かれていた。 おかしい。21年前といえば、香菜子が必死に幼い息子を育てていた頃なのに。 夫と女の間に何があったのか。その後、彼女は「不倫小説の傑作」とも評価された 1冊の小説を出版していることが分かって――。 -
きみがいた世界は完璧でした、が
俺は出会ってしまった、理想の「エリナ」に――。ゲームオタクの大学生・日野は、偶然訪れたサバゲ―サークルの新歓で、中学時代に熱中していたゲームのヒロイン・エリナにそっくりな宮城絵茉(エマ)に恋をした。二度告白するも振られ、今後は彼女を遠く見守ることを決意するが、そんな折彼女に害をなすストーカー犯が現れる。はじめはSNSに彼女の悪口を書き込むだけだったが、次第にサークルの部室に盗撮写真をばらまいたりと行動をエスカレートさせる犯人に怒っていた日野は、彼女の涙を見てついに決意する。俺が絶対に犯人を見付けて懲らしめてやる――。調査のため部室に監視カメラを仕掛け、犯人と思しき男のいる大学に潜入したりと、次第に暴走していく日野はサークルで孤立するが、ついに犯人を発見。その正体は意外なもので――。憧れと狂気が交錯する、ノンストップ青春物語! -
こんな日もある 競馬徒然草
ツキにからかわれるのも、人生長い目で見れば悪いことではない。 年々歳々、馬とともに春夏秋冬をめぐり、移り変わる人と時代を見つめ続けた作家の足跡。 日本文学の巨星が三十余年にわたり書き継いだ名篇エッセイ、初書籍化。 編・解説:高橋源一郎 何年先のことになるやら、たとえばダービーの日のスタンドかテレビの前で、そういえばあの男、このダービーをもう知らないんだ、と生前の私のことをちらりと思い出す人がいるかもしれない、と今からそんなことを考えると、心細いようで、あんがい、慰められる気持ちになる。自分一個の生涯を超えて続く楽しみを持つことは、そしてその楽しみを共にする人たちがこれからも大勢いると考えられることは、自分の生涯が先へ先へ、はるか遠くまで送られて行く、リレーされて行くようで、ありがたいことだ。 (本文より) -
回想の太宰治
濃やかな愛情と明晰な目がとらえた人間・太宰治――太宰治は、文字通り文学のために生まれ、文学のために育ち、文学のために生きた「文学の寵児」だった。彼から文学を取り除くと、そこには嬰児のようなおとなが途方に暮れて立ちつくす姿があった。戦中戦後の10年間、妻であった著者が、共に暮らした日々のさま、友人知人との交流、疎開した青森の思い出など、豊富なエピソードで綴る回想記。淡々とした文にも人間太宰の赤裸な姿が躍如とする好著。 ◎「これは、凄い本に出会ったものであります。質も量も。明晰さも、たしかさも、怖ろしさも。科学者の随筆みたいな、美しい揺るぎのない日本語で、太宰治は凝視され、記憶され、保存される。この著者が、昭和の初期に、太宰の妻であり、ともに暮らし、子をなして、日々会話し、身の回りの世話をし、親戚や食卓や経済を共有していたかと思うと、トカトントン。そこらの男の何十倍も聡明だった女の記録であり、記録をよそおった文学であります。」<伊藤比呂美「解説」より> ※本書は、『回想の太宰治』(昭和58年6月 講談社文庫刊)を底本としましたが、「アヤの懐旧談」を削除し、『増補改訂版 回想の太宰治』(平成9年8月 人文書院刊)より、「蔵の前の渡り廊下」「南台寺」「父のこと、兄のこと」「『水中の友』」の4篇を収録しました。 -
デルタの羊
製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…… これが日本のアニメの“リアル”! 「俺たちはあまりに善人だ」 「誰かが羊飼いにならなきゃ、日本アニメは地盤沈下していく」 アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する。 しかし業界の抱える「課題」が次々と浮き彫りとなり、波乱の状況下、窮地に追い込まれる。 一方、フリーアニメーターの文月隼人は、ある理由から波紋を広げる “前代未聞のアニメ”への参加を決意するが……。 アニメに懸ける男たちの人生が交差するとき、【逆転のシナリオ】が始動する! -
笛吹川
