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四十過ぎたら出世が仕事
誰が言ったか「四十にして惑わず」、 大いに悩める会社員たちの人生賛歌 四十歳で課長に昇進した阿南智弘は、着任早々に前代未聞のトラブルを抱える。 阿南の同期で三年前から課長を務める石渡泰之は、無能な上司に怒りが収まらない。 中途入社組で阿南と同い年、新任課長の和田果穂には、誰にも言えない秘密があった。 同期では唯一総務畑に進み、社長秘書となった吉本検司は、近頃なぜか社長から冷遇される。 平松透は、創業社長の息子であることを一切笠に着ず頑張るものの、失敗続きで……。 同じ節目を迎えた仲間と悩み、ぶつかりながら、阿南たちは奮闘する。 -
あかり野牧場
夢は大きく、ダービー制覇! 一頭の馬が人の心を揺り動かし、夢舞台へと駆り立てる―― すべての人を元気にする、感動の競馬小説。 家族経営の零細牧場「あかり野牧場」で生まれた一頭の馬は、「北の大地に灯りがともれば」とキタノアカリと名付けられた。 中央競馬デビュー以来、圧倒的着差をつけて連勝し、いよいよG1に挑む。 広大な町の狭いコミュニティーは、アカリの話題で持ちきりだった。 大牧場が席捲するG1戦線で、世代7000頭超の頂点に立つことなどできるのか? 牧場を営む家族、馬産地の仲間たち、崖っぷちの騎手…… 多くの想いを背に載せて、希望の灯りがターフを駆ける。 -
高望の大刀
第13回日経小説大賞受賞作の主人公は、桓武天皇の曾孫というやんごとなき出自にして、日本の武士の起源ともされる謎多き人物、平高望(たいら の たかもち)。平安前期の裏面史を大胆に創作した歴史活劇である。当時、京のみやびな世界の外では、早くも「もののふ」が勃興してきていた。史実における平高望は、朝廷への反乱を鎮圧した功により上総介に任官され、京から上総国(いまの千葉県中部)に東下し土着したとされる。しかし、その生涯は現在もなお謎に包まれる。平安末期に武士として栄華を極めた平清盛の系譜も、元をたどれば高望につながり、後に源頼朝の鎌倉政権樹立を助け、有力御家人となった北条氏を代表とする「坂東平氏」にも系譜が連なるとされている。そして高望の孫は、平将門である。平安中期、関東を制圧して朝廷に反旗を翻し「新皇」を名乗って東国独立をはかった。「祟り(たたり)」で有名な首塚が東京都心に残るように、関東では今も将門信仰が根強い。比類なき武芸の達人で、民衆に慕われた将門には、数々の伝説が残る。その生涯は小説になり、歌舞伎になり、NHKの大河ドラマにもなった。この「将門伝説」を頭の片隅において読めば、本書の物語はより深く愉しめる。桓武平氏の祖として京を離れて東国に武家の基盤を築いた高望の生涯も、将門伝説のように波瀾万丈でドラマチックであるに違いない。平安前期は京の貴族社会を除くと、ほとんどの民は、過酷な環境のもと、死と隣り合わせのむき身で生きていた。生き抜くことに懸命な人たちの「生」そのものが描かれる歴史ファンタジーの中で、無骨で不器用なスーパーヒーローが、縦横無尽に疾駆する。 -
ぶなの森の葉がくれに―小説 昭和の旅路
夏が来れば思い出す。60年前、日本は灼熱の太陽に灼けていた。紀男・5歳の夏…。 (※本書は2007/8/1に発売し、2022/2/10に電子化をいたしました) -
想い出だけが通りすぎてゆく―小説 昭和の旅路
昭和27年、昭和32年、昭和35年―あなたはなにをしていましたか。なにを考え、なにを夢見て、なにを悩んでいましたか。激動の昭和を駆け抜けた青春。 (※本書は2007/12/1に発売し、2022/1/27に電子化をいたしました) -
