あらすじ
新自由主義の台頭で日本社会に格差が定着した。非正規労働者層が誕生し、人口の三割が経済的理由から家庭を持つことができないという、膨大な貧困層を形成した。人々は格差の存在をはっきりと感じ、豊かな人々は豊かさを、貧しい人々は貧しさをそれぞれに自覚しながら日々を送る。豊かさの程度によって日本はすでに分断され、「新しい階級社会」が成立しているのだ。最新の調査データが物語る、現代日本の恐るべき現実!!
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Posted by ブクログ
アンダークラスは唯一激増している階級で構想に関わることができず労働に意味を感じること、やりがいを感じること、労働を通じて自己実現可能かが難しくなっている。
自分と違う立場にたってこの社会を見つめていきたい
Posted by ブクログ
階級ごとの説明が詳しくて、わかりやすい。
自分はここの階級だろうかと想像して読み進めたが、異なる階級の人とは普段暮らしていて接点がないものだと改めて自覚できた。
階級ごとの性別役割・軍備・中国韓国・外国人などへの考え方の違いも、こんなに大きいのかと驚いた。自民党のコア支持層のある種の安定感は、驚くものがある。
以外、備忘録的にまとめ。具体的でわかりやすい指摘ばかりだった。
・かつての仮説ともいえた、「労働者階級は格差是正を求め、平和を愛し、軍備を否定し、海外侵略の責任を認め、かつての侵略先の人々と友好的な関係を築いていく」という説は、いまは現実から離れている。
・労働者階級は、新中間階級、正規労働者、アンダークラスに分裂している。
・これらの層は格差を認識しているが、自己責任論を認めており、新中間階級と正規労働者は所得再分配政策を支持せず、アンダークラスに対して敵対的になっている。
・アンダークラスは、古典的な労働者階級と異なり、格差への不満と格差縮小の要求を持っているものの、平和への要求ではなく排外主義と結びつきやすくなっており、「誤爆」状態である。
★★アンダークラス、パート主婦、専業主婦、旧中間階級、そして新中間階級と正規労働者のなかのリベラル派を、格差社会の克服という一点で結集する政治勢力が求められている。
・自民党の支持は強いが、排外主義と軍備重視に凝り固まった人に偏っているという弱点はある。
Posted by ブクログ
格差を認識しているのは主にアンダークラス(負け組)であること。
“自己責任論”はアンダークラスが自分自身をさらに追い詰めてしまうイデオロギーであること。
“新中間階級”の親に育った子どもが“新中間階級”になれず、強い敗北感を感じていること。
女性は、結婚相手の階級に依存せざるを得ないこと。
書かれていた内容が、共感できることばかりで、
そして、誰にも言えなかったことばかりで、
言えたとしても、負け組同士で愚痴り合うことしかできなかったことばかりで、
なぜ、こんなに私たちのことをわかってくださるのだろう、と。
“アンダークラスの労働も評価されるべき。”
誰も言ってくれないことを、なぜ言ってくださるのだろう、と深く感銘を受けた。
Posted by ブクログ
「橘玲/言ってはいけない 残酷すぎる真実」を読んだ時と同じような気分になるが、良書、ただこれだけの分析が出来た上で、今後の対策がこれなのは現状の問題の深さをより深く感じました。
Posted by ブクログ
各階層の分断が進んでいる現状を各階層の認識調査を用いて説明しているので、わかりやすい。分断が進んで貧困層が見えずらくなっているのがよく分かる。
ただ、格差解消に向けた提案がなされている(ベーシックインカム、資産税など導入、固定資産税増税など)が、政策に興味を示すのは貧困層の人々ではないので、支持を得にくく、実現困難と考える。
個人的にも支持しない。
Posted by ブクログ
とても丁寧な本。統計数値を一つずつ確認して日本社会に存在する格差の姿を確認していく姿勢がとても几帳面で信頼感がある。その書き方ゆえに退屈な印象だったり、面白くないと感じるかもしれないが、こういうテーマなので丁寧さは欠かせないと思う。
そういう手順で導かれたのが、
「格差是正ー平和主義ー多文化主義の立場と、格差容認ー軍備重視ー排外主義の立場こそが、論理整合的な左派と右派の立場だと考えられてきたといっていい。」しかし「こうした構図はかなり崩壊している」。
ということだ。
つまり、社会の底辺で格差是正を求めるアンダークラスが、軍備重視・排外主義の傾向を示している。「ファシズムの萌芽?」とも表現されている。
後者の傾向を最も示しているのが自民党であり、ゆえにアンダークラスが反自民とはならずにいる。しかし自民党こそが格差容認を進めてきたのであって、そこにねじれがある。
このことを、感覚的な話ではなくデータをもって解きほぐしたのが本書の最大の功績かと思う。
Posted by ブクログ
資本家階級、新中間階級、正規労働者、アンダークラス、旧中間層に区分けして、多くのデータにより日本の就業者の状況を分析している好著だ.旧中間層は戦後間もない時期に最大の割合を占めていた農民層と自営業者層だが激減してきた.問題はアンダークラス 非正規労働者だ.5つの階層は2015年前後でそれぞれ 4.1, 20.6, 35.1, 14.6, 12.9%だ.新中間階級は、穏健保守、自民支持のコアグループ、リベラル派に分けられ、それぞれ 38.8, 14.4, 46.8%だとの分析が面白かった.格差社会の克服には、アンダークラスと新中間階級のリベラル派を結集する新しい政治勢力の形成が必要だとの主張があったが、今の政治家にはあまり期待できない感じだ.