生まれては殺される、その無慈悲な反復。 甲州武田家の盛衰と、農民一家の酸鼻な運命。 信玄の誕生から勝頼の死まで、武田家の盛衰とともに生きた、笛吹川沿いの農民一家六代にわたる物語。生まれては殺される、その無慈悲な反復を、説話と土俗的語りで鮮烈なイメージに昇華した文学史上の問題作。平野謙との<「笛吹川」論争>で、花田清輝をして「近代芸術を止揚する方法」と言わしめ、また後年、開高健をして「私のなかにある古い日本の血に点火しながらこの作品は現代そのもの」とも言わしめる。 町田康 一般の調節された言葉は、一族の多くの者がそのために殺害されたのにもかかわらず、それを、先祖代々お屋形様のおかげになって、と言い換えることができる。しかし、この小説の言葉は、そう言い換えてしまう人間の哀しみを描きつつ、それすらも無言の側に押し流してしまう。そして、その圧倒的で、どうしようもない事態は、始まりと終わりを持たず循環する。――<「解説」より> -
来世の記憶
「あたしの前世は、はっきり言って最悪だった。あたしは、おっさんだった」地球爆発後の近未来。おっさんだったという記憶を持つ「あたし」の親友は、私が前世で殴り殺した妻だった。前世の記憶があるのは私だけ。自分の容姿も、自分が生きてきて得たものすべてが気に入らなかった私は、親友が前世の記憶を思い出すことを恐れている。(「前世の記憶」)「ああもうだめ」私は笑って首を振っている。「うそ、もっとがんばれるでしょ?」「だめ、限界、眠くて」寝ている間に終わった戦争。愛も命も希望も努力も、眠っている間に何もかもが終わっていた。(「眠りの館」)ほか、本書のための書き下ろしを加えた全20篇。その只事でない世界観、圧倒的な美しい文章と表現力により読者を異界へいざない、現実の恐怖へ突き落とす。これぞ世界文学レベルの日本文学。 -
森へ行きましょう
川上弘美さんの恋愛と結婚を描いた長編小説。一気読み必至の傑作です。 主人公は1966年ひのえうまの同じ日に生まれた留津とルツ。このパラレルワールドに生きるふたりの女性は、いたかもしれないもうひとりの「自分」。それは読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれませんし、留津とルツの恋人や夫も読者のあなたのもうひとりの「自分」かもしれません。 主人公の2人のように「いつかは通る道」を見失った世代の女性たちのゆくてには無数の岐路があり、選択がなされます。選ぶ。判断する。突き進む。後悔する。また選ぶ。進学、就職、仕事か結婚か、子供を生むか……そのとき、選んだ道のすぐそばを歩いているのは、誰なのか。少女から50歳を迎えるまでの恋愛と結婚が、留津とルツの人生にもたらしたものとは、はたして―― 道は何本にも分かれて、つながっていて、いつの間にか迷って、帰れなくなって……だからこそ「人生という森は深く、愉悦に満ちている」。 -
遠い他国でひょんと死ぬるや
第三の“竹内ノート"を求めて、男はルソン島へ―― 戦没詩人、山下財宝、山岳民族、イスラム独立闘争……空っぽな日本人はそこで何を見たのか 注目の才能ミヤウチによる、展開予測不能の冒険小説! 第70回芸術選奨文部科学大臣賞新人賞受賞作・単行本バージョン ぼくは、ぼくの手で、戰爭を、ぼくの戰爭がかきたい――そう書き残し、激戦地ルソン島で戦死した詩人・竹内浩三。彼は何を見、何を描いたのか? テレビディレクターの職を捨て単身フィリピンに渡った須藤は、その足跡を辿りはじめた。だがその矢先、謎の西洋人男女に襲われ、山岳民族イフガオの娘ナイマに救われる。 かつて蹂躙された記憶を引き継ぎ日本人への反感を隠さないナイマだが、昔の恋人ハサンの実家を訪ねる道行きに、付添いとして須藤を伴うことに。 ミンダナオ島独立のために闘ったイスラム一族の家で一時の休息を得た須藤だったが、ハサンの家は秘密を抱えていた……。 -
東京クライシス 内閣府企画官・文月祐美
上流域での豪雨で荒川の決壊が懸念される真夏の金曜日、千葉と埼玉で竜巻が発生、変電所を襲った。結果、二十三区を含む広範な地域が停電、JRや地下鉄は運休を決め、帰宅困難者が街に溢れることに。止まない雨に刻一刻と洪水の危険性が高まる中、首相と政策顧問団は党の公約に拘り、準備していた防災計画を場当たり的に変更していく。やがて荒川が決壊、墨田区などが水没。顧問団は危機管理監らに責任を被せる形で更迭し保身に走り始める。そしてその悪魔の矛先はついに、たった一人残された内閣府の防災担当企画官・文月祐美に向かう! 命懸けで持ち場を死守する人々を守る、もう一つの闘いの行方は!? -