あした、この国は崩壊する ポストコロナとMMT
コロナ後の世界、MMT(現代貨幣理論)を採り入れた日本経済を描いた、まったく新しい経済SF小説です! いつまでも続くデフレ。 そしてそれに追い打ちをかけるかのようなコロナ禍。 果たしてこれまで日本の経済政策というのは正しかったのか? MMTに根差した正しい財政出動が行われていたら、 各地で甚大な被害を起こしている異常気象へのインフラ整備、 そしてコロナ禍の際に逼迫した医療機関も、 もっと有効に機能していたのではないか……。 この国の未来を憂い、希望を見出すためにこの小説を書きました。 まだ遅くはありません。 今、私たちの手の上には二つの未来があります。 ───黒野伸一(著者)! 【目次】 序章 二〇四〇年 第一章 遠雷 第二章 煽動 第三章 覚醒 終章 二〇四三年 【著者】 黒野伸一 一九五九年、神奈川県生まれ。『ア・ハッピーファミリー』(小学館文庫化にあたり『坂本ミキ、14歳。』に改題)で第一回きらら文学賞を受賞し、小説家デビュー。過疎・高齢化した農村の再生を描いた『限界集落株式会社』(小学館文庫)がベストセラーとなり、二○一五年一月にNHKテレビドラマ化。『脱・限界集落株式会社』(小学館)、『となりの革命農家』(廣済堂出版)、『国会議員基礎テスト』(小学館)、『AIのある家族計画』(早川書房)、『お会式の夜に』(廣済堂出版)など著書多数。 中野剛志 評論家。元京都大学大学院工学研究科准教授。東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。二〇〇〇年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。〇一年に同大学院にて優等修士号、〇五年に博士号を取得。論文“Theorising Economic Nationalism”(Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。著書は『日本思想史新論』(ちくま新書、山本七平賞奨励賞受賞)、『目からウロコが落 -
三十の反撃
2022年本屋大賞翻訳小説部門第1位! ベストセラー『アーモンド』の著者が放つ、すべての人に勇気をくれる傑作。 『アーモンド』が人間という存在そのものへの問いかけだとすれば、『三十の反撃』は、どんな大人になるかという問いへの答えである。 ーーーソン・ウォンピョン 1988年ソウルオリンピックの年に生まれ、三十歳になった非正規職員のキム・ジへ。 88年生まれに一番多い名前「ジヘ」と名付けられた彼女はその名の通り、平凡を絵に描いたような大人になっていく。 大企業の正社員を目指すジヘの前に現れたのは、同じ年の同僚ギュオク。 彼の提案する社会への小さな反撃を始めることになったジヘは、自信を見つめなおし、本当にしたかったことを考えるように。 そして、ついに「本当の自分」としての一歩を踏み出すことになるーー。 世の中という大きな壁と闘うすべての人に贈る、心温まるエール!第5回済州4・3平和文学賞受賞作品。 -
みんな蛍を殺したかった
――みんな誰かを殺したいほど羨ましい。 美しい少女・蛍が線路に身を投じる。 儚く散った彼女の死は後悔と悲劇を生み出していく―― 京都の底辺高校と呼ばれる女子校に通うオタク女子三人、校内でもスクールカースト底辺の扱いを受けてきた。そんなある日、東京から息を呑むほど美しい少女・蛍が転校してきた。生物部とは名ばかりのオタク部に三人は集まり、それぞれの趣味に没頭していると、蛍が入部希望と現れ「私もね、オタクなの」と告白する。次第に友人として絆を深める四人だったが、ある日、蛍が線路に飛び込んで死んでしまう。真相がわからぬまま、やがて年月が経ち、蛍がのこした悲劇の歪みに絡みとられていく―― 少女の心を繊細に描く名手による初のミステリ作品。 「女による女のためのR-18文学賞」優秀賞受賞者である著者が、原点に立ち返り、少女たちのこころの中に巣くう澱みを鮮烈な感性で抉り出す。 紺野真弓・装画 -
