新潮社の検索結果

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  • なめらかで熱くて甘苦しくて(新潮文庫)
    3.5
    少女の想像の中の奇妙なセックス、女の自由をいまも奪う幻の手首の紐、母の乳房から情欲を吸いだす貪欲な嬰児と、はるか千年を越えて女を口説く男たち。やがて洪水は現実から非現実へとあふれだし、「それ」を宿す人々を呑み込んでいく……。水/土/空気/火の四つの元素、そして世界の名をもつ魅惑的な物語がときはなつ生命の迸りと、愛し、産み、老いていく女たちの愛おしい人生。
  • おめでとう(新潮文庫)
    3.8
    小田原の小さな飲み屋で、あいしてる、と言うあたしを尻目に生蛸をむつむつと噛むタマヨさん。「このたびは、あんまり愛してて、困っちゃったわよ」とこちらが困るような率直さで言うショウコさん。百五十年生きることにした、そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし、と突然言うトキタさん……ぽっかり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景。
  • ここは私たちのいない場所(新潮文庫)
    3.6
    順風満帆な会社員人生を送ってきた大手食品メーカー役員の芹澤は、三歳で命を落とした妹を哀しみ、結婚もしていない。ある日、芹澤は元部下の鴫原珠美と再会し、関係を持ってしまう。しかし、その情事は彼女が仕掛けた罠だった。自らの運命を変えた珠美と会い続けようとする芹澤。彼女との時間は、諦観していた彼の人生に色をもたらし始める――。喪失を知るすべての人に捧げるレクイエム。(解説・中瀬ゆかり)
  • 世界のへんな肉(新潮文庫)
    4.0
    世界は広い。ところ変われば肉も変わる。訪れた国は100以上。日本では食べられない動物たちはどんな味? イランの恋する女子大生が大好きなヒツジの脳みそ。グアテマラのアルマジロはコラーゲンたっぷりでお肌プルプル。スウェーデンではサンタの友達トナカイを食べちゃった! 旅の楽しさは現地の食べものと人たちとの出会いにあり。ゆるかわなイラストと共に綴った、めくるめく肉紀行!(解説・丸山ゴンザレス)
  • 宰相A(新潮文庫)
    3.1
    揃いの国民服に身を包む金髪碧眼の「日本人」に、武力による平和実現の大義を説く黒髪の首相A。母の墓参に帰郷したはずが、「日本国」の違法侵入者として拘束された小説家Tは、主権を奪われた「旧日本人」の居留地に送られる。そこで自分と瓜二つの伝説の救国者Jの再来とみなされたTは、国家転覆を狙うレジスタンス闘争に巻き込まれていく。もう一つの日本に近未来の悪夢を映す問題作。
  • 図書準備室(新潮文庫)
    3.4
    なぜ30歳を過ぎても、私は働かず母の金で酒を飲んでいるのか。それはあの目に出会ってしまったから。中学の古参教師に告白させた生涯の罪を、虚無的に冷笑しつつ、不敵な価値転倒を企てる野心的表題作。級友たちの生け贄として凄惨ないじめの標的にされた少年が、独自の「論理」を通じて生存の暗部に迫る、新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を併録。気鋭の作家、鮮烈のデビュー作品集。
  • さだまさし 夢のかたみに(新潮文庫)
    -
    夢のように過ぎ去った愛に、いまいちどそっと心を寄せてみる。四季のうつろいの中にたたずんで青春のリリシズムを謳う。人と人とのかりそめのふれあいに人生の輝きを見る。――しなやかな感性と豊かな抒情が織りなすさだまさしの独自の世界。珠玉のソネット38編とライナー・ノートを収録する魅力のアルバム。 ※当電子版は新潮文庫版を底本として再編集したものです。文庫版に掲載の写真および「まさし あ・ら・かると」は収録しておりません。ご了承ください。
  • 伯爵夫人(新潮文庫)
    4.0
    ばふりばふりとまわる回転扉の向こう、帝大受験を控えた二朗の前に現れた和装の女。「金玉潰し」の凄技で男を懲らしめるという妖艶な〈伯爵夫人〉が、二朗に授けた性と闘争の手ほどきとは。ボブヘアーの従妹・蓬子(よもぎこ)や魅惑的な女たちも従え、戦時下の帝都に虚実周到に張り巡らされた物語が蠢く。東大総長も務めた文芸批評の大家が80歳で突如発表し、読書界を騒然とさせた三島由紀夫賞受賞作。(解説・筒井康隆 黒田夏子 瀬川昌久)
  • 決定版 妊娠レッスン―赤ちゃんが欲しいすべてのカップルへ―(新潮文庫)
    -
    「赤ちゃんは欲しいけれど不妊治療に踏み込めない」「不妊治療を受けているが妊娠しない」不妊に悩むすべての人に贈る“最も役に立つ妊活教本”。誤解や思い込みも多い「妊娠の仕組み」や「不妊治療」について正しく知り、心と体にやさしい、しなやかな妊娠力を身につけよう。口コミでロングセラーとなっていた名著を大幅アップデートした決定版。不妊の森で迷子にならないための必読の書。
  • ワンダフル・ワールド(新潮文庫)
    3.2
    アロマオイルを纏(まと)った肌をぶつけ合い、のぼり立つ匂い。調香師との情事は、私に長い愛人生活を終わらせる予感を抱かせた。あの光景を目にするまでは――(「アンビバレンス」)。年上の人妻経営者に持ちかけられた三か月間の恋人契約。俺に抱かれ、女の喜びを感じると話していた彼女は、なぜ突然いなくなったのだろう(「バタフライ」)。記憶と熱を一瞬で呼び覚ます特別な香り。五編の恋愛小説集。
  • わかれ(新潮文庫)
    -
    親しい友人も愛した男も、皆この世を去った。それでも私は書き続け、この命を生き存(ながら)えている――。吉行淳之介との不思議な縁。幼い自分を容赦なく叱った職人の父との思い出。色恋に疲れた男と老女とのささやかな交情。流麗に達し合うことができる、女性同士の性と愛。円熟の筆が、「私」と艶やかな共犯関係を結ばせるように、読者を物語へと誘い込む。終世作家の粋を極めた、全九編の名品集。(解説・田中慎弥)
  • 鏡川(新潮文庫)
    5.0
