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理想の国へ 歴史の転換期をめぐって
コロナ禍、ロシアのウクライナ侵攻……人類史レヴェルの危機に直面し、私たちは正念場を迎えている。今こそどんな未来を選び取るのかが問われているのだ。この歴史の転換期にあたり、天皇論や三島由紀夫論など対話を重ねてきた二人の知性が、新たな日本のアイデンティティを模索した。蔓延する「日本スゴイ」論を、鍛え抜かれた言葉と思索の力で徹底検証。将来世代のことを視野に入れ、環境、ジェンダー、平和など、あくまで理想を追求し続けるために我々は何をなすべきか、国を愛するとはどういうことかをラディカルに問うた「憂国」の書。 なお本書の元となった対話は、平成の天皇(現・上皇)が退位を宣言した後の二〇一九年一月、コロナ禍中の二〇二〇年八月および二〇二一年三月、そしてロシアのウクライナ侵攻最中の二〇二二年四月に行われた。 -
敗れても 敗れても 東大野球部「百年」の奮戦
二〇一九年に「創部百年」を迎えた東大野球部は、日本野球のルーツというべき伝統を誇る。戦火の中、沖縄に消えた英雄や、「赤門旋風」の主役たち、150キロ左腕宮台康平らへの徹底取材を通じて、謎を秘めた集団を解剖する。野球の「本質」と、ひとつの目標に向かってひた走ることの「価値」を思い出させる渾身のルポルタージュ。解説 桑田真澄 -
読売新聞 朝刊一面コラム 竹内政明の「編集手帳」傑作選
体調不良により、読売新聞朝刊一面コラム「編集手段」の執筆を退いた竹内政明氏の最後のコラム集。勝った人より「負けた人」に、幸せな人より「日の当たらない人」に寄り添い、人々の心の襞に分け入る当代きってのコラムニストによる自選121編の「傑作選」と、ラクレ未収録分30編を収録。「泣けるコラム」で多くのファンを魅了してきた竹内氏の珠玉の作品集。 -
現代中国の秘密結社 マフィア、政党、カルトの興亡史
天安門事件、新型コロナ流行、香港デモ、薄熙来事件、アリババ台頭、孔子学院――。激動する国家にうごめく「秘密結社」を知らないで、どうやって現代中国がわかるのか? 清朝に起源を持ちいまなお各国に存在するチャイニーズ・フリーメーソン「洪門」、中国共産党の対外工作を担う「中国致公党」、カルト認定され最大の反共組織と化す「法輪功」など。大宅壮一ノンフィクション賞作家が、結社の行う「中国の壊し方」と「天下の取り方」に迫り、かれらの奇怪な興亡史を鮮やかに描き出す。 -
動物園・その歴史と冒険
人間の野望が渦巻く「夢の世界」へようこそ。動物園は、18世紀末のヨーロッパに誕生した。しかし珍種を集めて展示する「動物コレクション」は、メソポタミア文明に遡るほどの歴史をもつ。近代に入ると、西洋列強は動物を競って収集。動物といっしょに「未開人」まで展示し人気を集めた。果ては「恐竜」の捕獲や絶滅動物の復元計画も登場。異国風建築から、パノラマ、サファリ・パークやテーマ・ズー、ランドスケープ・イマージョンまでのデザインの変遷をたどりながら、動物園全史と驚異の冒険譚を描き出す。 -
海軍応用戦術/海軍戦務
「自分が最も奉公したのは戦略・戦術ではなくロジスチックス(戦務)である」。海軍という巨大組織を十分かつ効率的に運用するためのマニュアルの全貌が明らかに。前巻に続き、戦略と戦闘の関係、勝敗と戦果について述べた「海軍応用戦術」、艦隊の令達、通信、偵察警戒といった任務の規範を示した「海軍戦務」、演習の手順を示した「同別科」を収録。 