ヘンリー・ジェイムズのレビュー一覧

  • ワシントン・スクエア

    Posted by ブクログ

    読み進めるほど著者の精緻な心理描写がさえわたり、人の愚かさや醜さなどが浮き彫りになっていく様は、読み応えがあります。登場人物は少なく、場所もほぼワシントン・スクエアのスローパー博士の邸宅での話し。文章も会話文が多くテンポ良く進み、時折挟まれるユーモアと相まってとても読みやすかったです。ただ、『アスパンの恋文』同様に絶版なのが残念です。

    なお、本作は、『女相続人』の名で映画化されています。

    あらすじ:
    ニューヨークの町に、裕福な開業医であるオースティン・スローパー博士が住んでいました。彼には、キャサリンという優しくも地味で不器用な娘がいましたが、亡き母の美しい容貌を受け継ぐことなく、また社交

    0
    2025年05月28日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「幽霊」(苦手)とあったので読むの後回しにしていたんだけど、、、これはおもしろかった!!

    ホラー?ミステリー?謎が多くて先が気になるからどんどん読めた。
    お屋敷に住み込みで子供たちの家庭教師をすることになった女性が語り手。ずっとその先生視点で物語が進んでいく。子供は眉目秀麗な兄と妹。楽しく過ごしていたある日、先生はお屋敷に不穏な影を見てしまい、色々なものが徐々に崩れていく。

    面白いけど難解。結局何が真実なのかわからない。もはや真実なんて無いのかも。と翻弄されてる。
    読み終わってからもう一度序章を読んでみたけど、余計混乱しただけだった笑

    ネタバレになるので詳しく書けないけど、何をホラーと捉

    0
    2025年05月16日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    一人称小説の語り手が、幻覚を見ているのか嘘をついているのか偏見を持っているのか、いずれにせよ素直に読むと読者の足下を掬われる語りのスタイルを獲得したのが20世紀。19世紀末英国は大英帝国の繁栄とオカルトブームが同居する実に奇妙な空間で、アメリカとイギリスの両国で暮らしたジェイムスによる難解な幽霊譚の語りを通して20世紀文学が用意されたと言える。

    この作品において、幽霊はただ佇むだけである。映画「シャイニング」の亡霊のように。幽霊が悪をなしているというのは、語り手である家庭教師の思い込みではないのか。作品は敢えて核心を外していて読者を宙吊りにする。歯切れの悪さを感じられても仕方ないだろう、とは

    0
    2025年05月06日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    果たして幽霊は居るのか?居ないのか?
    126年前に描かれた怖い話。純真無垢な子供が
    不気味。見えてるの?見えてないの?謎は深まっていく。
    両親と死別し、イギリス郊外の古い屋敷に暮らす聡明な兄妹。離れて暮らす伯父に雇われ、赴任してきた家庭教師である「私」。
    可愛く従順な子供達と屋敷を仕切る事となった「私」はある日、高い塔に見知らぬ男の影を見てしまう。それは以前勤めていた使用人に似ていた。しかし、その男はすでに死んでいた。

    YouTubeで知った本作。ホラー苦手な私はこれなら読めるかもと手に取った。ほど良い怖さで一気読み。いろんな解釈ができる。元祖、信頼できない語り手かも。人が一番恐ろしい。

    0
    2024年03月10日
  • ヘンリー・ジェイムズ傑作選

    Posted by ブクログ

     1874-1892年の作品を収めた短編小説集。
     高校生の頃岩波文庫の『ヘンリー・ジェイムズ短篇集』に出会って大きな衝撃を受けて以来、ジェイムズは私が偏愛する作家の一人で、書店で見つけ次第購入して読んできた。
     岩波文庫のそれには、ジェイムズ中期から後期にかけての「曖昧法」を用いた精妙な作品が4作収録されている。そこでは語りのストリーム上の「視点」は一人の人物に限定され、従って、知人のAさんとBさんが見えない所で干渉した出来事について、「視点」の人物はただ推測するしかない。出来事の推移を見つめていても、その真相はどうなっているのか、また他者であるAさんやBさんの心中については永遠に謎のまま残

    1
    2022年05月14日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『物語の解釈は、あなたに委ねられています』

    幽霊話?心理ミステリー?
    あたかも幽霊の話をするかのような前振り。
    読み進めていくうちに、あれ、何か違うぞ!
    そして、最後の衝撃!
    いったい、この話は、何だったんだ? という解釈が読者に委ねられた古典名作。
    ん?妄想?

