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Posted by ブクログ
あさのあつこさんの初期の2作品が収められた文庫です。
「あかね色の風」は小学6年生の少女二人の短い出会いから別れまでのお話です。主人公の遠子のクラスに千絵という転校生がやってきます。そもそも田舎で1学年1クラスしかありません。古い靴屋を営むおばあさんの家に身を寄せ、化石が好きで、複雑な家庭環境も屈託に話す千絵に、遠子は不思議な魅力を感じます。
「ラブ・レター」は、主人公で小学5年生の愛美が、気になる隣の席の男子に、自分の純粋で真っ直ぐな想いを綴り、手紙を出そうとするお話です。
どちらの作品も少女たちの懐かしくも真っ直ぐな友情や恋心が、何か独特の想いとして心に響きます。
Posted by ブクログ
2019/10/20
児童文学作家として有名なあさのあつこさんの作品をはじめて読んでみました。バッテリーがすごく有名だったので、青春系の男の子の描写を書くのが上手いのかなーという印象でしたが、この本の主人公は両方とも女の子です。
あかね色の風の方は、主人公の遠子の近くに千絵が引っ越してきて、二人の仲が徐々に縮まっていく…ような縮まっていかないような…みたいな話です。千絵がお父さんの影響で化石が好きなので新種の化石が出た場所に二人で行こうと山越えしていくのですが…。どこか冷めたような感じの遠子も別にそんなつもりはないと言う絶妙な表現が面白いです。
ラブレターの方は、文字通り、小学五年生の愛美が同じクラスの好きな男の子にラブレターを書く話。ラブレターを書くために校則違反しちゃうところとか、愛美の姉もなんだか少しアウトロー的な雰囲気がありますが、親は真面目だったりと色々と主人公が際立つ周りの人々になっております。
とても読みやすい話でした。
Posted by ブクログ
5年生の女の子たちが口をそろえて面白いというので読んでみた。なるほど!確かにみんなが好きそうなのが分かる。とくに“ラブレター”の方は、等身大の5年生にぴったりくるようなドキドキするかわいいお話。いいお話だった。ときどきこっそりと「恋愛っぽいのが読みたい」と言ってくる女の子たちに手渡してあげたい。”あかね色の風”の方は、友達について考えさせられるお話。子どもだって、この子と合いそうかどうかって見かけや雰囲気で判断したりするところがあって、でも自分と合うかどうかは実際に深くその子を知ってみないと分からない、というようなことをさりげなく教えてくれるお話だと思った。大人が読むと、自分が小学生だった頃の気もちを思い出したり、小学校高学年ぐらいの頃の気もちの揺れを感じたり、ああこのぐらいみんな複雑なんだよな、ということを再発見する感じです。周りに高学年の女の子がいる人におすすめの1冊。
Posted by ブクログ
ラブ・レターのほうのレビューが残っていたので転載。
とてもかわいらしくて爽やかな、それでいて心の奥が、ホットミルクを飲んだときのようにあたたかくなるお話でした。
主人公の愛美(まなみ)は小学5年生で、隣の席の楽(らく)くんの、大好きな馬の話をする声の嬉しそうな色とか、髪が太陽に透けて茶色に輝くことが気になって仕方ない。そんなとき、友達のともかちゃんから、今学校で「仲良しレター」がはやっていると聞く。だけど友達に送ってもどきどきしないんだもの、やっぱり好きな男の子に送りたいよね、とはにかむともかちゃん。そのきらきらした笑顔を見て、愛美は、自分も楽くんに手紙を送りたい、送ろう、と、つたない言葉でつづり始める……。
あさのあつこと言えば、児童書「バッテリー」で有名です。主人公・巧(たくみ)の、野球へのまっすぐすぎるまっすぐな思いが、読めば誰しも圧倒されるか強く共感するかだと言ってもいいほどリアルに描かれた作品。わりに最近出版された「福音の少年」も、そんな男の子たちの物語だった。だから私は、すっかりあさのあつこは「少年」の書き手なのだと思っていました。
でもこの作品のなかで笑ったり反発したりしている少女たちの心の、なんてまっすぐなこと。
学校帰りに買い物をしたことがばれて先生に怒られたとき、ともかちゃんは「お金、わたしが持ってきたの、先生。愛美ちゃんに貸してあげました。わたしが、愛美ちゃんについてきてって頼んだから、貸してあげたの」。
お姉ちゃんは、玄関先で彼氏とキスをしていたのを見咎めた電話がかかってきて、お母さんに怒られたときに言った。「(その電話の主が名乗らなかったことに)わたし、そんなやつ絶対、許さない。自分は、絶対傷つかないとこにいて、他人のこと傷つけようとするやつなんか、ばかだよ」
ね、きれいでしょう。まっすぐでそこに迷いがなくて、自分にもこんな時期があったかな、でも今はどうなのと、赤くなってしまいそうな凛とした姿でしょう。
そんな人たちに囲まれて、愛美は毎日をすごしながら、少しずつ少しずつ、きっとそんなに整っているとは言えない字で、何度も消しては書き直しながら、楽くんに伝えたいことを手紙に込め続ける。きれいな夕日を見て、カレーの匂いを嗅いで、ピアノを弾いて、楽くんに伝えたいことを見つけては文字にしていく。
こうして手紙にする前、愛美の気持ちは、きっと「気になる」とか「もっと知りたい」とか、名前のつけられない感情だったように思います。
でも手紙に書くことをさがしているとき、彼女は知らないうちに、楽くんといっしょに町を歩き、空を眺めていたんじゃないかな。手紙を書きながらもどんどん、思いをふくらませて、どんどん楽くんへの気持ちを育てていた。
だから手紙の最後に愛美は、ちゃんと感情に、「好き」と名前を付けることができたんじゃないでしょうか。
楽くんも返事を書きながら、愛美への思いをふくらませたり、もうふくらまないと気付いたり、するんでしょうね。
続きが読みたい、ないとわかっていても、わかっているからこそ、そう思える作品でした。
Posted by ブクログ
あさのあつこの初期の中篇。「ほたる館物語」と同じように小学校六年、五年の女の子が主人公。けれども一子のように、家族のことを心配する「いい子」じゃない。親の言うことは、ちがうぞ、と反発する自我を持った子供だ。そうしてたった半年だけど遠子はかけがえのない友を持つ。
遠子は「バッテリー」の原田巧の原型だという説があるらしいが、むべなるかな、と思う。甘え上手の女の子がいて、自分の世界を守ろうとして突っ走ってしまう。巧のように素晴らしい才能があるわけじゃない。だから世界は広がらないけど、この中篇だけで私は書くべきことの多くは書けているのではないかと思った。あさのは無理やり中篇とか一冊の文庫にまとめてしまったほうがいいのを描けるのではないだろうか。
遠子と奇妙な友情を育む千絵は、化石探しに夢中である。化石拾いも土器拾いの考古学も本質は同じようなものだ。彼女にとても共感した。
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