明治元年熊本に生まれ昭和17年に没した元陸軍軍人の残した手記。明治維新から敗戦までの期間の短さと明治人の気概が伝わってくる一冊は名著の予感。
全四巻中の一冊。あまり前知識なく読み始める。ロシア関係の諜報活動に従事した方らしい。
少年時代を故郷熊本で過ごし神風連の乱や西南戦争を体験、その後幼年学校
...続きを読むから陸軍軍人となり日清戦争に従事、対露諜報活動の必要性を痛感しロシアに渡るまでが第一巻。
作家でない一般人の作品ではあるが文章に情緒が感じられる。個人の資質かはたまた漢文に精通した明治人ならではなのか。
日本の歴史の中で明治維新ほど日本人の生活もメンタリティも変えた事件はなかっただろう。激動の中で中で生きていく没落士族そして薩長に負けない明治人の気概。
決して出版を望んだわけではなかった遺稿を遺族がまとめたものだとか。
4分の1通過時点で早くも名著の予感。