あらすじ
【2025年第173回直木賞候補作!!】
爬虫類のペットショップでアルバイトをする金本篤は、売れ残ったフトアゴヒゲトカゲが処分されそうになるのを見て、店長に譲ってくれと頼む。だが、提示された金額はあまりに高額で、「ある男」を強請って金を得ようと一計を案じるが……。自ら仕掛けた罠が思いがけぬ結末を呼び込む「場違いな客」など、町の「隣人」たちが日常の奈落で繰りひろげる3つの物語。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
なかなか読み応えのある3篇の作品を収容している作品でした。直木賞候補に挙がったも納得。本書のタイトルは3つのうちの「スタンドプレイ」の内容から付いているのかな内容的にも思いました。一番印象的だったのは「占い師B」、占い師の仕事をしている主人公のお話なのですが、ストーリー展開が想像を超えていて惹き込まれたし、作品のタイトルに関して個人的に2つの見解が浮かびました、合っているか分かりませんが…(^_^;)
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いずれも狂気な一面を持った主人公の短編3作
いずれもとても面白かった
ペットショップでアルバイトをしている主人公は、客の日常に踏み込んでしまい奇妙な体験をする
生徒からのいじめに悩む女性教師は、満員電車で隣り合った女性に固執するあまり、犯罪じみた行動を取る
占いの女性は風変わりな見習い占い師と命の駆け引きを行う
いずれも狂気じみた主人公達だがある意味人間らしい一面を持っている
意外に近くに潜んでいる人たちかもしれない
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もはや犯罪なんだけど、なんだかうまい具合に落ち着くというか、ハッピーエンドというか、不思議なおもしろさ。
こんなふうに日常から逸脱しても、なんとなく日常に戻ってこれる感じはいいな。
なんだか気が楽になる。
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おもしろかった。
2話目、3話目は特におもしろくあっという間に読んでしまったよ
性悪ガキを殴ったとか、暴力はいけないという風潮の中で教職が理不尽を許さなかったことは、まさに痛快。
やっぱり占いとか胡散臭い。でも洞察力はものすごくいい。人の顔色を見極めないと生きていけない、そんな過去を歩んできたからって、説得力ありました。
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文章の読みやすさとおもしろさで一気に読める3つの中短編集。それぞれの「逸脱」は意外でもあり有りそうでもあり、ちょっぴりシュール。特に教師の話は、あーなんか分かっちゃうかもその感じ···と不謹慎ながらも密かに共感してしまうところがありました。
「二木先生」で私が抱いたこの作家さんへの印象がいい意味で新たに上書きされた感覚。これからも作品を追いかけたい作家さんになりました。
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短篇集の評価は、なかなかムズいですね、〇を付けたい話、✕を付けたい話が混在していますから。
表題作(に近い)「スタンドプレイ」は〇評価ですが、他2篇が若干足引っ張って星4つです
Posted by ブクログ
「二木先生」の夏木志朋さん作。「場違いな客」「スタンドプレー」「占い師B」の3つのお話。どれも殺人事件を思わせるような展開になるのだが、ギリギリ?で、そうはならない。普通の人からは「逸脱」してるが、犯罪者未満の人間たち。読み易く、ちょいドキドキさせてくれた。
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前作の「二木先生」は表紙から厨二病な感じが漂っていて、君の膵臓をたべたい系の作家かと勝手に思ってたけど違いました。今回のは表紙も手に取りやすくて良かった。
良い人がひどい目に遭うんじゃなくて、登場人物はちゃんと性格悪くて、会話にユーモアがあるからじめっとしてなくていい!
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とても面白く読めた。
隣の普通の人も私もある日些細なことで日常を逸脱してしまうのかもしれないなぁ。気づいたら塀の中‥‥なんてことになってたらどうしましょ!
ただ三話ともすぐ読めた代わりにラストをすぐ忘れちゃった!
占い師の弟子結局どうなったんやっけ?