運転者 未来を変える過去からの使者
辛いことがあった時には、このお話を思い出そう。 累計100万部 喜多川泰、渾身の感動作! *** 中年にして歩合制の保険営業に転職し、三年目の修一。 しかし、なかなか思うように成果が上がらない日々を過ごしていた。 ある日、唐突な担当顧客の大量解約を受け、 いよいよ金銭的にも精神的にも窮地に追いやられてしまう。 妻が楽しみにしていた海外旅行計画はキャンセルするしかない。 娘は不登校に陥っているうえに、今後の学費の工面も難しくなるだろう。 さらに長い間帰れていない実家で一人暮らしをしている、母からの電話が心にのしかかる。 「……なんで俺ばっかりこんな目に合うんだよ」 思わず独り言を言ったそのとき、 ふと目の前に、タクシーが近づいてくるのに修一は気がつく。 それは乗客の「運」を「転」ずるという摩訶不思議なタクシーで――? *** 運が劇的に変わる時、場というのが、人生にはあります。あなたにも。 運はいいか悪いで表現するものじゃないんですよ。 使う・貯めるで表現するものなんです。 先に貯めるがあって、ある程度貯まったら使うができる。 運は後払いです。何もしていないのにいいことが起こったりしないんです。 周囲から運がいいと思われている人は、貯まったから使っただけです。―――本文より 【読者の皆様より感動の声、続々! 】 *** とても感動した。運は良い悪いではなく、貯めるか使うか。 (20代 男性) *** 報われない努力は実際あるけど絶対ない理由に感銘を受け、 苦しいことがあっても乗り越えていける自信がつきました。 今この時代にいる自分はどう生きていこうかがわかり、 書籍を読み終わったあとは心が温かく、笑みがこぼれていました。 不思議な運転者に私も会いたいような気がしましたが、 この本を読んで 間接的に運転者から大事なことを気づかせてもらったので 私も実践あるのみです。 自分がいかに恵まれているのかも納得しました。 (10代 女性) *** 途中から涙が止まりませんでした。 人の愛情。 ご縁。 私も同じ考え方ですが まだまだ行動が少ないので 微力でも、もっと次の日本、世界の為に頑張ろう、と思えました。 自分の生かされている意味が実感出来る人生をいきたいと思わしてくれる素敵な物語でした。 (60代、女性) *** -
帝王の誤算 小説 世界最大の広告代理店を創った男
日本最大の広告代理店「連広」の常務に就任した城田毅は、その存在感を示すべく、さまざまな事業の指揮をとる。各業界のトップ企業の広告独占、広告第二位「弘朋社」への圧力など、手段を選ばず強行した。一方、過労死した連広社員の妻だった真美は、「思いやり雇用」制度によって連広に入社し、城田の秘書となった。真美は「この会社に夫は殺されたのだ」と憎悪の心を持って、夫の死の真相解明に乗り出す。しかし城田の間近で働くうち、やがて彼の魅力にも惹かれていく。城田は「帝王」として君臨し、やがて社長に就任するが、後継者として育てた腹心の裏切りに直面する……。 -
中山可穂コレクション
<「全身全霊で恋をして、その体験を小説という形に昇華して綴る」という経験は、おそらく一人の小説家の人生のなかで一度しか達成できないことではないかと思う。なぜならそれほどの恋とは一生に一度しか経験できないものであり、それを書くに足る力を備え、肉体も精神も澄み切って野心に溢れ、まだ何者にもなっていない、何の評価も得ていない若いときにしかできないことだと思うからだ。(本書まえがきより)>長らく絶版状態だった、中山可穂の代表作とも言える恋愛小説の傑作長編2本が待望の電子化。ファン垂涎の電子オリジナルコレクション第1弾。本書は以下の作品を収録しています。/『感情教育』……産院に捨てられ、母を知らない那智。理不尽な大人達に振り回されて育った理緒。それぞれ懸命に少女期を生き延び、大人になった二人。那智は恋多き女になり、やがて結婚し母になった。理緒は同性愛者として自立した道を歩んでいた。しかし、内に秘めた深い孤独は埋めることはできない。そんな二つの純粋な魂が出会い、不器用にお互いを求めた時に、人生のすべてを賭けた運命の愛が燃え上がる。2000年講談社刊。/『マラケシュ心中』……「恋がいつか必ず終わるものなら、わたしたちは恋人同士になるのはやめましょう。何も契らず、何も約束せず、からだに触れ合わず、それゆえに嫉妬もない、いかなるときも自由で、平明で、対等な関係のまま、いつまでも離れずに、この世で最も美しい友になりましょう」(本文より)あえて男名前を使う、女性歌人の緒川絢彦が短歌結社の歌会で出会ったのは、師と仰ぐ大歌人の若く美しい新妻だった。近づいてはいけない相手、恋をするにはあまりに危険な存在。しかし、募る思いは止めることができずに、やがて。逃避行の果てに恋人たちを待っていた運命とは……。2002年講談社刊。 -
