小説・文芸 - 集英社作品一覧
-
3.6区役所に勤務する愛子は、同僚女子の陰口を聞いたことがきっかけで、たびたび「発作」を起こすようになる。この世の終わりに直面したような、とてつもない恐怖に襲われるのだ。心療内科で受けた「パニック障害」という診断に納得できず、いくつもの病院を渡り歩き……(「天罰あげる」)。介護施設を併設する高齢者向けクリニックには、多くのお年寄りが集まってくる。脳梗塞で麻痺のある人、100歳近い超高齢者などさまざまな症状の利用者みなに快適に過ごしてほしいと施設長は願うが……(「老人の園」)。「我ながら毒気の強い作品ばかりであきれます」と書いた本人もため息。現役医師が描く、強烈にブラック短編全5編!
-
3.8
-
5.0「ジャポニカ学習帳」の表紙を飾る多彩な昆虫や植物を撮影してきたカメラマン、山口進。撮影の旅の先々での多彩なエピソードと人々との出会い、現地の個性的な食文化を紹介していくショートエッセイ20編。「集英社クオータリー kotoba」での人気連載を新書化。連載時に使用できなかったものも含め、100点以上の写真を掲載。
-
-
-
3.6
-
3.0※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 広告代理店「集英企画」に勤める吉岡としのりは、今日もダメな後輩の尻ぬぐい。ある日、大学時代の先輩・田中恵子のススメでコの字酒場の扉をおそるおそる開く。コの字型カウンターならではの人と人のふれあい、店主自慢の酒と肴、恵子との恋……。吉岡はコの字の魅力にハマっていく。実在のコの字酒場を舞台に繰り広げられるグルメ&恋愛漫画。コの字酒場で呑みたくなる加藤ジャンプのエッセイも収録。
-
-小説で声や痛みは再現可能か? そのものを伝えることができるのか? 今回はコンラッドの『闇の奥』を読む。「シリアスな本作を使って、笑ってもらおうというのがこちらの魂胆ですから、空前絶後といっていいですよ(奥泉)」。芥川賞作家と希代の仕掛人が捨て身でおくる“漫談スタイル”の超文学実践講座。本電子書籍は、文芸誌「すばる」2012年8月号に掲載された作品の電子版シングルカットです。
-
3.9筑豊の炭鉱町出身の私(ひの子)は東京に住み、もうすぐ40歳になる。非正規で新聞社の校閲の仕事をしているが、3年限定の仕事なので、いずれ新たな職を探さねばならない。両親は他界していて、年下の恋人だった春生とは1年以上前に別れていた。新型コロナウイルスが広がるなか、前に弟との結婚騒動で出会った女性・沙穂から連絡があり、東京で食事をすることになる。彼女は看護師で、独りで子育てをしていた。ひの子は沙穂の影響で、逡巡しながらも春生にメールを送ってしまう。すると思いがけず返信があり、再び付き合うことになって……。出会いと別れ、他者とのつながり。現代女性が対峙する実相を、かつて炭鉱で労働を担った女性たちに心を寄せつつ描く、鮮烈な中編小説。
-
4.0
-
4.4日本近代建築の雄、妻木頼黄(よりなか)。幼くして幕臣の父を疫病で亡くし、維新後に天涯孤独の身となり、17歳で単身渡米。のちにコーネル大学で学んだ異才は、帰国後にその力量を買われ、井上馨の「官庁集中計画」に参加。以来、官吏として圧倒的な才能と情熱で走り続ける妻木の胸には常に、幼い日に目にした、美しい江戸の町並みへの愛情があふれていた。闇雲に欧化するのではなく、西欧の技術を用いた江戸の再興を。そう心に誓う妻木は、大審院、広島臨時仮議院、日本勧業銀行、日本橋の装飾意匠をはじめ、数多くの国の礎となる建築に挑み続ける。やがて、数々の批判や難局を乗り越え、この国の未来を討議する場、国会議事堂の建設へと心血を注ぎこんでいくが……。外務大臣・井上馨、大工の鎗田作造、助手を務めた建築家の武田五一、妻のミナをはじめ、彼と交わった人々の眼差しから多面的に描き出す、妻木頼黄という孤高の存在。その強く折れない矜持と信念が胸を熱くする渾身作、誕生!
