エンピツ戦記 誰も知らなかったスタジオジブリ

舘野仁美 / 平林享子

『となりのトトロ』から『思い出のマーニー』まで。アニメーターとして、スタジオジブリの作品を支えた著者・舘野仁美による回顧録。
記憶の中にある宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサー、そして高畑勲監督、スタッフたちとのエピソードをつづる――。
文庫化にあたり、著者の新たな挑戦を書いた近況報告を収録。
〈序文〉鈴木敏夫〈解説〉万城目学

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内小説
• 出版社: 中央公論新社
• 掲載誌・レーベル: 中公文庫
• ページ数: 272ページ
• 電子版発売日: 2025年05月22日
• コンテンツ形式: EPUB
• サイズ(目安): 7MB

[ブクログ · ★★★★★]

ジブリ好きにとって、非常に面白いエピソードばかりだった。
アニメーターの仕事はこれまであまりよく理解できていなかったが、アニメーションの品質を作っているということが分かり、理解が深まった。名前を見かけたことがある方のエピソードが所々で出てきていたのも熱い。
今後、ジブリ作品をはじめ、アニメーション作品を観るとき、演技の部分により注目してみたいと思った。

[ブクログ · ★★★★★]

みんな大好きスタジオジブリ。その動画チェッカーであった舘野仁美さんの回顧録。

動画チェックという仕事の内容はよく知らなかったのですが、原画と動画を繋ぐ重要な仕事。上がってくる動画の補正や修正、原画マンや監督との間に立って動画スタッフと調整したりと、なかなか大変な仕事。「戦記」というタイトルも納得。

過去ジブリにまつわる製作記はいろいろあるし、NHKでもドキュメンタリーなんかにもなってますが、やはり監督にフィーチャーしたもので、現場の方にフォーカスしたものはあまりなかったのでは。宮崎駿監督や高畑勲監督など違った面が見れて面白かった。特に宮崎駿監督がやはり面白い。公園に飛んできた鳥の動きを見て衝撃の一言！気になるかたはぜひ読んで下さい。

長年ジブリで働いてきた人の目から見た制作現場の戦いの記録。おすすめです。

[ブクログ · ★★★★☆]

ジブリ作品は好きですが、スタジオの仕事はよくわかっておらず、この著者の動画チェックというお仕事の一端がわかりました。
とてもみずみずしいエッセイです。とはいえ、作品クオリティに妥協せず、時には板挟みになりながらも、いろんな人の間を取り持って邁進する様子は、何かすごく勇気づけられます。
そして若手アニメーターの育成に関わって行くようになるのも、アニメ業界の未来を作っていく人として、頼もしく思いました。
いろんな葛藤や悩みは生々しいですが、いろんな人との関わりの中で、助けられたり学んだりしながら、仕事って回っていくもんだよね、と励まされた思いもしました。
なんだか、明日も仕事がんばるかー、と思える本でした。

[ブクログ · ★★★★☆]

ジブリの制作の下支えからみる視点は新鮮で、ジブリ好き、アニメ好きさんだけでなく読みものとして多くの人にも楽しんでもらえる作品だと思う

[ブクログ · ★★★★☆]

『私は宮崎駿と鈴木敏夫のせいで結婚できませんでした』のほうが正確だと思います」
という著者のエッジの効いた&信頼関係の互いの垣間見える切返しにクスッとしながら読み始めたが、「スタジオジブリに嫁いだ」という表現が的を得ているなと感じの働き方をされてきたことが分かった。

自分がどう評価されるかだけじゃなくて、チームがよりよい成果を出すにはどう動くべきか考えて仕事をしたり、忙しい中でも後進の成長を考えたり、、個が尊重される今どきの価値観の中では、どちらかというと従来的な働き方なのかもしれないけど、私は社会人として純粋に憧れを感じた。40代以降にもし会社員のままだったらこんな感じになりたいと思った。

宮崎駿を筆頭に、数多くの「才能」で溢れていたであろうジブリ。その中にはこうして縁の下の力持ちになって、組織を円滑に回していた存在がいるんだなと改めて

[ブクログ · ★★★☆☆]

ジブリのアニメの作られる現場を知りたくて。門外漢なので、動画チェックのみの仕事があるんだ、から始まったけど、いろいろなお仕事エピソードを交えながらなので読みやすい。業種がまったく違う働く女性の体験談、「へー！」「わかる…」の繰り返しで面白かった。どんな仕事も、目に見えることの何十倍（何百倍？）の労力や苦労が裏にあるよね…

[ブクログ · ★★★☆☆]

クリエイティブな仕事をしていないからか、今一つピンと来なかった。
この本を読んで感銘を受ける人が、人を感動させる物語を作り出せるのだろう。

[ブクログ · ★★★☆☆]

大好きな映画の数々を世に送り出してきたスタジオジブリと宮﨑監督について興味があり、知ることができたのはもちろんだがアニメーションを作ることについても語られていて大変興味深かった。
特に評価される作品を作る裏側には能力があったり、個性を発揮できる人々が多々関わっていことに改めて気づかされた。

[ブクログ · ★★★☆☆]

ジブリと宮崎駿の話は大好きだ。

ジブリのドキュメンタリーなどを観ていると、
マネジメントの教科書的にはやってはいけないこと、言ってはいけないことを駿はやりまくっている。
「つまらない人生しか送ってこなかったからこんな絵しか描けないんだ」と言ってスタッフの描いた原画をゴミ箱に捨てる駿。
今の時代の普通の会社なら大問題になっているだろう。
でも、良い作品は出来上がる。

なぜこんなことができるんだろうとずっと不思議に思っていた。
この本を読んで、宮崎駿の周囲の人の顔が見えたように思う。
あたりまえだけど、宮崎駿だけで作品は作れない。宮崎駿の名前の影で、多くは名前を語られることのないスタッフひとりひとりの命を削った仕事がある。まさに、作品と宮崎駿と戦い抜いたスタッフの戦記だった。

[ブクログ · ★★★★★]

【スタジオジブリのアニメーションへの献身的情熱と愛情が伝わってくる！】
スタジオジブリが好きな方、そして『ハケンアニメ』が好きな方は必見かと思います。
今作のレビューに、「これはスタジオジブリの暴露本」とか書かれていたりするのを見かけますが…
私はそんなネガティブな作品には感じませんでした。
ただですね。
良いアニメを作るために、もっと言えば、宮崎駿監督の求めるジブリ作品を作るために、どれだけ自分が献身的に動けるか
これが書かれています。
この「献身的に」という部分が読む人によってはブラックだなと思われるかもしれません。
が、私は素直に
・より良い作品を作りたいというアニメーターとしての情熱や意地
・ジブリ作品への愛情
という意味で「献身的に」という表現を使っているのではないかと思いました。
作者もその点は、作中でも述べていますね。
「より良い作品を作りたいというアニメーターとしての情熱や意地」が、今回作者である舘野仁美のパワフルな動画チェック仕事の回顧録につながります。
それがクスッとなって、面白いんだなぁ～。
時々垣間見える、宮崎駿監督の驚き発言とかはもうニヤニヤは止まらない…！
ジブリ作品に思い入れがある方は、あの作品が生まれるとき、こんな試行錯誤や奮闘があったんだなと胸が熱くなるかもしれません。