    0
    2021年07月16日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    不思議な小説だった。それは、クリスマスイブ、イギリスの古屋敷に集まった男女に向かって、今は亡きダグラスが彼の妹の家庭教師の手記を語った物語。でも、このお話は、それを聞いた私が書写した控えである。そして、その内容は、イギリス郊外の古屋敷に住む男の子マイルズと女の子フローラの家庭教師として雇われた私の体験記である。「私」は、その屋敷に現れる以前の世話係と前家庭教師の亡霊に遭遇するのだが、それが私の内面から書かれているものだけに、亡霊が本当に実在したのかどうか読んでいても分からなくなってくる。印象深い一冊。

    0
    2020年07月23日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    恩田陸さんも以前『ねじの回転』というタイトルの長編小説を発表しており、タイムスリップSFモノだったので本作もそっち系なのかと思っていたのですが、全然違うお話でした。もっとも、本作の特徴である説明しすぎず解釈を読者に委ねる趣向は恩田さんも得意とするところなので、何かしらのオマージュは捧げているのかなあという気はします。
    その趣向について少し述べます。主人公は語り手である「私」。両親と死別した兄妹の家庭教師として住み込みで雇われた「私」が、屋敷に出没する男女の幽霊から兄妹を守ろうとするのですが、実はこの幽霊は「私」以外の人間は見ることができません。そのため「幽霊は実際に登場した」という解釈や、「幽

    0
    2019年02月10日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    おもしろかった。
    文庫裏側あらすじの「私が幽霊なのか?」にだいぶ惑わされたんだけど、読み終わってもはっきりした解答は得られず、ひたすら不思議な話だった。作者がいろんな趣向を凝らして、いろんな憶測ができるよう考えて書いたことがわかる。

    0
    2018年09月30日
  • ワシントン・スクエア

    Posted by ブクログ

    わっ、ヘンリー・ジェイムズだ。

    映画にもなった『ある婦人の肖像』は、ひとりのイザベルという女性のいわく名伏し難い人生を表した作品でしたが、これもまた平凡な女性キャサリンに起こるさまざまな出来事を、人のこころの奥底まで見通した巧みな表現でドキドキはらはら見事に描いた秀作です。

    悲劇のヒロインを自分に感じて読むのも面白いかもしれません。

    0
    2011年10月27日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    幽霊はいるのかいないのか、信頼のできない語り手文学の傑作のひとつ

    授業でレポート書いたのでまた詳しく感想書きます!

    0
    2025年02月07日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    よくわからないことも多くて
    作者の意図や本音を知りたいと思った。
    考察とか読んでみたい。

    解釈の仕方で不思議に怖さが増す。
    幽霊いたのか?幻想なのか?
    先生は精神的に正常だったのか。

    読み終えた後に振り返るのが楽しかった。

    0
    2025年01月27日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    いろいろな作家、評論家が「名作」と言っているので、いつか読もうと、なるべく知識を入れないように人生を過ごしてきた。読んだときの楽しみや驚きが減るから。
    題名を知ってから数十年、ついに読みました。

    一回目読んだときはまだるっこしい会話や表現が多く、結末も唐突でなんだこりゃと思ったけど、それだけではないはずと、二回目。ああ、これ「信頼できない語り手」だなと。そして、はっきりと山岸凉子の絵で再生された。
    この作品が文学界に激震を起こし、物語の世界を塗り替えたのは確かだなと思った。似たような小説、マンガ、映画を読んだ、見たことがあるから。
    山岸凉子で再現されたのは「ハーピー」や「スピンクス」や「スト