目次 海軍応用戦術 緒 言 第一章 総 説 第一節 戦略と戦闘の関係 第二節 戦闘の目的及種別 第三節 戦闘の勝敗及戦果 第四節 戦闘に於ける攻撃の正及虚実 海軍戦務 緒 言 第一章 令 達 第一節 令達の種別 第二節 令達の要義 第三節 令達の文法 第二章 報告及通報 第一節 報告及通報の種別 第二節 報告及通報の要義並文法 第三章 通 信 第一節 通信法の種類 第二節 通信線の系統 第四章 航 行 第一節 航行の種別及要義 第二節 航行の方法 第五章 碇 泊 第一節 碇泊の種別及要義 第二節 碇泊の方法 第六章 捜索及偵察 第一節 捜索及偵察の要義 第二節 捜索の種別及方法 第三節 偵察の種別及方法 第七章 警 戒 第一節 警戒の要義 第二節 航行中の警戒法 第三節 碇泊中の警戒法 第八章 封 鎖 第一節 封鎖の種別及要義 第二節 封鎖中の警戒法 第九章 陸軍の護送及揚陸掩護 第一節 護送及揚陸掩護の要義 第二節 護送の方法 第三節 揚陸掩護の方法 第十章 給 与 第一節 給与の要義及品目 第二節 給与の種別及方法 (附録) 艦隊戦務用図書の分類 海軍戦務 別科 演 習 第一節 演習の目的及要義 第二節 演習の階級及其範囲 第三節 演習の計画及実施 第四節 演習の審判及講評 -
駅名学入門
2020年3月開業の「高輪ゲートウェイ」で一躍注目を集めた駅名。日本の駅名とは、そもそもどういうものか。明治以来の歴史的変遷から浮かび上がってくる、思想、そして社会的・政治的・文化的背景とは。さらに、カタカナ・ひらがなを多用した「キラキラ駅名」はいかなる文脈から発想されるのか。駅の命名メカニズムを通して、社会構造の変化や地名との関係、さらに公共財としての意義や今後のあり方を展望する。多くの発見と知的刺激に満ちた本。 -
番記者が見た新天皇の素顔
2019年5月1日、第126代天皇に徳仁親王が即位。憲政史上初めての、先の天皇の生前退位による代替わりである。新天皇のこれまでの道のりは決して平坦なものではなかった。お世継ぎのプレッシャー、今に続く雅子さまの「適応障害」、愛子さまの不登校、先の陛下とのコミュニケーション……。これらの課題に新天皇はどのように向き合ってきたか。間近で見てきた元「番記者」が、印象的なエピソードとともにその素顔に迫る。 目次 第一章 新天皇の素顔 第二章 オランダ静養 第三章 ご結婚 第四章 天皇への道 第五章 山とジョギング 第六章 発言にのぞく思い 第七章 水問題 第八章 皇太子時代の仕事 -
安彦良和の戦争と平和 ガンダム、マンガ、日本
『機動戦士ガンダム』の生みの親の一人であり、マンガ家として歴史や神話を題材にした傑作を世に問うてきた安彦良和。『宮崎駿論』などで注目される気鋭の批評家が20時間にわたって聞き取った、『機動戦士ガンダム』の神髄とマンガに込められたメッセージとは? 2019年は『機動戦士ガンダム』テレビ放送開始から40周年。戦争・歴史マンガの多彩で豊饒な作品世界、日本の歴史、あの戦争、いまの社会――。40年を超える、過去から未来への白熱討論! -
とちりの虫
昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係しており、これは私には、ただの偶然とはとても思えない。――阿川弘之 私が仕事にかかるふりをしていると、襖がすこしずつ開いて、その隙間から嘲けるような笑いをうかべて、彼はじっと窺っているのである。私もそっと彼の部屋をのぞくと、安岡は布団の上に寝そべって天井を眺めながら鼻毛をぬいているのであった。――遠藤周作 浪人三年、落第一年、秋風がふくと終わらない夏休みの宿題を想い出してゾッとする。出がけには必ず忘れものをし、約束の時間を一時間まちがえてウロウロ。泥棒に入られれば何も盗まれるものがなく警察に困惑され、文学賞の授賞式では緊張してシドロモドロになる。どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい――青春時代をユーモラスにつづる自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によるエッセイを新たに収録。〈解説・中島京子〉 -
遥かなる山旅
