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「猫に九生あり」という。かつて漱石と暮らした黒猫は、何度も生と死を繰り返し、ついに最後の命を授かった。過去世の悲惨な記憶から、孤独に生きる道を選んだ黒猫だったが、ある日、自称“魔女”が営む猫まみれの古書店「北斗堂」へ迷い込む。文豪の猫と創作の業が絡まり合う日本ファンタジーノベル大賞2024受賞作!
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Posted by ブクログ
可愛らしい装画には少し違和感のあるタイトル。 読み終わった後に、このチグハグ感がしっくりくる。 人も猫も基本的には自分の事しか考えてないけど、人は、猫をどうにかする力がある分、その力の使い方は考えないといけないよね。 展開のリズムもよく、時に涙しながら一気読み。 彼に安寧の時が来ますように。 最...続きを読む後、あの古本屋はどうなったのだろう…。 妄想を膨らませる余韻を残す感じは好きだけど、もう少し知りたかったな!
猫が主人公の小説は多くありますが、「9つの命」で転生を繰り返す猫、それも夏目漱石に飼われ「吾輩は猫である」のモデルになった猫が主人公というのは面白い設定でした。 それまでの8つの命で悲惨な死を遂げ、人間にも同族にも心を許せなくなった「クロ」。本当の名前「真名(マナ)」や漱石との思い出を明かすことな...続きを読むく頑なな態度を取り続けていたものの、長い月日を経て周りの猫や人への思いやりを持つようになるクロの姿は感動的でもあります。 そして、普通の動物は決して行わない、「物語を紡ぐ」という行為を尊重し慈しむクロの視点は、物語を書くひとにとっても、読書が好きな人にとっても共感できるものではないかと思います。 エンディングも素敵でした。 ファンタジー要素もありますが、文学に向ける作家の熱量やそれぞれの時代に見える人間の「本性の醜さ」なども正面から書かれていますので、少し大人向けかもしれません。
猫には九つの命がある。 最後の命を迎えた黒猫は導かれるように古書店「北斗堂」に 辿り着く。謎めいた店主と猫たち、訪れる人々。 彼は「真名」への拘りを抱えながら「北斗堂」で生活することに。 その中で知る“魔女”と呼ばれる店主の謎。 更に知る「北斗堂」集う猫たちの記憶と役目。 人を嫌悪し、同族で群れるこ...続きを読むともせず、偏屈で孤高に 生きようとする黒猫のかたくなさは、凄惨な過去の命の記憶ゆえ。 だが、あの作家との生活を生きた命の記憶は、彼を捉えている。 そんな彼が魔女や住まう猫たち、そしてあの娘との出会いは、 年月と共に緩やかに、彼の心を変え、思いやる心が芽生えてゆく。 そして、あの娘と魔女にあの男の創作の楽しさ、物語る嬉しさを 教えたい。それだけあの男の存在は大きかったから。 クライマックスの、黒猫の有するあらゆる記憶が溢れ出す シーンが最高!まるで九つの命のすべてをぶつけるかの如く。 まるで、黒猫の物語を語り尽くすが如くに感じてしまった。 これは、物語を紡ぐ者たちへのオマージュ。
表紙の雰囲気から、ハートウォーミングなお話かと思いきや、全然違います。主人公のクロネコは性格がひねくれてるし、態度も悪い。ドーンと重苦しくてなかなか読み進まないんだけど、しばらくしてはたと気付きました。この子、高校時代の私と似てるかも。当時、ウチはお金がなくて、習い事も塾も行かせてもらえず、進路も限...続きを読むられた選択肢しかなかった。何不自由なく高校生活をエンジョイしている級友たちの輪に入らず、横目で見てひがんでた。きっと態度にも出ていて、嫌なヤツだったに違いない。私の黒歴史。それが、不思議なことに、この本を最後まで読んだら、黒いページがシュレッダーされました。まだ胸の痛みはあるものの、黒い影は雲散霧消したのです。おかしいな、、なんでだろう? 誰だって似たようなモンなんだから、悩むなってこと? 忘れろ? でも、なかったことにはできないよ? とにかく、読み始めたら、最後まで読んで欲しいです。ステキな宝探しになるはず。 実は、この黒歴史のせいで、村上春樹の『街とその不確かな壁』が読めないでいるのですが(色々思い出されて辛すぎるから)、今なら読めるかしら。試すのは怖いけど、試してみます。
猫目線で書かれているので、猫の気持ちに浸れました。「吾輩は猫である」を読んでから読み返すと、別の気付きがあるのかな?と思うので、読んでみたいと思います。
「猫には九つの命がある」という。おれは九回目の命を生きている。住宅街を気まぐれに歩いたはずだった。個人経営の古書店の前で女に呼びかけられた。「思ったより、早かったね」と。ひとまずおれは逃げ去ったが、どうも気になりこの書店に吸い寄せられていった。茶白の雌猫が声を掛けてきた。「お前か、逃げたやつは」、「...続きを読むまあいずれ、お前も北斗堂に来るよ」と…。前世で小説家と縁があった猫たちがこの北斗堂に集まっている。そして店主の女性は猫たちが「魔女」だという。魔女と猫たちのお話です。面白かった。
「猫に九生あり」を元に、転生を繰り返す故人作家の猫たちと、書店員の物語。 というとファンタジーではあるが、テーマとしてはなかなかに重苦しい。 猫の死が多々描かれるので、猫好きには少々辛い内容にもなっている。 タイトルには納得感があった。
「猫に九生あり」過去に漱石の飼い猫だった孤高の主人公猫のクロは、9回目の生で、ある古本屋にたどり着く。そこでは、ある呪いに賭けられているという女店主と、文豪の飼育歴のある猫たちが生活していた。果たしてクロは、孤高を貫くのか、また、女店主にかかっている呪いとは… 猫も本も孤独も好きで、たまに寂しくなる...続きを読む自分には、感情移入しやすい作品でしたが、ラストにある神への対峙は、まあまあクサく、アツい内容です。 ただ、言葉の力を信じる著者の熱い気持ちが表れていました。
猫好きでなくても、本好きなら好きになると思う。 「猫に九生あり」 猫の目線を通して語られる人間の傲慢さ、世の中の理不尽さ。どんなにAIが発達しても、人間の想像力、創造力には勝てない。本は無くならない。だから人間は生きていける。猫に餌を与え、安心して暮らせる空間を与える対価に、猫を触って幸福感を得る。...続きを読む なんだか妙にグッとくる。
猫愛高まる1冊!!読中何度もうちの子をギュッと抱きしめたくなった。 黒猫のクロが書き手。何度も転生する中で自身の経験から人にも同族にも嫌悪を抱き1人で生きようとするのに誰かの温かさを求めてしまう、そんなクロが愛おしい。クロだけじゃなく登場猫みんな愛おしい。ジイノの火鉢であざとくしてる姿をリアルで見...続きを読むたい。猫好き発狂すると思う。 個人的には漱石との話をもっとクロに書いてほしかった(←書いてくれなさそうだけど) 続編ありませんか…?
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