Posted by ブクログ
各種調査をもとに、日本社会を「資本家階級」「新中産階級」「正規労働者」「アンダークラス」「旧中産階級」の五つの階層にわけて分析している。
階級によって、身長や体重が変わってくるのも意外だった。
(予想どおり、アンダークラスが一番うつ傾向が高い。)
「一般的にいえば、構想に関わる労働は、自らの意思を実現することのできるやりがいのある労働である。これに対して実行のみにかかわる労働は、人の手足となって行う労働であり、労働それ自体に意味を感じることが難しい。マルクスはこのような労働を「阻害された労働」と呼んだ。」
第5章の「女たちの階級社会」は17階層にわけて女性を分類しており、これは分析しづらそうだ、と思う。
階層間の移動が減り、階層が固定化されているという議論は予想どおりだったけど、アンダークラスの思想傾向が予想外だった。
他の階層では「所得再分配」と「排外主義反対」がむすびついているのに対し、アンダークラスでは、「所得再分配」と「排外主義賛成」が結びついているのだった。
「追い詰められたアンダークラスの内部に、ファシズムの基盤が芽生え始めているといっては言い過ぎだろうか。」という著者の懸念は納得できる。
Posted by ブクログ
今自分が置かれている状況、日本の状況が数字で書かれており、ある程度理解できた。今後の洗濯をする上で自分の立ち位置を少しは意識することができるようになったと思う。
Posted by ブクログ
現在の日本社会に格差があるのは明らか。
それも結構細分化された階層構造になっていると思うのだが、著者は客観的なデータをもとに検証し、格差・自己責任論・所得再分配をどう統合していけばよいのか、あるべき国の姿を提唱する。
そも格差ひとつとっても、格差などないんだとする層も一定数存在するのが現実だ。すでに格差は再生産されており、このままでいいはずがない。
Posted by ブクログ
所得格差に触れる本はたくさんあるが、これは世帯所得に対して男女による分析行うなど詳細なデータがあり説得力があった。今日の日本の問題である累進課税や消費税に関する問題による階級の継続性の考察は他の本とあまり差はないが、政治的思想の分析は興味深かった。自己責任論と格差拡大の認識、この2つは重要なキーワードとなる。確かに自分も自己責任論は支持する傾向にあったが、格差拡大の認識でその意識も変わった。これを政治的に反映できる政党があれば。。。
Posted by ブクログ
豊富なデータに基づき、現在の格差社会の現状を明らかにする。もはや、格差社会ではなく階級社会である。
アンダークラスに陥った場合、再び上昇することは難しい。無機質な数字が、恐ろしく見えてくる。
Posted by ブクログ
自己責任論
僕は否定しません。
チャンスが平等に与えられるなら結果の平等は危険と考えます。
でもAI化が進んでいくと過渡期に大失業時代が来てしまうんですよねσ^_^;
産業革命で労働者が仕事を奪われたとき壮年期にホワイトカラーへの再就職先があったか考えれば自明なことですσ^_^;
本書では
資本家階級
新中間階級(管理職等)
労働者階級に
旧中間階級(自営業者等)
の4階級から
労働者階級の下に
アンダークラスがあるとときます。
アンダークラスはいわゆる非正規雇用等です。
これを見ると労働者階級は管理職登用の芽がありますがアンダークラスに無いと言えます。
資本が無ければ旧中間階級にも移れないですし確かに格差が階級に固定化しようとしているのがよくわかります。
今後はホワイトカラーの仕事も激減するので
労働者階級も新中間階級も安穏と出来ないでしょう。
今もあるブルーカラーの仕事か
コミュニケーションの必要な一部の仕事か
自分の適正を見極めて準備をする必要があります。
銀行のAI化を見てると待った無しやと思います。
格差容認や自己責任論で所得再分配を否定する層が今後どうなるか
まあこの著者がよっぽど自民党がキライなんやなあということはわかりました。
リベラル派の結集って…
個人的には世の中それほど変わらないかと思いますσ^_^;
Posted by ブクログ
数字が多く中々難しかったが、最後まで読んで今の日本の階級、格差の現実、自民党の立ち位置がよく分かった。
自民党が政権にあり続ける限り、富裕層を優遇し、政治献金や組織票を手にし、そしてその見返りにまた富裕層を優遇するという循環は変わらないのではないだろうか。
それだけでは選挙に勝てないと分かり、一時的にばら撒きを行っているが、それだけでは根本的な格差解消にはならない。
ただ、著者は格差解消の為に富の再分配を挙げているが、高所得者から税金を多く取っても、それがきちんと格差解消の為に使われるという保証がない為賛成できない。
Posted by ブクログ
アンダーグラスという新しい下層階級の人たちを自己責任で片付けてよいのか、自分が良ければそれでいいのか。
アンダーグラスが増えることは将来的に自分たちにも何かしらの負担がのしかかる。他人事ではないのだ。
