前作『さよならの向こう側』のその後を描いた、『生』と向き合う連作。
死んだ後に二十四時間だけ、現世に戻ることができる『さよならの向こう側』を訪れた人たちは、それぞれ死んでから自分や他人の『生』に向き合うことになるように思います。
戻れるのは二十四時間の間だけ。
会うことができるのは、自分が
...続きを読む死んだことを知らない人だけ。
その制限の中で、誰に会って、どこに行って、何をしたいのか。
前作に続いて提示される物語の中に、今回はサブタイトルの通り『I love you』という想いが強く紐づいています。
夏目漱石は「月がきれいですね」と訳し、二葉亭四迷は「死んでもいいわ」と訳したと言われる(本当は直接訳したものではないようですが)『I love you』を、自分だったらどう訳すのか。
その一つの答えとして最後に示された言葉が印象的でした。
人を愛するということは、その人のために生きるということ。そんな強く深い情を抱くことができる相手がいることを、少し羨ましく思います。
前作で登場したエピソードに触れたり、今作の中でも先に出てきた話の登場人物が再登場したりと、物語のつながりも楽しむことができる一冊です。
身近にいる人を大切にしたくなる、読後感の良いお話でした。