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なぜ30歳を過ぎても、私は働かず母の金で酒を飲んでいるのか。それはあの目に出会ってしまったから。中学の古参教師に告白させた生涯の罪を、虚無的に冷笑しつつ、不敵な価値転倒を企てる野心的表題作。級友たちの生け贄として凄惨ないじめの標的にされた少年が、独自の「論理」を通じて生存の暗部に迫る、新潮新人賞受賞作「冷たい水の羊」を併録。気鋭の作家、鮮烈のデビュー作品集。
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Posted by ブクログ
「図書準備室」「冷たい水の羊」の2編入り。「冷たい水の羊」、すごすぎた。いじめられっこの主人公は「いじめられたと感じたらそれをいじめ」といういじめの定義を採用し、「自分はいじめられていない」とし、ひたすらいじめを受け続ける。いじめの内容もかなり陰惨な部類に入る。主人公はただただ自分の中の論理でいじめ...続きを読むっこを観察し、自分の論理に逃避する。ただ一人、先生にいじめがあることを報告した水原里子という女子と心中することを計画しながら。重い。でもあの結末、主人公がいつか「死ねなかった」ではなく「死ななかった」と思える日が来るのだろうか。 「図書準備室」は芥川賞第一作の「夜蜘蛛」にも通じるものがある、現代に第二次世界大戦はいかにして通用しているのかを描いた作品、と思う。田中慎弥さんはしっかり今の戦争を書く。
【図書準備室】 主人公がずっと喋っていくスタイルの文章。序盤のリズミカルな、小気味良い口調が読んでいて楽しかった。子供の頃、倒錯的な強迫観念を抱いた経験が多かれ少なかれ誰にでもあるのではないだろうか。大人になり世の中のことがわかってくるにつれ、それが無知ゆえの取るに足らない思い込みであることに気付く...続きを読む。しかし、大人になればまた別の強迫観念に縛られながら生きている自分がいる。人生が続く以上、この枠組みの外へは決して逃れられないのだと思った。 【冷たい水の羊】 自分がいじめられていると思わなければいじめは存在しない、という論理で真夫は自分を騙す。いじめを辛いと感じるような心理描写は全く出てこない、そんな真夫の強がりの論理は積まれ崩されを繰り返し先鋭化されていく。唯一の救いの可能性である水原里子の存在が真夫の積み上げた論理を揺るがす。二人で生きるという選択肢は選びようがなく、倒錯した心理は水原との心中を企てる。思えば誰もが真夫のように意識的に、または無意識的に自前の論理を拵えて生活しているのではないだろうか。その論理は自分を守るかも知れないし、殺すかもしれない。良くも悪くも自分の論理を崩してくれる存在が実は人生にとっては大切なのだ。
◯図書準備室、冷たい水の羊ともに、まず表現の面でエンターテインメントを感じた。 ◯図書準備室では、現在の語りと当時の行動のギャップに驚き、冷たい水の羊では、凄惨なイジメの描写に驚く。 ◯しかし、その先に、それぞれの生きることに関する論理がある。あるのだが、なかなか読み解けず、その分心惹かれた。
【図書準備室】 ニートの話 中学の古参教師の戦場で犯した罪の告白人生をひとり語りで語っており、ニートの立場の主人公が語る事で時代の価値観みたいなものを考えさせられた。 【冷たい水の羊】 いじめの話。 いじめられている事を心配して先生に相談してくれるクラスメイトがいるのに、いじめと認めない主人公。読...続きを読むみながら、直視できない部分と理解できない部分は流し読みになってしまった。 いじめる側の高揚している気持ちや恐怖で支配されてしまう後輩、父親の選挙の準備て両親は息子の事まで気が回ってない様子、それぞれの立場の気持ちが描かれていて、いじめられる側だけを意識することなく読めて、いろんな立場を考察する気持ちになれた。 季節の描写が良かった。
