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リトル
第1回「ありがとう大賞」大賞受賞作品。「生きものってね、0から生まれて、100になって、また0に戻ると思うんだ」突然7歳のアッコちゃんの家にやって来た子犬、リトル。その日から、リトルとアッコちゃん、お父さん、お母さんたち家族の、長くて短い9年間が始まった。新しい家族、リトル。アッコちゃんの「おねえさん宣言」。日々繰り返されるリトルとアッコちゃんのバトル。初めて見るもの、聴くものに、目を輝かせるリトルとアッコちゃん。でも、そんな幸せな日々は長くはつづかなかった。リトルが病に倒れてしまい……。 犬は家族にとって、単なるプラスαではない。家族の心の中に棲んで、一人一人を変えていく。リトルという犬を通して、アッコちゃん、そして両親までもが成長していく姿を描いた感動作。 -
金色の笑顔
第1回「ありがとう大賞」大賞受賞作品。絵にこめられたメッセージと、大切な人への真摯な気持ちが胸を打つ感動作。高校2年生の安藤小麦(こむぎ)は、母と祖父の3人暮らし。家庭の事情で転校したものの、学校に馴染めず、日々募る孤独感を自分でも持て余し、母との関係もうまくいかなくなり、不登校予備軍になっていた。そんな小麦をあたたかく見守っていた祖父が余命3カ月と宣告される。「この絵を、ある人に届けて欲しい」――病床の祖父から頼まれた小麦は、一度は拒否するが、祖父が元気になるならと、絵を届ける決意をする。信州松本へと旅立った小麦は、そこで出会ったさまざまな人たちとの触れ合いの中で、自分という存在、生きるということに、向き合い始めるようになっていく……。「今、この作品を世に送り出すことに意味がある」と選考員絶賛の作品。 -
襷がけの二人
「二人一緒なら、どこへでも行けます。」 話題をさらった直木賞候補作、ついに文庫化! 【文庫版では、スピンオフ作品「わたぼこりの女」も特別収録】 有能な女中頭の初衣×平凡で印象が薄い嫁・千代。 大正から昭和、激動の時代を生きる女性たちの物語。 ごく平凡な顔立ちの千代が嫁ぎ先で出会ったのは、料理の腕が抜群で てきぱきと立ち働く女中頭の初衣。 一つ屋根の下で暮らすうちに絆が芽生えていく。 しかし、米軍の敵機が襲来するようになり、ある日、予想もつかない事態に陥ってしまう。 大正、昭和を生き抜く女性たちの歓びや哀しみに溢れた悪化の直木賞候補作。 解説・青木奈緒「リアルな大正昭和の家事模様」 ╲絶品料理も登場!!/ ・手間のかかった牛タンシチュー ・ウニと松葉で化粧された胡麻豆腐 ほか 単行本 2023年9月 文藝春秋刊 文庫版 2026年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
娘が巣立つ朝
家庭崩壊のきっかけは、娘の婚約だった 家族って、なんだろう……? 多くの共感を集めた家族小説の傑作が、待望の文庫化! 高梨家の一人娘・真奈が恋人の優吾を実家に連れてきた。 爽やかな好青年なのだが、 どこか会話が嚙み合わない。 一方母・智子は、不機嫌でため息ばかりつく夫の健一に 辟易している。 見て見ぬふりをしてきた小さな綻びが、 少しずつ大きくなり――。 誰もが経験する人生の曲がり角を通して、 ある家族の変遷を描き、 多くの共感を集めた感動作。 シビアな現実と、全体に流れるユーモア。 家族の悲喜こもごもに「わかる!」「そうそう」と 相槌をうつこと必至、胸に刺さります。 第46回吉川英治文学新人賞候補作。 文庫解説・瀧井朝世 単行本 2024年5月 文藝春秋刊 文庫版 2026年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
ロスト・イン・ザ・ターフ
競馬を愛してやまない著者が贈る夢の物語 途絶えさせない、名馬の血筋は――。 直木賞受賞作『少年と犬』の著者最新文庫! 引退間際の崖っぷち競走馬が繋ぐ、愛とロマンの痛快作。 【あらすじ】 亡き兄が遺した競馬バーを営む葵。 ある日競馬場で、芦毛の馬・ウララペツに一目惚れにも似た感情を抱く。しかし、名高い血筋を引くにもかかわらず、戦績の振るわないウララペツは処分されてしまいそうに。葵は、自ら馬主になり、ウララペツを種牡馬にする覚悟を決めるが……。 単行本 2023年10月 文藝春秋刊 文庫版 2026年8月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
