Posted by ブクログ
2020年09月04日
高嶋哲夫『バクテリア・ハザード』集英社文庫。
石油を生成するバクテリアを巡る国際謀略バイオ・ミステリー小説。
アイディアは独創的で、ストーリー展開も早くなかなか面白い。しかし、世界規模でストーリーが展開する割りには主な舞台は日本に留まり、世界の描写は味付け程度で、無難な結末にも少しがっかりした。...続きを読む
林野微生物研究所の山之内明は短時間で効率的にクリーンな石油を生成するバクテリア『ペトロバグ』を発見する。世界の石油市場を根底から覆す発見に、アラブの産油国やアメリカのメジャー石油会社は動揺に包まれる。石油を巡る戦争にも発展しかねない驚異に山之内の殺害と『ペトロバグ』の奪取に動く。
昔は世界の石油が後数十年で枯渇するなどと言われていたが、新たな油田の発見や採掘技術の進歩により、石油は容易な高効率エネルギーとして世界の産業を支えている。もしも、石油が短時間に高効率で生成出来るならば、世界のエネルギー市場は大きく変わるだろう。特に石油で国を支えて来た産油国や石油の利権を背景にのし上がって来た大国のダメージは計り知れない。
本体価格980円
★★★★