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街中を駆け回る配達員、高齢者の話に耳を傾け寄り添うかんぽの営業マン……。市民のために働いてきた局員とその家族が、疲弊しきっている。異常すぎるノルマ、手段を選ばない保険勧誘、部下を追い詰める幹部たち。そして、既得権保持を狙う政治との癒着――。窓口の向こう側に広がる絶望に光を当てる執念の調査報道。
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Posted by ブクログ
説明も受けず、承諾もしていない保険への加入。食い物にされる高齢者。3年間で苦情は1万件を超える。厳しすぎるノルマが不正に手を染めさせる。…望まない地区への異動。勝手がわからぬ配達経路。課せられる年賀状販売。余裕のない現場で起きたある配達員の死。…会社の統制の外にある局長会が人事を決める。パワハラは放...続きを読む置され、内部通報は漏洩する。局長任用の条件に妻の選挙協力。会社の経費で購入したカレンダーが選挙運動に利用される。…郵政民営化は過ちだったのか?正解はわからない。一度は進んだ道。これからどうするかを考えたい。
農協の闇を追った「対馬の海に沈む」という本が面白かっので、その郵便局バージョンのような本書。 「対馬の・・」の方は農協の保険の違法契約の話で、謎解きのような面白さがあったのですが、こちらの方は保険業務だけでなく、配達業務、局長人事、選挙運動など幅広く、根深く、より大変な話だった。 読んでいて辛い本で...続きを読むした。綿密な取材に基づく労作なのに解決の糸口が見えず暗澹たる気持ちになった。 この本は西日本新聞の記事を元に書かれているのですが、書かれる前にNHKのクローズアップ現代で郵便局の問題が取り上げられたのに一向に改善されないところから話が始まります。 1.日本郵便という巨大な組織が闇を抱えているのに、いくら不正が明るみに出ても自浄作用は見られない。巨大ゆえに制度改革ができない。 2.不正に対してはトカゲの尻尾切りの様な対応。内部通報制度を利用して通報した側が処分される。 3.郵政民営化の煽りを受けて起こった問題なのに、そのことは不問。 4.郵便だけの問題ではなく日本の病巣を見せつけられるような思いがして辛い。 5.郵便局の数ある問題に対処するために自民党の下部組織となっていて、それがある意味郵便局のためになっていない。 などが印象に残った。
ブラック郵便局 西日本新聞記者 宮崎拓朗 「かんぽ生命」が高齢女性を狙い、保険を押し売りした「事件」の詳細から、この本は始まる。 信頼されている郵便局の人が来たとなれば家にあげる。 今は言っている保険を変更することを提案される。 断ってもしつこく粘る。あるいは認知症が入っていれば、任せる。 結果不...続きを読む要な生命保険に加入される。 後で気づいた家族がクレームを言う。 本人がサインしていれば有効と言い張る、、、 信頼を裏切る詐欺行為。 局員の良心をマヒさせるノルマ。 郵便配達員にもノルマは襲い掛かる。 無理な配達ノルマ。残業はするな、時間通り配達しろ。 さらに販売ノルマ。かもめーる、年賀状、通販、、、 上司、幹部はノルマをこなせない部下を厳しく叱責する。さらし者にする。 自殺者も出る。 ・・・ここまで読んで、パワハラの恐ろしさを再認識した、が、 それがメインの本ではない。 日本郵政の歪んだ構造を暴くものだった。 まず、このノルマはじり貧の日本郵便の赤字をかんぽ生命、ゆうちょ銀行で埋めるためのもの。 日本郵便、、、ユニバーサルサービスは求められているが、小規模郵便局を統合するなど合理化をすれば、 赤字幅を縮めることはできるはず。 それはしようとしない。 なぜか。 そこに、局長会という、日本郵政とは直接関係のない、任意団体がある。 関係ない、といっても、そこに所属するのは郵便局長。 その3割は世襲。 明治時代、土地の名士が郵便の発展のために一肌脱いだ自分の土地建物を提供したことに端を発する。 100年前は日本の発展のために貢献したのだ。 それが既得権益になる。 なんとしても小規模郵便局を合理化させてはならない。 