    私の胸中にはいくつかの川が流れている。幼き日に見た真間川、蕪村の愛した淀川、そして母の実家の前を流れる鏡川だ――。明治維新から大正、昭和初期までを逞しくも慎ましく生きた、自らの祖先。故郷・高知に息づいた人々の暮らしを追憶の筆致で描く。脱藩した母方血族、親族間の確執と恋慕、母が語ったある漢詩人の漂泊……。近代という奔流を、幼き日の情景に重ね合わせた抒情溢れる物語。
  • ぐるりのこと(新潮文庫)
    4.1
    旅先で、風切羽の折れたカラスと目が合って、「生き延びる」ということを考える。沼地や湿原に心惹かれ、その周囲の命に思いが広がる。英国のセブンシスターズの断崖で風に吹かれながら思うこと、トルコの旅の途上、ヘジャーブをかぶった女性とのひとときの交流。旅先で、日常で、生きていく日々の中で胸に去来する強い感情。「物語を語りたい」――創作へと向う思いを綴るエッセイ。
  • 東大助手物語(新潮文庫)
    4.0
    「きみのあの態度は何だ!」 15年間の大学生活、ウィーンへの私費留学……。出口のない生活から私を救い、東大助手に採用してくれた教授の一言から「いじめ」は始まった。「髭を剃ったらどうか?」私を助教授にするため、あれこれ画策してくれる「恩人」から数カ月に及ぶ罵声と執拗な攻撃を受けながら、大学とは、学界とはなんたるかを知るまでを描く壮絶な「アカデミズムの最底辺」体験記。
  • 恋するディズニー 別れるディズニー(新潮文庫)
    4.0
    「ディズニーランドでデートをすると別れる」という、若者の間でささやかれている噂は本当なのでしょうか。長期間にわたる某大某サークル内カップルの観察結果、すいている時期や曜日、乗りものやショーの仲良くなるまわりかた等を大公開。また、男子がショップでイライラする理由等、男女の謎も解明。ずっとラブラブでいたい女子は本書を彼に読ませてからディズニーデートに行きましょう。
  • 徘徊タクシー(新潮文庫)
    3.3
    徘徊癖をもつ90歳の曾祖母が、故郷熊本で足下を指しヤマグチとつぶやく。ボケてるんだろうか。いや、彼女は目指す場所を知っているはずだ! 認知症老人の徘徊をエスコートする奇妙なタクシー会社を立ち上げた恭平と老人たちの、時空を超えたドライブを描く痛快表題作と、熊本震災に翻弄された家族の再生を探る「避難所」など、三編を収める新編集小説集。巻末に養老孟司との特別対談を収録。
  • さよなら、母娘ストレス(新潮文庫)
    3.5
    「あなたを生んだのは、この私」何かにつけ、印籠を見せるようにそう言い放つ母親たち。かたやその言い分にぐうの音も出ない娘たち……。心底憎らしいのにどうしても嫌いになれない、そんな矛盾に苦しむ女性はあなた1人ではありません。診察室を訪れた8名の娘たちのエピソードと著者の実体験を軸に綴る、母と娘の現実。娘(あなた)が幸せになるための6つの処方箋を収録。『怒り始めた娘たち』改題。
  • 切羽へ
    3.5
    かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。奔放な同僚の女教師、島の主のような老婆、無邪気な子供たち。平穏で満ち足りた日々。ある日新任教師として赴任してきた石和の存在が、セイの心を揺さぶる。彼に惹かれていく──夫を愛しているのに。もうその先がない「切羽」へ向かって。直木賞を受賞した繊細で官能的な大人のための恋愛長編。
  • 解縛―母の苦しみ、女の痛み―
    4.0
    理想を押しつけ、娘を思い通りにしようとする母。憧れと恐れを抱かせる9歳年上の姉。女たちの軋轢に向き合わなかった父。絶望感から私は、15歳で摂食障害に陥った。自立を求めて「女子アナ」になるが、男性社会のなかで挫折と理不尽を経験。育児をきっかけに不安障害を発症し、死を願うまでに。そんな私を救ったのは――。鋭い客観性で自らを見つめ、包み隠さずつづった衝撃の手記。
  • 素顔の池波正太郎
    3.5
    春とは名ばかりの薄寒い日、池波正太郎に初めて会った。桜の花びらの絨毯が敷き詰められた池波邸に押しかけてから10年、書生として誰よりも間近に接し続けた。一晩中書斎に籠って、尋常ならざる量の原稿を執筆していたこと。遅刻を何より嫌ったこと。今この一食を大切にしていたこと……。人間をシビアに見つめ、粋を体現した「人生の達人」池波正太郎の知られざる真実の姿。
  • サロメの乳母の話
    3.7
    ホメロスが謳うオデュッセウスの漂流譚はでっちあげだ! と糾弾する妻ペネロペ。不器用で世渡りが下手な夫を嘆くダンテの妻。サロメの乳母、キリストの弟、聖フランチェスコの母、ブルータスの師、カリグラ帝の馬……歴史上の有名人の身近にいた無名の人々が、通説とはまったく違った視点から語る英雄・偉人たちの裏側。「ローマ人の物語」の作者が想像力豊かに描く短編小説集。
  • 娘に語るお父さんの歴史
    3.6
    「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘の問いを機に、父は自分が育ってきた時代の「歴史」を振り返ることに。あの頃、テレビが家庭の中心だった。親たちは「勉強すれば幸せになれる」と教えていた。宇宙や科学に憧れ、明るい未来を信じて全力疾走していた……。そして、父が出した答えとは。明日へ歩み出す子どもたちへ、切なる願いが込められた希望の物語。
  • 光の山
    4.0
    震災後の苦難に満ちた日々の中で、珠玉の小説が生まれた……地震・津波の記憶が鮮烈に蘇る「蟋蟀(こおろぎ)」「小太郎の義憤」、原発事故後の放射能や除染を背景にした「アメンボ」「拝み虫」、深い情感にみちた「東天紅」、厳粛さとユーモア、不思議な輝きに包まれる表題作「光の山」。福島在住の僧侶作家が、生と死の現実を凝視しながら描いた祈りと鎮魂の作品集。芸術選奨文部科学大臣賞受賞。
  • 中国の知恵
    4.0
    著者の吉川博士は、かの論語を貫き流れているものは、まったき人間肯定の精神であるとして「孔子の教えがもし今の世の教えとして不適当な所があるとすれば、それが余りにも厳格な教えであるためではなくて、むしろ余りにも人間を肯定した楽観的な教えであることにある」と語っている。数多くの文献を効果的に引き、中国文学の最高権威が詩才をも発揮して描く、自由な孔子伝である。