-
3.0小説家、逢坂剛、77歳。直木賞をはじめ数々の受賞歴を持ち、小説家として第一線で活躍し続ける一方、フラメンコギター、スペイン語、古書収集、野球、将棋、西部劇などの映画に精通し、多芸・多趣味でも知られる。ユーモラスで温厚な人柄から、敬意と親しみを込めて「剛爺(ごうじい)」と呼ばれる小説家の<上機嫌生活>指南書。人生100年時代。仕事も趣味も楽しみ尽くして、日々を機嫌よく過ごすためのヒント満載。 下記、目次一部。 第一章 画家の父、母の早世、二人の兄 ~探求心は職人気質の父から、勉強は秀才の長兄から、遊びは多趣味の次兄から学ぶ 「小説家」の原点は画家の父/母の思い出/六畳一間の男四人暮らし/兄二人から教わったこと/お金にこだわらないセンス/ふるさとは神保町 第二章 ハメットと出会った十代、開成での六年間、ギターまみれの大学時代 ~自主性を学生生活から、創作姿勢をハメットから、修練の達成感をギターから得る 自主性を学んだ開成時代/「文才あるね」背中を押した教師のひとこと/ハメットという衝撃/英語が上達した理由/第三志望の男/法曹界を目指しかけるも……/ギター三昧の大学生活/探求の楽しみを知る 第三章 PRマン時代、スペイン ~第三志望の就職先、知恵と工夫で仕事を面白がる 再び、第三志望の男/楽しみを見出す、創る/娯楽こそが本業なのだ/初めてのスペイン、一生の出会い/どんな仕事も面白がる 第四章 二足のわらじ、直木賞受賞、サラリーマンと執筆と ~会社員と小説家の兼業をこなす中、生涯書き続ける決心をする 会社員生活の傍ら、小説執筆を再開/プロの感想を聞きたくて/〈兼業作家〉としてデビュー/無理なく続いた「二足のわらじ」/自分にとって最適なリズムで/オリジナルをとことん楽しむ 第五章 多彩、多芸、鍛錬と開花、幅広い交友 ~好きな街に身を置き、リズムとリフレッシュを交え、仕事と長年の趣味に没頭する 日常に、文化の薫りを/永遠のマイブーム/リズムとリフレッシュ/趣味はいつでも見つけられる/愛しの古本コレクション/オーダーメイドの楽しみ/逢坂流・語学上達のコツ/五十を過ぎて、野球チームを結成/いつでも動ける体を維持する/趣味仲間とディープに交流する 第六章 「終活」より「修活」だ! ~断捨離するより愛着品を楽しみ尽くし、争いごとは遠ざけて、上機嫌で過ごす 好き嫌いに忠実に/一番の刺激は、頑張る同世代/終活? まっぴらごめん!/話術はメモから/不便から学ぼう/DIYの楽しみ/デニムを着こなすには/夫婦共通の趣味は食べ歩き/まだまだ捨てたもんじゃないぞ、街中の人情/若き編集者に出した“宿題”/調べずにはいられない!/機嫌よくいる。それが一番/争いごとを引き寄せない/歳をとったら兄弟仲良く/一生勉強!(いや、娯楽気分)/一度きりの人生、好きなことを
-
-
-
4.5【第13回開高健ノンフィクション賞受賞作】日中戦争の最中、満州国に設置された最高学府・建国大学。「五族協和」を実践すべく、日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシアから集められた若者たちは6年間、寝食を共にしながら国家運営の基礎を学んだ。そして敗戦。祖国へと散った彼らは帝国主義の協力者として弾圧を受けながらも、国境を越えて友情を育み続けた。スーパーエリートたちの知られざる戦後。
-
3.0明治40年夏、与謝野鉄幹が北原白秋、木下杢太郎、平野萬里、吉井勇の若き四詩人を連れて九州を旅した。「五人づれ」という連名で「東京二六新聞」に連載された紀行文『五足の靴』には、その後活躍する詩人たちの才能の萌芽を見ることができる。2018年に世界遺産に指定された長崎、天草の地も踏んでいた彼らの足跡を、森まゆみが10年以上かけて歩き、追体験した詩情と旅情あふれるノンフィクションは、知られざる名著の解説書、歴史を体感できる旅へと誘う極上のガイドブックでもある。世界遺産(文化遺産)「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」を巡る付録つき。
