田舎の風景が目に浮かぶ… 発見された古文書で村の歴史を紐解く民俗学ミステリ #アガシラと黒塗りの村
■あらすじ
根暗な古文書オタクの黒木は、田舎の村を訪れていた。大学時代の友人八重垣から、村で発見された古文書の解読を依頼されたのだ。村に到着した夜、巨大な地蔵の前で地元政治家の息子が死体となって発見されてしまう。
黒木は古文書の解読を進めるとともに、地域や村の歴史やを知るために八重垣の義妹である咲良に案内される。村野神社がある裏山を散策していると、さらなる死体が見つかってしまい…
■きっと読みたくなるレビュー
おもろい、そのままアニメ映画化できちゃいそう!
ライトな文体でするする読めるんだけど、その土地に根付いた独特のしきたり、歴史、文化などを背景に、しっかりと読み応えがある作品。特に終盤はスケールが大きくてびっくりしました。古い村に隠された謎を解き明かすロマンあふれる物語でもあり、ふだん本を読まない中高校生にも是非おすすめしたい作品ですね。
本作で特に推したいのは、愛着わきわきの登場人物たち。オタクキャラの黒木くんと、元気いっぱい田舎大好きな咲良の交流が可愛くてしゃぁないのよ。特に自分の趣味に没頭する以外なにも自信がない人生を送ってきた黒木くんの成長物語でもあります。
他にも友人の八重垣や奥さん、義理パパなんかもみんないい人ばかり。さもありなんなキャラクターたちで読んでて安心なんですよね。
さて本作の謎解きは村で発見された死体とその背景、そして村の歴史です。この物語に描かれている村と民族の情報を読み解いていくうちに、すっかり探検している気分で楽しくなってくるんです。しかし真相は思った以上にダーク、何か大きなものが迫ってくる感じで怖いですよ…
いつもデジタルコンテンツばかり見て、都会の喧騒の中で生きてると、土の匂いや土地の歴史なんかとはすっかり縁遠くなっちゃいますよね。いつか長いお休みを取って、山や海でゆっくり過ごしたいなぁ。
地域の大切さ、住んできた人間たち、彼らが残してきたもの… 人間の歴史を感じさせてくれる温かく優しい作品でした。
■ぜっさん推しポイント
草原、田畑、山、川、森、風、昔ながらの大きな家と住民たちとの交流。煌びやかな都会も捨てがたいけど、それってホントに田舎の風景より大事なんでしょうか。
本作ではこの田舎村自体を魅力的に描写しているところが、超推せるポイントなんですよ。また装画イラストや村の地図も小粋で、目の前に田舎の風景が広がってくるんすよね~。
はー、すっかり田舎暮らしにあこがれちゃいました。映像でも見てみたいので、ぜひアニメ化してください。