そのためには政治力がいる。 局長会が押す自民党候補者を、参議院選挙比例区でトップ当選させねばならない。 局長は仕事もそこそこに、支援者集め、講演者集めに奔走する。 あげく、日本郵便が費用を出したカレンダーを、後援者に配布する。 違法企業献金そのものだ。 この異常な組織活動を内部告発した勇気ある局長たちは、通報者保護されず、さらされ、叱責される。 精神疾患になりながら、闘う。 新聞社に情報提供し、外からの変革を目指す。 それがこの本だ。 しかし、処分は軽く、増田社長も煮え切らない。 ノルマも復活。局長会は内部通報者を許さない規程を作る。 つい先日は配達時のチェックを怠っている事例が多数発覚した。 日本郵便は変わらない。 明治時代の負の遺産が今の日本をダメにしていることを思い知る内容だ。 当時の志は正しかったのだろうが、それが既得権益になっては、害しかない。癌だ。 それがシステムの中に組み込まれ、切り離せない。この本は宿痾、という言葉を使っている。 今の官僚制度は敗戦でも残り、明治時代そのまま。 世襲議員もその官僚に従う。明治の価値観をそのまま受け継ぐ。 選択的夫婦別姓を認めないのも、明治以来の戸籍制度を守るだけ。 明治天皇以来の天皇体制を守るだけ。 時代の変化を無視したものだ。 参院選、前回は2位だったとか。今回はどうなのだろう。 盛り返すようなら局長会が変わっていない、ということだ。 衰退する日本の中で、 既得権益者だけが甘い汁を吸う。 若者が疲弊し、子供も生まれない。 そんな国でいいのか? 堕ちるところまで堕ちる加速主義しかないのか? 無理なのかなあ、、、 はじめに 第一章 高齢者を喰い物に ある郵便局員の1日/「自主勉強会」への呼び出し/危機感からの情報提供/根性論だけの指示/NHK報道後も変わらぬ郵政グループ/3年間で1万件以上の苦情/空虚な周知と呼びかけ/信頼を逆手に取った不正/記事への反応は無風/全国で行われる詐欺まがいの営業/月20万円以上の保険料/数字至上主義の金融渉外部/「乗り換え契約」という禁じ手/不適切な勧誘の数々/「まるで振り込め詐欺のアジト」/つるし上げによる休職者が続出/パワハラの連鎖/日本郵政の会見/乗り換え潜脱/当事者意識のない経営陣/知らぬ存ぜぬの郵政グループ/郵政グループからNHKへの圧力/「お客さま控え」に遺されたメッセージ/郵政グループのドン/最後に垣間見えた本音/不正に甘い実態/現場に残る不満 第二章 “自爆”を強いられる局員たち 局内での死/「一番行きたくない局」への異動/配達に加えて販売ノルマまで/3度の病気休暇取得/夫を追い詰めた日本郵便を提訴/ようやく下りた労災認定/「もう二度と、社員を苦しめないでほしい」/人件費削減のしわ寄せ/郵便物隠匿の裏にあるもの/日本郵便による下請けいじめ/毎年100万円近くの自腹購入/ようやく実現したノルマ廃止/死者のみまもりサービスという皮肉/理想からはなれた民営化の実態 第三章 局長会という闇 目標は一人当たり「80世帯100人」/全国郵便局長会による選挙活動/ノルマと人事権で圧カ/ゴールデンウィーク返上で「事前運動」/選挙違反の行為でさえ容認/綿密に組まれた選挙活動スケジュール/得票数は、局長にとっての通信簿/特定郵便局のルーツ/民営化という衝撃/政党への働きかけ/漂流し続ける郵政グループ/巨額詐欺事件の発覚/詐取した金で別荘購入/世襲運営の闇/「不転勤」「選考任用」「自営局舎」の三本柱/局長候補の“事前選考”/すべては集票のため/トップの認識/次々に発覚する不祥事 第四章 内部通報者は脅された 郵便局長たちによるパワハラ裁判/「お前、俺に挑戦状たたきつけちょろうが」/地区全体を巻き込んだ報復/局長会での追及/“公開処刑”された二人/追い詰められる直方部会/民事・刑事両面でN氏を訴え/コンプライアンス部門の言い分/法廷で語られたこと/厳しく糾弾されたN氏の罪/内部通報はどこから漏れたのか/形骸化する通報窓口/組織内に巣食う宿痾/ブラックボックス化する局長会/妻まで駆り出す仕組み 第五章 選挙に溶けた8億円 “年末のご挨拶”の目的/集票活動に使われたカレンダー/専門家の意見/局長会内からも批判の声/カレンダー調達のキーマンを直撃/局長会の見解/カレンダー関連のカネが一部還流?