  • 大地のゲーム
    3.1
    二十一世紀終盤。かの震災の影響で原発が廃止され、ネオン煌めく明るい夜を知らないこの国を、新たな巨大地震が襲う。第二の地震が来るという政府の警告に抗い、大学の校舎で寝泊まりを続ける学生たちは、カリスマ的〈リーダー〉に希望を求めるが……極限状態において我々は何を信じ、何を生きるよすがとするのか。大震災と学生運動をモチーフに人間の絆を描いた、異色の青春小説。
  • 肉体の悪魔
    3.9
    第一次大戦のさなか、戦争のため放縦と無力におちいった少年と人妻との恋愛悲劇を、ダイヤモンドのように硬質で陰翳深い文体によって描く。ほかに、ラディゲ独特のエスプリが遺憾なく発揮された戯曲『ペリカン家の人々』、コント『ドニーズ』を収める。
  • 若き詩人への手紙・若き女性への手紙
    4.4
    「若き詩人への手紙」は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。「若き女性への手紙」は、教養に富む若き女性が長い苛酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。
  • 広場の孤独
    3.3
    朝鮮事変を契機として、再び動揺しはじめた世界情勢のなかで、当時、日本の誠実な知識人は、どのような方向へと動かんとしていたのか――。日本脱出を夢みる木垣が、去就を決する、まさにその土壇場まで来て、初めて日本人としての自覚に到達しながらも、なおたゆたわざるを得ない孤独な姿を、清新なタッチで描きあげて、異常な感動を与えた、昭和二十六年下半期の芥川賞受賞作。
  • とにかくうちに帰ります
    3.9
    うちに帰りたい。切ないぐらいに、恋をするように、うちに帰りたい――。職場のおじさんに文房具を返してもらえない時。微妙な成績のフィギュアスケート選手を応援する時。そして、豪雨で交通手段を失った日、長い長い橋をわたって家に向かう時。それぞれの瞬間がはらむ悲哀と矜持、小さなぶつかり合いと結びつきを丹念に綴って、働き・悩み・歩き続ける人の共感を呼びさます六篇。
  • 奇貨
    4.0
    男友達もなく女との恋も知らない変わり者の中年男・本田をとらえたのは、レズビアンの親友・七島の女同士の恋と友情だった。女たちの世界を観察することに無上の喜びを見出す本田だが、やがて欲望は奇怪にねじれ……。熱い魂の脈動を求めてやまぬ者の呻吟を全編に響かせつつ、男と女、女と女の交歓を繊細に描く友愛小説「奇貨」と、著者26歳の時に書かれた危うい思春期小説を併録。
  • ポプラの秋
    4.1
    父が急死した夏、母は幼い私を連れて知らない町をあてもなく歩いた。やがて大きなポプラの木のあるアパートを見つけ、引っ越すことにした。こわそうな大家のおばあさんと少しずつ親しくなると、おばあさんは私に不思議な秘密を話してくれた──。大人になった私の胸に、約束を守ってくれたおばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに蘇る。『夏の庭』の著者による、あたたかな再生の物語。
  • 言語小説集
    3.7
    ワープロのディスプレイ上でカギ括弧同士が恋をした。威張り腐った●や■に他の記号たちが反乱を起こす「括弧の恋」。方言学の権威が、50年前自分を酷い目に遭わせた特高の元刑事を訛りから見破って復讐する「五十年ぶり」。ある日突然舌がもつれる青年駅員の悲劇を描く「言語生涯」など言葉の魔術師による奇想天外な七編に加え、抱腹絶倒の四編を新たに収録した著者最後の短編集。
  • カイン―自分の「弱さ」に悩むきみへ―
    4.0
    ぼくはすごく不幸な少年・青年時代を送ってきた。親や先生の「いい子」だったぼくは「自殺してはならない」と自分に言い聞かせ、強く生きようと決意し、長い間、修行してきた。そして、30年間「なぜ生きるのか?」と悩んで見出したのは、「そのことを知るために生きるのだ」という回答だった。自らの苦い経験を振りかえりながら、いま不器用に生きるすべての読者に捧ぐ、「生き方」の訓練。
  • 終の住処
    3.8
    結婚すれば世の中のすべてが違って見えるかといえば、やはりそんなことはなかったのだ──。互いに二十代の長く続いた恋愛に敗れたあとで付き合いはじめ、三十を過ぎて結婚した男女。不安定で茫漠とした新婚生活を経て、あるときを境に十一年、妻は口を利かないままになる。遠く隔たったままの二人に歳月は容赦なく押し寄せた……。ベストセラーとなった芥川賞受賞作。
  • 乙女の密告
    4.1
    ある外国語大学で流れた教授と女学生にまつわる黒い噂。乙女達が騒然とするなか、みか子はスピーチコンテストの課題『アンネの日記』のドイツ語のテキストの暗記に懸命になる。そこには、少女時代に読んだときは気づかなかったアンネの心の叫びが記されていた。やがて噂の真相も明らかとなり……。悲劇の少女アンネ・フランクと現代女性の奇跡の邂逅を描く、感動の芥川賞受賞作。
  • 湿った空乾いた空
    -
    可憐でやさしく、それでいて嫉妬深く自己中心的な女性M・Mと、ゼンソクの持病がある作家の「私」が、外国旅行をする。ラスベガスでの大喧嘩からはじまって、パリの空港で別れるまでの、一組の男女の繊細な感情の揺れ動きを吐露した表題作。他に、別居した妻と入籍を迫るM・Mとの間で、自己の“青春の復活”を凝視する「私」の緊張感を表白した『赤い歳月』を併録する。
  • 黒い蝶
    4.0
    1巻506円 (税込)
    商売に失敗した三田村は、偶然に江藤という富豪と知り合った。江藤は死んだ娘のためにソ連の世界的ヴァイオリニスト・ムラビヨフを日本に招聘することを思いつく。三田村は招聘の運動費と称して江藤から金を引き出し、自分の新しい事業に注ぎ込むが、江藤の美しい妹にその魂胆を見透かされた時、奇妙にも本気でムラビヨフを招んでやろうと考え始める……。著者唯一の書下ろし長編。
