ジェインは事あるごとに「容姿に恵まれていない」と色んな人から言われるが、そんなにブスだったのʕʘ‿ʘʔそれに「頑固」だとか性格までケチョンケチョンに貶される。
一番腹が立つのが、牧師のセント・ジョンで、彼はジェインの命の恩人ではあるのだけれどジェインのことを「労働するように生まれた人」と言って、
...続きを読む愛がないのにジェインと結婚して助手としてインドへの宣教に連れて行こうとした。
セント・ジョンは容姿に恵まれているし、きれいな女の人にもモテるのに、自分の過剰な野心を「神からの使命」と勘違いした人。
かつてお金持ちだったロチェスター様の妻の座を狙っていたミス・イングラムのような人は容姿にも家柄にも恵まれているのに「金の亡者」。これも可哀想。
血筋は悪くないが、孤児となったために、意地悪な親戚の家→貧窮院→ロチェスター家の家庭教師→ムーアハウス、貧しい子供達の学校の先生→ロチェスター家 と巡り歩き、最後に盲目となってしまったロチェスター様と再会し、彼の目となり手となる愛を結ぶシーンは本当に素敵。
四半世紀くらい前に読んで、このシーンに感動して、私の「愛のバイブル」となっていたが、ストーリーは99%忘れていた^_^
「強い女の人のストーリーが好きなんだね」と言われたことがある。うん、はい。確かに強い女の人の話は好き。でも、私が好きなのは「芯が強い人」であって、自分や同胞の権利を求めて、回りを攻撃するタイプの人はキライなんだな。
ジェインは何度か絶望の中、一筋の光を求めて荒野の中を彷徨う。それがジェインの心象風景でもあり、イギリス人の心の原風景でもある(たぶん)ヒースの丘や曇り空なんだなあ。暗いけれど、時々見える晴れ間が美しい。
自分に近しい人だと分かったムーアハウスの住人を喜ばせるために、ムーアハウスを女中と一緒に蜜蝋などでピカピカに磨きあげ、敷物やカーテンを変えて、料理を準備するシーンも好き。「上流階級→教養があって働かない人、働く人→教養がない下層階級の人」という認識のあった当時のイギリス社会の中で、自分の足で歩ける教養を身につけ、ある程度の身分になっても主婦のように働くことにも喜びを見出す、今の働く主婦のようにバランスの良い女性になっていったジェインの成長は気持ちが良かった。
そしてまた、机上の空論ばかり並べたて、貧しいものに対して上から目線であった聖職者に対しても「本当の愛」とは何かということを身を持って突きつけるような心地良さがあった。
今、「多様性」文学がもてはやされているが、「ジェイン・エア」もこの頃のイギリスの中では「多様性」を認めた文学だったのではないだろうか?ブスが幸せになるというだけでもʕʘ‿ʘʔ