小説・文芸 - 新潮社 - 新潮文庫作品一覧

  • 小説 イタリア・ルネサンス2―フィレンツェ―(新潮文庫)
    4.3
    1巻1,210円 (税込)
    公職追放処分となったマルコは心機一転、フィレンツェへと旅に出る。しかしメディチ家が善政を敷いたかつての「花の都」は、いまや皇帝カルロスを後ろ盾にしたメディチ家の庶流アレッサンドロの独裁する傀儡国家へと堕していた。マルコはカルロスの間諜だった恋人オリンピアと再会を果たしたが、二人はメディチ家の泥沼の内部抗争に深く巻き込まれていくのだった。『銀色のフィレンツェ』改題。
  • 小説 イタリア・ルネサンス4―再び、ヴェネツィア―(新潮文庫)
    完結
    4.0
    全1巻1,320円 (税込)
    国政に復帰したマルコは、再びトルコと対峙する。絶対君主スレイマンが没すると、両国間には戦雲が立ち込め、ついには誰も望まなかった全面衝突に発展してしまう。五百隻が海上で激突し、一万五千人が命を落としたレパント沖での大海戦は、その後の世界をたった一日で運命づけるのだった……。一人の外交官の人生を通して、ルネサンス世界の興亡を壮大に描いた傑作歴史小説、圧巻の完結編。
  • 正雪記(上)
    3.3
    立身出世を夢見て、一介の染屋職人の伜から、侍になる野望を抱き江戸へ出奔した由井正雪は、その明晰な頭脳を武器に島原の乱で浪人たちの衆望を集める。浪人隊を結成し、幕府軍の先鋒に使うことを進言する。しかし知恵伊豆・老中松平信綱の狡猾な罠が待っていた……。支配権力への抑えがたい怒りを胸に、徳川のゆるぎない天下に挑んだ巨人を正面から見つめた本格歴史長編。

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  • 小説東京帝国大学
    -
    「国家の大学」として巨大な指導者群を養成し、日本の現代史を動かす原動力となった東京帝国大学は、激動する時代の流れに如何に呼応し、抵抗したか――桂内閣の軟弱な対露外交を批判した七博士の“日露開戦論”に端を発した空前の東大騒動、国定教科書の改訂にからむ南北朝正閏論争、大逆事件など明治の朝野を揺り動かした数々の問題を背景に、その変遷と功罪を描く異色長編。

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  • 小説に書けなかった自伝
    4.0
    安月給の生活苦。妻の本に触発された訳ではないが、小説に挑戦してみようと思った。しかし、何をどう書けばいいのかまるでわからない。なくされた原稿、冷たい編集者、山岳小説というレッテル、職場での皮肉。フルタイムで働きながら、書くことの艱難辛苦……。やがて、いくつもの傑作が生まれていく。事実を下敷きに豊かな物語を紡いで感動を生んできた新田文学の知られざる内面史。

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  • 小説日本銀行
    2.0
    政界と財界にまたがって、絶大な権力をふるう〈法王庁〉日本銀行。終戦直後の激動する時代を背景に、大蔵省との対立関係の中で、狂乱化したインフレを終息させようという理想に燃えた新入日銀マンが、その一途さ故にエリート・コースから蹴落されてゆく姿を、さまざまな視角から捉えて、巨大な機構の内実を浮彫りにする。経済小説の第一人者が、日本の聖域に体当りした意欲長編。

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  • 小説日本芸譚
    4.0
    日本美術史に燦然と輝く芸術家十人が、血の通った人間として甦る――。新進気鋭の快慶の評判に心乱される運慶。命を懸けて、秀吉と対峙する千利休。将軍義教に憎まれ、虐げられる世阿弥。将軍家、公卿、富商の間を巧みに渡り歩く光悦。栄華を極めながらも、滲み出る不安、嫉妬、苛立ち、そして虚しさ――美を追い求める者たちが煩悩に囚われる禍々しい姿を描く、異色の歴史短編小説十編。

