ポップな文体でとっつきやすそうなのに、犯人探し&復讐という牽引力のあるプロットに対してもどこか距離感を感じる冷めた視点が、「表面上は人当たりがいいけど頭ん中では何考えてるか得体がしれない」という、作中でエイジがジャクソンに下した評価にダブる。
それは、個性ある個人に対する無神経なラベリング、画一的
...続きを読むなレッテル貼りに対する諦めであり、ジャクソン(≒著者?)なりの処世術でもある。
そのため復讐に対しても最後まで踏み込み切らないような、一歩引いた距離感だったのが印象的。結局どういう話だったんだ?と煙に巻かれた読後感。
それなのに面白かったのは、“ジャクソンたち”それぞれの内面の書き分けが見事だったから。彼らの頭の中の逡巡や、人々との対話で印象に残るシーンがたくさんあり、一括りにされがちな彼らがそれぞれ全く異なる考えを持つ個人だということがしっかり描かれていた。
似たようなテーマで思い出されるのは、やはり映画「ゲット・アウト」だろう。
犯人探し&復讐で事件解決、一件落着スッキリ!というタイプの小説ではないので、そこは期待しないように。笑