山に登り、自然の中に身を置くことで、自らとの対話を続けた思索家の、山エッセイ・ベストセレクション。「何故人は山へ登るのだろう」という問いかけに始まり、山行きの持ち物から記憶に残る思い出の山々、詩篇まで、四十六篇を収録。『山歩きの愉しみ』改題。〈編・解説〉高丘卓 【目次】 I小前奏曲 孤独な洗礼 II 身支度 輪かんじき 道具 バドミントン・スタイル 時計と高度計 手帖 画帖 絵具 地図 乗車券 歩き方初歩 夏の山で気をつけること 山の灯 下山術 登山者と山の本 III 山想 春蘭 光と水の戯れ 波 霙の降る林 高原の夕映え 暁の星 山と老人 IV 山の博物誌 山の博物手帖 山に棲む虫 冬の手帖 春の手帖 夏の手帖 秋の手帖 岩上の想い 雪崩の音 山上の初光 静かな流れのほとり V 心の山 上高地の今昔 小海線の車窓 上信越の山と峠 鳥海山 和山の宿 雨飾山 穴あき沢 関東の山々 北海道の山 北穂高岳 小黒部谷遡行剣岳 意地の悪い山案内 VI 詩篇 山頂 氷の岩峰 -
食の人類史 ユーラシアの狩猟・採集、農耕、遊牧
人は食べなければ生きていくことはできない。人類の歴史は、糖質とタンパク質のセットをどうやって確保するかという闘いだった。今では、西洋では「小麦とミルク」、東洋では「コメと魚」のセットとして摂取されることが多いが、山菜を多食し、採集文化が色濃く残る日本のように、食の営みは多様である。本書は、ユーラシア全土で繰り広げられてきた、さまざまな生業の変遷と集団間の駆け引きを巨細に解読する。 -
麦酒伝来 森鴎外とドイツビール
これからのビールはドイツビールだと人びとに信じさせる強力なオピニオンが流布されたのではないだろうか。そして、このオピニオン・リーダーがドイツ帰りの皇族、貴族、高官、学者、それに留学生たちであったと仮説を立ててみました。とくにその中核となったのが、鴎外をはじめとする留学生たちだったと考えたのです。(本文より) 横浜の外国人居留地に輸入された英国産エールに始まり、留学エリートたちによってドイツびいきへ、そして国産の開始――日本人はどのようにビールを受け入れ、発展させてきたか。鴎外『独逸日記』に見る当時のオクトーバーフェスト、乃木希典の一気飲みのルーツなど、エピソードを交え、長く生産・開発に専従してきた著者が語る日本ビール事始め。 -
古代史疑 増補新版
邪馬台国をめぐる論争点を詳述し、独創的推理によって大胆な仮説を提示した清張古代史の記念碑的著作。牧健二、上田正昭、佐原眞、井上光貞との貴重なシンポジウムを初収録。 -
沖縄現代史 米国統治、本土復帰から「オール沖縄」まで
太平洋戦争中、地上戦で20万人強の犠牲者を出した沖縄。敗戦後、27年ものあいだ米国統治下に置かれ、1972年に本土復帰を果たすが、広大な基地は残された。復帰後の沖縄は保守と革新が争いながら政治を担い、「基地依存経済」の脱却を図る。 だが1995年の米兵少女暴行事件を契機に「島ぐるみ」による、2010年代には普天間基地移転・歴史認識をめぐり、保革を超えた「オール沖縄」による要求が国に行われるようになる。本書は、政治・経済・文化と、多面的に戦後沖縄の軌跡を描く。さらには中国の台頭による複雑化する沖縄の人々の基地感情も記す。 -
江戸の温泉三昧
草津では小林一茶が江戸との往復時にたちより、俳句を詠んだ。一茶自身湯治が好きで覚え書きや感想を残している。また熱海を訪れた中級武士たちは新鮮な海の幸に感激してグルメ三昧、弁当を持って寺社詣でに出かけた。道後・有馬などの大歓楽地では、小金のある連中が名産・名物を買い漁り……。古代の湯浴みに始まり、江戸期に急速に広がった温泉文化の有り様や魅力を語る。 -
日本怪談集幽霊篇
幽霊は実在するか? 現代の科学は、もちろん幽霊の存在を認めていない。だが、古来、多くの日本人が同じような体験をしてきたのには理由があるはずだ。日本人の集団感覚を浮き彫りにする「幽霊体験資料集」。上巻にはマボロシ、人魂、生霊など「魂と肉体の遊離」についての例話、幽霊屋敷、浮かばれない霊などを集める。 197ページ -
ヴァンダル興亡史 地中海制覇の夢
五世紀中頃、地中海に君臨したヴァンダル族。移動と戦いに明け暮れ、六世紀半ばに東ローマ帝国に滅ぼされるまでの足跡を、民族大移動の流れの中に活写。 -
高専―戦後日本のエンジニア養成