恋するラジオ Turn on the radio
70年代、80年代、90年代~行間からヒット曲が聴こえる。 2039年。 今まさに、この世を去ろうとしているラジヲ君は、 音楽の神様から、「恋するラジオ」を渡された。 「恋するラジオ」は、音楽を愛した者だけに手渡されるもので、 人生の中で、とりわけ印象的だった音楽と、その音楽が響き渡った街を、 一つひとつ確かめる時間旅行への操縦桿のようだ。 ―――あの日、あの時に戻れたら…… あなたの「恋するラジオ」からは何が流れるだろう? あなたが、人生の最期に聴きたいのは誰の曲? アリス、サザン、達郎、オザケン、クイーン、そして、ビートルズ・・・ 恋するラジオに誘われて、時空を超えた音楽の旅が今、始まる! 懐かしくも甘ずっぱい、著者初の「音楽私小説」。 -
春くれなゐに
「私には、『思い出の色』が視えるんです」 触れたモノの“色”にまつわる大切な記憶が視えてしまう少女・藤宮紅。 その体質が原因で人付き合いがうまくいかず悩んでいた彼女は、心機一転、幼い頃に見た「思い出の和菓子」を訪ねて、いざ京都へ。そこで和菓子屋『静閑堂』の店主・大江樒と出会い、紅の人生は徐々に色づき始めていく。他界した妻が残した紺碧の謎、さる貴人に頼まれた奇妙な注文、すれ違いの祝い菓子など『静閑堂』では様々な想いと悩みを持つ者との出会いが待っていて……。 しっとり切なく心を癒す、四季彩まとう優しい和菓子の物語をご賞味あれ。 -
黄昏公園におかえり
「逝ってらっしゃい」「おかえりなさい」 ――どうか、あの空の向こう側が、優しくおだやかな場所でありますように。 タカヤは代々除霊師を輩出する有名な寺の跡取り息子。しかし、本人は除霊師のパートナーと言える使い魔も持たず、ある理由から除霊もできないポンコツ除霊師。 ある日、「ゆうやけ公園」で白いモフモフのポメラニアン……もとい、狛犬の「しろがね」と出会い、使い魔を得たタカヤの人生は一変する(およそ、大変な方向で……)。 毎週飛び降りる習性を持つ未婚の花嫁幽霊、幽霊たちを引き連れバイクを爆走させる「百鬼夜行ライダー」、消えるタクシー乗客伝説を作るおじいちゃん――そんな未練を残した厄介で訳ありな幽霊達を助けるため、タカヤはあちこち奔走することに!? これは新米除霊師と白いモフモフが半人前になるために奮闘する、泣いて笑えるハートフル“助”霊物語。 -
スーパーエンジェル
全知全能のアルゴリズム=マザーに支配され、 生まれながらに階級で選別されて生きる人類。 異端の少年と中古アンドロイドが世界を変えるSF冒険物語 総合プロデュース・指揮:大野和士 台本:島田雅彦 作曲:渋谷慶一郎 子どもたちとアンドロイドが創造する、まったく新しいオペラを小説化! 何も知らない人はいう。パンドラの箱を開けるなと。でも蓋は開けるためにあるんだよ。 希望はここにしかないんだよ。 ある学園の卒業式。卒業生たちは15歳になると適性検査で選別され、全知全能AI「マザー」の管理下に置かれる。 アキラは判定により開拓地に送られることになり、教育係のヒューマノイド型AI「ゴーレム3」と出会う。 ゴーレム3はアキラとの深い心の交流を通じ、恋の切なさや夢見る力を感じとりながら、 世界の秩序を覆す、とてつもないものを創り出そうとしていた――。 -
溶ける街 透ける路
