森本修代のレビュー一覧
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「赤ちゃんを救う」という大義名分に思考停止していたが、実際どういう事が起きているのか、慈恵病院の医療関係者や実親、養親、そして子どもたちや行政のインタビューを通して見えてきた真実(の一部)。その匿名性から問題の解決が難しかったり、意図していた赤ちゃんではない子どもたちが赤ちゃんポストに置かれたり、棄児となった赤ちゃんの対応の法律的な壁、とにかくいろんな事実を自分が知らないことを見せつけられた。みんなお母さんのために、赤ちゃんのために動いている軸は同じ、ただその有効な手段を実行することの難しさ、、、
まず自分ができることは、少なくとも身の回りのお母さんや赤ちゃんに優しくしようと思います。 -
Posted by ブクログ
この本に書かれているのは、赤ちゃんポストを題材にしたメディア論、ジャーナリズム論です。
自分が得ている情報が、どれほど偏っているのかを知りました。日本は情報を自由に得られる国ではないと自覚しなければなりません。
そして、赤ちゃんのことを考えるにあたって何より感じたのは、父親の不在です。父となる人がいなければ、妊娠することはあり得ないのに、産み育てることを考えるにあたって、この本の中に「父親」の存在はほとんどありません。世界の中で、日本は学校教育の水準は高く、学力の順位も高いのでしょう。ですが、命を大切にするということを学ぶ機会はどれほどあるでしょうか? 道徳の教科書に真の学びがあるでしょうか? -
Posted by ブクログ
「赤ちゃんポスト」って、そのままにしていたら失われていたかもしれない命を救う崇高なものだと、報道や世論をそのまま受け取ってきたけど、この本を読んでその思い……というか思いというほどでもない……印象というべきか、が変わった。
といっても、まったく逆に赤ちゃんポストに異議を唱えるわけではない。それでも、特に現地・熊本で直接かかわっている人たちにとって、あかちゃんポストはとても万能の解決策ではなく、赤ちゃんポストの開設によってさまざまな問題が生まれてきたともいえる。著者の書きぶりからすれば、ポストを開設した慈恵病院の蓮田太二理事長の独断専行のようにも思えるが、かといって子どもの命を救いたいという思い -
Posted by ブクログ
熊本日日新聞の記者である筆者が「赤ちゃんポスト」の担当となり、取材を通して社会の一問題と向き合う中で抱いた疑問や葛藤を描いたルポタージュ。
「赤ちゃんポスト」の詳細を知りたくて手にした本だったが、読み進めてビックリ…反対派の方の書籍だった。記者としての真摯な姿勢や熱心な取材を通して提示される「真実」。「赤ちゃんポスト」が善意から生まれているだけに隠れてしまっている「真実」を解き明かそうと、記者として葛藤する姿が素晴らしかった。
赤ちゃんポストの賛否について考えさせられるのは勿論、社会の問題に向き合う一人の人間としての姿勢から、自身の考えを深堀りしてくれる本でした。 -
Posted by ブクログ
先日、本書にも出てくる、赤ちゃんポストに預けられた子第一号の人物が、実名を明かし顔を出して、養親と共にインタビューを受けた新聞記事を読んだ。同じタイミングで、いくつかの紙面やテレビにも取り上げられており、赤ちゃんポスト開設15年の節目だから、ということのよう。この男性は、3歳の時預けられ、今は18歳、当初は養育里親としての養親の元で養育を受けていたが、数年前に正式に養子縁組をしたそうだ。養親とは血のつながりはないことも、はじめからきちんと教えられ、実の子のように愛情深く育てられたことがとてもよく伝わってきた。そんな彼も、自分の出自に思い悩み、苦しんだ時期があったが、彼を赤ちゃんポストに預けた人