Posted by ブクログ
本作は三篇の短編集。
場違いな客:
爬虫類ショップで働く青年が、一匹のトカゲを救いたくて仕掛けた策が、思わぬ方向へ転がっていく。
スタンドプレイ:
日々のストレスに押し潰された教師が、帰宅ラッシュの電車で出会った女性を衝動的に追いかけてしまう。
占い師B:
占い師と、どこかズレた弟子志願の女。二人の奇妙で不器用な関わりが、不穏さとユーモアを漂わせながら広がっていく。
夏木志朋さんの本を読むのは初めて。普通に見える人たちが、ちょっとしたきっかけでドミノ倒しのように逸脱していく姿が面白くて怖い。誰もが持っているはずの「普通」が、あっという間に壊れていく異常さに引き込まれた。
物語はどれも意外性があって、サスペンス的な緊張感も加わるからページをめくる手が止まらない。特に「スタンドプレイ」の電車内の緊迫感は圧巻で、追う側も追われる側も狂気を孕んでいて息が詰まる。一方で「占い師B」には笑える場面もあって、人間のズレや奇妙さそのものが楽しめる。
「普通」のすぐ隣には狂気が潜んでいる。隣人もまた逸脱者かもしれない。そんな視点にゾクッとした。タイトルの「N」はNormalでもNeighborでも読める、多義的で含みのある一文字で、本作のテーマを見事に象徴している。
全編が「常緑町」という架空の町を舞台にしているのもいい。物語同士が微妙につながり合っていて、読み終えたあともこの町にはまだ知らない逸脱が潜んでいるような気配が残る。
「普通」は本当に普通なのか。自分だって、ふとした拍子に逸脱してしまうのかもしれない。そんな問いを胸に残す、余韻の深い短編集だった。
Posted by ブクログ
やや物騒なやりとりが絡み合う3つのお話。
どれも面白かったです。特に「スタンドプレイ」では主人公が疲弊していくヒリヒリ感がリアルで、ちょっと読むの辛くなりつつ。
一方「占い師B」は、面白い一方、秋津があまりこちらの想定を超えてくるのでなんでなんでと思ううちにふんわり話が終わってしまった印象です。もう少しちゃんと読むべきだったかも。
Posted by ブクログ
夏木志朋という作家を知った。
その喜びを感じる。
ブルーの印象的な表紙に惹かれて手に取った。
中編が3つ。
マニア向け熱帯魚店でバイトする若者
事情のある両親のもと育った女性高校教師。
人間観察スキルを武器にする占い師と、ふと現れた女性。
ありそうでなさそうで、どこかですれ違っていそうな気もするが、ちょっと自分の世界とはずれた世界にいる。
なんとなく俯瞰した、テレビの中のドラマを見ているような
そんな読後感。
別の作品も読んでみたい。
Posted by ブクログ
世の中には様々な小説が溢れているけど、こういう流れだったら次の展開はこうだよね、という暗黙の了解のようなものが作家と読者との間で共有されているものが多い気がする。特にエンタメ作品で。
ところが本作は、一癖も二癖もある登場人物たちの自由すぎる振る舞いによって次の展開がなかなか予想できず、何だか読んでいるこちらが翻弄されているようで楽しかった。
中編3作が収録されておりどれも良かったけど、ベストを一作挙げるならやはり「占い師B」か。ミステリの探偵役でも使えそうな鋭い観察眼を持つんだけど胡散臭さ満載の占い師坂東イリスと、坂東に弟子入りしようとする自称「天才」秋津のズレた掛け合いとブラックな展開がGOOD。
もう少し改行を減らして畳みかけるような地の文にすればもっと盛り上がった気がするけど、これだけ書ければ問題なし。デビュー作もいつか読んでみよう。
ひとつだけよく分からなかったのは「N」の意味。日常のNなのだろうか?それともNovelとかNormalとかかな。いずれにせよタイトルだけは一考の余地ありだと思う。
Posted by ブクログ
3編、同じ街で起こる不思議なジャンルの物語。
最後の「占い師B」
なんだか最後まで全くよめない2人だったし、最後のオチもわかったようなわからないような・・・
そして、本のタイトルの「Nの逸脱」
この意味とは何なのだ・・・
と昨日からスッキリしない。これが狙いか?
Pと9とN??
Posted by ブクログ
二木先生がすんごくおもしろかったので
楽しみにしてたのに
買ったら読む気がしなくなって
ずっと放置してた本
積読整理で読み始めたら
すぐ読み終わっちゃって
もうちょっと置いときゃよかったなー
好きなデザート食べ終わっちゃった気分
なんとなくつながってる3つのお話で
どれもそこはかとない不穏さと
逸脱するんたけど
ぬるっと日常に戻ってくる感じが
とても好みだった
ほんのちょっと爽やかな気持ちも
湧いてこないでもない
星、4つでもいいなぁと思うけど
期待しすぎたがゆえの星3つ
Posted by ブクログ
通常逸脱しているが、でも完全悪とも言えない何ともモヤモヤした感じの一冊。
逸脱がテーマだけあって個性的なキャラ達でした。
それぞれが長編でも面白そう。
短編だからこそ、あのモヤさが引き立つのかな。
Posted by ブクログ
日常の歪みを描いているけどあまり嫌な感じはしない。不思議な読書感。
ただ最終話は主人公の造形が最後まで分からず、物語の世界についていけなかった
Posted by ブクログ
「場違いな客」
正直、何が起きてるのかよくわからないまま終わった。
大麻を育ててる? それとも違う?