――わたしの旅は言葉の旅でもある。多言語の中を通過しながら、日本語の中をも旅する―― 「エッセイの元祖」モンテーニュ縁のサンテミリオン、神田神保町を彷彿させる「本の町」ヴュンスドルフ、腕利きのすりが集まるバーゼル、ヘルダーリンがこもったチュービンゲン、エミリー・ディキンソンが生涯過ごしたアマスト、重い記憶を残すアウシュヴィッツ。ブダペストからリガ、アンマンまで、自作の朗読と読者との対話をしながら世界四十八の町を巡り、「旅する作家」が見て、食べて、出逢って、話して、考えた。心と身体を静かに揺さぶる、五十一の断章。 -
最後の挨拶 His Last Bow
いつか、ここに、遠くに、存在した誰か。 言葉によって、わたしたちは出会える。 ――柴崎友香さん推薦 シャーロック・ホームズの翻訳者だった父が倒れ、四姉妹の末っ子リブロは家族の歴史をたどりなおす。 時空を超えて紡がれる、風変りでいとしいファミリー・ストーリー。 「そこでは、もうとっくのむかしに死んでしまった人たちが、みんな生きていた。リブロの目の前、ここに、生きていた。」 百年前のロンドンから、戦争と震災をへて現在まで、家族の記憶とホームズの物語が鮮やかに交錯する――。 無数の喪失を超えて生き続ける言葉の奇跡を描く、注目作家・小林エリカの最新傑作小説。 -
捜査一課OB ぼくの愛したオクトパス
初老の巡査長・鉄太郎と、若手キャリアの警部・賢人が取り組む連続強盗傷害事件の捜査は難航していた。そんな折、賢人と母の久子は瀕死のタコを海で助け、自宅で飼うことに。夫を亡くしてから元気のなかった久子が、タコにソクラテスと名付け世話をするうちに明るさを取り戻していくのを見て、最初は馬鹿にしていた賢人もタコの持つ不思議な能力を認めるようになっていった。鉄太郎の身勝手な捜査に振り回されて悩んでいた賢人は、ソクラテスとの触れ合いによって事件解決のヒントを得て、次第に犯人に迫っていく――。 「SRO」「警視庁ゼロ係」など人気シリーズの著者、最新作書き下ろし! -
石の来歴 浪漫的な行軍の記録
現実と非現実の交錯を描く芥川賞受賞作。石に異常な執着を示す男の人生。長男の死、妻の狂気、次男の学生運動、夢と現実の交錯のなかで描かれる奥泉光の芥川賞受賞作。他に「浪漫的な行軍の記録」所収――太平洋戦争末期、レイテで、真名瀬は石に魅せられる。戦後も、石に対する執着は、異常にも思えるほど続くが、やがて、子供たちは死に弄ばれ、妻は狂気に向かう。現実と非現実が交錯する、芥川賞受賞作「石の来歴」。兵士たちの、いつ終わるとも知れぬ時空を超えた進軍、極限状況の中でみたものは……。帝国陸軍兵士の夢と現を描く、渾身の力作、「浪漫的な行軍の記録」所収。 -
セルフ・デベロップメント・ゴールズ SDGs時代のしあわせコットン物語
サラリーマンがボトムアップで取り組むSDGsのケーススタディとなる1冊! 自分の関わる仕事の延長線上に、誰かが苦しんでいるという事実を知った時、そこから目を背けず、何かできることはないか。1人のサラリーマンが、そんな思いから、インドのオーガニックコットン栽培支援を開始、みんなが幸せになれる循環を生み出すために奔走した。SDGsへの取り組みが広く叫ばれるなか、本当の支援とは? 持続可能な社会とは?という命題に向き合う1冊。 サステナブルビジネスの本質に迫る 「会社人」から「社会人」になるためのバイブル インドでつむいだ「みんなを笑顔にするコットン」 オーガニックコットンであることに意味があるのではなく、農家や大地の未来のことを考える人たちがたくさん集まっていくことに意味があるのです。「有機的(オーガニック)」な「つながり」こそが、僕たちが求めていかなければならないことなのです。――――サラリーマンが所属を超えて挑む「永続的な発展」 -
