作品一覧

  • ワシントン・スクエア

    ワシントン・スクエア

    小説・文芸

    4.3
    1巻1,100円 (税込)
    「父には,弱いといえるところが一つもないんですの」完璧な父を敬愛する,内向的で平凡な容姿のキャサリン.彼女の前に現れた,美貌で言葉たくみな求婚者――19世紀半ばのニューヨークを舞台に,鋭く繊細な会話と描写が,人間心理の交錯と陰影を映し出す.『ある婦人の肖像』とならぶ,ジェイムズ(1843-1916)初期の佳作.

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  • デイジー・ミラー(新潮文庫)

    デイジー・ミラー(新潮文庫)

    小説・文芸

    3.2
    1巻506円 (税込)
    青年はレマン湖畔の美しい町で運命の美女デイジーと出会い、一目で恋に落ちる。その奔放なふるまいは、保守的で狭量な人々からは嫌われていたが、青年は彼女のあとを追うようにして、マラリアの猖獗するローマへと向かう。婚約者と思しき男を紹介され、さらに翻弄されるが、二人の恋路は思いもしない衝撃的な結末を迎えるのだった――。ジェイムズの名声を高めた傑作中編、待望の新訳版。
  • ねじの回転(新潮文庫)

    ねじの回転(新潮文庫)

    小説・文芸

    3.8
    1巻605円 (税込)
    イギリス郊外に静かに佇む古い貴族屋敷に、両親と死別し身を寄せている眉目秀麗な兄と妹。物語の語り手である若い女「私」は二人の伯父に家庭教師として雇われた。私は兄妹を悪の世界に引きずりこもうとする幽霊を目撃するのだが、幽霊はほかの誰にも見られることがない。本当に幽霊は存在するのか? 私こそ幽霊なのではないのか? 精緻で耽美な謎が謎を呼ぶ、現代のホラー小説の先駆的な名著。
  • ヘンリー・ジェイムズ傑作選

    ヘンリー・ジェイムズ傑作選

    小説・文芸

    5.0
    1巻2,090円 (税込)
    十九世紀的世界観を脱して新たな文学技法を追究し、心理小説の祖として、また現代文学の礎を築いた先駆者として、再評価の高まるヘンリー・ジェイムズ。多様な解釈を許す作風から難解なイメージがつきまとうが、読む人、読む時代により素晴らしさが再発見され続ける、稀代のストーリーテラーでもある。百を超える作品から、リーダブルで多彩な魅力溢れる「モーヴ夫人」「五十男の日記」「嘘つき」「教え子」「ほんもの」を収録。
  • ねじの回転

    ねじの回転

    小説・文芸

    -
    1巻550円 (税込)
    邪悪な男女の亡霊が、うぶな子どもたちを悪へと誘う。それを救おうと孤独な闘いをつづける女家庭教師。虚構と現実が渾然ととけあい、緊迫感あふれるシーンがつぎつぎと展開して、物語は一気に破局へ。心の奥にひそむ悪をテーマにした「亡霊物語」の傑作。

ユーザーレビュー

  • ワシントン・スクエア

    Posted by ブクログ

    読み進めるほど著者の精緻な心理描写がさえわたり、人の愚かさや醜さなどが浮き彫りになっていく様は、読み応えがあります。登場人物は少なく、場所もほぼワシントン・スクエアのスローパー博士の邸宅での話し。文章も会話文が多くテンポ良く進み、時折挟まれるユーモアと相まってとても読みやすかったです。ただ、『アスパンの恋文』同様に絶版なのが残念です。

    なお、本作は、『女相続人』の名で映画化されています。

    あらすじ:
    ニューヨークの町に、裕福な開業医であるオースティン・スローパー博士が住んでいました。彼には、キャサリンという優しくも地味で不器用な娘がいましたが、亡き母の美しい容貌を受け継ぐことなく、また社交性にも欠けた控えめな態度を見るにつけ、博士はとても失望していました。それは、キャサリンが幼い頃に亡くなった母親の代わりに、博士の妹のラヴィニア・ペニマン夫人が世話をしてきましたが、博士の賢い娘に育てて欲しいという希望に、決して応えたとはいえないことも一因でした。
    そんな中、博士の下の妹であるエリザベス・アーモンド夫人の娘マリアンの婚約パーティーに招かれ、そこにいた若くてハンサムなモリス・タウンゼンドにキャサリンが求婚されます。彼は海外渡航歴も豊富で弁舌もたち、洗練された容貌の魅力的な男性ですが、定職についておらず財産もありません。
    スローパー博士は彼と会話するうちに、さてはキャサリンの持参金や自分の遺産目当てで近づいてきたのではと動機を疑い、娘に結婚をやめるよう説得し、モリスにも冷淡に接します。しかし、キャサリンはモリスを深く愛し、父の反対もよそに結婚を望みますが……。

    と、話し的には、娘の結婚に気を揉む性悪な金満おやじと、実直すぎてちょっとめんどうな娘という親子関係に、それを取り巻く人たちの言動や態度などが、実に見事に絡み合った心理描写と相まって、どんどん先を知りたくなるストーリー展開。ただ、読み終えたあとでは、娘のことを思うと複雑ですね。金満おやじに振り回された娘が不憫でならないですが、どっちも頑固だなと。なんだか、物寂しい余韻が残る作品でした。

    0
    2025年05月28日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「幽霊」(苦手)とあったので読むの後回しにしていたんだけど、、、これはおもしろかった!!