愛国奴
「ちょっと右寄りでオタク青年」という出自をもつ主人公、南部照一。ネットで知り合った友人の手引きで「保守ムラ」の狭い論壇に出入りするようになる。当初は右も左もわからぬ照一であったが、某警備会社が主催する懸賞論文での入選を機に、CS放送局を運営する「保守ムラ」のドン・杉坂義男にスカウトされてキャリアを形成していくうち、いつしか照一自身も保守業界の病弊に蝕まれていくのであった。そのような中、保守論壇をリードする波多野譲と土井賢治の二人の若手言論人が、出演する保守系CS放送の番組放送枠をめぐり対立を始める。その結果、血で血を洗う骨肉の「保守内戦」が勃発……。そこから物語は急展開を見せていくことになる。保守ムラの住人たちはどうなっていくのか。愛国を掲げてカネ、利権、憎悪、嫉妬、報復、狂気が蠢く世界を描いた、著者初めての渾身の長編書下ろし小説500枚。 -
鵺
「鵺王」。陸軍少将でありながら「ホトトギス」の俳人であった亡父の俳号だ。 自らも年老い、父に思いを馳せる演出家・充彦のもとに、四十歳年下の女から一本の電話が入る。いい加減、子どもを認知してほしい――。作家としても一線で活躍を続ける充彦だが、私生活は修羅の連続だった。最初の結婚が破談になった折、女優・弥勒黒美とのありもしない醜聞で放送局を退職に追い込まれた。愛人を同い年の演出家に奪われ、その娘しぐれを奪い返し、彼女との間に子を為した。心休まる時のない人生だったが、因縁の女優・黒美と句会で再会したことで、充彦の晩年に思わぬ変化が訪れる。女や父、芝居に小説を語り合い、和解したかに思ったのも束の間、黒美から充彦に宛て軍用トランクが送られてくる。中にあったのは父の字で〈尼港事件〉と書かれた封筒だった――。戦時下の外地で、父は高浜虚子の師事を仰いでいたのだろうか。時空を超え、忌まわしき過去の扉が開いてゆく。久世光彦を髣髴とさせる官能と怪奇、幻想。醜聞の果てに男が見た真実とは。 -
火曜ドラマ 監獄のお姫さま
2017年秋のTBS系火曜22時枠「監獄のお姫さま」宮藤官九郎の書き下ろしシナリオ集。全10話分を完全収録。監獄で出あった5人前科アリ女性と罪を許せぬ刑務官、6人の復讐の行方は。 女たちの過去、今起こっている誘拐事件のメリハリ、スピーディな展開、ピリっとしたセリフの応酬に、監獄ゆるキャラや劇中歌などの脱力アイテムもちりばめられる、宮藤官九郎作の秀逸な“犯罪エンターテイメント”。 主演は16年ぶりのTBS主演となった小泉今日子はじめ、菅野美穂、満島ひかり、森下愛子、坂井真紀、夏帆の6人の女優陣と、その6人に相対するイケメン社長は民放連ドラ初出演の伊勢谷友介。 シナリオ完全オリジナル版をフルで収録し、今ドラマへの思いをつづる宮藤官九郎の寄稿、出演者のアンケート調査などを収録。 ・まえがき 宮藤官九郎 ・第1話、第2話、第3話、第4話、第5話、第6話、第7話、第8話、第9話、最終話シナリオ完全オリジナル版 ・出演者アンケート ・劇中歌 ・キャストリスト、スタッフリスト -
幸せのプチ ――町の名は琥珀
高度成長期の昭和から平成までの都電が走る町を舞台に紡がれる「追憶のカスタネット通り」「幸せのプチ」「タマゴ小町とコロッケ・ジェーン」「オリオン座の怪人」「酔所独来夜話」「夜に旅立つ」の6つの物語。1970&80年代の思い出とともに、あなたを追憶の彼方へ誘います。 直木賞作家・朱川湊人さんの25万部を超えたベストセラー『かたみ歌』。東京・下町の商店街を舞台にしたノスタルジックでちょっと不思議なことが起こる連作はシリーズとなり、当時は最先端だった団地に舞台を移し(『なごり歌』)、今作もそのラインに連なるといってもいい。 -
恋シタイヨウ系
