切羽へ

切羽へ

506円 (税込)

2pt

かつて炭鉱で栄えた離島で、小学校の養護教諭であるセイは、画家の夫と暮らしている。奔放な同僚の女教師、島の主のような老婆、無邪気な子供たち。平穏で満ち足りた日々。ある日新任教師として赴任してきた石和の存在が、セイの心を揺さぶる。彼に惹かれていく──夫を愛しているのに。もうその先がない「切羽」へ向かって。直木賞を受賞した繊細で官能的な大人のための恋愛長編。

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切羽へ のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年02月13日

    最近、ミステリーのように筋立ての妙で読者をひっぱる物語よりも、文章それ自体の力によって、ゆっくりと歩ませてくれる種類の小説に強くひかれる。在るということ、それ自体が発する力を受けとめる緊張感をもった器のような、そんな小説だ。
    九州の小さな離島の、わずか一年間の物語である。眼に見えるような変化はほとん...続きを読む

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    購入済み

    日常の風合いを楽しむ小説

    2021年04月19日

    特に事件は起こらないありふれた日常の機敏を描くのが上手で、主人公の気持ちの変化を丁寧に言葉にしていると思います。そういえば私自身もちょっとした事で気分が上がったり、下がったりする事があると改めて自分に置き換えて考えたりしました。表現の詩的な感じもとても素敵でした。不思議な存在感の石和に作者が託したも...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年10月05日

    第139回直木賞受賞作。
    離島の小学校の養護教諭の麻生セイ31歳がみた、1年間の島の様々な人間模様。

    セイは島の診療所の医者だった父の娘で、一度は東京に出たこともありますが、今は両親は亡くなって、画家である幼ななじみの三歳年上の夫の陽介と二人で暮らしています。
    島で一つきりの学校である小学校に勤め...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2017年01月08日

    淡く美しい小説。

    夫の描く絵、島の景色、人々のありよう。
    穏やかであたたかい、ある意味なまぬるいような
    景色のなかにやってきた石和という人。
    ざわめきが、ゆっくりと穏やかな景色を、
    空気を乱していく。

    切羽とは、トンネルを掘っていくいちばん先。
    トンネルがつながるとなくなってしまう。

    いつか喪...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2022年04月16日

    何かを成す途中にはとても大切と思われていた場所が、終わってしまえば影も形も消えてしまう、そんな場所をあなたはご存知でしょうか?

    これはなかなか難しい質問です。簡単には思い浮かばないと思いますが、例えばビルや家の工事現場がそんな場所と言えなくもありません。もちろん白い幕に覆われていて容易には目にで...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2019年09月14日

    映画『つやのよる』が面白くなかったため期待してなかったけど、この人の小説は多分、文章で感じるもので、映像にしたらつまらくなって当たり前なんだと分かった。
    霧の中に隠された何かに引かれる感じ、そんなのは映像じゃ無理だもの。
    ぼんやりした理解だけど、登場人物はみんな好き。特に主人公の夫、理想的。

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    Posted by ブクログ 2019年06月18日


    日々の暮らしの中で、
    切羽詰まる、追い詰められ方は何度か味わっているけれど、ルーツは「切羽(きりは)」だとは知らなかったし、そもそも、切羽(きりは)」という言葉すら知らなかった。

    山田詠美さんが解説。

    抑制的で読者の想像に委ねている描写。
    わたしは好き。
    書かない言葉もあるという美しさも...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年12月02日

    激しいドロドロはなく、淡いのだけど妙にエロチックて、しかも濡れ場がないという不思議な本でした。島に赴任してきた独身教師にそこはかとなく惹かれていく主人公。夫の事は愛しているのに後ろめたい感情が時折頭をもたげるのであります。僕は性格的に夫側の性格なので、奥さん浮気したらいけませんよと念じながら読んでい...続きを読む

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    Posted by ブクログ 2015年08月02日

    主人公・麻生セイ、夫・陽介。セイが惹かれていく石和聡。官能的な視覚的表現はないものの、セイが心惹かれていく様子が描かれていて、むしろそこが妙にエロティック。同僚の奔放な月江と不倫相手の本土さん(結局最後まで名前は出てこなかった)、近所に住むしずかばあちゃんもいい。(ちょっと寂しいけど)

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    Posted by ブクログ 2014年07月16日

    つながらないことで、確かにつながっていた。
    セイにとっては夫のほうが、石和にとっては月江のほうが、近くにいるはずなのに。
    書かれていないふたりの空白にはどんな物語があったのだろう。

    裏表紙の解説からどんななまめかしい話なのかと思っていたけれど、艶っぽく、瑞々しい反面、画家が描くグレーの色彩に覆われ...続きを読む

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