  • 家族場面
    3.5
    気がつけば、おれは石川五右衛門だった…。神出鬼没に時空を飛ぶ作家一家。読者を物語のブラックホールに突き落とし、ねじれた迷宮へと誘う表題作。被害者の遺族が死刑囚の刑を執行するという狂気の設定で、獄中で執筆し続けた囚人作家の断末魔を描く『天の一角』。長年の忍従に暴発した作家夫人の怒濤の糾弾を活写する法廷劇『妻の惑星』等、表現への熱い慟哭が刻まれた傑作7編。
  • 釣師・釣場
    -
    三崎・城ヶ島沖では老鯛釣名人の、甲州ではヤマメ釣名人の釣談義に耳を傾け、九十九里、水郷、尾道、最上川、奥日光、吉野川まで足を伸ばして釣、また釣に明け暮れる。釣が大好き、他人の釣を見るのも好きで、本名「満寿二」を筆名「鱒二」にしたという著者が、全国の釣場と釣師、竿師を訪ねて綴る、愉しい名紀行。
  • つねならぬ話
    3.6
    海の下の、奥の奥で眠っている神の夢。大地をうごめき、すべてを食い尽くす不快なブガン。アステカの怪しげな薬草に酔って義経がみる昔日の幻。満月の夜にとらえた人魚を食べてしまった男たちのゆくえ――。天地の創造、人類の誕生などを語りつがれてきた物語が、いま奇抜な着想で生れかわる。あなたを空想の小宇宙へ誘う、幻想的で奇妙な味わいの52編のワンダーランド。
  • ブンとフン
    3.7
    「ブンとは何者か。ブンとは時間をこえ、空間をこえ、神出鬼没、やること奇抜、なすこと抜群、なにひとつ不可能はなく……」フン先生が書いた小説の主人公、四次元の大泥棒ブンが小説から飛び出した! たちまち全世界に、奇怪なしかしどこかユーモラスな事件が……。あらゆる権威や常識に挑戦する奔放な空想奇想が生む痛烈な諷刺と哄笑の渦。現代戯作の旗手、井上ひさしの処女作。
  • へそのない本
    -
    〈へそのない本〉の身体各部は次のとおりです。――1 野の花にふれて幼い頃の思い出や終戦直後のひもじかった青春の日々を語る花物語。 2 オホーツクの氷海をゆく航海日記などの紀行文。 3 女性の愛らしさと意地悪さを皮肉とユーモアで綴るエッセイ。 4 「宵」「童女」「うつろの中」「意地悪爺さん」等の空想の愉しさあるれる短い10の物語。――以上、郷愁と幻想にみちた一巻。
  • あくびノオト
    -
    1巻506円 (税込)
    夢想の世界に遊ぶ主人公の、現実とのくいちがいに生ずる悲哀をユーモラスに描いて苦い笑いを誘う『第三惑星ホラ株式会社』『少年と狼』『活動写真』等の物語。他に、なまけものやホラ吹きへの共感、沖縄紀行、医学生時代の思い出や精神科医としての体験、子供マンガへの愛着と無理解な大人への抗議、等々、あわただしい現代社会への批評の眼を、爽やかな笑いに包んだエッセイを収める。
  • 少将滋幹の母
    4.1
    八十歳になろうとする老大納言は、若い妻を甥の左大臣に奪われるが、妻への恋情が断ちきれず、死んでしまう。残された一人息子の胸にも幼くして別れた母の面影がいつも秘められていた――。平安期の古典に材をとり、母への永遠の慕情、老人の美女への執着を描き、さらに、肉体の妄執が理性を越えて、人間を愛欲の悩みに陥れるという谷崎文学の主要なテーマを深化させた作品。

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  • 果樹園のセレナーデ
    4.0
    荒廃した果樹園の古びたベンチにすわって、ひとり静かにヴァイオリンを奏でる美少女キルメニイ。悲運の母の偏愛ゆえに世間から隔絶された口のきけない少女に、大学を出て赴任してきた若い臨時教師エリックが真実の愛をそそぎ、奇蹟を起こす、この美しい愛の物語は、『赤毛のアン』で知られ、生涯青春の情熱を失わなかったモンゴメリ女史の実質的処女作。

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  • 小さき者へ・生れ出づる悩み
    3.8
    妻を失い、新しく芸術に生きようとする作家の覚悟と、残された小さき者たちに歴史の未来をたくそうとする父性愛にあふれたある夜の感想を綴る『小さき者へ』。“君”という語りかけで、すぐれた画才をもちながらも貧しさゆえに漁夫として生きなければならず、烈しい労働と不屈な芸術的意欲の相剋の間で逞しく生きる若者によせた限りない人間愛の書『生れ出づる悩み』の2編を収める。

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  • 私の嫌いな10の言葉
    3.6
    「相手の気持ちを考えろよ! 人間はひとりで生きてるんじゃない。こんな大事なことは、おまえのためを思って言ってるんだ。依怙地にならないで素直になれよ。相手に一度頭を下げれば済むじゃないか! 弁解するな。おまえが言い訳すると、みんなが厭な気分になるぞ」。こんなもっともらしい言葉をのたまう大人が、吐気がするほど嫌いだ! 精神のマイノリティに放つ反日本人論。

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  • 羅生門・鼻
    3.8
    京の都が、天災や飢饉でさびれすさんでいた頃。荒れはてた羅生門に運びこまれた死人の髪の毛を、一本一本とひき抜いている老婆を目撃した男が、生きのびる道をみつける『羅生門』。あごの下までぶらさがる、見苦しいほど立派な鼻をもつ僧侶が、何とか短くしようと悪戦苦闘する姿をユーモラスに描いて夏目漱石に絶賛された『鼻』。ほかに『芋粥』『好色』など“王朝もの”全8編を収録する。

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  • 大人の会話
    -
    どんな名探偵でも決して解決できないのが男と女のあいだの微妙な関係。そんな男と女が、時には洒落のめし、時には照れながら、そして真面目に語る大人の会話。プロンジーニ、フランシス、フリーマントル、マクドナルドなどの海外ミステリの睦言(ピロートーク)を俎上にのせて、男と女の機微を、鋭く、けれど優しい眼で浮き彫りにする、心優しい大人のための洒落たエッセイ。
