作品一覧

  • 赤ちゃんポストの真実
    4.0
    1巻1,034円 (税込)
    慈恵病院(熊本市)が開設した「赤ちゃんポスト」は“命を救う”という理念のもと、理解を広げてきた。だが、実際の運用は想定外の連続である。2023年3月までに預けられた170人。そのうち病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。さらに同病院は19年末、妊婦が匿名のまま病院で出産できる「内密出産」も導入した。そして近年では、別の団体が新たなポスト開設の構想まで公言し始めている。開設されて16年――赤ちゃんポストが日本社会に問いかけたものとは何か?「命」を巡るノンフィクション。 文庫化にあたり、慈恵病院が新たに始めた内密出産の現状や、関西、北海道、東京でポスト開設を試みる人々への取材など、近年の動向を大幅加筆。
  • 戸籍の現在
    -
    1巻220円 (税込)
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 (目次より) ●婚外子差別、選択的夫婦別氏、人権侵害…… 家族単位から個人単位の編製へ 二宮周平 ●民法改正で無戸籍問題は解決するのか 井戸まさえ ●赤ちゃんポスト、内密出産の課題 子どもの出自を知る権利を考える 森本修代 ●造り上げられた「家」の観念 日本人を呪縛する「戸籍意識」 遠藤正敬
  • 赤ちゃんポストの真実
    3.9
    1巻1,485円 (税込)
    誰も知らなかった赤ちゃんポスト。 やむなき事情で育てられない赤ちゃんを病院が匿名で預かる。その後、特別養子縁組を目指す。2007年に慈恵病院が開設したのが「赤ちゃんポスト」である。「命を救う」という理念のもと10年以上運用されてきたが、同病院に続く施設は現れない。法整備も進まない。内情を知ると一筋縄ではいかないことがわかる。 2019年3月までに預けられた144人中、病院が想定した早期新生児は76人。残りの約半数が、ある程度育った赤ちゃんだった。開設第一号は3歳児だ。障害児や外国人の赤ちゃんもいる。いずれも出産状況が分からないため医療者の負担も大きい。 大手メディアが美談として報じる一方で、こぼれ落ちた事実がある。ポストに預けるため熊本入りする妊婦がいる。育った子は「出自を知る権利」を持ち合わせていない。ドイツでは、ポストが乳児遺棄の減少に寄与していないという報告書も出された。 「匿名」という壁をこえ、地元記者が細い糸をたどるようにポストに預けた母、預けられた子を訪ねた。また数多くの医療・福祉関係者や熊本市長や県知事にもあたった。賛否ではなく、赤ちゃんポストが照射する「真実」をひたすら描いたルポルタージュ。

ユーザーレビュー

  • 赤ちゃんポストの真実

    Posted by ブクログ

    重いテーマのルポルタージュですが読み手を引き込む序章から始まり、著者の熱量が伝わってくる文章に加え全体の構成が秀逸だと思いました。おかげでテーマである赤ちゃんポストについても読みながら考えさせられ、良い本に出会ったと感じました。

    0
    2023年10月12日
  • 赤ちゃんポストの真実

    Posted by ブクログ

    大変興味深い内容だった。
    赤ちゃんポストのことはニュースで見て知っていて、無条件にいいものだと思っていたけれど、匿名で子どもを預けることができるという事は、子どもにとっては自分の出自を知る権利を奪われている事になるという指摘については、この本を読むまで全く思い当たらなかった。

    0
    2023年04月21日
  • 赤ちゃんポストの真実

    Posted by ブクログ

    「赤ちゃんを救う」という大義名分に思考停止していたが、実際どういう事が起きているのか、慈恵病院の医療関係者や実親、養親、そして子どもたちや行政のインタビューを通して見えてきた真実(の一部)。その匿名性から問題の解決が難しかったり、意図していた赤ちゃんではない子どもたちが赤ちゃんポストに置かれたり、棄児となった赤ちゃんの対応の法律的な壁、とにかくいろんな事実を自分が知らないことを見せつけられた。みんなお母さんのために、赤ちゃんのために動いている軸は同じ、ただその有効な手段を実行することの難しさ、、、
    まず自分ができることは、少なくとも身の回りのお母さんや赤ちゃんに優しくしようと思います。

    0
    2022年09月07日
  • 赤ちゃんポストの真実

    Posted by ブクログ

    この本に書かれているのは、赤ちゃんポストを題材にしたメディア論、ジャーナリズム論です。
    自分が得ている情報が、どれほど偏っているのかを知りました。日本は情報を自由に得られる国ではないと自覚しなければなりません。
    そして、赤ちゃんのことを考えるにあたって何より感じたのは、父親の不在です。父となる人がいなければ、妊娠することはあり得ないのに、産み育てることを考えるにあたって、この本の中に「父親」の存在はほとんどありません。世界の中で、日本は学校教育の水準は高く、学力の順位も高いのでしょう。ですが、命を大切にするということを学ぶ機会はどれほどあるでしょうか? 道徳の教科書に真の学びがあるでしょうか?

    0
    2022年01月12日
  • 赤ちゃんポストの真実

    Posted by ブクログ

    「赤ちゃんポスト」って、そのままにしていたら失われていたかもしれない命を救う崇高なものだと、報道や世論をそのまま受け取ってきたけど、この本を読んでその思い……というか思いというほどでもない……印象というべきか、が変わった。
    といっても、まったく逆に赤ちゃんポストに異議を唱えるわけではない。それでも、特に現地・熊本で直接かかわっている人たちにとって、あかちゃんポストはとても万能の解決策ではなく、赤ちゃんポストの開設によってさまざまな問題が生まれてきたともいえる。著者の書きぶりからすれば、ポストを開設した慈恵病院の蓮田太二理事長の独断専行のようにも思えるが、かといって子どもの命を救いたいという思い

    0
    2020年08月09日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!