野口健のイメージは、こんな感じ。(昔著書一冊読んだので、生い立ちや登山家になるまでもだいたい知っていた。)
自己PRが上手くて、無名の時からスポンサーをどんどん自力で見つけ、若くして登山家として成功。
エベレストや富士山でゴミの回収活動なんかもしていて、それ自体は素晴らしい。だが、どこか胡散臭い感じ
...続きを読むがしてしまうのは、政治家として出馬するという噂が何度も出ること、政治家との交友をアピールしていたことと無縁ではない。
ネットで悪い噂も見たことがある。
登山家というストイックなイメージとは相容れない華やかさ(自己顕示欲)と野心がありそうな感じ。
それらの印象の理由がこの本でよくわかった。
これは野口健の暴露本でもなければ、実はヨイショしている本でもなく、著者と野口の殆ど恋愛のような付き合いを描いた本である。野口だけでなく著書自身の醜い部分も恥ずかしい部分もさらして書いている。そうでなければここまで心を打つものは書けなかったと思う。
そして野口が、欠点も大きいがやはり人間として魅力的であるということがわかる。心を鷲掴みされてしまう人は著書だけではない。本当に打算的利己的であれば、いずれ人は離れていく。しかし、何度も戻ってしまうというのは、それだけではないからである。
その摩訶不思議な魅力もよく伝わる。
服部文祥の「3.5流」発言、栗城史多との共通点と違いについてなどもきちんと検証している。
人間の業を描いた、素晴らしい本だった。