高等専門学校(高専)は、五年制の高等教育機関である。 実験・実習を重視し、技術者の養成を目的とする。 1962年に誕生して以来、現在は50校以上を数え、卒業生は製造業、建設業からIT産業まで広く活躍している。 ユニークな教育システムはモンゴルやタイ、ベトナムで導入されるなど、世界的に注目されている。 本書では文部省や産業界、大学、短期大学、地方自治体が絡む高専の歴史を辿り、その実態と課題を摑む。 ■目次 はじめに産業立国を目指した日本の歴史の一断面 序章 戦前・戦後の技術者養成機関――一九四〇年代 1 戦前の教育制度と技術者教育 複線型の教育制度/戦前の技術者養成を担った高等工業学校/高専につながる学校 2 一九四七年、新制大学の成立 単線型の教育制度へ/新制大学と一般教育/技術者養成に不向きな新制大学 第1章 技術者養成をめぐる激論――一九五〇~六〇年代前半 1 高度経済成長と教育改革 高度経済成長期の大学定員拡充計画/新制大学制度への反発/産業界による五年制の高等教育機関要求/大学の研究・教育環境の悪化 2 短期大学改革と専科大学法案 中央教育審議会での短大改革案/短大と大学の対立/廃案となった専科大学法案 3 産業界の要望と大学の抵抗 文部省の考える科学技術教育/一般教育重視への批判/暗礁に乗り上げる第一五特別委員会 4 高専設置――文部省主導の折衷案 高専制度案の登場とその内情/池田勇人内閣の焦り/妥協としての高専制度/高専制度の成立/文部官僚による制度設計 第2章 量的拡充の時代――一九六〇年代 1 全国各地の誘致運動 地域振興の論理/一期校の誘致運動/公立高専/私立高専/渋滞する新設校/開校ペースの鈍化/誘致にまつわる地元負担/池田勇人内閣と高専 2 手探りの開校準備 初の入学試験/開校の準備/カリキュラム・教員組織の形成/恵まれた就職事情/商船高専の成立 第3章 充実と安定の時代――一九七〇~八〇年代 1 社会的要請に応えて 電波高専の成立/文部省の方針転換/幻の医学高専構想/学科拡充「一巡目」と制度的安定/地域社会との連携/情報通信と材料分野の需要/高校からの編入学/外国人留学生の受け入れ 2 卒業生の進路確保 初期の大学編入学/技術科学大学の設置/大学編入学後の学生生活/求められる教養 3 高専独自の課外活動 高専体育大会/ロボットコンテストなどによる教育活性化/課外活動で広がるつながり 第4章 多様化の時代――一九九〇年代 1 柔軟化する制度――非工学系分野への進出 高等教育改革/専科大学構想の挫折/大綱化によって高まる自由度/非工学系学科の設置と札幌市立高専/外部評価の導入 2 教育期間の延長――専攻科の設置と大学との関係 専攻科と高まる進学率/本科卒業生の称号問題/専攻科修了生の学士号/JABEEによる国際基準の審査 3 研究者としての高専教員 多岐にわたる校務/研究費と科研費/高専教員の人事 第5章 独法化とブランド化――二〇〇〇年代 1 中央の統制強化高専機構の設置 沖縄高専/行政機構改革と高専機構の発足/高専機構と各校の関係/法人化の功罪 2 ブランド戦略――文科省・高専機構の試行錯誤 「高度化再編」/結び付きの強化/多様化とグローバル化/文科省の考えるこれからの高専 おわりに――技術者養成はどこに向かうのか 政治と大学による翻弄/日本の高等教育の行方 あとがき 図版出典 参考文献 高専略年表 -
獅子座、A型、丙午。
鈴木保奈美が綴る 思春期の子育てと、女優のとほほな日常 74編 子育てして女優も続けて完璧ですねと言われてびっくり。 両立しているのか、できているのかわからない。 深夜のママ友グループラインで展開する介護の話。 お弁当最後の日は子離れの日。 キャンドルライトじゃメニューが読めず、老眼鏡を買う。 トホホとユーモアに満ちた女優の日常を綴る 初めてのエッセイ集。 〈巻末対談〉三浦しをん ――――――――――― 初めの頃は起承転結に気をつかい、しかも相当カッコつけている。いやいやお恥ずかしい。慣れるにしたがって、オチがなくてもいいや、ええい思ったまま書くぞ! って勢いになっている。(中略) うずまく感情を整理することで、書くことが自分にとっての精神安定剤のようになってきた。(単行本 あとがきより) -