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  • 小説 日本婦道記
    4.2
    千石どりの武家としての体面を保つために自分は極端につましい生活を送っていたやす女。彼女の死によって初めて明らかになるその生活を描いた『松の花』をはじめ『梅咲きぬ』『尾花川』など11編を収める連作短編集。厳しい武家の定めの中で、夫のため、子のために生き抜いた日本の妻や母の、清々しいまでの強靱さと、凜然たる美しさ、哀しさがあふれる感動的な作品である。

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  • 小説のたくらみ、知の楽しみ
    3.7
    障害のある息子との共生を祈念したこの二十年、無力な父親は、小説のたくらみを通じて初めて、現在ここにある自分をのりこえ、新しい自分を達成して、生き方の定稿を作ることができた……。日々の読書から、また創作の現場から、かつてなく自己の生活と精神の内情をさらけだした注目の長編エッセイ「小説のたくらみ、知の楽しみ」に、「核時代のユートピア」他の手紙と提言を併録。
  • 肖像彫刻家(新潮文庫)
    4.2
    芸術家の道を諦めた中年バツイチの正道。心機一転、八ケ岳山麓に移住するが、本場イタリア仕込みの腕を振るった女神像は、あらぬ場所に置かれてしまう。それでも注文には心を込めリアルな彫像を造った。だが耳を疑うことが起きた。喋るというのだ、肖像が……。古刹の訳あり仕事から、亡き両親の像、大胆な裸体彫刻まで、珍現象が巻きおこす人間模様をからりとしたユーモアで笑い飛ばす傑作。(解説・鵜飼哲夫)
  • 少年・あかね雲
    -
    1巻605円 (税込)
    子供はただ遊びほうけるだけの素朴な存在ではない。獣にも似た鋭い嗅覚を持ち、大人もおよばない豊かな感性を内に秘めている。――本書は、はるか彼方に過ぎ去った少年時代の懐かしい情景を、幼い魂に映じた大人の世界を、自伝風にあるいはフィクションをまじえて描いた珠玉作18編を収録する。少年の心の機微を見事に浮き彫りにし、清冽な詩情とさわやかな郷愁のあふれる一巻。
  • 少年―ある自伝の試み―
    -
    私とは一体何者なのだろうか? 現在の私と少年時の私とはどのように関わっているのだろうか?――大正時代、東京・渋谷に少年時代を送った著者が、過去のさまざまな経験の全像を文献や証言によって詳細に検証しつつ、《過去》の持つ意味を探る。キリスト教体験・恋愛と性・学校生活と交遊・読書体験などを、渋谷の町の変遷を背景に回想し、少年の精神の形成を辿った自伝長編。
  • 少年ゲリラ兵の告白―陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊―(新潮文庫)
    4.5
    太平洋戦争で国内最大の地上戦の舞台となった沖縄。そこに敵を殺し、友の死を目の当たりにした10代の少年達の部隊があった。陸軍の情報機関により沖縄本島北部で組織された約千人の遊撃隊(ゲリラ戦部隊)=「護郷(ごきょう)隊」は、どのような環境に置かれ、米兵を相手にいかなる戦闘を強いられたのか。戦後70年を経て、生存者が重い口を開いて語る戦場の悲惨な真実! 『僕は少年ゲリラ兵だった』改題。(解説・仲村清司)
  • 娼婦の部屋・不意の出来事
    3.9
    男に翻弄され、ほかの職業についてもすぐに元の娼婦に戻ってきてしまう女に対する「私」の奇妙な執着を描いた『娼婦の部屋』。場末のキャバレーで働く女と、女のヒモで気の弱いヤクザ、三流週刊誌の記者である「私」との三角関係を淡々と描いた『不意の出来事』。ほかに『鳥獣虫魚』『寝台の舟』『風景の中の関係』など、初期の傑作短編13編を集めた作品集。新潮社文学賞受賞。
