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弘法大師空海の足跡をたどり、その時代風景のなかに自らを置き、過去と現在の融通無碍の往還によって、日本が生んだ最初の「人類普遍の天才」の実像に迫る。構想十余年、著者積年のテーマが結実した司馬文学の最高傑作。
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Posted by ブクログ
空海の壮大な構想、旅が味わえます! 今まさに「菜の花忌『空海の風景』を読む」シンポジウム(東大阪文化創造館)に来ております。パネリストは磯田道史さんや澤田瞳子さん。楽しみです。 本を持ってくるのを忘れてしまいました。
完全な小説でもなくノンフィクションのドキュメンタリーでもないという難しいスタイルにもかかわらず、とても引き込まれました。本書を通じて題名通り空海がどういう人物であったか、空海がどういう風景を見ていたかということで、司馬遼太郎氏の執念のようなものを感じました。かすかな手がかりでさえ用いて空海がどういう...続きを読む人物であったのか、どのような人物に囲まれていたのかということで、司馬遼太郎氏の想像力の世界を通じてですが、空海の深奥な世界に引き込まれました。一気に読めます。
司馬さんは空海さんのことを本当に好きなんだなぁと感じました。空海さんの人物像を何とか知りたい描きたいという熱量が凄くて圧倒されました。
数ある著書の中でも、とくに司馬史感の強い作品。1000年の時を隔てた思想的巨人の生涯を辿る作風なため、幾分か作者の想像が入り込むのは当たり前のことだが、ただの想像にとどまらない。司馬遼太郎特有の縦横無尽の知識をふんだんに用い、かつ、なにより愛のこもったまなざしで頭中の空海を見つめ文を紡ぐので、読者の...続きを読む目の前に空海の見たであろう風景がありありと広がるのである。まったく「風景」と呼ぶにふさわしい作品だと感じた。 個人的におすすめの読み方は、Google mapsを片手に、文中に出てくる地名を逐次検索しながら読む方法。著者の特徴に、地名が詳細に記載されていることが挙げられる。空海は最初大陸のどの辺に漂流したのか、そこからどのような道筋で長安に向かったのか。この河を渡る際に、先に日本に帰る部隊と別れの儀を行ったのか、など、より鮮明にその風景を見ることが出来る。 下巻が楽しみ。
日本や中国の古い地名や名前、言葉が出てきて最初は読みにくいが慣れてくると興味深くどんどん読み進められた。 ただ、多用される「…であったことだろう。」という想像の話を想像と分かるように書かれている文体が気になるのと、同じことが何度も何度も繰り返し言われているような書き方には時々鬱陶しさを感じた。特に自...続きを読む分がどうでもいいなと思った登場人物を何度も何度も同じように深掘りされるとかなりしつこいと思った。薬子ノ乱のくだりなど。元々が雑誌の連載なのでこういうことになっているのだろうが、今読むと気になる。
かなり前に落語の枕で本書のことが語られていたのが頭に残っていた。近年になり四国八十八か所巡礼に別のきっかけから興味を持ち、本書を購入した。著者の他の歴史小説と違い、弘法大師・空海の生立ちを記者の目で見、一歩引いた立場で文章にしたという印象だ。したたかな人間としての空海を読むのは面白い。命を懸けて唐・...続きを読む長安へ行き、わずかな年数で帰国したことは知っていたが、彼の策略であろうことが容易に想像できてしまう。
小説というジャンルになるのでしょうか。タイトル通り、空海が見て聞いた風景が描かれています。空海が主役で一人称ですすで行くわけではなく、空海の風景を司馬遼太郎が描いている作品です。難解な感じが多く、時間がかかりますが、おもしろいです。
★4.5 司馬遼太郎氏の想像も混じえて描かれた空海は、非常に人間くさい。密教を分かりやすいように説明してある。上巻は、青竜寺の恵果を訪れるところまで。
一応小説ということになっているが、空海の生涯をなぞる評伝エッセイ的な雰囲気である。 まさに超人的だった(今にして尊崇を集めている影響力!)空海とはどんな人物だったのか、その辺りが浮き彫りになる味わい深い一書。
久しぶりに司馬作品を読んでみたが、これは氏の作品の中でも少しとっつきにくい方かもしれない。真言密教の祖空海の生涯を少ない資料を基に推測を交えて描いている。 上巻は讃岐に生を受けてから唐に渡り、密教を学ぶところまでである。私は仏教や密教の知識は全くといっていいほど無いが、現存している寺社仏閣において...続きを読む空海の伝えた影響がまだ色濃く残っていることがわかる。
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