江戸一新
首都焼失――その時、幕閣のトップは何をしたか? 明暦3年(1657)1月、江戸が燃え尽きた――。「明暦の大火」である。 日本史上最大、世界史的に見ても有数の焼失面積と死者数を出したこの大惨事からの復興に立ち上がった男がいた。代官の息子に生まれながら、先代将軍・家光の小姓から立身出世を遂げた老中・松平伊豆守信綱。その切れ者ぶりから〝知恵伊豆〟と呼ばれた信綱は、町奴の長兵衛に現地調査を命じながら、「江戸一新」に乗り出した。 叩き上げの天才政治家が老中会議で熱く議論し即決、遅滞なく推し進めたのは、現代の東京に繋がる「大江戸」への建て替えだった。 目 次 第一章 大火発生 第二章 復興開始 第三章 米の値段 第四章 復興景気 第五章 抗 争 第六章 大移動 第七章 討ち入り 第八章 遷 都 〈解説〉内田剛 -
大大阪という神話 東京への対抗とローカリティの喪失
一九二〇年代から三〇年代、大阪市は「大大阪」と呼ばれ、人口で東京を抜き、日本最大の都市として存在感を際立たせていた。しかし、大大阪は、中央の東京に対抗することで、むしろ独自性を喪失していく――。本書は、大衆社会におけるラジオ、吉本興業、職業野球、宝塚歌劇など多様な切り口を通じて、その軌跡を追う。「大阪らしさ」の源流を描き出しながら、現在まで続く日本社会の均質性の問題を照らす試み。 目次 まえがき 序 章 大大阪が隔てる二つの世界 第1章 大阪放送局始末記――「既得権益打破」が生んだもの 1 放送の主導権を奪え!――新旧実業家たちの攻防 2 大電買収事件――大阪放送局の前哨戦 3 日本放送協会へ――そして官僚支配だけが残った 第2章 ラジオが夢見た国民文化――均質な言語空間の創造 1 声の中央集権化 2 BKが夢見た「完璧なコミュニケーション」 第3章 吉本は「大阪的」か?――「大衆」の発見と「大阪」の没落 1 吉本と「大衆」の出会い 2 漫才は「大阪人」のためにあらず 3 漫才のメディア論 第4章 職業野球とタカラヅカ――見世物としての近代 1 阪急文化圏とはいかなる場所か? 2 職業野球の源流――西洋文化と武士道のキメラ 3 見世物か? 教育か?――職業野球と宝塚歌劇の共通性 終 章 文化的であること、放置すること あとがき 主要参考文 -
私説昭和史
昭和とは何だったのか? 関川氏の一連の作品は、この問題を考えるヒントに満ちている。 本作で描写される「戦後」は、貧困に苦しみつつ、つねに明日を信じて努力した時代であった。一瞬の光芒を放ちながら、やがて輝きを失い、うつろな社会へと変貌していくその短い青春の時間を、著者自身の経験に拠った、一人称視点の主人公によって織りなされる小説と、時代を映したベストセラー(『山びこ学校』から田中角栄『私の履歴書』まで)の評論で、交互に照らし出す。 巻末には、「自著解説」を新たに書き下ろす。 「私説昭和史」三部作の第一弾。 -
地図と愉しむ東京歴史散歩
戦前の地図では、皇居はほとんど空白地として描かれてきた。戦後の地図にも、不可解な地形が表示されている。わずかに残された地図と空中写真を手がかりに、皇居の建物・地形の変遷を追う。さらに、二三区内にたくさんあった飛行場、開通しなかった新幹線の痕跡、東京駅の場所にかつて存在した刑務所、テニス・コートや学校に生まれ変わった射撃場など、東京に残る近代化の名残を新旧の地図とカラー写真で訪ねる好評第二弾。 -
赤ちゃんポストの真実
慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」は“命を救う”という理念のもと、理解を広げてきた。だが、実際の運用は想定外の連続である。2023年3月までに預けられた170人。そのうち病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。さらに同病院は19年末、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」も導入した。そして近年では、別の団体が新たなポスト開設の構想まで公言し始めている。開設されて16年――赤ちゃんポストが日本社会に問いかけたものとは何か?「命」を巡るノンフィクション。 文庫化にあたり、慈恵病院が新たに始めた内密出産の現状や、関西、北海道、東京でポスト開設を試みる人々への取材など、近年の動向を大幅加筆。 -