/顧客情報の流用という疑惑も/問題の核心から逃げ続ける日本郵便/カレンダー購入3年で8億円分/持ちつ持たれつが生み出したゆがみ/局長に回答を翻させるコンプラ担当 第六章 沈黙だけが残った 集会で語られたこと/すぐに復活した選挙活動/局長会の人事権「虎の巻」の内容/局長昇進までの過程/パワハラとしか思えない研修/選挙活動への参加は局長になるための必須条件/局長採用プロセスは不可侵の領域/社長ですら口を閉ざした/「皆様の絶大なるご支援を切望いたします」/自民党と局長会の深すぎる関係/沈黙の先には おわりに
もう10年以上も前だけど新卒で郵便局(当時は郵便局株式会社)に勤めてた身としては、まぁそういう組織だよなあ、といった感じ。保険も貯金もノルマがあって、いかに目標達成するかに気を取られて全然仕事のやりがいみたいなのは感じなかった。ただ私の勤めてた局は業務が多忙だったのと、局長が社員を守ってくれるタイプ...続きを読むの人だったので自爆営業やパワハラみたいなものはなかった。(お客が多いと割と目標達成しやすい)ただ業務後に部会で集まる勉強会はあったし、年賀はがきは両親の友達まで巻き込んで買ってもらってたし、なんなら当時付き合っていた彼の両親にまで購入をお願いしてた。年賀はがきの出張販売所は見せしめというよりは普通に業務の一環としてみんなで楽しくやってたけれど笑 局によって全然風土が違うから一概には言えないけど、今思えば局長はよく不在だったし、仕事そっちのけで選挙活動とかしてたのかな。相変わらず全体的な組織として終わってるな、と改めて思った。
西日本新聞がなかなか骨のある記事や社説を出すことは知っていたが、この本はあっぱれ! だ。 郵便局は悪の巣窟だね。働く人の大変さは聞いていたがこれほど酷いとは。 なぜ局の数が減らないのか、過疎地を含め全国津々浦々の人々のために頑張って守ってくれているのかと思っていた。 郵便局長の世襲の問題とかこれま...続きを読むでもあった既得権益を守りたいという心理の上に、いうことを聞かない者への恫喝も加わって、もう滅茶苦茶な会社を信用する気持ちは一滴もない。 自民党が利用する(利用される)組織は統一教会をはじめとして法を法とも思わないところだね。大企業も似たようなものか。
かんぽ生命保険における不正販売問題は記憶に新しいが、ままあるノルマ強要事案などの問題は「対馬の海に沈む」の農協においても近しいものがある。 改めて郵政における諸問題を本著を参考に見つめ直すと、ビジネス構造の変遷と組織としての歪さにあると思われる。「局長会」というキーワードは、当時の報道でもそこまで騒...続きを読むがれた記憶がないが、旧態然とした組織の宿痾というべきもので、それ自体が問題を抱えながら自己生存を図るべく諸悪を撒き散らすさまはもはやグロテスクだった。
ゆうちょ銀行が顧客1000万人の個人情報の不正流用を起こしていました。 これは民営化から、今の令和7年まで違法状態が続いている様子です。この未曾有の個人情報の悪用に対して、総務省と金融庁は再発防止策を報告しろ、と命じるだけのおざなりな対応をとりました。 明らかに全てがおかしいのです、でも、この「ブラ...続きを読むック郵便局」を読めば、営業本位の個人情報の悪用も、総務省と金融庁の形だけの対応も、納得できる郵便局の事情が分かります。 すべては局長会のキーワードで、郵便局のおかしな出来事は説明できるようです。
強烈なパワハラで人格を否定しまくってから 教えを新たに刷り込んでいくやり方とかって まるで○○○○みたいで気分が悪かった
郵便局に就職しなくて良かった。 配達員が局内で自殺したニュースを覚えている。 こんな酷いことがあったとは。
郵便物の廃棄、ハガキや贈答品の自爆といった悪事は知っていたが、その背景はやはり酷く、郵便局員に同情する。パワハラの横行、政治活動の強制と経費の無駄遣い、そしてJAと同じく高齢者を騙す…組織が腐りすぎてて今もきっと何も変わっていないのだろうと思った。もっと広く国民に知ってもらうべき!
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