海を破る者
なぜ、人は争わねばならないのか 弘安四年、夏。博多湾に蒙古軍14万の艨艟(もうどう)が押し寄せた。 日本史上最大の国難――元寇。 そのとき石築地(防塁)の外、波打ち際にあえて陣を張った若き武士がいた。 伊予の没落御家人・河野六郎通有である。 かつて名門として知られた河野家は、いまや一族骨肉の争いに沈み、再興の道は遠い。 伯父と当主の座を争う六郎が、奴隷市で買い受けたのが、西域から流れてきた少女・令那と、高麗から連れてこられた青年・繁だった。 言葉も、信じる神も、肌の色も違う三人。 それでも伊予の家で、血のつながらぬ者たちは奇妙にひとつの「家」を築いていく。 血を分けた一族とは争い、血のつながらぬ相手と心を通わせる――その日々の先に、海の彼方から異形の艦隊が現れる。 河野家は寡兵で、博多湾の砂浜に陣を据えた。 身を守る石築地の「外」に。 退路を断つかのようなその構えは、後世「河野の後築地」と呼ばれ、史実に名を残す。 六郎はなぜ、あえて防塁の外へ出たのか。 神風が吹く、その前に、彼は何を守ろうとしたのか。 家か。国か。それとも、共に生きる者たちの命か。 『塞王の楯』『イクサガミ』の今村翔吾が、元寇、鎌倉時代、博多湾、海戦、異文化との共生を壮大なスケールで描く歴史小説。 「別冊文藝春秋」連載時から話題を呼んだ、著者渾身の歴史長編、待望の文庫化! 単行本 2024年5月 文藝春秋刊 文庫版 2026年7月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
光のとこにいてね
あまりに美しく激しい愛の物語 〇本屋大賞3位、島清恋愛文学賞受賞の話題作がついに文庫化! ――切ないほど美しく、激しい愛の物語 うらぶれた団地の片隅で出会った 小学2年生の結珠と果遠。 正反対の境遇に育ちながら、 同じ孤独を抱えるふたりは強く惹かれ合うも、 幸せな時間は唐突い終わりを迎える。 8年後、名門女子校で思わぬ再会を 果たしたふたりは――。 人がひとを想う気持ちを最高純度で描く、 本屋大賞3位、キノベス2位、直木賞候補、 島清恋愛文学賞受賞と、 大きな話題を呼んだ傑作長編が文庫化! 単行本の初回特典だった掌編「青い雛」収録。 解説:村山由佳 単行本 2022年11月 文藝春秋刊 文庫版 2025年9月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
伝言
わたしは、やっと、自分がなにを作っていたのか知った。 満洲国・新京。 そこで彼女たちに何があったのか。 戦後80年 『きみはいい子』『世界の果てのこどもたち』『天までのぼれ』の著者がおくる、語り継ぐべき物語。 『世界の果てのこどもたち』には書かれなかった、もう一つの真実。 わたしは気づけなかった。 気づけなかったことはたくさんあった。 この物語の中で繰り返されるこの言葉が、いまを生きる、私に迫る。(略) 私はこの作品が『伝言』と題されたことの重大さを、ずっと考え続けている。 ――小林エリカ(解説より) 満洲国・新京で暮らす、ひろみ。 聖戦とよばれた戦に勝つため、工場に集められた彼女たちは、鉄の機械とのり、刷毛を使って畳ほどの大きさの「紙」を作り続ける。 それが何なのか、考えもせずに。 五族協和、尽忠報国――信じていた国でひろみたちはどう生きたのか。 これはわたしたちが忘れてはならない物語。 -
幻告
「僕の父親は無実だったのかーー?」 時空を超えた法廷で、奇跡を手に入れろ。 感動のタイムリープミステリー! 裁判所書記官として働く宇久井傑(うぐい・すぐる)。ある日、法廷で意識を失って目覚めると、そこは五年前――父親が有罪判決を受けた裁判のさなかだった。冤罪の可能性に気がついた傑は、タイムリープを繰り返しながら真相を探り始める。しかし、過去に影響を及ぼした分だけ、五年後の「今」が変容。親友を失い、さらに最悪の事態が傑を襲う。未来を懸けたタイムリープの果てに、傑が導く真実とは。リーガルミステリーの新星、圧巻の最高到達点! -
安倍晴明くすしの勘文