私たちの住む太陽系と似ているけれど、ちょっと違う「タイヨウ系」では、惑星間をさまざまな宇宙船が飛び交っている。人類は地球から他の星々へ自由に移住し、小さな町を作ったり、地元の住人と交流したり――。月、水星、金星、火星、太陽、木星、土星、天王星、海王星、冥王星。十の星で生きる人びとのさまざまな恋愛模様を、小説と短歌でファンタジックに綴る。ポップで、あたたかな、雪舟えまワールドへようこそ! 穂村弘氏、タカノ綾氏推薦。 目次 月 ナチュラルシティー 水星 あたらしい先生 金星 流星と見まごう船で 火星・太陽 僕らは愛の気流のなか 木星 おやすみ猫たち 土星 友好銀河にあこがれて 天王星 あなたが見えます 海王星 生まれ変わる僕ら 冥王星 王妃の愛 (全9話) 247ページ -
きみが来た場所
命のバトンをつないで、あなたは今、ここにいる。 家族に会いたくなる、奇跡の物語。 ベストセラー作家、喜多川泰の隠れた名作! 書き下ろし新作短編を収録 <あらすじ> もうすぐ二児の父になる秀平は、経営する塾がうまくいかず、不安な毎日を過ごしていた。 そんなある日、口にすると「自分の先祖の体験」が夢にあらわれる不思議なキャンディを手に入れて……? 秀平は祖父たちの生きざま、決意、つないできた命の奇跡を知るなかで、これから自分の子として生まれる新しい命と、塾の子どもたちに伝えなければならない大切なことに気づいていく。 <読者から感動の声、続々!> ・本屋さんで数ページ立ち読みし、引き寄せられるように購入しました。命の重みやつながりを考えさせられました。(20代、女性) *** ・読み終えたとき、とても心地良い気持ちになると同時に、心の底からグツグツと力が湧いてきました。(30代、男性) *** ・当たり前に思っていた家族の存在を、改めて深く考えさせられました。(30代、男性) *** ・家族のルーツ、祖先の生き方に触れる作品で心が熱くなります。(30代、男性) *** ・何度読んでもおもしろい。新しい発見もありつつ、やはり同じところで「グッ」ときます。(40代、男性) *本作は、『母さんのコロッケ 懸命に命をつなぐ、ひとつの家族の物語』(2011,大和書房)に書き下ろしの短編を加えた新装版です。 -
蓮の数式
35歳のそろばん塾講師・千穂は不妊治療を始めて10年。夫と義母からの度重なる嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫の運転する車がひとりの男と接触してしまう。「金で解決しろ」と事故の処理を押し付けられた千穂は、男の不可解な行動を見て算数障害なのではないかと気づく。男の苦悩を理解し手をさしのべようとする千穂だったが、その行動を訝しみ嫉妬する夫は、異常な行動に出て千穂を追い詰める。これまで抑えてきた感情を一気に爆発させた千穂は、ある事件を引き起こしてしまうのだった――。愛を知らない男と愛を忘れてしまった女の逃避行がはじまる! 文芸評論家たちから絶賛の気鋭が放つ最新長篇。 -
完全版 甲子園の詩 敗れざる君たちへ
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 1979年から2006年、夏の高校野球大会の全試合を、作詞家・阿久 悠が観戦し、一日一試合を、詩に詠む、「スポニチ」紙の名物連載27年分を、全収録し、試合のスコア表と各大会のトーナメント表をつけた完全版。球児たちの美しさとはかなさを讃えた感動の記録。底本付録の阿久悠の短編小説「ガラスの小びん」は電子書籍版では割愛しています。また、甲子園球場での試合の写真も電子書籍版には収録されていません。 -
海嶺 全3冊合本版
天保3(1832)年、熱田から、千石船宝順丸が14人の乗組員を乗せ江戸に向かって出航した。しかし遠州灘で激しい嵐に遭い、船は遭難してしまう。1年2か月後、乗組員の中で生き残った、豪胆な岩松、明朗快活な久吉、心優しい音吉の3人は、奇跡的に北アメリカに漂着した。彼らを待ち受けていたのは、想像を超える数奇な運命だった――。現地の先住民に捕らえられるも、イギリス商社の厚意で軍艦イーグル号に乗り込み、幾多の困難を乗り越えロンドンの地へ。彼らが祖国の地を再び踏む日はやってくるのか? 運命に翻弄され、逆境の中、諦めることなく、希望を持って生き抜く男たちを描いた感動の時代巨編! 本書は上・中・下の3冊を合わせた合本版です。
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