  • 東京牛乳物語
    3.0
    牛乳屋版・人生劇場!! 武士からトラバーユした初代。和田の娘に一目惚れ!の堅実な2代目。呑気な長男と、働き者の娘婿、どちらが家業を? 押し寄せる時代の波と格闘した3代目。今では当たり前に飲まれている牛乳が「薬」から「毎朝一杯!」になるまでの和田家4代の涙と笑いの物語。
  • 元禄流行作家 わが西鶴
    -
    「わしは俳諧師という商人や」と豪語し、知恵才覚を駆使して版元を巧みに操ってゆく西鶴。「俳諧は興行や」といい、大坂住吉大社に人集めして昼夜ぶっつづけの矢数俳諧を行ない、世間を驚かせる西鶴。そんな彼が、芭蕉についに比肩することあたわず、俳諧へのこだわりをきっぱりと捨て、「好色一代男」をはじめとする浮世草紙作家へと変貌してゆくまで。――著者渾身の力作長編小説。
  • 文章心理学入門
    -
    「文章心理学とは何か」「文章心理学の原理」「現代文章の諸相」「作家の文章心理」「文章の創作心理」「文章の改善と心理学」「日本のレトリック」より成る。新聞、文学作品など種々の文章を例にあげながら、日本語の表現価値についての科学的な研究の諸成果と、そこから導き出される日本文改善の意見を提出すると同時に、読者の、自己の文章観と文章技術を向上させてくれる好入門書。
  • 男の日曜日
    -
    「男子、厨房に入らず」と言い出したのは、いったい、どこの、どいつだろう? 焚火にあたるのにもルールがある。知っていますか、そのルール?……一所懸命働いて、やっと休みの日曜日。サラリーマンにとって、遊ぶことは学ぶこと、学ぶことは遊ぶこと。家でゴロ寝じゃもったいない。どうして過そう日曜日。そんなサラリーマンに捧げる、どうすりゃいいの人間のための自立読本。
  • 鴎外 闘う家長
    -
    挫折しないことの不安におびえつつ、国家と共に至福の青春を生きてしまった森鴎外が、一切の社会的令名を拒否して死に至る凄絶な生涯。外的な役割も帰属の場所も信じられず、さりとて「子」の立場の甘えにも安んじることのなかった彼が、自己の内面の空虚に耐えた秘密は何だったか――。作家の生活と作品の間を照射することで、近代知識人論に画期的な視座を提起する、記念碑的評論。
  • もめん随筆
    -
    精錬された教養と女性の優しい情感が、木綿の着物の肌ざわりのような懐かしい感触で漂う作者の随筆は、夜ごとの憩いのひとときに快く気持をくつろがせてくれる。作者の清潔な人柄のよさは随所にたゆたい、読者の魂は無言のうちに清く浄化されるのである。「東京の女・大阪の女」「芥川さんのこと」「七月廿四日」などの随筆46篇に、詩集「楊柳詩」より10篇を選んでこれに加えた。
  • 出孤島記
    -
    南海の孤島にたてこもり、ベニヤ板で作られた“自殺艇”による絶望的な特攻作戦に従事する若い指揮官と180名の部下たち。死の呪縛のなかで出撃命令を待つ彼らの一触即発の極限的な状況を、人間の生と死の本質を見据えつつ、緊迫した文体と重いリアリティで捉えた戦記文学の名作「出孤島記」他、「格子の眼」「砂嘴の丘にて」「朝影」「夜の匂い」「子之吉の舌」「むかで」「冬の宿り」「川にて」。島尾文学の傑作全9編を収録。
  • 天からやって来た猫
    -
    多忙にかまけて、人生を雑に生きてきた新聞記者の浦野は、ふとしたきっかけで一匹の仔猫を貰いうけた。名前はパイ。煤けたような灰色の毛と短い尻尾をして、外観・動作は心細く、普通の猫のような知恵も阿諛も示さなかったが、その天性の自然な生き方は、バラバラだった一家の心をひとつに結び、多くのかけがえのない真実を教えてくれた。無類の愛猫家が贈る、涙と笑いの長編小説。
  • 自註鹿鳴集
    -
    歴史、美術への深い造詣を背景に、奈良の古寺、古仏を愛してのびやかに“やまとくにはら”へのつきない憧憬を詠みつづけた自然人、会津八一。万葉調を近代化した新鮮、独自の歌に、自ら平明詳細な註を付したこの歌集は、歌と自身の長く豊かな交流を読む人に語りかけて、会津八一の“詩と真実”ともいうべき最晩年の偉業である。
  • シェイクスピア物語
    -
    ラム姉弟の「シェイクスピア物語」は、世に聞こえた名作である。原典は読まなくとも、1807年に刊行のこの本でシェイクスピア劇の筋とおもしろ味を知っている人は、欧米でも日本でも珍しくない。本書は「ハムレット」「真夏の夜の夢」「お気に召すまま」「ベニスの商人」「じゃじゃ馬ならし」「ロミオとジュリエット」「リヤ王」など12篇の、原典のせりふを生かし、シェイクスピアの時代の用語を巧みに駆使した物語を掲げる。年少の読者を考え、翻訳にも十分の考慮が払われている。
  • 無明長夜
    3.0
    “御本山”の黒い森をみつめて、白い闇の道を歩いた女の20年……。一種底の知れない、暗く混沌とした世界の中で、病める魂の咆哮を聞く芥川賞受賞作『無明長夜』。“捨てる”ことを根源に、自らの道を開こうとした著者の、戦後の出発を語る『豊原』。ほかに『寓話』『終りのない夜』など、新しい世代の世界とイメージを持って、多様な才能を遺憾なく発揮した作品群。ほか『静かな夏』『生きものたち』『わたしの恋の物語』全7編を収める。
  • 蔭桔梗
    3.9
    紋章上絵師の章次のもとに、かつて心を寄せあっていた女性から、二十年前と同じ蔭桔梗の紋入れの依頼があった。あの時は事情があって下職に回してしまったのだが、それは彼女が密かな願いをかけて託した紋入れだった……。微妙な愛のすれ違いを描き直木賞受賞作となった表題作はじめ、下町の職人世界と大人の男女の機微を、しっとりと描いた十一編の物語を収録する、珠玉の短編集。
  • 姦

    -
    1巻495円 (税込)
    土呂島には古代貴族の血を引くと伝えられる部族が住んでおり、奇妙なならわしが残っている。未婚のまま亡くなった女性は、高天原によみがえりができぬという。彼女らに施す「帰幽の法」とは……? 僻地に脈々と語り継がれて来た独特の因習とエロティシズムを見事に融合させた表題作「姦」をはじめ15篇の掌編小説を収録。