陰陽師・安倍晴明と、 “孫娘”の少女・小鹿が、 怪異に挑む! 妖気あふれる平安後宮ミステリー! 小鹿の母・多治比文緒が島脱けした! 行方は杳 として知れず、帝は追捕命令を出した。同じ頃、 御所には金華猫(化け猫)が現れる。真相を探る べく動き始めた小鹿と、安倍晴明・吉平の親子。 折しも、入内した彰子が住む飛香舎の雨戸に奇っ 怪な絵が貼られた。晴明は「申の亀」と読み解い たが、それは謀反を示唆する不吉な絵だった……。 大好評の後宮ミステリー書下し。 目 次 第一帖 桜の屏風 第二帖 金華猫 第三帖 頼光四天王 第四帖 申の亀 第五帖 特別な場所 第六帖 姿絵の男君 第七帖 咲くやこの花 あとがき 参考文献 -
ミカエルの鼓動
ぶつかり合う二人の医師の志。命を救えるのはどちらの正義か 大学病院で、手術支援ロボット「ミカエル」を推進する心臓外科医・西條。そこへ、ドイツ帰りの天才医師・真木が現れ、西條の目の前で「ミカエル」を用いない手術を、とてつもない速さで完遂する。 あるとき、難病の少年の治療方針をめぐって、二人は対立。 「ミカエル」を用いた最先端医療か、従来の術式による開胸手術か。 そんな中、西條を慕っていた若手医師が、自らの命を絶った。 大学病院の暗部を暴こうとする記者が、「ミカエルは人を救う天使じゃない。偽物だ」と西條に迫る。 二人の医師の「志」がぶつかり合い、大学病院の闇が浮かび上がる。 命を救うための、正義とは――。 気鋭の著者が、医療の在り方、命の意味を問う感動巨編。 ------------ 単行本 2021年10月 文藝春秋刊 文庫版 2024年10月 文春文庫刊 この電子書籍は文春文庫版を底本としています。 -
東京、はじまる
日本銀行本店や東京駅など、近代日本を象徴する建物を矢継ぎ早に設計した、 明治を代表する建築家・辰野金吾。 下級武士から身を立てるべく学問に励み、洋行して列強諸国と日本の差に焦り、 帰国後はなんと恩師ジョサイア・コンドルを蹴落として 日銀の建築を横取りする……! 周囲を振り回しながらも、この維新期ならではの超人・金吾は熱い志で 近代日本の顔を次々を作り上げていく。 日銀の地下にある意外な仕掛け、東京駅の周辺にかつて広がっていた海の 蘊蓄など、誰もが見慣れた建築物の向こうに秘められたドラマを知ることもできる。 ベストセラー『家康、江戸を建てる』の著者が 「江戸を壊して東京を建てた」辰野金吾を描く、大きく楽しい一代記! ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
現代の小説2022 短篇ベストコレクション 日本文藝家協会・編
ミステリーから幻想小説まで極上の11編! 2021年、文芸誌に発表された数多くの短篇から、日本文藝家協会の編纂委員が審査を重ねて厳正にセレクト。 収録した作品は、爆笑家族小説から手に汗握る近未来ミステリー、背筋も凍る怪奇幻想小説まで、非常にバラエティに富んだ高品質なラインアップ。 作中にはマスク警察やマスク拒否男など、コロナ禍だから生まれたキャラクターもいて、まさに現在の日本の短篇小説がどのような方向に発展を遂げているかを1冊で窺える、大変お得なアンソロジーです。 収録作家は、井上荒野「何ひとつ間違っていない」、荻原 浩「マスク・オブ・モンスターズ」、小田雅久仁「裸婦と裸夫」、黒木あるじ「春と殺し屋と七不思議」、小池真理子「ミソサザイ」、佐々木 愛「加賀はとっても頭がいい」、 新川帆立「接待麻雀士」、中島京子「オリーブの実るころ」、パリュスあや子「呼ぶ骨」、湊 ナオ「キドさんとドローン」、矢樹 純「魂疫」の11名。 解説は文芸評論家・杉江松恋。 -
崩壊の森
日本人特派員、土井垣が降り立ったソ連は“特ダネ禁止”の地だった。 謎に包まれた帝国で監視の目を潜り、取材を開始する土井垣。しかし、その周囲では次々に不可解な出来事が起こる──。 ソ連崩壊という世界的スクープを報じた斎藤勉をモデルに、魑魅魍魎が蠢くソ連崩壊前夜を圧倒的リアルで描き尽くす。 今、読むべき本物のインテリジェンス小説! 諜報、盗聴、罠、駆け引き、裏切り…… “ソ連崩壊”を世界に先駆けて報じた 日本人記者が見た「真実」とは? 「どうやら、この国のことを少し甘く見ていたらしい──」 吉川英治文学新人賞を受賞した『ミッドナイト・ジャーナル』、直木賞候補となった『傍流の記者』。 気鋭の著者が放つ、極寒の氷をも溶かす熱き闘いの物語! 解説は、保守派に換金されたゴルバチョフの生存情報の第一報を伝えた、当時、在ソ連日本国大使館の三等書記官だった作家の佐藤優さんです。 ※この電子書籍は2019年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ウチの娘は、彼氏が出来ない!!
