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著者の吉川博士は、かの論語を貫き流れているものは、まったき人間肯定の精神であるとして「孔子の教えがもし今の世の教えとして不適当な所があるとすれば、それが余りにも厳格な教えであるためではなくて、むしろ余りにも人間を肯定した楽観的な教えであることにある」と語っている。数多くの文献を効果的に引き、中国文学の最高権威が詩才をも発揮して描く、自由な孔子伝である。
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Posted by ブクログ
最近は白川静や、それを踏まえた酒見賢一の『陋巷に在り』を読んでいるせいで、この本に随分なつかしい感じを覚えた。 孔子が下級士族の子であるとか、孔子の思想の中心は人間の肯定、楽観があるとかいった理解が示されている。 ああ、白川静体験の前は、たしかにそんな孔子像を持っていたような。 そして知らず知らず持...続きを読むっていたその孔子像は、きっと吉川さんなど、この世代の学者の流れなのかなあ、とも思った。 ただ、この本を読んで、ちょっとびっくりしたのは、吉川さんはむしろ『論語』を敬遠してきたとのこと。 この本の最中に学生運動のピークがあったというが、学生運動の嵐の中で、孔子の知恵を再発見して行ったという点に驚いた。 思いのほかも生々しく著者の感情が表れた本だった。
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