  • 井伏鱒二随聞
    -
    友を語れば青春が。先達を慕えば文学の軌跡が。交遊五十年の著者に、作家井伏鱒二氏が語るその日常、出生から現況まで。作品の行間が窺える貴重な対談を収録。さらに、著者による「井伏鱒二小伝」「作品ノート」等8編の評伝を読めば、今まで知らなかった井伏鱒二の一面を垣間見られる。
  • 秋津温泉
    -
    この秋津の町へ私は十七の初夏、伯母に連れられはじめてやって来た……。自然豊かな秋津の温泉宿を舞台に繰り広げられる、激しくも切ない愛の日々を描ききった作品。1962年に岡田茉莉子と長門裕之が主演し、吉田喜重監督の手で映画化された永遠の名作。
  • 好色覚え帳
    -
    「好色な小説家といわれる保坂庄助」の、好奇心あふれ、奇妙でいてしかも真剣な行動に託してくりひろげられる、現代風俗のカリカチュア。――“頓狂連”なる珍妙な仲間たちをひきいてとりおこなう赤線忌、寒詣りから、結婚相談所の見合い、近親相姦の村探訪記、乱交パーティの実地研究、女学校の運動会見物まで、黒メガネに映った虚実反転の世界を、諧謔諷刺まじえつつ描く連作長編。
  • うつむく女
    -
    肉体的に男性失格者である春画家の妻小夜子、良人に背かれて愛情のさめてゆく平凡な勤人の妻珠子――肉体的心理的に良人に不満な二女性の、男を求めて燃えあがる感情の爆発! 結婚生活への不信と疑惑を前提として、奇怪な夫婦関係、悽惨な愛欲のエゴ、無軌道な性の悲劇を、すさまじい迫力で大胆に描破した大作。
  • 充たされた生活
    -
    身よりのない27歳の新劇女優朝倉じゅん子は、3年におよぶ結婚生活を清算する。死んだ兄の同級生である劇作家、アパートの隣室に住んでいる学生運動家、妻と死に別れた俳優など、さまざまな男性を遍歴するが、じゅん子は結局、右翼暴力団に襲われた劇作家に自分の全身をあずける……。60年安保闘争を背景に現代人にとっての充実した生とは何かを追求する書下ろし長編。
  • 人間万事塞翁が丙午
    4.0
    呉服問屋が軒をつらねる東京・日本橋堀留町の仕出し弁当屋〈弁菊〉。人情味豊かであけっぴろげ、良くも悪くもにぎやかな下町に、21歳で嫁いできたハナは、さまざまな事件に出会いながらも、持ち前のヴァイタリティで乗り切ってゆく。――戦中から戦後へ、激動の時代をたくましく生きた庶民たちの哀歓を、自らの生家をモデルにいきいきと描き出した、笑いと感動の下町物語。直木賞受賞。
  • 勝負師語録
    -
    「バットは両腕の延長、だから執念さえあれば折れるはずがない」(長島茂雄)「あの挫折があったからこそ、三冠王になれた」(落合博満)「やられたら次にやりかえす。これが3番打者の極意だ」(秋山幸二)「相撲はイメージで取ります」(舞の海)「人生、楽ありゃ、苦もあるさあ」(武豊)。時代を超え、歳月をのりこえて、本当の言葉は胸の中に熱い感動を運んでくる。プロフェッショナル71人が勝負の世界の奥深さを語る名語録。
  • 幸福な家族
    3.4
    馬鈴薯や玉葱や南瓜に美を見いだして、あくことなく野菜の絵を描く老ドイツ語教師・佐田とその妻、聡明で個性的な息子、娘とその恋人たちが、人類の意志としての幸福を愛し、幸福を極めようとする、どこまでも素朴な善意を基調として構成された小説。彼らの周辺でさかんに交される、真情こもった当意即妙のユーモラスな会話は、読者の心を明るい希望で満たして尽きることはない。
  • 白百合の崖―山川登美子・歌と恋―
    -
    明治12年、福井県に生まれた山川登美子は与謝野鉄幹主宰の「明星」に参加、与謝野晶子と共に名花二輪と謳われる。登美子はその才能と美貌を“君が才をあまりに妬し”と晶子に詠ませながら、鉄幹への恋も、歌もあきらめ、親の定めた縁談に従う。――鉄幹・晶子の強烈な個性の陰でひっそりと散っていった登美子のあまりにも短い人生。同郷の歌人への深い共感を、愛惜をこめて綴る。
  • ドイル傑作集 失なわれた世界
    -
    ガゼット新聞記者マローンは愛人の理想の男性たらんとして、奇人チャレンジャ教授一行の南米探検隊に加わってアマゾン河上流の秘境に分け入る。同勢四人、未踏の森林地帯に入ればそこはダンテの地獄篇さながら、有史以前の怪獣奇獣たちが風を巻き起して人間どもに襲いかかってくる――ドイルの科学小説中の傑作である。
  • 日本むかしばなし集(一)
    4.3
    1~3巻495~605円 (税込)
    ぼたん雪のふりしきる冬の日、わなにかかっていた一羽の鶴が、貧しいまき売りの老人に助けられ、美しい布を織って恩がえしをする『ツルの恩がえし』ほか、心温まる日本の昔話の精粋39編を収録。遠いむかしから語りつがれてきた数々の伝承は、作者の清冽な心に洗われてほのぼのとした輝きを加え、大人と子供の世界の交流の場ともいうべき美しい夢想の境を構築している。
  • コリオレイナス
    -
    ヴォルサイ人との戦いでローマを勝利に導いたコリオレイナスは市民に英雄と讃えられ、執政官に推薦される。しかし執政官になるために避けては通れない慣習を受け入れられず、市民を敵に回してしまう。愛国心と自尊心の強さゆえ、コリオレイナスがたどる運命とは…シェイクスピアの名悲劇の一作。
  • 終着駅は始発駅
    4.0
    地図と時刻表をたずさえて、いざ、自由の旅へ! 「赤字線の乗りごこち」でローカル鈍行の旅ののびやかさを語り、「通勤電車もまた愉しからずや」では都会の鉄道に思いがけない魅力を発見する。さびた鉄路の上に歴史の跡をたどり、鉄道マニアの東奔西走の日常を軽妙に綴る。――鉄道ファンの眼がとらえた現代にっぽん鉄道事情。旅心とユーモアと、鉄道知識のあふれる楽しい一巻。
  • 随筆集 別れの歌
    -
    高原の風は美しく遠い想いをくしけずる。人生の往還に身をよせた樹陰の潤い、足をとめさせた事ども。信濃追分、堀辰雄、室生犀星の回想を中心にした、福永武彦初めての随筆集。
  • いつもと同じ春
    -
    1巻495円 (税込)