国境を越えたスクラム ラグビー日本代表になった外国人選手たち
「何があっても日本以外の国の代表になるわけにはいかないと思った」。かつてリーチマイケルはそう語った。ラグビーは、代表選手の国籍を問わない。居住年数など一定の条件を満たせば、国籍と異なる国の代表としてプレーできる。多様なルーツを持つ選手たちは、なぜ「日本代表」となることを選んだのか。 最初期の留学生として来日したノフォムリ・タウモエフォラウやラトゥ志南利、ニールソン武蓮傳。外国人初の代表キャプテンとなったアンドリュー・マコーミック。日本の生活・文化に魅せられたというトンプソンルーク。成績優秀ゆえに留学生に選ばれ、ラグビーに関してはほぼ素人で来日したホラニ龍コリニアシ。韓国代表を断って日本代表を目指した金喆元。日本代表が憧れだったという具智元。そして、日本の高校・大学で受けた恩をラグビーで返したいと言ったリーチマイケル……。さまざまな選手がさまざまな背景を背負って、日本代表チームに集ってきた。 異文化の地で道を拓いた外国人選手たち、そして彼らを受け入れたチームメイトと関係者の奮闘があってこそ、今の日本代表がある。その歴史は、多様な人々との共生をさぐる日本社会とも重なってみえる。それぞれのライフヒストリーと、秘められた熱い思いをたどる -
ポストイクメンの男性育児 妊娠初期から始まる育業のススメ
改正介護・育児休業法により、男性育休の取得率公表、「男性版産休制度」の創設など、男性の育児に関する環境は、近年大きく変化している。現代では共働き世帯が70%ちかくになる中、男性育休取得率は13%にとどまっていたが、2023年春から大企業に育休の取得率公表が義務付けられるなど、さらなる法改正により一気に増加が予想される。 しかし男性が育児をするには、様々な問題点が存在し、孤立する父親は少なくない。悩む父親の一部が「男性の産後のうつ」として顕在化している例もある。 本書では、そんな父親たちが抱える悩みの発生源を辿り、今の時点で考えられる解決策、そして今後望まれる社会体制について、産婦人科医および産業医として多くのヒアリング経験を持つ筆者が綴る。 制度変革により「混迷の時代」となっている男性育児分野の「水先案内人」になる、そんな1冊です。 -
バレエの世界史 美を追求する舞踊の600年
バレエはルネサンス期イタリアで誕生し、今なお進化を続けるダンスの一種だ。当初、王侯貴族が自ら踊り楽しんだが、舞台芸術へと転換。観客も貴族からブルジョワジー、市民へと拡大する。十九世紀の西欧とロシアで成熟し、世界へ広がった。ダ・ヴィンチ制作の舞台装置、ルイ十四世が舞った「太陽」役、チャイコフスキーの三大バレエ、シャネルやピカソが参加したバレエ・リュス、そして日本へ――六百年の歴史を通観する。 -
数学と人間
「近ごろ数学がいろいろの所に顔を出すようになって、数学ぎらいの人々を困らせたり、うんざりさせているようだ。この本はそういう人々のために書いたいくつかの文章を集めたものである。どの文章も数学とはそれほど恐いものでも、また人間ばなれしたものでもなく、ただの人間たちが、何千年も昔から、寄ってたかってつくりあげた、きわめて人間くさい学問なのだ、という立場から書かれている。」(あとがきより) 数学の歴史や、数学のなかのいくつかの典型的な概念について、また、子どもも親もセンセイも悩ませる「集合」についてなど、平易でありながら本質的な数学論が語られる一冊。 『数学は変貌する』を改題、「数学と人間」「現代社会と数学の役割」「文科のための数学」の三篇を増補し、〈弔辞〉大岡信、〈追悼エッセイ〉森毅「異説遠山啓伝」を収録。 【目次より】 プロローグ 数学とはなにか 数学は変貌する――古代から現代まで 古代の数学 中世の数学 近代の数学 現代の数学 連続と不連続 数学の方法 分析―総合の方法 等質化の方法 操作的方法 「集合」おそるるにたらず 数学と人間 現代社会と数学の役割 文科のための数学 あとがき 弔辞(大岡信) 異説遠山啓伝(森毅) -