-
-『挾み撃ち』の特徴は半勃起? 「あらゆる小説の中でこの人の書くものだけが救いですから(いとう)」。今回は、後藤明生の『挾み撃ち』を読む。芥川賞作家と希代の仕掛人が捨て身でおくる“漫談スタイル”の超文学実践講座。本電子書籍は、文芸誌「すばる」2009年5月号に掲載された作品の電子版シングルカットです。
-
4.1学生服専門の洋品店で働く吉本佑理(32歳)は、職場上司の無自覚なセクハラやパワハラに合いつつもなかば諦めも感じていた。ある日、例のごとく「きみ、彼女いないの? 吉本さんを誘ってあげたら」と言う部長に対し「無礼です」と言い切る出入りの配送業者、里村の自然なふるまいが佑理の心に飛び込んできた。その後デートを重ね次第に距離を縮める二人。そして、告白のタイミングでこれまで三、四人と付き合ってきたと言う里村に対し、佑理は今まで彼氏が一度もいなかったことを、勇気を出して告げる。すると里村は何も告げずに去ってしまう。フラれた。失意の佑理に里村から電話が。「ごめん、おれも付き合ったのは中学の時にひとりだけ。いまマンションの下にいるんだ。戻ってもいいかな」(第一話「ひとり道」)。あなたは“その言葉”を一日に何度、口にしますか? 様々なシーンのごめんで登場人物たちが少しずつ繋がってゆく、心温まる連作短編集。
-
-祭りが終わった後、巨大施設はどうなるのか? 誇らしい「遺産」として残るのか、それとも、使い道のない「廃墟」になってしまうのか。二〇二〇年東京五輪の終了後に残されるのは「施設の後利用」という困難な課題である。著者はハーバード、オックスフォード留学時に「五輪スタジアムの維持・運営」を研究テーマとし、一九七二年ミュンヘン大会以降の夏季五輪開催地について、メインスタジアムの「五輪後」の稼働状況、運営形態、維持費の実態等について調査を行った。世界中の五輪開催都市が巨大スタジアムの扱いに苦闘している現状を具体的に明らかにするとともに、新国立競技場をめぐる東京の近未来について提言を行う。【主な内容】○「建て替えできない」スタジアムの生存戦略(1972ミュンヘン) ○30年間の「空き家」が企業オフィスに変貌(1976モントリオール) ○固く門が閉ざされた巨大スタジアム(1980モスクワ) ○築90年の「遺産」を大学が引き受けた(1984ロサンゼルス) ○7万の観客席で観衆1000人のホームゲーム(1988ソウル) ○バルセロナ再生の落ちこぼれ(1992バルセロナ) ○球団に逃げられたスタジアム(1996アトランタ) ○政府が買い戻して大改修に着手(2000シドニー) ○そして「廃墟」だけが残った(2004アテネ) ○商業化は頓挫し、維持費は観光客頼み(2008北京) ○建設費は602億円、改修費は452億円(2012ロンドン) ○公共料金も払えないスタジアム(2016リオデジャネイロ) ○そして、新国立競技場
-
3.021世紀はどこへ向かうのか? ゴルバチョフと考える、世界、そしてロシアの現在――ロシア文学者・亀山郁夫が、ゴルバチョフ氏に行ったインタビューを中心に、社会主義の功罪、冷戦終結がもたらしたもの、ウクライナ問題、世界はこれからどこへ向かうのかについて、鋭く深く迫る。
-
3.6
-
3.3
-
3.6「約束して。私のことは跡形もなく忘れる、と」 三〇代の久島は、情報も欲望もそつなく処理する「血も涙もない的確な現代人」として日常を生きている。 だが、学生時代に手紙を交わしつづけた望未だけが、人生唯一の愛として、いまだ心を離れない。 望未は手紙の始まりで必ず「最愛の」と呼びかけながらも、常に「私のことは忘れて」と願い、何度も久島の前から姿を消そうとした。 今その願いを叶えるべく、久島は自分のためだけの文章を書き始める。 愛する人が誰よりも遠い存在になったとき、あらたに言葉が生まれ、もうひとつの物語が始まる。 「永遠の恋人」を描いてきた著者が最高純度で贈る、超越的恋愛小説!