私だって恋してみたい。と娘(二十歳)は思っていた。 でも、漫画は次々に新刊が出るし、コミケに向けてコスプレの準備もしなきゃだし。 オタクの私はそれでも結構忙しいのだ。 なんていうか、“ご縁”もなかったし。 そんなことより心配なのはウチの母! いい歳して天然、暴走、世間知らずなかーちゃんを放っては置けない。 そんな時、二人に突如吹きつけた恋の春一番! 娘にとっては人生初の、母にとっては久々の、恋! 少女のような天然母・碧と、しっかり者のオタク娘・空。 トモダチ母娘のエキサイティングラブストーリー。 2021年1月クール、日テレ系列で放送の水曜ドラマを小説化。 出演:菅野美穂、浜辺美波、岡田健史、川上洋平(Alexandros)、東啓介、沢村一樹、有田哲平、豊川悦司ほか -
ミルク・アンド・ハニー
文学賞三賞に輝いた前作『ダブル・ファンタジー』に続く、魂と官能の傑作長編小説。 脚本家・高遠奈津は、創作の鬼に導かれるようにして夫との穏やかな暮らしを捨てた。 いくつかの恋を経て、現在は物書き志望の恋人・大林一也と暮らしているが、 大林もまた奈津の心と身体を寂しくさせる男だった。自分に触れず、遊び歩くばかりの 大林に気を遣いプレゼントを捧げ続ける日々の中で、元恋人たちと逢瀬を重ねる奈津だったが―― 自由と官能、孤独と愛憎の果てに、奈津がたどり着いた果てとは? 「週刊文春」連載中から「面白過ぎる」と多くの読者・執筆者を夢中にさせた強烈な吸引力のある一冊。 解説・辻村深月 ※この電子書籍は2018年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。 -
ブルーネス
〈津波監視システム〉は実現できるのか? はぐれ研究者たちの情熱溢れる理系エンタメ! 「津波監視システムの実現に手を貸して欲しい」。 東日本大震災後、地震研究所を辞めた準平は、学会で異端視されている武智に誘われる。 海洋工学や観測機器などのエキスパートだが個性が強すぎて組織に馴染めない“はみ出し者”たちと、準平は前人未到のプロジェクトに挑むか……。 研究者の情熱ほとばしる科学エンタメ! 解説・巽好幸(神戸大学海洋底探査センター教授・センター長) ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています -
【新装版】2
日本一の超劇団『パンドラ』の入団試験を乗り越えた青年・数多一人。しかし、夢見たその劇団は、ある一人の女性によって《壊滅》した。 彼女は言った。 「映画に出ませんか?」と。 言われるがまま数多は、彼女と二人きりでの創作をスタートする。 彼女が創る映画とは。 そして彼女が、その先に見出そうとするものとは……。 『創作』の限界と「その先」に迫る野崎まど新装版シリーズ・最終章!! 『2』が、全てを司る。 -
山猫の夏
船戸与一最高傑作堂々復刊。 冒険小説の第一人者、船戸与一最高傑作『山猫の夏』が、この夏堂々復刊。 舞台は、ブラジル東北部の町エクルウ。アンドラーデ家とピーステルフェルト家が、互いに反目し合い、抗争が繰り返される血なまぐさい町に、山猫(オスロット)と呼ばれる一人の日本人・弓削一徳が現れる。ピーステルフェルト家から、ある依頼を受けた山猫。その依頼とは、敵対するアンドラーデ家の息子・フェルナンと駆け落ちした娘・カロリーナを捜し出し、生娘のまま連れ戻してほしいというものだった。ブラジル版ロミオとジュリエットに端を発した血塗られた追跡劇。両家の抗争の裏で動く莫大な金と大きな野望、捜索の中で出会う旧知の男と山猫との因縁の対決、そして最後に明かされる山猫の思惑と正体・・・手に汗握る怒濤の展開、読み出したら止まらない究極のエンターテイメント小説。執筆から30年以上たっても色あせることのない名作を完全復刊。 -
新宿・夏の死