主人公の情けなさも印象的だったけど、それも「普通」なんだろうなと思う。
みんな、どこかで自分を守るために逸れているのかもしれない。
「スタンドプレイ」
教師って、ほんとに大変。
停学になるのも無理ないと思った。
あの日にあんなことがあって、肘でどつかれたら…
追いかけてしまう気持ちはわかる。
一度きりの「ストーカー行為」って犯罪なのか?
警察も言ってたけど、注意くらいで済むこともあるんじゃないか…と考えてしまう。
「占い師B」
イリスと、若いアキツ(アクツ?)のやりとりがなんとも不気味。
読んでいてモヤモヤが残る。
読み進めるほど、じわじわ気持ち悪さが広がる。
そして、ますます占い師という存在に不信感を抱いてしまった。
Posted by ブクログ
「逸脱」していく3人の物語。
第173回直木賞候補作。
「場違いな客」ペットショップのトカゲを助けたい男
「スタンドプレイ」生徒から教師いじめに遭っている教師
「占い師B」弟子志願者に手を焼く占い師
の話。内容説明が難しい。
装丁で気になってたところ、直木賞候補作になり読みました。
この人達は普通でどこにでもいそうなのか…?(疑問は残りますが)、そういう人達が少しずつずれていくような話。後味の悪さがうっすら残る感覚。
Posted by ブクログ
昔読んだ、短編小説の基本は、冒頭で高い塔に幽閉されたお姫様が出てくるとラストではお姫様を救う大きい鳥が出てこないといけないとか冒頭で猟銃が出てきたら後半では必ず弾が発射されないといけないとかあったが、この3つの作品はどちらの要素もあるが、主に後者を備えた作品と思う。
誰にでも起こり得る日常に潜む狂気と恐怖を描いていて、一瞬で被害者と加害者が入れ替わり、ギリギリの緊張感とイヤミス感でページを捲る手が止まらない。
例えると冒頭で鞘に収まっていた刀が、後半に眼の前で寸止めされたような…
特に最後の作品は、凡庸な努力家とおバカなのに天才の二人がときにドタバタ劇を演じて、助けているはずが…
作品をつなぐ「口裂け女」の挿話も楽しく、ヒット作の「仁木先生」も読んでみたくなりました。
Posted by ブクログ
ペットショップで働く男性がフトアゴヒゲトカゲのフトシを救おうとある行動を起こす『場違いな客』、
将来は医者になりたかった数学教師の『スタンドプレイ』、
占い師の坂東と弟子入りした秋津の『占い師B』
どれもみんな逸脱していて面白かった。
占い師Bだけ、面白かったんだけど終わり方がモヤモヤした。
Posted by ブクログ
直木賞候補作なので、期待が大きすぎたのかもしれない。3篇の物語に共通する、主人公の底知れぬ陰湿さ。頁を捲るたび感情が沈む。感情移入が難しい逸脱感である。
Posted by ブクログ
3人の主人公が日常から逸脱した行動をしてしまう3話の短編集。
爬虫類ショップで働く金のない店員、生徒から嫌がらせを受ける女性高校教師、占い師のもとに弟子入りを志願する特殊能力を持つポンコツ女性と、訳ありの主人公がそれぞれトラブルに見舞われていく。
どの話も終盤にかけての盛り上がりがとても面白い。
おすすめです。
Posted by ブクログ
audible123冊目。
どの短編も日常にありそうな、でもありえないような、『世にも奇妙な物語』的な雰囲気があります。
だから続きが気になっちゃう。
Posted by ブクログ
3つとも予想がつかない展開で面白かった。1つ目はまさかの職業にびっくりだし、2つ目はオチにクスッとした。3つ目は途中まで面白かったのに、後半失速しちゃった感。いつ逸脱するかそれは誰にも分からない。明日かもしれないし、しないままかもしれない。
Posted by ブクログ
3つの物語に分かれていて、ひとつひとつの物語すべて特別おもしろいというわけではないけど何だか気になるというか読むのを止めれないみたいな感覚になってました。
次の物語迄後こんなけのページ数しかないのに大丈夫か!?ちゃんと終われるのか!?みたいな。でもしっかり気持ち良くしまっていた不思議。
最後の伏線回収気持ち良かったです。
夏木志朋さんの雰囲気全開のお話でした。