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イギリス郊外に静かに佇む古い貴族屋敷に、両親と死別し身を寄せている眉目秀麗な兄と妹。物語の語り手である若い女「私」は二人の伯父に家庭教師として雇われた。私は兄妹を悪の世界に引きずりこもうとする幽霊を目撃するのだが、幽霊はほかの誰にも見られることがない。本当に幽霊は存在するのか? 私こそ幽霊なのではないのか? 精緻で耽美な謎が謎を呼ぶ、現代のホラー小説の先駆的な名著。
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Posted by ブクログ
「幽霊」(苦手)とあったので読むの後回しにしていたんだけど、、、これはおもしろかった!! ホラー?ミステリー?謎が多くて先が気になるからどんどん読めた。 お屋敷に住み込みで子供たちの家庭教師をすることになった女性が語り手。ずっとその先生視点で物語が進んでいく。子供は眉目秀麗な兄と妹。楽しく過ごして...続きを読むいたある日、先生はお屋敷に不穏な影を見てしまい、色々なものが徐々に崩れていく。 面白いけど難解。結局何が真実なのかわからない。もはや真実なんて無いのかも。と翻弄されてる。 読み終わってからもう一度序章を読んでみたけど、余計混乱しただけだった笑 ネタバレになるので詳しく書けないけど、何をホラーと捉えるか、という小説だと思う。
一人称小説の語り手が、幻覚を見ているのか嘘をついているのか偏見を持っているのか、いずれにせよ素直に読むと読者の足下を掬われる語りのスタイルを獲得したのが20世紀。19世紀末英国は大英帝国の繁栄とオカルトブームが同居する実に奇妙な空間で、アメリカとイギリスの両国で暮らしたジェイムスによる難解な幽霊譚の...続きを読む語りを通して20世紀文学が用意されたと言える。 この作品において、幽霊はただ佇むだけである。映画「シャイニング」の亡霊のように。幽霊が悪をなしているというのは、語り手である家庭教師の思い込みではないのか。作品は敢えて核心を外していて読者を宙吊りにする。歯切れの悪さを感じられても仕方ないだろう、とは思う。
果たして幽霊は居るのか?居ないのか? 126年前に描かれた怖い話。純真無垢な子供が 不気味。見えてるの?見えてないの?謎は深まっていく。 両親と死別し、イギリス郊外の古い屋敷に暮らす聡明な兄妹。離れて暮らす伯父に雇われ、赴任してきた家庭教師である「私」。 可愛く従順な子供達と屋敷を仕切る事となった「...続きを読む私」はある日、高い塔に見知らぬ男の影を見てしまう。それは以前勤めていた使用人に似ていた。しかし、その男はすでに死んでいた。 YouTubeで知った本作。ホラー苦手な私はこれなら読めるかもと手に取った。ほど良い怖さで一気読み。いろんな解釈ができる。元祖、信頼できない語り手かも。人が一番恐ろしい。 イギリス、子供、古い屋敷には幽霊がとても似合う。めちゃめちゃ面白かった。
『物語の解釈は、あなたに委ねられています』 幽霊話?心理ミステリー? あたかも幽霊の話をするかのような前振り。 読み進めていくうちに、あれ、何か違うぞ! そして、最後の衝撃! いったい、この話は、何だったんだ? という解釈が読者に委ねられた古典名作。 ん?妄想?