闇深い街に多様にうごめく人間の情念を描く 人生の最後を息子の復讐のために使い切ろうと灼熱の新宿を疾走する老いた父親。生きて虐げられ、死んでなお見捨てられるオカマたちが誇りをかけて立ち上がったささやかな戦闘。非情な取立てを生業とする貸金業の男が夢見た現実からの脱出と、残酷な誤算。プロ棋士になる夢に破れ、ぼったくりバーを営む叔母のもとに身を寄せた青年が見聞きした欲望と純情の谷間。仲間との束の間の友情を感じつつ、消すことのできない過去に縛られ続ける元高校教師のホームレス。失踪人の捜索をするうちに、みずから抜き差しならない状況に追い込まれていく興信所勤めの元女刑事……。違法と合法、幻と現実、正気と狂気、男と女。あらゆるものが混沌と混ざり合うこの街の、喧騒の底に沈む深い闇のなかから、宿業のように生み落とされる人間のドラマ。焦げつくような真夏の新宿を舞台に繰り広げられる8編の熱い物語。 -
隆家北方食目録
江(こう)国で長い歴史を誇る高級老舗酒楼・天上雲夢を若くして取り仕切る慶月(けいげつ)は、隆(りゅう)家の御曹司にして眉目秀麗、さらに頭脳明晰と非の打ち所のない青年だ。 ただし、「食」への強い興味関心を持ち、いわゆる奇食でも何でもためらわず口にするので、店の者たちからはある種の変わり者とも思われていた。 ある日、庶民たちが住まう外城の店に訪れた慶月は、酒樽の盗難疑惑をかけられ、店をクビにされて困り果てている料理人の青年と出逢う。 身分は低いが料理の才がありそうだと考えた慶月は、持ち前の頭脳で冤罪を晴らし、ある事情で元の名前を使えなくなってしまった青年に玉陽(ぎょくよう)という名を与える。 さらに、自分の店で雇ってやる代わりに、この国では禁忌となっている〈北方料理〉を共に作るよう命じて――!? 事が露見すれば互いの命が危うい事態に玉陽は怯えながらも、貧乏で苦しい生活から抜け出すために、慶月の交換条件を呑むことになり……? 食い道楽の御曹司と、名を失った料理人。 身分も性格も真逆の二人が出遭う事件の数々とは。 そして彼らの奇妙な〈共犯関係〉は、やがて新たな出逢いと国を揺るがす大事件を呼び込んで……!? 選考委員満場一致での受賞が決定した、第11回 角川文庫キャラクター小説大賞〈大賞〉受賞作!! -
江ノ電を待ちながら
各駅停車の江ノ電は、観光客や地元の人を乗せて、今日も湘南の海沿いをゆっくり走る。オリンピック強化選手に選ばれなくても、ひたむきに練習を重ねるビーチバレーの選手に出会った青年が、忘れかけたていたサッカーへの情熱を取り戻していく「夢をほおばっていた」。観光客でにぎわっている極楽寺駅で、小さな神社の娘が、参拝客を呼び寄せるために突飛なアイディアを思いつく「君に捧げるイエスタデイ」。稲村ケ崎で生まれ育った女性が、モデルになり多忙な日々を送っているが、クラスメイトとの再会でふと潮風の中での生活を思い出す「人生の途中下車」など。人生のターニングポイントでふと立ち止まった人々が、新しい一歩を踏み出す姿を描く、温かな連作短編集。 -
燕は戻ってこない
北海道での介護職を辞し憧れの東京で病院事務の仕事に就くも、非正規雇用ゆえに困窮を極める29歳・独身女性のリキ。「いい副収入になる」と同僚のテルに卵子提供を勧められ、ためらいながらもアメリカの生殖医療専門クリニックの日本支部に赴くと、国内では認められていない〈代理母出産〉を持ち掛けられる。バレエ界の「サラブレッド」としてキャリアを積み、自らの遺伝子を受け継ぐ子の誕生を熱望する43歳男性・基。その妻で、不育症と卵子の老化により妊娠を諦めざるを得ず、「代理母出産」という選択をやむなく受け入れる44歳女性・悠子。それぞれのままならぬ現実と欲望が錯綜する、ノンストップ・ディストピア小説! -
ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~
