三国美千子の作品一覧
「三国美千子」の「いかれころ(新潮文庫)」「骨を撫でる」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「三国美千子」の「いかれころ(新潮文庫)」「骨を撫でる」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
Posted by ブクログ
よかった。
4歳の幼児を視点人物にしているが、その記述は三十数年後に回想しながら行っている。
ために、当時は見えなかったあれこれを分析する冷静さと、当時見えた世界の豊饒さと冷酷さとが、混じって融合して。
文体がいい。
インタビューによれば文体について、作者は石牟礼道子「椿の海の記」からの影響を語っているが、題材からはどうしたって中上健次を思い出さざるを得ない。
土地や口調からも。
どうなんだろうか。
しかも、少女の見た世界、という視点設定ではあっても、実際は母久美子の強烈さが、裏テーマ。
となると、中上健次の「鳳仙花」のような今後が想像される。
ネットで知っただけだが、実際、次作「骨を撫でる」
Posted by ブクログ
幼女の頃の記憶を回想し、家族・一族の歪みや窮屈さをとらえる構図。家族とは何か問われる今の時代らしいテーマだと思う。
大人は子供を半人前と考えて子供の前で油断してさまざまなことを晒し、それを子供は繊細な感覚で正確に捉えている。
子供を主人公とする作品は、子供が観察者として最適だからなのかと思わさせられた。言葉にしないだけで子供はたくさんの情報を頭に抱えている。
心の移ろいよりも情景の描写が多く、言葉にせずとも様々なものを感じさせる。また、全体の不気味さや暗さに胸が詰まると思えば、草花の描写が美しくそのバランスが素晴らしかった。静かな作品ながら、するすると読ませる力がある。
志保子のカゴの中