    0
    2024年06月22日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    モダニズム文学の先駆者ヘンリー・ジェイムズの伝説的ホラー小説。
    ある屋敷に宿泊する人たちが百物語のように一夜ずつ怪談を語っていく集いを開いており、そこで語られる一つの話がこの『ねじの回転』

    作中作という形で語られる話であるが、主人公はいわゆる”信用できない語り手”で、幽霊の目撃談を始め、その幽霊に子供たちが操られているという話もどこか怪しい。
    この話を屋敷で出会う家政婦に語るのだが、その家政婦の存在すらも主人公に都合の良い扱いがされており、だんだん彼女の存在すらも主人公の妄想なのでは? とさえ思えてくる。
    何ならこの話そのものの存在すらも危ういバランスのもとで成り立ってるような、終始そんな不

    0
    2023年09月19日
  • デイジー・ミラー(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    新潮文庫の新訳版。訳者は小川高義さん。
    O.ヘンリーの訳の時も感じたが、クセがあるけどなんか食べたくなっちゃうセロリ、みたいな翻訳だなぁと。すきです。

    0
    2021年07月25日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    果たして、それは本当にいたのか?兄妹の家庭教師を頼まれた、女が徐々に狂気的になっていく様を彼女の手記を通して読み進めていく。最初はこの子供たにはなんと素晴らしいんだろう!と朗々と語っていたが、有る瞬間を境にそれは乱れていった。最初から少し子供の素晴らしさを手記に書き散らしていたときからかなり妄信的だなと感じた。それが、幽霊を見た(最後まで読むと其れも定かではない)日から少しずつ、しかし劇的におかしくなっていった。子供たちを誉める一方で、ひどく非難するような書き方をし、書き手の心理描写が一定ではなく不可解。

    0
    2020年09月21日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    誰が悪いのか??? 最後まで読み、あとがきを読み、少しして結末を読み直し落ち着いた。こどもは餓鬼ともいうほど残酷なところがある。大人の裏をかくこともあるし残酷なこともする。だからどうやって子供たちが幽霊を演出し、仕掛けたのかを考えながら読んでいたから裏切られた気持ち。だからかな、読み終わった後に、なぜ伯父は?なぜ退学に?なぜクロース?なぜジェセル??となってくる。この余韻が名作なのかなぁ?長く楽しめるお買い得な本。

    0
    2020年01月12日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    新訳ということで、読みやすくなった(わかるようになった)と期待していたんですけど……

    しょっぱなから延々4行にわたって続く一つの文に(しかも続けて2文章)、思わずうめいちゃいました(笑)
    いや、その後はそれほど長い文章はなかったんですけど、まあ、それでも読みづらい、読みづらい。
    ただ、それは訳のせいでなくて、作者の地の文章がそうだから仕方ないんでしょう(たぶん)。
    (ただ、訳はかなりこなれた日本語になっているように感じます)

    訳者のあとがきを見ると、ヘンリー・ジェイムスという人の文章はわかりづらいということですが、この『ねじの回転』については、わざとわかりづらく書いている面もあるのかなーと

    0
    2018年11月04日
  • ねじの回転(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    アンソロジーに入っていた短編が面白くて、ヘンリー ジェイムズの本を読んでみた。

    これは面白い!
    翻訳のせいなのか原文のせいなのか、最初読みづらかったけど、慣れてくるとグイグイ入り込める。

    ヘンリー ジェイムズって思わせぶりが凄く上手で読んでる最中も先が読めない。

    他の作品も読んでみたいけど、ねじの回転を別の翻訳で読んでみたい。

    0
    2017年08月29日
  • ワシントン・スクエア

    Posted by ブクログ

    財産しか取り柄のない女の子が、財産めあてらしきイケメンに言い寄られ、結婚を決意するものの、お父さんに猛反対されてどうするどうなる?という話。皮肉で殺伐としたストーリーのようでもあり、その一方で、人間のゆたかさや奥深さも伝わってくる感じがして・・面白いです!

    0
    2011年11月19日