増補版 笑って生ききる 寂聴流 悔いのない人生のコツ
好評を博した金言集の決定版を約60頁の大増補!健康、夫婦、子育て、老い、人づきあい…あなたの悩みにそっと寄り添う、寂聴さんの熱いメッセージ。 作家として、僧侶として、瀬戸内寂聴さんはたくさんの名言を残しています。年齢を重ね、老いを受け入れ、周囲との人間関係や、家族のかたちも変わっていくなかで、私たちは、その言葉に心のよりどころを求めます。 本書は『婦人公論』に掲載された瀬戸内寂聴さんのエッセイ、対談、インタビューから厳選したものです。 私たちの気持ちに寄り添い、一歩を踏み出す勇気を与えてくれる瀬戸内寂聴さんの言葉を、この一冊にぎゅっと詰め込みました。 -
阿呆旅行
内田百閒「阿房列車」にあやかって、西へ東へディスカバー・ジャパン――。 行くなら冬、と思い立った網走番外地。旧正月ならぬ「旧の万博」、祭りのあとの大阪・千里。雲を見に、夕日を見に行く松江。心酔する百鬼園先生の古里、岡山・古京町……あの頃の日本が息づく大人の旅行記。雑誌連載中に急逝した内田百閒への追悼文「核心」を増補。〈解説〉宮脇俊三 [目次より] 精進落さず――伊勢 手鍋さげたり――長崎 白い墓地――網走 ととらく紀行――能登 留学事前――祇園 はずかしい旅――蒲原 うわの空旅――熊本 大阪さがし――大阪 とにかくハワイ――ホノルル・ラナイ島 牛歩随行――宇和島 おばこ、恙なきや――庄内 眩しかりけり――神戸 三景の末路――松島 わたしの城下町――松江・出雲 白い飛礫の――札幌 滾るまで――秋田 海内旅行――鹿児島航路 ああ名山――富士を見に行く 旅に病んで――高山 美しや毒の島――徳之島 百鬼園先生町内古地図――岡山 裸体写真撮影行――奥日光 北海わいん唄――池田町 細胞入替え旅行――ヤング京都 解説 宮脇俊三 巻末エッセイ「核心」 -
パリのパサージュ 過ぎ去った夢の痕跡
フランス革命直後からパリに陸続と生まれたガラス天井の通り抜けを、「パサージュ」という。オペラ座、パノラマ、グラン・ブールヴァール……時代ごとの街の名所に、パリ市民を導いてきた。夢と欲望が吹き抜けたパサージュの歴史は、パリ近代化の歴史でもある。現存する19のパサージュを、フォトグラファー鹿島直の写真で辿る新しいパリガイド。 【目次】 まえがきに代えて Ⅰ パサージュへ時間旅行の手引き パサージュの定義 パサージュガイド19の散歩路 01 ギャルリ・ヴェロ=ドダ 02 ギャルリ・ヴィヴィエンヌ 03 ギャルリ・コルベール 04 パサージュ・ショワズール 05 パサージュ・デ・パノラマ 06 パサージュ・ジュフロワ 07 パサージュ・ヴェルドー 08 パサージュ・デ・プランス 09 ギャルリ・ド・ラ・マドレーヌ 10 パサージュ・ピュトー 11 パサージュ・デュ・アーヴル 12 パサージュ・ヴァンドーム 13 パサージュ・デュ・グラン=セール 14 パサージュ・ブール・ラベ 15 パサージュ・デュ・ケール 16 パサージュ・デュ・ポンソー 17 パサージュ・デュ・プラド 18 パサージュ・ブラディ 19 アルカード・デ・シャン=ゼリゼ パサージュの歴史 Ⅱ パサージュ文学全集 失われたパサージュを求めて ギャルリ・ド・ボワ ギャルリ・ドルレアン パサージュ・ド・ロペラ(オペラ・パサージュ) パサージュ・デュ・ポン=ヌフ パサージュ・デュ・ソモン パサージュを読む パサージュ・デ・パノラマ パサージュ・ショワズール あとがきに代えて 文庫版のためのあとがき
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