Posted by ブクログ
データとしてはとても面白い。政治的な質問もたくさんしていて興味深いものも多い。
著者の政治思想を載せてるのはまあいいんだけど、貧困層は政治の考え方が間違ってる、みたいな論調になってるのはなんだかなーと言う感じがした。ある意味で著者自身が自己責任論を後押ししてるのではと思った。
あと、貧困層はこの本読まないでしょ。
Posted by ブクログ
いろんな階級(と思われる)の人のアンケート分析が中心。アンケートの分析と考察はこう書け!という見本のようなものなので、読んでいてもあまり面白みがない。各種データ、グラフから読み取れることを書き連ねているので、「だからどうなの?」となってしまう。最後の処方箋的なものもいまひとつだった。
Posted by ブクログ
格差拡大を感じるものの、それは選択や努力の差の結果であり、自己責任として容認されてきた。が、労働者階級は正規と非正規に分離し、格差というより分断された階級社会といえる状況になってきている。
統計ベースゆえ女性を分離したデータがあまりないとのことですが、困った人を助けようという意識の高さは男性とは別次元。女性に力を持たせたなら、社会が変わると思いました。
Posted by ブクログ
格差社会と言われる日本には、新たに5つの階級構造があると筆者は言う。この階級は、格差容認や自己責任論によってなかなか解消はできない状態にある。筆者は最後に、格差縮小に向け3つの方法を述べている。1賃金格差縮小2所得再分配3所得格差を生む原因の解消
Posted by ブクログ
あなたは格差を認めますか?
明治時代になって、親の職業や身分を受け継がなくてよくなり、そうして生まれたのが、立身出世、モラトリアムだと、現代文の先生が教えてくれた。今、階級は固定化し、格差は広がるばかりだ。本当に?
筆者は収入や意識調査を用いて、格差の問題、格差是正になぜ動けないか、政治の問題を語っている。階級や格差について、またそこに属する人の思想について、思いこんでいることも多かった。自分はどこに属し、何を求めているのか。せめて、多くの人が幸せに生きてほしいとは思うけれど、万人が一致して求める政策は難しい。
富める者が自分の持ち物を分け与える痛みを受け入れられるか、貧しい者が努力すれば上に行ける希望を持てるか。現状を変えることに憶病になってはいけない。
Posted by ブクログ
直接的なタイトルに手が伸びやすい一冊だと思う。最近出版されているこの類の例に漏れず、個別のサンプルデータを統計的に処理した結果から見える状況の説明である。
本書の特徴としては、階級社会への議論を導く印として、女性を17種類に分けて、それぞれの特徴を細かく分析していることにある。確かに、これらの分析を読んでみてよくわかることがある。ただ、その分類は配偶者の立ち位置に強く起因していて、少し運命論的なようなところもあり、本当にそうなのかと疑うぐらいがちょうどいいかもしれない。サンプルデータというのはその切り方でどうにでも見せることができるという一面があるからである。
問題設定そのものは、これからの日本社会にとって非常に重要である。比較的余裕がある専業主婦グループが、非正規・アンダークラスグループよりも人数が少ないということも驚きであり、かつて日本社会を構成していた勢力は既に主力の座にはいないのである。
本書が提示する対応策については、これらの現状認識の下、建設的な策を模索してはいるものの、現時点においては打ち手が少ない結果になっている。ベーシックインカムなど以外になかなかこれといった方策が見つけられないでいる。それだけ厳しいということである。
Posted by ブクログ
格差の拡大、固定をデータで示す。
資本家階級、専門家・管理職、正社員の収入が増える一方、アンダークラスとされる非正規の収入は減少。かつての中間階級層であった個人事業主も、いまは貧困層に近い。だが時間の自由はあるので、生活の満足度は高い。
子は父親の出身階級になりやすい。
アンダークラスは親もアンダークラス、高等教育を受けず、学校でいじめられ、遅刻や不登校などの問題行動が多かった。そして支持政党もない。要するに、社会の動向に無関心。配偶者の有無や、夫の収入次第で、女性はとくにこの階級格差を受けやすい。
著者は解決策として、金融資産への資本税導入や、ベーシックインカムを推奨する。が、すでに手垢のついた解決策。
じつはこうした格差論が、階級出身者を見分けやすくしていて、高所得者層は低所得者層を遠ざけている要因になることもありうる。高価そうな車や服を着ているが、話したら教養がなくて幻滅されるなど。すでに中間層以上の親は、子どもに貧困層と接触させないために、公立の学校にも行かせず、エリート校が囲い込む。
この手の社会格差の論者は富の再分配を語るが、本当に必要なのは、高所得者にも気に入られる礼儀と教養なのである。その意味で教育は必要なのだが、教師の質が低いから駄目なんだろうな。