  • 勝負師語録
    -
    「バットは両腕の延長、だから執念さえあれば折れるはずがない」(長島茂雄)「あの挫折があったからこそ、三冠王になれた」(落合博満)「やられたら次にやりかえす。これが3番打者の極意だ」(秋山幸二)「相撲はイメージで取ります」(舞の海)「人生、楽ありゃ、苦もあるさあ」(武豊)。時代を超え、歳月をのりこえて、本当の言葉は胸の中に熱い感動を運んでくる。プロフェッショナル71人が勝負の世界の奥深さを語る名語録。
  • 食卓の情景
    4.2
    いちばん好きなものは? と問われたら、鮨と答える、にぎっている時の主の眼の輝きがすばらしい。少年時代、どんどん焼屋に弟子入りしようとして〔鳥の巣焼〕という珍品を発明する。松阪牛が丹精こめられた処女なら、伊賀牛はあぶらの乗りきった年増女、これをバター焼、ついですき焼と賞味する。おいしい食べ物に託して人生観を語る無類のエッセー。著者自筆のカット7点挿入。
  • 食卓のない家
    4.0
    鬼童子信之は、過激派の同志虐殺と〈八ケ岳山荘事件〉に連座して獄中にいる長男・乙彦に面会することも、進んで弁護士をつけることもしない。信之は、息子には息子の、自分には自分の生き方があるという信念を貫き、職を辞すこともなく、マスコミの取材も拒否した。そのため、彼と家族への世間の指弾は一層厳しさを増す。連合赤軍事件を潜在的テーマに、家族とは何かを問う長編。
  • 処女の道程(新潮文庫)
    4.0
    女は結婚するまで処女でいるべきか――なんて議論は過去のもの。だが処女の価値には、その時代の女性の地位やモラルの変遷が現れていた。性に開放的だった古代~平安、儒教の貞操観念が浸透した封建社会。純潔が尊ばれた大正から、出産を国に推奨された戦時下。未経験が恥だった80年代を経て、性交渉しない自由を得た令和へ。古今の文献から日本の性意識をあぶり出す画期的な性のクロニクル。(解説・花房観音)
  • 書藪巡歴
    3.5
    軽妙洒脱なエッセイストとして名高い林望氏が、書誌学の一貧書生だった頃。ただ志のみを頼りに、書物の藪、学問修行の藪を、いかにして掻き分け進んだか。碩学の恩師との胸にしみる逸話、愛してやまぬ古書・稀覯本たちとの「書縁」ともいうべき邂逅、学問の階段を昇る途上の愉しみ、苦しみ――。切々と、飄々と、“本業”への思いをここに纏めた随筆集。親切な、ひとくち語釈付き。
  • 白洲家の日々―娘婿が見た次郎と正子―
    4.0
    白洲次郎のひとり娘を奪い、“七年の敵”と呼ばれた著者。「夫婦円満の秘訣はなるべく一緒にいないこと」という奇想天外な二人のもと、後年様々な薫陶を受けることになる。著者が夫婦喧嘩をしたときに、居合わせた正子が見せた女性らしい素顔、夜中に訪れた新聞記者に次郎が応えて言った「僕は口が堅いからここまで生きてこられたんだ」という言葉の重み……。秘話満載の名エッセイ。※新潮文庫版に掲載の写真の一部は、電子版には収録しておりません。
  • 知りたがりやの猫
    3.1
    三日後、昔の男の目の前で大きく脚を開いている自分の姿が見える――深夜、夫が寝入った後、二年前に別れた恋人から電話がかかってきた。この男ともし会ってしまったら……きっと乱暴なやり方で私を誘う。無理やり連れていかれる部屋は、CDと本で埋まりそうな1DKのあの部屋で――そしてもう聞くことがないと思っていたいくつかの卑猥な言葉を吐いて――別れた男から誘いを受けた人妻の甘い葛藤を描く「眠れない」など、エロティックに語られる、女たちの11の恋愛短編集。