不思議な小説だった。それは、クリスマスイブ、イギリスの古屋敷に集まった男女に向かって、今は亡きダグラスが彼の妹の家庭教師の手記を語った物語。でも、このお話は、それを聞いた私が書写した控えである。そして、その内容は、イギリス郊外の古屋敷に住む男の子マイルズと女の子フローラの家庭教師として雇われた私の体...続きを読む験記である。「私」は、その屋敷に現れる以前の世話係と前家庭教師の亡霊に遭遇するのだが、それが私の内面から書かれているものだけに、亡霊が本当に実在したのかどうか読んでいても分からなくなってくる。印象深い一冊。
恩田陸さんも以前『ねじの回転』というタイトルの長編小説を発表しており、タイムスリップSFモノだったので本作もそっち系なのかと思っていたのですが、全然違うお話でした。もっとも、本作の特徴である説明しすぎず解釈を読者に委ねる趣向は恩田さんも得意とするところなので、何かしらのオマージュは捧げているのかなあ...続きを読むという気はします。 その趣向について少し述べます。主人公は語り手である「私」。両親と死別した兄妹の家庭教師として住み込みで雇われた「私」が、屋敷に出没する男女の幽霊から兄妹を守ろうとするのですが、実はこの幽霊は「私」以外の人間は見ることができません。そのため「幽霊は実際に登場した」という解釈や、「幽霊は語り手の妄想に過ぎない」等、物語の核となる部分で複数の解釈が読み手に委ねられています。私は子供たちの振る舞いを鑑みて、わずかの差で「幽霊は登場した」に一票を入れたいと思いました。さすがに裏表紙の内容紹介にある「私こそ幽霊なのではないのか」説はちょっと無いかなと思いましたが。これ以外にも様々な箇所で真相をぼかした表現が用いられており、その多面性こそが本作の大きな魅力になっています。 様々な解釈を許すことで作品世界に奥行きが出る小説は今でこそ数多く目にすることができますが、その先駆けとして本作の果たした役割は非常に大きい、というのも納得の面白さだったのでした。
おもしろかった。 文庫裏側あらすじの「私が幽霊なのか?」にだいぶ惑わされたんだけど、読み終わってもはっきりした解答は得られず、ひたすら不思議な話だった。作者がいろんな趣向を凝らして、いろんな憶測ができるよう考えて書いたことがわかる。
よくわからないことも多くて 作者の意図や本音を知りたいと思った。 考察とか読んでみたい。 解釈の仕方で不思議に怖さが増す。 幽霊いたのか?幻想なのか? 先生は精神的に正常だったのか。 読み終えた後に振り返るのが楽しかった。
いろいろな作家、評論家が「名作」と言っているので、いつか読もうと、なるべく知識を入れないように人生を過ごしてきた。読んだときの楽しみや驚きが減るから。 題名を知ってから数十年、ついに読みました。 一回目読んだときはまだるっこしい会話や表現が多く、結末も唐突でなんだこりゃと思ったけど、それだけではな...続きを読むいはずと、二回目。ああ、これ「信頼できない語り手」だなと。そして、はっきりと山岸凉子の絵で再生された。 この作品が文学界に激震を起こし、物語の世界を塗り替えたのは確かだなと思った。似たような小説、マンガ、映画を読んだ、見たことがあるから。 山岸凉子で再現されたのは「ハーピー」や「スピンクス」や「ストロベリーナイトナイト」「バンシー」など、似た作品(物語る人物ではない視点から見たとき真実が明らかになる物語)を山岸作品でたくさん読んだから。孤独な独身の女性が幸せな妄想を抱いて破滅するような作品を、山岸凉子はたくさん描いていて、その雰囲気にも近い。ちょっとホラーテイストなところも。 語り手のガヴァネスの身の上は少ししか書かれていないが、田舎教師であった父が奇行を繰り返していたことがちらっと出てくる。流し読みすると見逃してしまうが、この辺りに彼女の不幸な出自が伺われるし、だからこそ裕福で見た目も良い紳士の雇い主との上昇婚を夢見たとしても不思議はないと思う。 ヒントをあちこちに散りばめてあるところも、深読みしたい読み手には嬉しいところだろう。イギリスのガッチリとした階級社会の歪みも感じる。(ガヴァネスは普通の使用人より上だが、教える子どもよりは下という苦しい立ち位置) 現代の小説をたくさん読んでいる人には今更感はあるだろうし、エンタメ作品ほどすっきりと「実はこうなんです」と示されているわけではない。読み手の解釈に任されている。でも、だからこそ、世界中の作り手たちを刺激したのではないかと思う。 読書好きなら、やはり読んでおきたい名作だと感じた。死ぬまでに読みたいと思ってたけど、読んでよかった。
モダニズム文学の先駆者ヘンリー・ジェイムズの伝説的ホラー小説。 ある屋敷に宿泊する人たちが百物語のように一夜ずつ怪談を語っていく集いを開いており、そこで語られる一つの話がこの『ねじの回転』 作中作という形で語られる話であるが、主人公はいわゆる”信用できない語り手”で、幽霊の目撃談を始め、その幽霊に...続きを読む子供たちが操られているという話もどこか怪しい。 この話を屋敷で出会う家政婦に語るのだが、その家政婦の存在すらも主人公に都合の良い扱いがされており、だんだん彼女の存在すらも主人公の妄想なのでは? とさえ思えてくる。 何ならこの話そのものの存在すらも危ういバランスのもとで成り立ってるような、終始そんな不安感に包まれている。 ちなみに本作は映画の方も有名。 いくつか映画化されており、どの作品も解釈が違うよう。 そのなかでも特にジャック・クレイトンが監督した1961年に映画化された『ねじの回転』は伝説的作品として有名で、90年代から00年代にかけてブームとなったJホラーに与えた影響は強い。 さすがに百年以上前の古典だけあって今読んで新鮮さや、恐怖を感じることはない。 だが、未だに欧米圏ではこの物語をどう解釈をしたらいいのか論争が起きるような作品ってことも面白い。
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