二宮和也、中谷美紀、大沢たかおトリプル主演で話題のドラマが完全ノベライズ! 逃亡犯、報道キャスター、孤高のシェフ――。 バラバラに思えた3人の人生が運命的に交錯する! 12月24日。クリスマス・イブの喧騒の中、受け入れがたい現実に直面する3人。 「記憶を無くし、警察と組織に追われる逃亡犯」 「世代交代を迫られる地方局の報道キャスター」 「クリスマスディナー直前にすべてを失った洋食屋のシェフ」 絶望の中で起こる数々のハプニング。それぞれの出来事にさまざまな人々が輻輳的に関わり、事態はまったく予期せぬ方向へ転がっていく……。クリスマス・イブの昼夜、横浜・関内の街を舞台に、目まぐるしく展開する3人の運命は、どのような方向に突き進んでいくのか。 -
恋に焦がれたブルー
靴職人を目指す高校生の歩橙(あゆと)は、同じ学年の青緒(あお)に恋心を寄せている。彼女はいつもボロボロのローファーを履き、友達も作らず、ひとりぼっちで笑顔を見せたことすらない。歩橙はそんな青緒に手作りの靴をプレゼントしようと思い立つ。不器用に、真っ直ぐに、恋する気持ちを靴に込めようとする歩橙。そのひたむきな想いに触れ、青緒も次第に彼に惹かれてゆく。しかし青緒は、彼を愛おしく思う気持ちが身体に痛みを与える不思議な病を発症してしまう。歩橙の言葉が、愛情が、してあげることのすべてが、青緒の身体を焦がすように傷つけ…。切なく胸を焦がす、かけがえのない恋の物語。 -
山岳捜査
警察小説と山岳小説の完璧な融合! 「山はおれたちが護らなければならない聖域だ」 長野県警山岳遭難救助隊に所属する桑崎祐二は、鹿島槍北壁からの下山途中、谷あいに倒れている人物を発見する。すでに死亡していたその女性の首には、索条痕と吉川線があり、他殺死体だと認められた。しかし桑崎らをヘリコプターに収容する直前、雪崩が発生し、死体は飲み込まれてしまう。 桑崎は、死体を発見する前日、同じ場所で不審な三人組を目撃していた。さらに、三月の気温の上がる時期にも関わらず、死体は完全凍結していた。三人組と女性との関係は? なぜ死体は凍ったまま発見されたのか。 吹雪の北アルプスでの壮絶な捜索行。その果てに明かされた真実とは──。 山岳小説と警察小説の面白さを融合した著者新境地の長編ミステリ-。 ※この作品は単行本版『山岳捜査』として配信されていた作品の文庫本版です。 -
ブラック・ワスプ出動指令
博物館としてけい留されていた空母(イントレピッド)で、化学兵器を用いた大規模テロが発生した。 危機を察知することに失敗したオプ・センターは、ミドキフ大統領によって即時解隊を命じられる。 長官の座を追われたチェイス・ウィリアムズは自責の念に駆られるが、 マット・ベリー大統領次席補佐官からかけられた言葉は意外なものだった。 「わたしはきみにつぎの任務を携えてきた」。 事件を引き起こしたテロリスト、アフマド・サーレヒー元大佐の追撃。 それがチェイスに課された新たな使命だった! -
スメル男 新装版
岡山から上京して東京の大学に通うぼく・武井武留は、母親を亡くした喪失感のためか、無嗅覚症になっていた。東大で作物の研究をしている親友・六川が、ぼくのために「臭い」の研究もしてくれるが研究所で事故死する。悲嘆にくれていると六川の恋人だったというマリノレイコが現れ、六川からぼく宛の荷物だと言ってシャーレを持ってきてくれる。マリノレイコによるとチーズの匂いがするというシャーベット状の中身に触ったときからぼくの身に異変が起こり始める。最初は犬が騒ぎ出し、次にはぼくの臭いを嗅いだ人がみんな嘔吐。住んでいるマンションに警察が調べに来たり、ついには東京都内を巻き込む異臭騒ぎにまでなってしまう。解決の糸口が見つからないまま、こんどは謎の組織に狙われることになり、なぜか味方になってくれた天才少年たちやマリノレイコといっしょの逃亡劇に! -