君と、君がいる彼方
相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が車にはねられ意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫や娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親がいたのだ。一方、康文の意識が戻らない中、老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに……。 不倫、いじめ、交通事故、そして認知症老人の作る手料理――崩壊寸前の家族に訪れた奇蹟の13日間。江戸川乱歩賞作家が満を持して贈る書き下ろし感動長編小説 -
利生の人 尊氏と正成
第12回日経小説大賞(選考委員:辻原登氏・髙樹のぶ子氏・伊集院静氏)受賞! 鎌倉幕府滅亡から建武の新政へ。人が生きる甲斐のある世をつくる――後醍醐帝と志を同じくする楠木正成と足利尊氏。三人はその志をかなえるためにともに戦い、志をゆがめぬために敵味方に分かれた。やがて南北朝の動乱を経て、室町幕府による武家政権に移る混沌とした世の人間ドラマを、最新の研究成果も取り込みながら描き、まったく新しい足利尊氏、楠木正成、そして後醍醐帝を造形。選考会では確かな歴史考察と文章の安定感、潔いまっすぐな作柄が評価された、歴史小説期待の新鋭の登場だ。 「利生」とは「《「利益衆生」の意》仏語。仏・菩薩が衆生に利益を与えること。また、その利益」(大辞苑)。本作では「上下の別なく、民が国を想う志を持ち寄って各々の本分を為せば、きっと日本は悟りの国になれる」と後醍醐帝と尊氏、正成は理想の世にかかげる。 <あらすじ> 時は鎌倉末期。討幕の動きが発覚し後醍醐天皇は隠岐に流されるが、幕政への不満から、治世の主体を朝廷に取り返すという近臣たちの討幕運動は幕府内にも広がっていく。幕府の重職にあった足利高氏(尊氏)が、帝方の楠木正成に呼応するように寝返り、鎌倉幕府は滅亡。後醍醐帝が京に戻り、建武の新政がはじまる。 しかし、武家も公家も私利私欲がうごめく腐敗した政治は変わらず、帝の志を実現しようと心をひとつにする尊氏と正成の運命は、陰謀に翻弄され、引き裂かれていく。 -
イノセント・ツーリング
緊急事態宣言が明けて2020年も夏を越え、大学時代の親友の夫とその息子と、紀伊半島のツーリングに出かけることになった。若くして命を落とした親友との約束を果たすため、そして、ひとり親で育った息子が母を新たに知るため。就職氷河期世代が親になっての心情もそこはかとなく漂うハートウォーミングなロードムービー風の小説が本書。日常の景色だけでなく生活スタイルも変わってしまった。変わらざるをえなかった。リセットするにしても、調子を取り戻すためにも、記憶の底に押し込めてしまった大切なものをもう一度見つけ出して、新たに前に進もう。コロナ禍でぽっかり出現したつかの間の人生の空白期間。みーんな元気の在庫がなくなった。でも、だから……3人それぞれが生きるために必要なささやかなものを見つけた、数日間の旅の物語。 -
古民家再生物語 古材を生かす、未来を建てる
仕事人として円熟するにつれ、「住宅の真価」が見えてきた 百年かけて、木材がその強度を増すように―― 体にやさしい建材を使った環境に負荷の少ない住まい。 木材の地産地消と、木組みの技術の継承。 住み手が愛着の持てる家づくりを目指して、住宅建築の現場で奮闘を続ける九人が 古い民家に未来を見出すまで。実話にもとづく物語 古い家を解体した際に出た古材を、早速新築やリフォームの現場で使ってみた。 するとどうだろう。家全体に生気が宿ったように感じられる。直線的な材木ばかり の空間に、ごつごつとした木肌や、うねりのある古材を入れることで、それまでな かった動きが生まれる。こんなに面白いものを使わない手はない。(本文より) -
