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Posted by ブクログ
読み進めるほど著者の精緻な心理描写がさえわたり、人の愚かさや醜さなどが浮き彫りになっていく様は、読み応えがあります。登場人物は少なく、場所もほぼワシントン・スクエアのスローパー博士の邸宅での話し。文章も会話文が多くテンポ良く進み、時折挟まれるユーモアと相まってとても読みやすかったです。ただ、『アスパンの恋文』同様に絶版なのが残念です。
なお、本作は、『女相続人』の名で映画化されています。
あらすじ:
ニューヨークの町に、裕福な開業医であるオースティン・スローパー博士が住んでいました。彼には、キャサリンという優しくも地味で不器用な娘がいましたが、亡き母の美しい容貌を受け継ぐことなく、また社交性にも欠けた控えめな態度を見るにつけ、博士はとても失望していました。それは、キャサリンが幼い頃に亡くなった母親の代わりに、博士の妹のラヴィニア・ペニマン夫人が世話をしてきましたが、博士の賢い娘に育てて欲しいという希望に、決して応えたとはいえないことも一因でした。
そんな中、博士の下の妹であるエリザベス・アーモンド夫人の娘マリアンの婚約パーティーに招かれ、そこにいた若くてハンサムなモリス・タウンゼンドにキャサリンが求婚されます。彼は海外渡航歴も豊富で弁舌もたち、洗練された容貌の魅力的な男性ですが、定職についておらず財産もありません。
スローパー博士は彼と会話するうちに、さてはキャサリンの持参金や自分の遺産目当てで近づいてきたのではと動機を疑い、娘に結婚をやめるよう説得し、モリスにも冷淡に接します。しかし、キャサリンはモリスを深く愛し、父の反対もよそに結婚を望みますが……。
と、話し的には、娘の結婚に気を揉む性悪な金満おやじと、実直すぎてちょっとめんどうな娘という親子関係に、それを取り巻く人たちの言動や態度などが、実に見事に絡み合った心理描写と相まって、どんどん先を知りたくなるストーリー展開。ただ、読み終えたあとでは、娘のことを思うと複雑ですね。金満おやじに振り回された娘が不憫でならないですが、どっちも頑固だなと。なんだか、物寂しい余韻が残る作品でした。
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