ヘンリー・ジェイムズのレビュー一覧
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読み進めるほど著者の精緻な心理描写がさえわたり、人の愚かさや醜さなどが浮き彫りになっていく様は、読み応えがあります。登場人物は少なく、場所もほぼワシントン・スクエアのスローパー博士の邸宅での話し。文章も会話文が多くテンポ良く進み、時折挟まれるユーモアと相まってとても読みやすかったです。ただ、『アスパンの恋文』同様に絶版なのが残念です。
なお、本作は、『女相続人』の名で映画化されています。
あらすじ:
ニューヨークの町に、裕福な開業医であるオースティン・スローパー博士が住んでいました。彼には、キャサリンという優しくも地味で不器用な娘がいましたが、亡き母の美しい容貌を受け継ぐことなく、また社交 -
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「幽霊」(苦手)とあったので読むの後回しにしていたんだけど、、、これはおもしろかった!!
ホラー?ミステリー?謎が多くて先が気になるからどんどん読めた。
お屋敷に住み込みで子供たちの家庭教師をすることになった女性が語り手。ずっとその先生視点で物語が進んでいく。子供は眉目秀麗な兄と妹。楽しく過ごしていたある日、先生はお屋敷に不穏な影を見てしまい、色々なものが徐々に崩れていく。
面白いけど難解。結局何が真実なのかわからない。もはや真実なんて無いのかも。と翻弄されてる。
読み終わってからもう一度序章を読んでみたけど、余計混乱しただけだった笑
ネタバレになるので詳しく書けないけど、何をホラーと捉 -
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一人称小説の語り手が、幻覚を見ているのか嘘をついているのか偏見を持っているのか、いずれにせよ素直に読むと読者の足下を掬われる語りのスタイルを獲得したのが20世紀。19世紀末英国は大英帝国の繁栄とオカルトブームが同居する実に奇妙な空間で、アメリカとイギリスの両国で暮らしたジェイムスによる難解な幽霊譚の語りを通して20世紀文学が用意されたと言える。
この作品において、幽霊はただ佇むだけである。映画「シャイニング」の亡霊のように。幽霊が悪をなしているというのは、語り手である家庭教師の思い込みではないのか。作品は敢えて核心を外していて読者を宙吊りにする。歯切れの悪さを感じられても仕方ないだろう、とは -
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果たして幽霊は居るのか?居ないのか?
126年前に描かれた怖い話。純真無垢な子供が
不気味。見えてるの?見えてないの?謎は深まっていく。
両親と死別し、イギリス郊外の古い屋敷に暮らす聡明な兄妹。離れて暮らす伯父に雇われ、赴任してきた家庭教師である「私」。
可愛く従順な子供達と屋敷を仕切る事となった「私」はある日、高い塔に見知らぬ男の影を見てしまう。それは以前勤めていた使用人に似ていた。しかし、その男はすでに死んでいた。
YouTubeで知った本作。ホラー苦手な私はこれなら読めるかもと手に取った。ほど良い怖さで一気読み。いろんな解釈ができる。元祖、信頼できない語り手かも。人が一番恐ろしい。
イ -
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1874-1892年の作品を収めた短編小説集。
高校生の頃岩波文庫の『ヘンリー・ジェイムズ短篇集』に出会って大きな衝撃を受けて以来、ジェイムズは私が偏愛する作家の一人で、書店で見つけ次第購入して読んできた。
岩波文庫のそれには、ジェイムズ中期から後期にかけての「曖昧法」を用いた精妙な作品が4作収録されている。そこでは語りのストリーム上の「視点」は一人の人物に限定され、従って、知人のAさんとBさんが見えない所で干渉した出来事について、「視点」の人物はただ推測するしかない。出来事の推移を見つめていても、その真相はどうなっているのか、また他者であるAさんやBさんの心中については永遠に謎のまま残 -
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恩田陸さんも以前『ねじの回転』というタイトルの長編小説を発表しており、タイムスリップSFモノだったので本作もそっち系なのかと思っていたのですが、全然違うお話でした。もっとも、本作の特徴である説明しすぎず解釈を読者に委ねる趣向は恩田さんも得意とするところなので、何かしらのオマージュは捧げているのかなあという気はします。
その趣向について少し述べます。主人公は語り手である「私」。両親と死別した兄妹の家庭教師として住み込みで雇われた「私」が、屋敷に出没する男女の幽霊から兄妹を守ろうとするのですが、実はこの幽霊は「私」以外の人間は見ることができません。そのため「幽霊は実際に登場した」という解釈や、「幽 -
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いろいろな作家、評論家が「名作」と言っているので、いつか読もうと、なるべく知識を入れないように人生を過ごしてきた。読んだときの楽しみや驚きが減るから。
題名を知ってから数十年、ついに読みました。
一回目読んだときはまだるっこしい会話や表現が多く、結末も唐突でなんだこりゃと思ったけど、それだけではないはずと、二回目。ああ、これ「信頼できない語り手」だなと。そして、はっきりと山岸凉子の絵で再生された。
この作品が文学界に激震を起こし、物語の世界を塗り替えたのは確かだなと思った。似たような小説、マンガ、映画を読んだ、見たことがあるから。
山岸凉子で再現されたのは「ハーピー」や「スピンクス」や「スト -
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モダニズム文学の先駆者ヘンリー・ジェイムズの伝説的ホラー小説。
ある屋敷に宿泊する人たちが百物語のように一夜ずつ怪談を語っていく集いを開いており、そこで語られる一つの話がこの『ねじの回転』
作中作という形で語られる話であるが、主人公はいわゆる”信用できない語り手”で、幽霊の目撃談を始め、その幽霊に子供たちが操られているという話もどこか怪しい。
この話を屋敷で出会う家政婦に語るのだが、その家政婦の存在すらも主人公に都合の良い扱いがされており、だんだん彼女の存在すらも主人公の妄想なのでは? とさえ思えてくる。
何ならこの話そのものの存在すらも危ういバランスのもとで成り立ってるような、終始そんな不 -
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ネタバレ新訳ということで、読みやすくなった(わかるようになった)と期待していたんですけど……
しょっぱなから延々4行にわたって続く一つの文に(しかも続けて2文章)、思わずうめいちゃいました(笑)
いや、その後はそれほど長い文章はなかったんですけど、まあ、それでも読みづらい、読みづらい。
ただ、それは訳のせいでなくて、作者の地の文章がそうだから仕方ないんでしょう(たぶん)。
(ただ、訳はかなりこなれた日本語になっているように感じます)
訳者のあとがきを見ると、ヘンリー・ジェイムスという人の文章はわかりづらいということですが、この『ねじの回転』については、わざとわかりづらく書いている面もあるのかなーと -
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