橋本健二の一覧
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ユーザーレビュー
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ブルデューの理論を基に格差と階級に言及し、それを東京23区にあてはめているのが面白く感じた。
下町のジェントリフィケーションが進んでいく結果、経済的に豊かな人たちはますます新自由主義的な考え方を強め、経済的に貧しい人たちが空間的にも政治的にも追いやられてしまうという予測が著者によって提示されている
...続きを読む。
東京を「階級都市」でなく、著者が言う「混淆都市」にするために新中間階級の一員である自分ができることは、なるべく自分の集団から想定しにくい場所(≒らしくない場所?)に住んで、かつなるべく地域コミュニティとの接点を増やしていくことなのでないかと考えた。これにより、微力ながら社会空間の多様性を喚起するのに寄与できればと思った。
もちろん、多様性そのものが称揚されるべきものではないと思うし、綺麗事で済まされない軋轢が生まれることが容易に想定できる。ただ、それでも、終章で著者が提示している悲観的予測がそのまま当たってしまうのは悲しすぎるので、自分の立場でできることを生活の中で実践しようと考えた。
Posted by ブクログ
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階級ごとの説明が詳しくて、わかりやすい。
自分はここの階級だろうかと想像して読み進めたが、異なる階級の人とは普段暮らしていて接点がないものだと改めて自覚できた。
階級ごとの性別役割・軍備・中国韓国・外国人などへの考え方の違いも、こんなに大きいのかと驚いた。自民党のコア支持層のある種の安定感は、驚くも
...続きを読むのがある。
以外、備忘録的にまとめ。具体的でわかりやすい指摘ばかりだった。
・かつての仮説ともいえた、「労働者階級は格差是正を求め、平和を愛し、軍備を否定し、海外侵略の責任を認め、かつての侵略先の人々と友好的な関係を築いていく」という説は、いまは現実から離れている。
・労働者階級は、新中間階級、正規労働者、アンダークラスに分裂している。
・これらの層は格差を認識しているが、自己責任論を認めており、新中間階級と正規労働者は所得再分配政策を支持せず、アンダークラスに対して敵対的になっている。
・アンダークラスは、古典的な労働者階級と異なり、格差への不満と格差縮小の要求を持っているものの、平和への要求ではなく排外主義と結びつきやすくなっており、「誤爆」状態である。
★★アンダークラス、パート主婦、専業主婦、旧中間階級、そして新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派を、格差社会の克服という一点で結集する政治勢力が求められている。
・自民党の支持は強いが、排外主義と軍備重視に凝り固まった人に偏っているという弱点はある。
Posted by ブクログ
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日本は比較的格差が小さい社会である…というのはたいへんな誤解で、日本の貧困率は先進国の間でもたいへん大きく、また拡大し続けている。それは昨今始まったものではなく、1980年代頃から続いているものである。
本書はその日本の格差について、簡単な傾向や、調査方法・説明方法について解説したあと、敗戦後から2
...続きを読む015年ごろまでの流れを詳細に説明する。一部の説明が厳密に時系列ではなく行き来することはあったが、時代背景として当時の文化や事件に軽く触れたり、用語が比較的丁寧に解説されたりと、読みやすかった。
格差は小泉改革といった短期的な要因で語れるものではない、という触れ込みが冒頭でされているが、その小泉改革の評価について触れられていない点は気になった。他にもいくつか、背景にあった政策について解説が不十分な点があった (小渕内閣や民主党政権での変革については触れられているなど、解説されている部分もある)。とはいえ筆者は政治学者ではなく、語るのに難しい部分はあるかもしれない。結果として明確に存在する格差そのものについて戦後全体を俯瞰し、易しくも詳細に解き明かしている点で、素晴らしい書である。
格差問題の実態はほとんど知られておらず、注目されることも少なく、誤解されている部分も多い。社会の格差意識の変化が、格差構造や格差の大きさそのものの変化と連動していることもない。
非正規雇用が急拡大し「アンダークラス」が急増している昨今、格差問題がより市民に知られるところとなり、政治による解決が目指されることを期待したい。様々な人に勧めたい1冊。
Posted by ブクログ
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p202ほか 誤植かと思ったら、どうやら東西線の「南砂」駅だと思い込んでるみたい。門仲に住んでいたとのことなのになぜ…?
p220ほか 東海道線→京浜東北線のほうがよいのでは?
とはいえ全体的に大変興味深く読みました。猫も杓子も港区信仰の雰囲気が少しでも薄れるとよいですね。
Posted by ブクログ
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一般的に日本は中流家庭が多く、その上下に
少しの特別な家庭が存在すると信じられて
きました。
しかし現実は違います。
下流よりもさらに貧困層と言われる人たちが
存在して、その数は増え続けているそうです。
この本では、それを裏付けるデータをいくつ
も提示して現実を突きつけます。
しかも、このま
...続きを読むまの状態が続くのは社会に
とっても非常に危険なことであることに
警鐘を鳴らします。なぜなら海外の例を
あげるまでもなく貧困層はテロの温床になる
からです。
一方で誰もがアンダークラス
に落ち込む可能性があることも示唆します。
現在の「新しい階級社会」の構造では、
誰がアンダークラスに転落してもおかしく
ないと言えるからです。
現在の社会政策に一石を投じる一冊です。
Posted by ブクログ
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