    ホラー?ミステリー?謎が多くて先が気になるからどんどん読めた。
    お屋敷に住み込みで子供たちの家庭教師をすることになった女性が語り手。ずっとその先生視点で物語が進んでいく。子供は眉目秀麗な兄と妹。楽しく過ごしていたある日、先生はお屋敷に不穏な影を見てしまい、色々なものが徐々に崩れていく。

    面白いけど難解。結局何が真実なのかわからない。もはや真実なんて無いのかも。と翻弄されてる。
    読み終わってからもう一度序章を読んでみたけど、余計混乱しただけだった笑

    ネタバレになるので詳しく書けないけど、何をホラーと捉えるか、という小説だと思う。

    0
    2025年05月16日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    一人称小説の語り手が、幻覚を見ているのか嘘をついているのか偏見を持っているのか、いずれにせよ素直に読むと読者の足下を掬われる語りのスタイルを獲得したのが20世紀。19世紀末英国は大英帝国の繁栄とオカルトブームが同居する実に奇妙な空間で、アメリカとイギリスの両国で暮らしたジェイムスによる難解な幽霊譚の語りを通して20世紀文学が用意されたと言える。

    この作品において、幽霊はただ佇むだけである。映画「シャイニング」の亡霊のように。幽霊が悪をなしているというのは、語り手である家庭教師の思い込みではないのか。作品は敢えて核心を外していて読者を宙吊りにする。歯切れの悪さを感じられても仕方ないだろう、とは思う。

    0
    2025年05月06日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    果たして幽霊は居るのか?居ないのか?
    126年前に描かれた怖い話。純真無垢な子供が
    不気味。見えてるの?見えてないの?謎は深まっていく。
    両親と死別し、イギリス郊外の古い屋敷に暮らす聡明な兄妹。離れて暮らす伯父に雇われ、赴任してきた家庭教師である「私」。
    可愛く従順な子供達と屋敷を仕切る事となった「私」はある日、高い塔に見知らぬ男の影を見てしまう。それは以前勤めていた使用人に似ていた。しかし、その男はすでに死んでいた。

    YouTubeで知った本作。ホラー苦手な私はこれなら読めるかもと手に取った。ほど良い怖さで一気読み。いろんな解釈ができる。元祖、信頼できない語り手かも。人が一番恐ろしい。
    イギリス、子供、古い屋敷には幽霊がとても似合う。めちゃめちゃ面白かった。

    0
    2024年03月10日
  • ヘンリー・ジェイムズ傑作選

    Posted by ブクログ

     1874-1892年の作品を収めた短編小説集。
     高校生の頃岩波文庫の『ヘンリー・ジェイムズ短篇集』に出会って大きな衝撃を受けて以来、ジェイムズは私が偏愛する作家の一人で、書店で見つけ次第購入して読んできた。
     岩波文庫のそれには、ジェイムズ中期から後期にかけての「曖昧法」を用いた精妙な作品が4作収録されている。そこでは語りのストリーム上の「視点」は一人の人物に限定され、従って、知人のAさんとBさんが見えない所で干渉した出来事について、「視点」の人物はただ推測するしかない。出来事の推移を見つめていても、その真相はどうなっているのか、また他者であるAさんやBさんの心中については永遠に謎のまま残される。この不可知の世界を、ジェイムズは現実の人間の生をリアルに描出するために構築したのだが、掴み得ない他者や世界に取り残されて五里霧中に包まれる孤独感と不安が、私には「これが現代芸術だ!」という感嘆をもたらしたのだ。
     さらにジェイムズの文体は精妙であり、それを辿ることは大きな読書の喜びを約束してくれる。私は岩波文庫の短編集をもちろん何度も読み返したものである。
     さて講談社文芸文庫の本書には5編が収録されているが、そのうち「五十男の日記」「嘘つき」の2つはずっと昔に福武文庫『嘘つき』で読んだことがある。
     巻頭の「モーヴ夫人」(1874)は初期の作風を示し、「国際もの」のジャンルに属している。視点は複数の人物のあいだを渡り歩き固定されていない。ヘンリー・ジェイムズの初期の作品群を私はあまり好きではないのだが、本作はやや複雑で精緻なジェイムズの文体をじっくり味わえて、なかなか面白かった。
    「五十男の日記」(1879)「嘘つき」(1888)には視点の限定による「曖昧法」の手法が見られ、特に後者は、以前福武文庫で読んだ時にはさほど高く評価しなかったものだったが、今回読むとやはりこれは素晴らしい文学作品になっていると感銘を受けた。若い画家ライアンの目を通して世界は観察され、以前求婚してふられたが、実はライアンから現在も密かな恋心を抱いて見られているキャパドーズ夫人、その夫で虚言癖のあるキャパドーズ大佐との三角関係を中心に事象は展開してゆく。この作品は更に後期の作品に見られるような出来事における「完全な謎」はあまり無いのだが、当然キャパドーズ夫妻の心は測りがたく、「他者の遠さ」が絶対的なものとして屹立する。しかもどうやら、これら3人の主要人物は3人ともが嘘をついているらしく、最後のライアンの感慨についても、読者は共感するよりも異質なものとして客観視せざるを得ない。
     この、テクストの記述ストリームと読者の胸中に流れる解釈の意味ストリームとが分離してゆくという二重性が、ヘンリー・ジェイムズの曖昧法の素晴らしい現代芸術的感触を感得させてくれると私は考える。記述ストリームに完全には没入し得ず、「覚醒する」ことを読者は要求されるのだ。この点は確かに「現代芸術」の核心であろう。
     出来事のレベルで「完全な謎」ではないという点、本作の5編ともがそうであるのだが、それでも「教え子」(1891)のような作品は非常に賢いが純粋な少年の像を描き出してとても魅力的だし、ジェイムズの文体や構成の精妙さが味わえて、やはり本書を通して、この作家が私にとって最も重要な、かけがえのない作家であることを確信したのだった。邦訳で全集が出版されていないことがすごく残念だ。

    1
    2022年05月14日

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