    百貨店の社長として烈しい競争の世界を疾駆し続ける〈私〉の胸に、ふと、引き裂くように自由への渇望がこみ上げる。そのような時にはまた、宿業を負った生い立ちから、理想に燃えて父に反逆した青年期が思い起こされる。――一族の血の重さに耐えつつ、ひたすらに事業を拡大し、なおしなやかな感性を保ち続けようとする生きざまを、驚くべき真率さで物語る。平林たい子文学賞受賞。
  • 源氏紙風船
    -
    「源氏物語」は、何ゆえ千年にもわたって絶えることなく読みつがれ、語りつがれてきたのか――。光源氏と彼をとりまくあまたの女、物語を飾る着物、美術工芸品などなど、舞台背景となる宴について、作者・紫式部のこと……。それぞれのテーマごとに、「源氏狂い」「源氏酔い」を自認する著者が、思いがけない角度から限りない優しさをこめて語る、くめども尽きぬ〈愛の古典〉の魅力。
  • 運命峠(一)
    -
    暗い出生の秘密をもつ孤高の青年剣士・秋月六郎太は、豊臣秀頼の遺子・秀也を育てあげることに、己れの生きる目的を見いだす。秀也の高貴にして薄幸なる生母・桂宮蓮子、しきりに暗躍する徳川の忍者、そして豊臣の残党。無敵の夕陽剣を体得した六郎太と対決する宮本武蔵、柳生一門……。登場人物の顔ぶれも多彩に、九州から江戸へと舞台はうつり、奇想天外な時代絵巻を展開する。全四巻。
  • 西方の音
    -
    時代小説家として名高い著者は、その一方で熱烈なHi-Fiマニアでもあった。その著者が、自ら手にしたレコードと再生装置について限りない愛情を込めて語る名エッセイ。『芸術新潮』誌に連載され、その紙価を高めたとも言われる音楽エッセイの代表作である。
  • 遭難者
    -
    1巻495円 (税込)
    真冬の海で遭難したヨットマンの蘇生感覚を描く「遭難者」。政治家の豪邸に火を放った右翼青年の人生の軌跡を追う「ある行為者の回想」、公人としてその生を全うしようとした男の初恋を描く「公人」のほか、「きょうだい」「パティという娼婦」の全5編を収録する。鮮烈な描写で人間の深層に迫る、珠玉の中編小説集。
  • 生還
    3.0
    ようやく仕事も軌道に乗り始めた矢先、40代の働き盛りの身で、末期癌の宣告を受けた男は、未知の治療法に賭け、ひとり海辺のマンションにこもった。家族を捨て、会社を捨てた凄絶な闘いの末、3年半後、男は奇跡的な生還を果たすのだが……。生と死のドラマを極限まで描破して、著者の力量を改めて示した、平林たい子賞受賞の表題作。ほかに「院内」「孤島」の短編2作を収録する。
  • 南蛮阿房列車
    -
    1~2巻495円 (税込)
    気が短いくせに、なぜだかトロトロ走る汽車が好き。奇人・変人せき立てて、世界の列車に乗りに行く。お供するのは、お馴染みマンボウ、狐狸庵、それに幽霊、マダガスカル島の日本人村長さん……。何とも優雅で奇妙な旅です。でも、こんな旅もあるのです。煙に悩まされないのは、ちょっぴり残念ですが、文明批評も織りこんで詩情豊かに綴る、汽車キチ垂涎の当世風世界漫遊紀行。
  • 泣き虫なまいき石川啄木
    -
    東京・本郷の床屋の二階に間借りをし、貧窮と病気に苦悶する石川啄木。唯一の慰みに創作を続ける啄木を、「実人生の白兵戦の真っ只中」へと追いやる生きる苦しみの数々――。妻と母の確執、禅僧気取りの父、妻の家出と浮気の疑い、親友金田一との訣別……。人生の修羅場で呻吟する啄木の凄絶な晩年を、笑いと感動溢れる戯曲に昇華した表題作の他、「日の浦姫物語」を収録した戯曲集。
  • 筒井康隆劇場 ジーザス・クライスト・トリックスター
    -
    1巻495円 (税込)
    聖なる救世主か? はたまた狂気の騒動師か? 人類史上最大のトリックスター、イエス・キリストに、鬼才・筒井康隆が自作主演で挑んで演劇界に衝撃を与えた表題作。遺産争いのただ中にとび込んだ一人の男の奇怪至極な言動によって、すべての人間の欲の皮が引きはがされる『三月ウサギ』。ほかに一幕ものの傑作『人間狩り』『ジス・イズ・ジャパン』など狂気のエネルギーにみちた6編。

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  • 逃亡者
    -
    25年前、空襲の混乱にまぎれて刑務所を脱走した男を追っている刑事と、刑事の訪問で逃亡者にまつわる戦時中の記憶を蘇らせる守衛。二人の対話を通して、戦争の残影を凝視した表題作。子供のころに怪我をさせた人物から借金を強要され、それまで見向きもしなかったリベートに手を出してしまう男が、苦い胸中を吐露した「カカオ・フィーズの味」など、単行本未収録の8編を収める。

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  • 勇者は語らず
    -
    川奈自工の人事部長冬木と、その下請会社の社長山岡。かつて戦場で同じトラックに乗っていた二人を通し、戦後日本経済の勇者〈自動車産業〉の内部をリアルに重層的に描く。強大な力ゆえに海外から激しい非難の矢をあびせられながら、沈黙を守るメーカー。その下でより大きな沈黙を強いられる下請け。そんな構図の中に、戦後を生きぬいた日本人の縮図を透視した書下ろし長編小説。

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  • 魚影の群れ
    5.0
    1巻495円 (税込)
    漁師・房次郎は娘の登喜子に懇願され、彼女の恋人・俊一を不承不承船に乗せるが……。津軽海峡を舞台に、老練なマグロ釣りの孤絶の姿を描く表題作。四国の小島に異常発生した鼠と人間の凄絶な闘いの記録『海の鼠』。他に、美味ゆえに養殖される新種のカタツムリをめぐる滑稽な顛末『蝸牛』、名人気質の長良川の鵜匠の苦渋を綴る『鵜』など、動物を仲立ちとした傑作小説四編を収録。

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  • きまぐれフレンドシップPART1
    -
    1~2巻495~605円 (税込)
