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Posted by ブクログ
3篇の短編集
めちゃめちゃ凝った展開ってわけではないのだが、いずれも適度な展開があり、語りの上手さもあって非常に面白かった。
「場違いな客」
爬虫類ペットショップで働く金本篤の話。そうか、ペットショップでよく見かけるあいつはフトアゴヒゲトカゲと言うのか。今度良く観察してみよう。
短い作品なのだが、その中に十分な話の展開があり、篤の立場もゴロンとひっくり返される。面白かった。
小松菜(5027?)の語りとキャラがよいですね。
「スタンドプレイ」
生徒からのいじめにあっている数学教師智子の話。この話もグルんとひっくり返るような展開がある。
奇をてらったどんでん返しではなく、ほんとに足を踏み外してしまいそうな展開がちょうどよい。
面白いと言っては語弊があるけれど、女性を付け回す描写も面白かった。
そして、生徒安藤によるいじめはほんとうに胸糞が悪い。
「占い師B」
ボリューム的にはこの作品が全体の半分を占めている。中編小説かな。
売れっ子占い師イリスと弟子秋津(ポンコツだけど天才)の設定は魅力的で、同じ設定でコメディでもなんでも書けそうだけど、本作はちょっとホラーっぽい。
読みごたえもあり、面白かったんだけど、前2編の方が好み。短編小説の名手になりそうな予感(これ1冊しか読んでませんので無責任な予感ですが)。
Posted by ブクログ
第173回直木賞候補作。今更読みましたが、とても面白かったです。
3編の中短編が収録されています。
どの話も、どんな結末になるのか全く予想がつかずハラハラしながら読みました。
冒頭から不穏な気配がビンビンに漂っていて、登場人物は日常を逸脱していきます。ホラーか怪談のような結末に至ると思いきや…意外な結末が待ち受けていてびっくりしました。
登場人物の置かれたヒリヒリした日常感の描写がお上手で、そこに引き込まれました。
例えば、1話目の『場違いな客』では、エキゾチックアニマル専門のペットショップで働く主人公はまだ20歳なのですが、子どもの頃父親が出ていき母親も亡くなって一人暮らしをしているという状況でその日常にはどこへも行けないという行き詰まり感を強く感じさせます。
2話目の『スタンドプレイ』は、生徒たちから暴言を受ける高校の数学教師の女性が主人公なのですが、強いストレスを感じて精神的にいっぱいいっぱいになっていきます。
日常からほんの少し逸脱することで出会う非日常の予想外さにゾクゾクしました。
Posted by ブクログ
2025年・第173回直木三十五賞候補作となった本作。デビュー2作目にしてこの作品群というのは印象的です。三編から成る中短編集。
どの作品もストーリー展開に捻りがあります。
タイトルの「N」に主題を求めたくなりますが、三作目まで読むと、ゆるやかな連作性があり、噂されている隣人かなと思いますが、「Normal」の逸脱としたい気持ちがあります。
「場違いな客」
“僕の夢のジェネリック”という表現が秀逸。ジェネリックという語の肯定性が、そのまま違和感を薄めて 日常に非日常が滑り込む。やがて何事もなかったかのように日常へ回帰する運びも含め、いわゆるイヤミスを想定させながら外してくる展開が貴重。
「スタンドプレイ」
導入の引き込み方がとても巧み。主人公の生い立ちを滲ませつつ、人間的な厚みを感じさせる一方で、スタンドプレイによって徐々に均衡が崩れていく。
トラブル自体は双方に協調性を欠くもの。
スタンドプレイ、そして噂は一人歩きする。
個人の逸脱が情報の逸脱へと連鎖する展開が貴重。
「占い師B」
有能な占い師と、霊能の才はあるがどこかポンコツな見習いという設定は魅力的。ただ、前二作と比べると、読者を「ずるっと」引き込むような違和感の持続や転調の鋭さは弱いかなと思います。
web発の作品らしいが、娯楽性あり イヤミス的な読後感あり ほのかなホラー性、さらには純文学的な気配も感じさせる。
次作でどの方向で書かれるのか 期待してしまう作家さんです♪
Posted by ブクログ
3話がそれぞれの日常の中にちょっとの逸脱を描かれているように一見そう見えます。
最後読み終わり、変わった行動をする登場人物を追っていくと、なんとなく自分もそういうことあるなと感じるところもあり、自分も変わっているようにも思ってきます。
犯罪行為とはあくまでも人間社会が作り出した虚構に過ぎず、人に迷惑をかけないためにあるものであって、その紙一重な悪いことは、やはり人間みな考えろこともあるのではと感じます。
笑ってしまうところもあるんだけど、でもなんか、みんな可哀想にも見えて、寂しく、孤独でなんとも後味悪く、いつまでも残りそうなお話しですね。
経験が浅いからといって、アツシをいじめないでほしい
まじめ過ぎるからといって、智子をいじめないでほしい
頭がわるいからといって、秋津さんをいじめないでほしい
Posted by ブクログ
初読みの作家。昨年の直木賞候補作。短編が3作で、そのうち「スタンドプレイ」に既読感。奥付け見ても初出は読んだことがない本。読み終わって作家を調べていたら、「オール讀物」の直木賞編で2回に亘って掲載されていた。記憶が微かに有り、ほっと一安心。
3作とも普通(N?)では無い内容。イヤミスのような筋。
「場違いな客」
爬虫類の店でバイトする主人公。処分されるトカゲを救おうと、店に来た客の家に強盗に入り、逆に捕まる。この客は死んだ人間を解体する夢を見続けていることから、主人公も絶対解体されると思ったら、、? 想定外の展開。客の職業も驚き。
「スタンドプレイ」
知恵遅れの夫婦から生まれた主人公。医者を目指したが果たせず教師に。この事実を知った生徒達から酷いイジメに。帰りの電車で困った乗客に出会い、ストーカーに。その後イジメの首謀者の女生徒の家に向かいビンタ。自分の2つの行為を警察と学校に通報。その後、主人公はどうなるのだろう?
「占い師B」
洞察力で当たると有名になった占い師の元に、何もできないが霊感がある娘が強引に弟子入り。占い師となって夢を叶えて、それで自殺しようとする娘。洞察力で自殺する場所を判断した占い師は強烈な引き止めに。物凄く怖い展開だった。
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