夏の流れ 丸山健二初期作品集
平凡な家庭を持つ刑務官の平穏な日常と、死を目前にした死刑囚の非日常を対比させ、死刑執行日に到るまでの担当刑務官と死刑囚の心の動きを、緊迫感のある会話と硬質な文体で簡潔に綴る、芥川賞受賞作「夏の流れ」。稲妻に染まるイヌワシを幻想的に描いた「稲妻の鳥」。ほかに、「その日は船で」「雁風呂」「血と水の匂い」「夜は真夜中」「チャボと湖」など、初期の代表作7篇を収録。 ◎「丸山健二の文学性は、ジェームズ・ジョイスに通じる。本作品集に収録されている初期短編を改めて読みながら、私はそう思った。(中略)すぐれた芸術家は生涯を通して変貌を続けるが、若き日の作品群は作品を受容する側にとっての定点を提供する。ピカソのキュビズムは、初期の見事な絵画によって担保される。このような文脈において、本文庫に収められた初期の短編の数々は、弱冠23歳で芥川賞を受賞し、長年文壇と一線を画して孤高の道を歩んできた丸山健二の文学の全体像を理解する上で、重要な意味を持つのではないか。」<茂木健一郎「解説」より> -
見えない星に耳を澄ませて
音大のピアノ科に通う曽我真尋は、たまたま参加した大学の授業で人の心を薬のように癒す音楽もあることを知り、三上先生の診療所で音楽療法士の実習を受けることにした。大人の声に耳を閉ざす少女、キラキラと飾った虚構の自分しか愛せないパーソナルスタイリスト、探し求めた愛情を見付けられず無気力に生きる中年男性……様々なクライエントと音を通じて向き合ううちに、真尋自身も自分が抱えた秘密と向き合うことになり――。 私たちはこんなにも弱くて、脆い。それでも生きることから、逃げられない。美しい旋律と共に、生き抜く強さを与えてくれる感動の一冊。 -
人類最強のヴェネチア
一万年に一人の最強ヒロイン。 名探偵にして、人類最強の請負人・哀川潤(あいかわじゅん)。 美女二人と連続殺人犯を追う、ノンストップミステリー 「あたしの旅路を邪魔するな。ぶっ殺すぞ」 人類最強の請負人・哀川潤。 今回の任務は、十九歳にして心理学の権威・軸本みよりの現地調査への同行だ。 完璧すぎるメイド・班田玲も加わって楽しい旅行になるはずが、 目的地のヴェネチアでは、観光客カップル、有名女優らが 相次いで溺死させられる、残忍な殺人事件が発生していた。 “溺殺魔”と呼ばれる犯人の魔手は、彼女たちにも迫り――!? 『掟上今日子の備忘録』の西尾維新がおくる、とびきりハードで危険な探偵譚! -
小説 滑走路
いじめや非正規雇用など、自らの経験をテーマに短歌を発表し続けた萩原慎一郎。その初の作品集にして遺作となった歌集『滑走路』は、異例のヒットとなった。 同書を原作とする2020年秋公開の映画「滑走路」の小説版を、藤石波矢が執筆。 厚生労働省で働く若手官僚の鷹野は、激務の中で仕事への理想も失い無力な自分に思い悩んでいた。ある日、陳情に来たNPO団体から、非正規雇用が原因で自死したとされる人々のリストを持ち込まれ、自分と同じ25歳で自死した青年に関心を抱き、その死の理由を調べ始める――。 一方、30代後半に差し掛かり、夫との関係性や将来への不安を抱える切り絵作家の女性、幼なじみをかばったことでいじめの標的にされてしまった中学2年生の学級委員長の男子は、それぞれのフィールドで精いっぱい日々の生活を送っていた。 複数の人生が交差し、葛藤しながらも前に進む姿を描いた人生賛歌の物語。 映画の主演を務めるのは水川あさみ。切り絵作家・翠役を演じる。非正規雇用者の自殺問題に向き合う25歳の官僚・鷹野役に浅香航大、いじめの標的にされる中学2年生の学級委員長役に寄川歌太。脚本は『やめるときも、すこやかなるときも』の桑村さや香、監督は『マチネの終わりに』の監督助手を務めた大庭功睦。 -