暗手
『不夜城』『夜光虫』の衝撃から20年 究極のクライムノベル誕生! 台湾のプロ野球で八百長に手を染め、罪から逃れるために次々と殺しを重ねた加倉昭彦。居場所を失い、顔も名前も変えて過去を抹消、逃れ着いたのはサッカーの地イタリアだった――。イタリアの黒社会では、殺し以外の仕事なら何でも請け負い、いつしか「暗手」――暗闇から伸びてくる手――と呼ばれるようになっていた。そんなある日、サッカー賭博の帝王・王天から、ロッコに所属する日本人ゴールキーパー・大森怜央に八百長をさせろとの依頼が舞い込む。計画実行に向けて着実に準備を進めていく加倉だったが、大森の姉の写真を目にしてから過去の記憶がよみがえり、計画の歯車が狂い始める……。 -
奪い愛、夏
「1億円で私と結婚しなさい!」 急展開の連続! 前代未聞の大どんでん返し! 危険な愛の駆け引きに息をのむ! AbemaTVオリジナルドラマ最高視聴数を記録した、“狂愛”ドラマを完全ノベライズ マッチングアプリ会社「ラブネクスト」の広報部に所属する桐山椿は、同じ部署の空野杏と社内には秘密で交際を始めた。しかしある日、和菓子屋を営む椿の父親が1億円の借金を抱え、店を手放さなくてはならない状況に陥ってしまう。返済期限が迫るが、どうすることもできない椿。そんななか、椿は夜道で突然、社長の花園桜にキスをされる。さらに翌日、命令どおりに社長室を訪れた椿を待っていたのは、桜からの驚くべき提案だった――。SNSでも話題沸騰となり、日本じゅうを震撼させたクレイジー“狂愛”ドラマが今、幕を開ける! (解説/鈴木おさむ) -
生還せよ
航空自衛隊の安濃将文三等空佐は、同期の泊里三等空佐ともども内閣府の遺骨収容対策室に出向中。実際は、内閣府に設立された小規模な諜報部門に配属され、CIAから情報提供を受け、シンガポールへ潜入捜査に入っていた。ここシンガポールで、映像解析技術の専門家である田丸という男から、アジア某国の軍事関係者へ、軍事転用出来る技術が渡っていたのだ。田丸と接触を試みた二人の新米工作員は、田丸が部屋で撃たれたとの連絡を受ける。さらに、東京にいる内閣府大臣政務官の能任からの電話で、インドからシンガポールに入った日本人ビジネスマンの保護要請を受けるが、その際に泊里が撃たれてしまう。そこに外為法違反捜査に経産省安全保障貿易検査官の高木摩子、田丸の取引相手の程、警察庁の神崎が現れて--。諜報員となった自衛官を主人公に、東アジアに繰り広げられる国際謀略を描く! -
とちりの虫
昨年の春、中古のルノーを買って乗り始めてから、間もなく一年になるが、其の間に私は、交通違反でつかまった事が三回ある。その三回とも、奇妙な事に、友人の安岡章太郎が関係しており、これは私には、ただの偶然とはとても思えない。――阿川弘之 私が仕事にかかるふりをしていると、襖がすこしずつ開いて、その隙間から嘲けるような笑いをうかべて、彼はじっと窺っているのである。私もそっと彼の部屋をのぞくと、安岡は布団の上に寝そべって天井を眺めながら鼻毛をぬいているのであった。――遠藤周作 浪人三年、落第一年、秋風がふくと終わらない夏休みの宿題を想い出してゾッとする。出がけには必ず忘れものをし、約束の時間を一時間まちがえてウロウロ。泥棒に入られれば何も盗まれるものがなく警察に困惑され、文学賞の授賞式では緊張してシドロモドロになる。どうも自分の身体の中には一匹の虫が棲んでいて、それが自分を終始とちらせたり、失敗やへまをくり返させたりしているらしい――青春時代をユーモラスにつづる自伝的回想、作家仲間との楽しいやりとり、鋭さを笑いで包んだ社会観察など、著者の魅力が凝縮された随筆集。阿川弘之と遠藤周作によるエッセイを新たに収録。〈解説・中島京子〉
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