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油屋『出羽屋』の離れで放蕩息子一郎太が喉を突き、自ら命を絶ったという。主、忠左衛門と後添えのお栄に話を訊く同心木暮信次郎はいつになく執拗だ。彼が拘るということは、ただの自死ではないのか――。研ぎ澄まされた刃を封印し、揺るぎない商いの未来に情熱をそそぐ遠野屋清之介、岡っ引が天職の伊佐治、そして、清之介を獲物ととらえ、歪な眼差しで人を見る信次郎。男たちの感情が静かに熱くうねり合う、弥勒シリーズ最新刊!
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Posted by ブクログ
弥勒シリーズ13巻目。2006年のスタートから20年ほどにもなる。同心小暮信次郎と武家上がりの商人遠野屋清之介の切り結びを太い芯にして様々な事件が解き明かされていく。 あさのあつこという岡山の宝の一人である女性作家が、火花の散るような時代ものを手がけ、ここまで長きにわたって書き続けたことを喜ぶ。 本...続きを読む作もすごい出来だ。特に、巻末ちかくの二人のやりとりには手に汗を握った。
「弥勒」シリーズ13冊目。最新作。 今回も最後まで惹きつけられた。 一気読みでした。 主人公二人の人物描写が ありきたりでない。 尋常じゃない。相反する善と悪? それとも真のところは似ている? その周りを取り囲む人たちも魅力的に描かれている。ある意味ホッとするような。 もう次回を楽しみに待って...続きを読むいる。
信次郎と清之介が相まみえることなく終える、今回はそれも一興かなと思っていたけど、そうはいかず。すべてを見透す信次郎が清野屋の行く先の光景をどう捉えているのか、それを知りたいと清之介は言う。いや、その本心は清野屋でなく己の果てを問いたいのだろう。商人として残りの生をまっとうすると誓うあの清之介でさえ、...続きを読むやはり揺らぎはあるのか。拭えぬ不安があるのか。万人に信頼されようとも、信次郎には自分にさえ知れぬ真実が見えている。今回の事件でも、ちらと似合わぬ躊躇いを見せつつも怜悧に解く。清之介を闇から守れるのがヤツなのか。
弥勒の月 シリーズ13 深川元町の油屋「出羽屋」の放蕩息子・一郎太が、短刀で喉を突き、自ら命を絶ったという。 定町廻同心・木暮信次郎と、岡っ引き・伊佐治は、探索を始める。 一方、小間物屋・遠野屋清之介は、研ぎ澄まされた刃を封印し、揺るぎない商いの未来に情熱を注いでいる。 その清之介を獲物ととら...続きを読むえ、執拗に、絡む信次郎。 間に入って、ヤキモキする伊佐治。 今回も、目が離せなく、面白かった。
シリーズ最初から読み続けている。 遠野屋の商売の裾野が広がり、一見順風満帆のようだが、主自身が無理やり納得しようとしているのもわかる。 その迷いをもて遊ぶ同心、必ず遠野屋を事件に巻き込んでいく。 この小説は、ドラマの時代劇として見たかった。
弥勒シリーズ13弾。2006年から追いかけ続けてはや20年。信次郎さんの何を考えているのかわからない深い洞察力と、商人魂がどこまで本気なのか煙に巻く清之介さん、本作も健在で、個人的には伊左治さんの右往左往っぷりがとても好きだったりする。 謎解きは何ともやりきれなさが残る内容だったが、ラストのふたりの...続きを読む対峙はすごかったなぁ。
弥勒シリーズ第十三弾。 油屋〈出羽屋〉の離れで跡取り息子・一郎太が喉を突いて死んでいるのが発見されます。 その離れの一室は全ての戸が閉じた状態で、書置きも見つかったことから自死としか見えない状況。 ただ、信次郎の見立ては異なるようで・・。 一方、商い仲間たちと新たなビジョンを描いていた〈遠野屋〉清...続きを読む之介の元に、因縁ある大店〈八代屋〉の番頭から取引の依頼が入りますが・・。 〈出羽屋〉の事件の方は所謂“密室”系ということで、毎度ながら信次郎のずば抜けた推理力が冴えわたります。 私もある程度の予測はついたのですが、“真の黒幕”までは思い及ばなかったですね・・性格には難アリですが、さすが信次郎。 そして、清之介の方は“今後一切関わりを持たない”と約束したはずの〈八代屋〉からのリスキーな注文を、逆にビジネスチャンスに変えていくという、商人としての逞しさとしたたかさを着実に身に着けている印象です。 (これまでの信次郎とのやり取りで、相当鍛えられているからとも・・?) ところで、今回は“彌勒シリーズ名物(?)”、信次郎と清之介の緊張感あふれる直接の絡みがないな・・と思って読んでいたら、ラストできましたね~・・ヒリッッヒリの対峙が! 本当、信次郎ってば清之介の事を「おれの獲物だ」とまで言っちゃって、どんだけ執着してんの?って感じですよね。 もしかして、信次郎の望みは“清之介に斬られて死ぬ”事なのでは・・と、ふと思った私です。 ということで、これからも信次郎と清之介(あ、伊佐治親分も)から目が離せませんね~。
前作の意味深な終わり方から一年、多くのファンをドキドキさせたあさの先生、お人が悪い。 でもそこからまた新たな商いに繋げる流石の東野屋。楽しかった
遠野屋とおくみ、おちやを襲った前回の因縁の店八代屋からの商いの申し出の裏に木暮信次郎の影。 自殺と見えた事件の顛末とは関係なく、遠野屋の商家としての成長が頼もしい。そしてそれをなぜか敵視する信次郎の心根が悍ましい。
「出羽屋」での事件と並行して、遠野屋と八代屋の新しい取引の話が進む。背表紙にあるのがきっとそれが入った巾着なのですね。いつもながら冷や汗たらたらで2人を伺う伊佐冶親分が人として好きだなとしみじみ感じます。最初の頃の話を忘れてしまっている気がするのでまた読み返したいといつも思うのですが…。
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