    SF同人誌『宇宙塵』時代の仲間、柴野拓美。今もなお師と仰ぐ大下宇陀児。著者がデビューして間もない頃の江戸川乱歩との交友。新進作家のグループ「他殺クラブ」の面々との懐かしい日々。数多くの自作にイラストをつけてくれた真鍋博。作家となって三十数年、ショートショートの第一人者でありつづけてきた著者が、少年時代から現在までに出会った人々とその作品を語る。
  • グ、ア、ム(新潮文庫)
    3.6
    北陸育ちの姉妹。長女は大学を出たもののバイト生活を送る、いわゆる「ワーキングプア」。そんな姉を反面教師にした次女は、高卒で信用金庫に就職。姉妹は母も交えた女三人でグアム旅行に出かけることになるが、長女の身勝手な行動のせいで、早くも旅は不穏なムードに……。時代の理不尽、血の繋がった女同士のうっとうしさを、シニカルな筆致で笑い飛ばす、奇妙で痛快なホームドラマ。
  • パーマネント野ばら(新潮文庫)
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 港町にひとつの美容院、「パーマネント野ばら」。ここは女のザンゲ室。まいにち村の女たちが、恋にまつわる小さな嘘や記憶を告白していく。昨日男に裏切られ泣いたとしても、明日また男を愛しくおもう女の不思議。ずっと好きより、いま大好きの瞬間を逃したくない女の謎。俗っぽくてだめだめな恋にもひそむ、可愛くて神聖なきらきらをすくいあげた、叙情的作品の最高傑作。
  • 水無月の墓
    3.5
    偶然通りかかった、阿久津との思い出の場所。そこで私たちは出会い、恋に落ちたのだ――。18年前に事故死した男との愛の日々を記憶によみがえらせたその日の晩、突然かかってきた電話の主は……。不思議で怖く、どこか懐かしい「異界」への扉を開く幻想小説8編。夢と現実、現在と過去、そして生と死があやなす小池真理子の妖しくも美しき世界へ、これからあなたをご案内いたします。
  • 柩の中の猫
    3.9
    東京郊外に暮らす美術大学の講師、川久保悟郎。その娘でララという名の猫にだけ心を開く孤独な少女、桃子。そして、家庭教師として川久保家にやってきた画家志望の雅代。微妙な緊張を抱きながらもバランスのとれた三人の生活はそれなりに平穏だった。そう、あの日、あの女が現れるまでは……丹念に描かれた心の襞と悲劇的なツイストが光る心理サスペンス。
  • ひょうたんから空―ミタカ シリーズ2―
    3.8
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 人間くさくてノーテンキなミタカは、あいかわらず家族の一員のようにいつもいる。三月、南向きのぬれ縁に何か植えようか、と相談していると、家出中のパパが帰ってきた。そこで、みんなでひょうたんを作った―何かを愛する時、愛するものがある時、愛していいものがある時、人はやさしくなる。そしてそのやさしさは、ただやさしい。「ミタカくんと私」に続く、ナミコとミタカのつれづれ日常小説。 ※この商品は固定レイアウトで作成されており、タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
  • ヘタウマな愛
    4.0
    遺影となった女房が微笑んでいる。俺は涙を止められなかった――。郷里の長崎で知り合った俺と女房は東京で再会。初デート、同棲時代、結婚生活、漫画家デビュー、芸能活動、賭け麻雀で逮捕……。いつも傍で支えてくれた女房のいない毎日が、こんなに淋しいなんて。ひとりぼっちじゃ生きられんから、新しい嫁さんが欲しい……。自由人・蛭子能収が綴る前妻との30年。感涙の回想記。
  • スクールアタック・シンドローム
    4.0
    崇史は、俺が十五ん時の子供だ。今は別々に暮らしている。奴がノートに殺害計画を記していると聞いた俺は、崇史に会いに中学校を訪れた。恐るべき学校襲撃事件から始まった暴力の伝染――。ついにその波は、ここまでおし寄せてきたのだ(表題作)。混沌が支配する世界に捧げられた、書下ろし問題作「ソマリア、サッチ・ア・スウィートハート」を併録した〈ダーク&ポップ〉な作品集!
  • 野性の呼び声
    4.5
    ゴールド・ラッシュ時代、セント・バーナードとシェパードの血をうけた飼犬バックは、ある日、邸から盗み出され、アラスカ氷原へと連れてゆかれた。そこには、橇犬(そりいぬ)としての苛酷な日々が待っていた。きびしい自然と、人間の容赦ないむちの響きに、バックの野性はめざめてゆく。数年後、広い峡谷を駆けてゆく狼の一群のなかに、毛並みのふさふさとしたたくましいバックの姿が見られた――。
  • マンボウ 最後の大バクチ
    3.5
    鬱病で寝込むこと十年、ようやく元気になったのはよかったが、いきおいあまって、人生最後の躁病を発症してしまったマンボウ氏。老いてなお盛んな躁病に、ギャンブル三昧の旅が始まった。「猛獣使い」の女性編集者、スーパー元気な娘を相棒に、上山競馬場、大井競馬場、平和島競艇とバクチ熱は急上昇、果ては韓国のカジノまで遠征することに。狂乱バブルのギャンブル紀行エッセイ。
  • マンボウ 恐妻記
    3.7
    文学を志し、家庭は顧みず、結構モテて、わがまま放題。そんな夫にも優しく尽くす、十歳年下の若い妻。ハンブルクで出会って結ばれた二人の新婚生活は、圧倒的な亭主関白モードで始まる。しかし躁病をきっかけにエスカレートした夫の蛮行には妻もブチ切れ、ついに大逆襲に――。淑やかだった妻を鍛えた、壮絶なる四十年の結婚生活を回顧する、愛情エッセイ。『マンボウ愛妻記』改題。
  • 断崖、その冬の
    3.5
    西田枝美子は「北陽放送」の看板アナウンサー。「ミス北陽」と謳われた美人である。その枝美子も、今年で三十四歳。冷たく澱んだ北陸の冬は、身辺にも迫ってきた。ラジオへの転属をほのめかされ、孤独を味わう日々。が、そこへ一人の男が現れた。六歳年下のプロ野球選手の志村は、若く荒々しく甘美な情熱で枝美子を虜にする。その冬の終わり、男は枝美子の希望そのものであった。

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