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Posted by ブクログ
≪あらすじ≫
幕末という大動乱期を生きた新撰組。隊士一人一人の生き様を描いた15編の連作短編集。
≪感想≫
この小説を初めて読んだのが中学生の頃。緑布カバーの司馬遼太郎全集に収められていたこの短編集を夢中になって一気に読み耽った記憶がある。大学生になった今、懐かしさとともに再読して思うことは、力のある小説というのは何度読んでも色褪せることなく、むしろ読み返すほどに深くその世界に引きずり込まれるということだった。
中学生の頃に一番好きだったのが「沖田総司の恋」という一篇で、若くして天才剣士と謳われた彼の純朴で人間味溢れるエピソードがとても気に入っていた。しかし今回読み返して一番心に残ったのが「胡沙笛を吹く武士」という話。守るべき人ができたことで鹿内薫という隊士に起こった心情の変化は、中学生の自分にはいま一つピンとこなかったのかもしれない。
第三者視点で描かれたそれぞれの章に共通してみられるのは、人間を動かす様々な感情と、その感情に動かされる人間像。近藤、土方、沖田などの中心人物だけでなく、あまり有名ではない隊士にまで焦点を当てた本作は、歴史小説というよりも彼らの人間性を中心に描いているように感じられる。
人間の本質というのはどんな時代も変わりないのかもしれない。だからこそ、人間心理を巧みに描いたこの小説は、時代を超えて評価されていくのだと思う。
Posted by ブクログ
「油小路の決闘」新撰組から離脱した伊藤甲子太郎(かしたろう)派の7人vsその抹殺を狙う新撰組40人の大乱闘を篠原泰之進を中心に描く。現代人と違った死生観・武士のダンディズムについて思う。
当時沖田総司よりも腕がまさると云われていた服部武雄の死に様がすさまじい。民家の門柱を背に腰に提灯を差して足元を照らしながら長物で敵を切りまくり、足元に死体を築き上げ、そのために動きがとれなくなって長槍でしとめられたという。こういうエピソードって頭で考えてるだけだと出てこないなぁ。
甲子太郎派の7人は、敵が40人以上待ち伏せしている事を分かった上で、油小路に晒された甲子太郎の死体を引き取りに出かけるのだが、「敵を討ってやる」というのでも、「なんとか奪い返そう」というのでもなく、はなから多数相手に勝ち目もなく全滅するであろうと知った上で出発する。
そして、具足を身につける仲間に対して「どうせ死ぬのに、具足をつけていたのでは卑怯者とそしられて潔くない。どうせ死ぬなら素肌の方が潔いだろう」「それもそうだな」と、あえて何も身につけずに出かける。伊藤に対して「死んでからまで手間をかける男だ」と思う。武士のダンディズムはすさまじい。
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