安堂ホセのレビュー一覧

  • 迷彩色の男
    安堂ホセさんの作品を読んでいたら、藤沢周さんの初期作品に感じた、文章から溢れ出るような衝動的暴力表現を思い出しました
  • 迷彩色の男
    居心地の悪い空間に無理矢理入れられた時の感覚が鋭く刺さる本だった。心地よいものは常に人を退廃させるのだが,本作はちょうど真反対にある感じがする。
  • ジャクソンひとり
    リーダビリティをある程度犠牲にしてでもフロウとグルーヴを押し出していく文体にまずやられる(比較する対象がいるとすれば舞城王太郎?)。あるいは、リアリズムと反リアリズム、モラルと反モラルの混在、そのバランス。『ハンチバック』同様、これもまたマイノリティによる「当事者小説」と言えるし、怒りのこもった挑発...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    ブラックミックスに対する差別と偏見と先入観とミステリの渦の中にぶっ込まれました

    登場人物たちはそれぞれがブラックミックスとはいえ個人、特徴を整理しながら読み進めるのですが…入れ替わり作戦が進んでいくうちに、誰が喋ってるのか、誰のエピソードなのかわからなくなる!
    入れ替わり作戦における復讐対象と同じ...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    ポップな文体でとっつきやすそうなのに、犯人探し&復讐という牽引力のあるプロットに対してもどこか距離感を感じる冷めた視点が、「表面上は人当たりがいいけど頭ん中では何考えてるか得体がしれない」という、作中でエイジがジャクソンに下した評価にダブる。

    それは、個性ある個人に対する無神経なラベリング、画一的...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    これは…すごいの読んでしまった気が。マイノリティ差別への復讐劇。若者達のテンポの良さで物語へと引き込む引き込む。見分けの付かない(様に見える)ジャクソン4人が入れ替わって復讐する文体が読んでる私も混乱させられた。ちょっとない体験。4人だけどひとり…秀逸。
  • ジャクソンひとり
    痛快でおもしろかった。私は自分で言うのもなんだけれど人種問題やセクシャルマイノリティに関しては色々と情報を収集して考えているほうだと思う
    だから書いてあることにはもっともだな、と納得したけれどそういったことを日頃考えないようにしている人は戦いてしまう気がする
    日常的に受ける差別と悪意のない不快な決め...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    ⚫︎受け取ったメッセージ 

    ユーモア×シリアス


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)

    第59回文藝賞受賞
    衝撃のデビュー作!
    東京に暮らすブラックミックスたちが企む鮮やかな逆襲劇

    「実際に生きてるってこと。盗用したポルノごっこじゃなくて」
    アフリカのどこかと日本のハーフで、昔モデルやってて、ゲイ...続きを読む
  • 迷彩色の男
    色が見えてくるような表現、短い文章をたたみかけるような文体が印象的でした。かっこいい。性的指向や人種のミックス。マジョリティからのレッテル貼りと、それを逆に利用している主人公。アパートの郵便受けからいつも誰かに覗かれているような感覚。視覚的な印象に残るシーンが多かったです。
  • 迷彩色の男
    前作もだったけど読解が難しく何度もページを遡った。自分の読解力では難しかった。でもつまらない、自分には合わないとはならず、わかるまでもう一度読んでみようと思わせる作品だった。細部は難しくでも物語全体の雰囲気がいいのだ。
  • 迷彩色の男
    強烈な作品である。トラウマのように記憶に残りそうだ。ホモセクシャルで日本人と黒人のミックスである“私”は、ゲイが集まって乱交する店で、“私”の恋人であるいぶき(日本人と黒人のミックス)と楽しんでいる。いぶきは店で客に襲われ瀕死となる。なかなか表に出せないシチュエーションであり、“私”がクローズドな世...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    第59回文藝賞受賞作・第168回芥川賞候補作。

    差別に悪態をつくのではなく,差別という構造を描いた上で読者に悪態をつく,という感じか。分かりやすく難解であり,文学への読解力が試される作品だった。

    書きたいものが先行しており,うまく選別されていない文章も散見された。しかしそれが克服された時,この作...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    冒頭部は、少々取っ付き辛い印象がありましたが、作者のリズムに慣れてくると、良さが見えてきました。
    この作品では受賞は逃しましたが、近い内に芥川賞、有望です
  • ジャクソンひとり
    アジア圏以外のミックスの人も増えて、芸能界やスポーツ界で活躍しているが、それ以外の一般の人たちは多かれ少なかれ苦労して生きている。この本の主人公もその中の一人であり、その苦労をいろいろなところで感じさせる。ある真相を追いかけるミステリーであるが、現代の若者のカルチャーには驚かされました。
  • ジャクソンひとり
    ハーフ(今はダブルというらしい)の中でもおそらく珍しいブラックミックスの話。
    ただでさえ物珍しくいじられるのにブラックミックスはテンプレ通りにしか見てもらえない。
    マイノリティから何気なく言われたことにすら「押し付けられる」ことの辛さを感じました。

    結局ガワしか印象に残っていないのは読んでいる私も...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    人種に関して思考が閉鎖的で知識も遅れている日本人として、イタイところを突かれたと率直に感じた。当然受けるべき配慮や思いやりを、偏見で周囲からサボられてしまっていることに対する怒りが切実に伝わってくる。
    視点が曖昧に混ざり合っていく書き方も、ジャクソンたち黒人4人が入れ替わる状況に合っていて素晴らしい...続きを読む
  • ジャクソンひとり
    マイノリティがテーマではあるが、決して重苦しくなく、エンタメ作品として読んだ。目まぐるしく視点が交差する文体は決して読みやすくはないが勢いがあり、作者の今後の作品が楽しみである。
  • ジャクソンひとり
    ちょっと置いてけぼりくらうくらいスピーディーな展開。
    相手を傷付けないなんてムリだよね。
    でもそれを逆手にとるのは痛快。
  • ジャクソンひとり
    黒人とのミックス、ゲイというだけで日本では生きにくそうだ。リベンジポルノの様な映像が流れ、ジャクソンは犯人探しをする。知り合った3人で組んでの入れ替わり作戦による反撃、ストーリーも奇抜で面白いがマイノリティーの揺れ動く心理描写がすごい。ラストには驚いたが黒塗りの日本人は何だったの。
  • 迷彩色の男
    文章なのに色彩のコントラストがすごい。
    全作みたいに主人公と被害者と加害者と無関係な人が最後にはみんな混ざって一つの感情の塊の様になってストーリーは分かりやすくはないけれどおもしろかった。
    この色彩感と独特の雰囲気は唯一無二。