-
4.4
-
4.0グローバリズムと新自由主義が世界を制覇しつつある今日、人々の自由はむしろ制限されつつあり、閉塞感や分断が拡大している。今、なぜ石川淳なのか? この孤高の作家を読み解くキーワードは「自由」。古今東西の書物世界を軽快な「精神の運動」で往還した石川の姿勢は知的自由の体現であった。だから、多くの知識人が戦時体制になびいた時代にも、石川は黙らなかった。かくして作品の発禁後、石川は自由を求め江戸の世界に向かう。石川作品には不自由に抗する不服従の精神が刻まれている。本書は5名の識者の解説を通じ、その作品と「絶対自由」の世界に誘う。
-
5.0人生の大きな変化は、何がきっかけになるかわからない。 「本当は商店街のそばで暮らしたい」 母の一言から小さなマンションに出会った。 実家売却、遺言書作り、家財道具を手放し 親子で目指した、新たな暮らし方とは? 感動の日々を描くエッセイ。 『年34日だけの洋品店』に続く50代からの生き方を綴る第二弾! <本文より> この歳で住み替えて本当に良いのだろうか、心は揺れたが、 これから二人が助け合って生活するにはマンションの方がいい。 今の場所で頑張り続けるより「無理をやめる」決断をする方が どれだけ難しく、前向きなことか。 <もくじより> 1 親の老いに気づくとき 2 最後に住みたい商店街の町 3 80代でマンションを買う 4 待ったなしの遺言書作り 5 親の思いと子の現実 6「住みたい家」と「売れる家」 7 目標6ヶ月で実家売却 8 住み替えの不安を払拭するために 9 何でも売ってみる「家じまい」 10 一週間でお片付け 11 必要最低限の整理しやすくくつろげる家 12 2LKDの新しい家
-
3.5
-
3.8
-
3.0
-
5.0「母娘の闘いは、大変だ。笑えるくらい、愛が噛み合わないことがある」(町田そのこ)――それは北海道に住む母と二人きりで向かった鳥取へのご先祖様墓参ツアーから始まった。二人の旅路はトラブル満載。結婚問題をめぐる数年来の母娘デスマッチのゴングが鳴る。話すほどに事態は混迷。母親がテレビの結婚相談に出演したことを知った娘は憤り、ついに絶縁状をたたきつけ……。自立した社会人として生きたい小説家の娘と、「人並みの女の幸せ」を望む専業主婦の母。恋愛、結婚、離婚、オンナの仕事、友情、そして世間。人生観をめぐる母と娘の衝突と和解の数々を、笑いあり怒りあり涙ありで綴るパワフルエッセイ。待望の復刊!
-
4.0
-
3.6
-
-かつて、これほどまでに魅力的な男優がいただろうか! あなたは、市川雷蔵を知っていますか? 日本映画の黄金期に、150本以上の映画作品に出演し燦然と輝く足跡を残した俳優、市川雷蔵。それはたとえば『眠狂四郎』『炎上』『忍びの者』『陸軍中野学校』……。37歳で惜しまれながら早世した美貌の俳優は今尚、多くの人の心を捉えて離さない。この本は、文筆家である清野恵里子が市川雷蔵の主演映画、島崎藤村原作の『破戒』を観てよりその魅力にとりつかれ、雷蔵その人の魅力と雷蔵映画を丹念に読み解いたまったく新しい雷蔵論である。きものに造詣が深い著者の審美眼が捉えた雷蔵の衣裳やメイクの話も実に興味深く、思わず引き込まれてしまうおもしろさ。読んだあとは必ず映画が観たくなることうけあいだ。また、映画から特別にキャプチャーした雷蔵の写真は130枚に及び、その掲載写真を見るだけでも楽しめる。従来からのファンは元より、若い世代にも知って欲しい昭和の星の一人である。
-
-1964年の東京五輪で「体操の名花」として日本中を魅了したチェコスロバキアのベラ・チャスラフスカ。金メダリストとしての華やかさとは裏腹にその生涯は苦難の連続だった。母国からの迫害による長い隠遁生活から復活するも、直後に私生活での悲劇が襲う。極限においてもアスリートとして、人間として、不屈の精神で自由への信念を貫いたベラを支えた日本人との「魂」の交流を追うノンフィクション。
-
3.5
-
4.0
-
4.2
-
-
-
5.0
-
4.0
-
3.9
-
3.0
-