槐多の歌へる 村山槐多詩文集
夭折の天才画家の迸(ほとばし)る詩魂 個性主義芸術の時代あるいは生命主義芸術の時代と呼ばれた一九一〇年代に、彗星のごとく画壇にデビューし、二十二歳で早世した天才画家・村山槐多。彼は生得の詩的才能にも恵まれていた。人生と社会の矛盾に打ち拉(ひし)がれながらも、野生の生命力の回復を希求する詩魂は、鮮烈な色彩感覚と結びつき独自の世界を構築した。放浪、デカダンスのうちに肺患により短い生を駆け抜けた槐多の詩、散文詩、短歌、小説、日記を精選収録。 酒井忠康 時代の一隅を、嵐のなかで哮(たけ)り狂ったように、その野性的ともおぼしき詩魂の光を放って、彼は疾走した。そして燃え尽きたのである。――〈「解説」より〉 -
ハンナのいない10月は
大学の万年講師・森川譲は猫のハンナと研究室で暮らす変わり者。ある日学長から、大学に潜むスパイを探せと命じられ、次々起きる大学存亡の危機に立ち向かうことに――感動の青春ミステリ! 猫部屋と化した研究室には、今日も厄介な客が訪れる。 狙われた大学公印、頻発する謎の停電、潜り込んだスパイ、学生自治会長選挙の不正疑惑、大学御用達の定食屋の後継者問題、女子学生の洋服盗難、学生への不公平な単位付与問題—―続発する大学存亡の危機に立ち向かうはめになった万年講師・森川と愛猫のハンナ。彼らがたどり着いた、事件の裏にある切なくて苦い真実の数々とは? 切ない真相に不意打ちされる、優しい涙が溢れる傑作! -
よこどり 小説メガバンク人事抗争
自分を見失った男たちへのレクイエム 組織は、あなたからどこまで奪うのか! メガバンクを舞台に「失われた30年の真因」を問う、緊迫のエンタテインメント。 「細部の圧倒的なリアルさ。銀行小説の新たな金字塔だ」――楡周平 【プロローグより】 「まず、君の手柄は、すべて私の手柄にする。いいな」 「はっ」 「それから、私の失敗は、すべて君のせいにする」 竜崎はおおきな執務机の前に寺田を立たせたまま、椅子の背に悠然と身体を預けていた。 「ただ、心配する必要はない。 君も、君の部下に同じようにやればいい。 それが銀行だ」 (引用ここまで) 舞台はメガバンク、主人公は広報部長―― 裏切り者は、中(なか)にいる! 元共同通信日銀キャップが書く 巨大銀行の仁義なき権力闘争 息をのむ裏切りの連続 最後に立っているのは、誰か―― 【ストーリー】 AG住永フィナンシャルグループの広報部長、寺田俊介は記者とのインタビュー中に 社長の竜崎太一郎が漏らした一言から、自らの出世の可能性を嗅ぎ取る。 吸い寄せられるように竜崎に服従する寺田は、経営難に転落した大手不動産をめぐる情報戦や大手証券との再編、バランスシートの膿、竜崎と相談役の人事抗争…と次々に訪れる難題に直面。掟破りの手段へと手を染め、メガバンクを覆う深い闇へと足を踏み入れていく。 -
東京普請日和
「一気に街が更新されるチャンスなんて、そうそうないんだよ」 建築に携わるぼくを焚きつける芸術家の兄。 五輪を間近に控えた首都のざわめきの中で、ぼくは自分の仕事に対する確信を持った。 第11回日経小説大賞受賞! (選考委員:辻原登・髙樹のぶ子・伊集院静) TOKYO2020、と書かれたまっしろな紙を目にして、かあっと頭に血がのぼった人と、そうでない人がいる。ぼくはともかく、業界的にぼくの勤めている会社は圧倒的に前者でできている。