デビュー作と二作目/ エッセイの文章が綺麗で読みやすいから読んでみたが、これはものすごく挑戦的だ/ 図書準備室に至っては、延々独白で自分の歪みっぷりを幼女に聴かせているだけの話で、その読点を駆使して文章をつなぎ形容しまくる文体は、たとえば節が十もあるヌンチャクを紙面に並べているようで、また表現されて...続きを読むいる景色は妙に細かく、期待していたような読みやすさではなかったと言えなくもない/ 冷たい水の羊は高校卒業以来一度たりとも労働についたことのない青年が書いた最初の小説という側面を、どうあぶり出してくれるのかという意味で興味深い/ デビュー作からして途切れることのない長い接続の文章で心情ないし風景を文字列に変えている/ エンタメじゃないんならこんなものなのかと思う/ これが村上龍ならクラスメイトの少女を殺してしまうんだろう/ 作者本人がいじめられていたのかどうかは知らないが、その内面に同調できるものは多いはず/ さっと読まないと、何日もかけて読むようなことをすると気分が下がるね/
「逃げてからどうするの?」従兄の幼い娘に問われ「逃げつづけるしかない」と、答える主人公。たとえそれが辛く虚しい行く末だとわかっえいても、逃げはじめたらそこに終わりはなく、逃げ続ける人生が死ぬまでつづくのかな?
<「冷たい氷の羊」について> いじめがストーリーに絡んでくる小説は読むのが難しいなと感じる。凝視すべき点は本当にそこなのか?と疑いつつも、気が付けばそっちに目が行ってしまう。いかにも寓意がたっぷり込められていそうで、読書の流れを勝手にぶった切ってしまう。 主人公の視点がはまった。狭溢な世界の中で...続きを読む、視線で外側へ穴を空けるんじゃないかってくらい、じっ…と見る。でも、絶対に穴は空かない。でも、しっかり見てる。一所懸命見てる。そんな感じが好き。 現実をそのまま見ている訳では、もしかしたらないのかもしれない。後半に出てくる他者の視点が、主人公のような少年がたくさんいることを気付かせてくれた。 終盤の描写は素敵だったが、面白くは無かった。 <表題作について> 笑ったけど、何だか良く分からなかった。 どちらの短篇も、思っていることや言っていることが行動とかみ合っていない。袋小路チックで息苦しい。客観的な語り口なのに、明らかにズレてるであろう解釈をする。語り手は、そのズレを意識しているのだろうか。 意識しているのだと思う。話の途中気が付けばいない伯母や、母の反応に、彼がズレを感じ取らないとは流石に思えない。だからこそ、彼は洪水のように語るのではないだろうか。それが、彼が現状もち得るアクセスの手段なのではないか。 だから、本当か作り話かは、どうでもいい。あくまで話。戦争も同じく、話。吉岡のとんでもない体験も、入れ籠構造によってぼんやりと遠ざかっていく。 「冷たい氷の羊」では読めたのに、「図書準備室」での吉岡による残酷な描写は眠くて読むのに苦労したのは、この現実性の乏しさが原因なのかも。なんだか、戦争が遠のいた。
まだ全部読んではいませんが やはりこの人は凄い人なのだな、と 読めば読むほど 惹かれていくから不思議です 多分自分の中にも彼と同じ狂気が宿っていて 呼応してるんだと思います 作者紹介の顔を見て 知っている人の瞳にとても似ているなといつも思う 彼ほどぎらぎらはしていないけれど 彼も 彼の書く文...続きを読むも 嫌いじゃないです
ご本人から想像していたとおり、頑なな難しい人間の奥深くを表現してると思う。若い時分、落ち込んでるときに読む本かなと思う。
初めて田中慎弥さんの書いた物を読んだ。テレビで姿を拝見して想像していたとおりの文体。自分の好みの文体だけれど、少しもたもたしているのが気になってしまった。芥川賞を受賞した作品も読んでみたい。
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図書準備室(新潮文庫)
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田中慎弥
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