4.08~16世紀、西アフリカ内陸部の地に興隆したいくつかの黒人国家は、サハラ砂漠を越えて北から運ばれて来る岩塩と南からの金や象牙、奴隷などの交易で繁栄したという。そして、その中心には伝説の“黄金の都市”があった。それらの国家はすべて消え去ったが、往時のままに岩塩が切り出されるタウデニ鉱山と、ラクダのキャラバン「アザライ」によってかつての黄金の都・トンブクトゥに運ばれる塩の交易は、21世紀の現在も続いている。写真家の著者は、30年来の夢を叶え、トンブクトゥからタウデニ鉱山へ往復1500キロ、アザライに密着する命懸けの旅を敢行した。これは、美しい写真と共に綴られた42日間の過酷なキャラバンの記録である。【目次】はじめに/第一章 タウデニ岩塩鉱山への旅立ち/第二章 タウデニ岩塩鉱山/第三章 タウデニからの帰り道/第四章 旅の終わりの試練/あとがき
-
4.1
-
3.8【第27回小説すばる新人賞受賞作】東京で雑誌編集をしていた瀬野美月は、姉が亡き父親から譲り受けたカフェを手伝うため、京都に移り住んだ。淡々と日々を過ごす彼女の心をよぎるのは、東京での仕事と不倫相手の記憶だった。飲食店の紹介記事で使う言葉への違和感、別れを告げた不倫相手から送り続けられるメール……。自らの気持ちと、それを表現する言葉とのギャップが、美月の心にわだかまりとして残っていた。そんな美月の前に、どこか現実感がなく不安定さを帯びた男子中学生が現れる。平日の夕方にコーヒーを注文する彼は、大人びた物静かな少年だったが、あどけない面も持っていた。二人が親しくなっていったある日、彼は他人とは異なる世界が見えることを美月に打ち明ける。彼の話を聞くうちに、美月は自分の現実感が揺らぐ感覚を抱き、彼自身の存在さえ確かではないという思いを持つようになる。そして、彼だけが知覚する言葉を、ノートに書き留めるようになった美月に訪れた瞬間とは――。繊細な文章表現とみずみずしい感性が光る受賞作。
-
3.7
-
-そういう考え方もないわけではない――。婚約者とデパートの宝飾売場に出かけた僕は、ある女の子と出会う。真帆と名乗った彼女の誕生日にホテルの一室で、祖母そして父親との奇妙な思い出話を聞く。その思い出を辿り富山の港町に旅立つのだが……。理屈抜きに惹かれる女性に導かれ、過去と現在、ネガとポジが入れ替わるひと夏の旅に出る物語。
-
5.0デパートの宝飾売場に出かけた僕は、ある女の子と出会う。真帆と名乗った彼女から、祖母そして父親との奇妙な思い出話を聞く。その思い出を辿り富山の港町に旅立つのだが……。過去と現在、ネガとポジが入れ替わるひと夏の旅に出る物語(「サマートリップ」)。表題作ほか、青春の追憶と哀しみを描く「いない」、絶望が忍び寄る街で希望を求める男女を描いた「はじける」など恋愛にまつわる二作を収録。
-
3.0元祖・国際恋愛! 彼らの愛は国境を超えることができたのか? 時は明治。留学先の異国の地で恋に落ちた九人の日本男児。彼らは異文化の壁にどう立ち向かったのか? 結ばれた者、結ばれなかった者。ドイツ、イギリス、アメリカへ渡った向学心に燃える若者たちの波瀾万丈な恋物語。
-
4.1
-
3.0
-
3.5
-
4.0
-
3.8「アルピニスト」野口健は怪物か、それとも善意の活動家か。知られざる実像に迫るノンフィクション。10年にわたり野口のマネージャーを勤め、辞めた後は精神科病院に入院までした著者。野口の半生で語られてこなかった橋本龍太郎、石原慎太郎、小池百合子ら政治家との関係を描き、エベレスト清掃活動の意外な動機を解き明かす。角幡唯介、佐々涼子氏推薦!
-
-
-
-日本を代表する知識人のひとりとして、非常に広い分野の著作を残し続けてきた吉見俊哉。その業績は、各分野の研究者たちに多大な影響を与えてきた。2023年3月に東京大学を退官するにあたり、これまでの学問遍歴を振り返る「特別ゼミ」を実施。都市、メディア、文化、アメリカ、大学……著者が探求し続けた5つの論点を、かつての教え子たちと徹底討論。そこから浮かび上がった、戦後日本社会の本質とは。1か月で15万回再生を記録した最終講義「東大紛争1968-69」の完全版も収録。 【目次】 前口上 吉見俊哉とは誰か(吉見ゼミ 門下生有志) 序 章 演劇から都市へ――虚構としての社会 第一章 都市をめぐるドラマ・政治・権力 第二章 メディアと身体――資本主義と聴覚・視覚 第三章 文化と社会――祝祭祭と権力 第四章 アメリカと戦後日本――帝国とアメリカ化 第五章 都市としての大学――日本の知の現在地 終 章 東大紛争 1968-69
-
3.4