関東大震災からほぼ100年、表皮の入れ替わり続ける街でぼくは何をすべきなのか―― 第11回日経小説大賞を受賞した本作は、五輪を目前に控えて新たな施設の建設・再開発ラッシュに湧く東京で、地道に建築設計に携わる若者が、陶芸作品が現代アートとして海外で高く評価されている破天荒な芸術家の兄に振り回されながら、自身のアイデンティティを見いだしていくタイムリーなお仕事小説。 「日本はまだ普請中」。兄の創作活動に欠かせないパートナーの女性との奇妙な関係もあいまって、登場人物のスリリングな会話が読む者の胸にグサグサ刺さってきます。テンポ良く、しかしどこに転がっていくのかわからない会話の端々には、現在の東京、日本へのかわいたまなざしが、最新トレンドと現代風俗を絶妙にからませながら顔をのぞかせます。五輪を目前にした今こそ読んで欲しい、知的エンターテイメント小説です。 -
栗本薫・中島梓傑作電子全集
栗本薫が生んだ名探偵・伊集院大介。その明晰な推理と活躍を描く人気シリーズの初期6作品を一挙に収録。 伊集院大介のデビュー作にして吉川英治文学新人賞受賞作『絃の聖域』は、長唄の家元一家を襲った連続殺人事件を描く、本格推理小説の傑作。自らも長唄の名取であった栗本の、三味線の音のように冴えわたる格調高い文体に圧倒される。ほかに『優しい密室』、『鬼面の研究』、『伊集院大介の冒険』など、宿敵シリウス登場以前の大介の活躍をまとめ読みできる。 付録として、現在閉鎖されている自身のウェブサイトに書き下ろした連載エッセイ『日本には邦楽があるのだ』や、『鬼面の研究』などを漫画化した、まんだ林檎氏と大介の魅力を語り尽くした熱烈対談、夫として、担当編集者として、最も近くで栗本を支えた今岡清氏が初めて綴るエッセイ(連載)など。さらに実母・山田良子氏の日記から栗本の誕生~大学卒業までを記した、『栗本薫の育児日記』(連載)を初めて公開! その他、『絃の聖域』の生原稿や伊集院大介シリーズの創作ノート、吉川英治文学新人賞授賞式の写真などなど、お宝付録が満載! ※この作品にはカラー写真が含まれます。 -
わたしは誰も看たくない
埼玉でサラリーマンの夫、大学生の一人息子と暮らしている神崎穂乃果は、群馬の温泉街が故郷であり、実家は両親と妹が切り盛りしている小さな温泉宿だった。ある日、大動脈弁狭窄症で倒れた父はそのまま人工呼吸器をつけて意識不明の寝たきりとなる。パートで働いている穂乃果は父の介護を母と妹に任せるが、入院の期限で父を自宅に引き取るか施設に入れるよう病院から迫られた妹は、経管栄養を止めて父を餓死させる決断をする。妹の暴挙を止めるため実家へ帰った穂乃果だったが、姉妹の間には過去のある出来事に起因する深い確執があった。さらに、穂乃果の夫の母の自宅がゴミだらけの汚部屋になっていることが分かり、それぞれの家族はどのような決断を下すのか。現役ナースが現代の家族の問題に鋭く切り込む、書き下ろし長篇小説。 -
ドラフト最下位
ある年に、最後に名前を呼ばれた男たちを追って――。 球界の片隅にあった驚き、苦悩、思いがけない栄光を描く。 公式戦登板なしでプロ入りした男 高橋顕法/再生された男 田畑一也/最下位から千葉の誇りになった男 福浦和也/最下位を拒否した男 高瀬逸夫/球団幹部に出世した男 大木勝年/日米野球でやってきた男 鈴木弘/隠しダマの男 清水清人/9並びの男 吉川勝成/ゼロ契約の男 橋本泰由/勘違いしない男 松下圭太/2年連続最下位指名を受けた男 由田慎太郎/ありえなかった男 三輪正義/ポテンシャルが眠る男 鈴木駿也/怪物だった男 伊藤拓郎/1と99の男 今野龍太/育成の星になった男 長谷川潤
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