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幼い日、会社勤めをしながら、男手ひとつで子育てに奮闘した父。夜なべで幼稚園の手提袋を縫い、運動会のためにのり巻を作ってくれた姿。育ての母を迎え、親子三人が川の字になってテレビを見ながら寝た夜。そして、娘の心に深く刻まれた「あいさつは基本」「自慢はしない」「普通が一番」という教え。やさしいけどカタムチョ(頑固)な父・藤沢周平の素顔を、愛娘が暖かい筆致で綴る。
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Posted by ブクログ
幸田文に倣ったように似ている。 澄明でくっきりと粒の立った、作家・藤沢周平の娘としての人生の幸福。 もう、藤沢が亡くなって20年にもなるのか。
父周平は、「物事にこだわらない性格」ではなく「平凡な生活をまもることにこだわっていた」という娘。家族への愛情あるまなざしもほのぼのと感じられ、それが作品の主人公にも反映されているようだ。2019.7.8
藤沢周平がレイチャールズの「愛さずにはいられない」を子守唄に口ずさんでいる状況、想像すら出ない。 実直な人柄から摘み出される周作作品により親近感を感じる
実は藤沢周平の本は読んだことが無いので人物についても良く知らない。 でもこれを読めば、大作家でありながら素朴で普通の生活を好んだ人と成りが良く分かる。 その家庭が愛情に満ちていたことも。 藤沢周平は西武線沿線に家を構えていたようで、私も同じ沿線に住んでいるので勝手に親近感が沸いてしまう。 「西武線...続きを読むの周辺は今でも畑がたくさんあって田舎の雰囲気を残しているからなんとなく落ち着くんだよね」 と話していたそうだが、激しく同感。 児玉清さんが後書きに遠藤展子さんの文章について 「巧みさに唸ってしまった」 と書いているが、私はどちらかというと巧みさを感じさせない、とことん素直な文章だと思った。その素直さは著者御本人の性格故であろうが、家族との暮らし振りがその長所を伸ばしたのだと容易に想像できるようだった。 いらないことだけど、仮に私が父の事をエッセイに書くとしたらこんな素直な文章にはならず絶対に天邪鬼的な文章になるに違いない。
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