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  • 尻出し天使
    -
    「女」はヴィーナス、いたずらっぽい媚態で男を惑わす「天使」にも変身する。だから「男」は永遠に夢=欲望を追いかける。貧乏画家の主人公をめぐる、年上の妻と、若い二人の女。欲望にのみ突き動かされるように、愛人たちとの情事を繰り返す主人公にとって、いったい「天使」は誰? (1989年~90年「新潮45」掲載「女は海 男は船」改題)
  • 知床 望郷の殺意
    2.5
    元刑事・水木和俊は、大都会東京で挫折し、老母の待つ故郷の知床に帰ろうとしていた。だが、羽田空港で、十津川警部に拘束されてしまう。かつて水木に痴漢の汚名を着せ、その警察官人生を葬り去った女性を殺害した容疑者として……。世界自然遺産に選ばれた美しき知床と、真夜中に目を覚ます欲望の街新宿。対照的なふたつの土地を舞台に、人びとの愛、欲望、そして死が絡みあう。
  • 白い牙
    4.1
    自分以外のすべてに、彼は激しく牙をむいた。強さ、狡猾さ、無情さ……彼は生き延びるため、本能の声に従い、野性の血を研ぎ澄ましてゆく。自分の奥底にいまはまだ眠る四分の一のイヌの血に気づかぬままに――ホワイト・ファング(白い牙)と呼ばれた一頭の孤独な灰色オオカミの数奇な生涯を、ゴールドラッシュ時代の北の原野を舞台に感動的に描きあげた、動物文学の世界的傑作。
  • 白い夏の墓標
    3.8
    パリで開かれた肝炎ウィルス国際会議に出席した佐伯教授は、アメリカ陸軍微生物研究所のベルナールと名乗る見知らぬ老紳士の訪問を受けた。かつて仙台で机を並べ、その後アメリカ留学中に事故死した親友黒田が、実はフランスで自殺したことを告げられたのだ。細菌学者の死の謎は真夏のパリから残雪のピレネーへ、そして二十数年前の仙台へと遡る。抒情と戦慄のサスペンス。
  • 白い人・黄色い人
    3.6
    『白い人』は、醜悪な主人公とパリサイ的な神学生との対立を、第二次大戦中のドイツ占領下リヨンでのナチ拷問の場に追いつめ、人間実存の根源に神を求める意志の必然性を見いだそうとした芥川受賞作。『黄色い人』は、友人の許婚者をなんらの良心の呵責も感じずに犯す日本青年と、神父を官憲に売った破戒の白人僧を描いて、汎神論的風土における神の意味を追求する初期作品。
  • 白い服の男
    4.0
    1巻484円 (税込)
    横領、強盗、殺人……こんなたぐいの犯罪は一般の警察にまかせておけばよい。わが特殊警察の任務はただひとつ――人間が作り出す平和の虚妄性を痛烈な皮肉をこめて描く表題作。男っぽく言葉づかいのぞんざいだった妻が一夜あけるとすっかりしとやかな女になっていた――軽妙なタッチで医学の進歩の盲点を衝いた『月曜日の異変』。ほかに、『老人と孫』『テレビシート加工』など全10編。
  • 知ろうとすること。
    4.2
    福島第一原発の事故後、情報が錯綜する中で、ただ事実を分析し、発信し続けた物理学者・早野龍五。以来、学校給食の陰膳(かげぜん)調査や子どもたちの内部被ばく測定装置開発など、誠実な計測と分析を重ね、国内外に発表。その姿勢を尊敬し、自らの指針とした糸井重里が、放射線の影響や「科学的に考える力の大切さ」を早野と語る。未来に求められる「こころのありよう」とは。
  • 白きたおやかな峰
    -
    1巻517円 (税込)
    想像を絶する巨大な山塊、猛々しくも優雅にそそり立つ大伽藍――白雪におおわれた未踏の高峰ディラン。長い準備の末に憧れのヒマラヤにやって来た10人の日本人たちは、病気や悪天候などさまざまな障害を克服しながら、冷酷に人間を拒否しつづける頂上に挑む……。ドクターとして遠征隊に参加した著者が、大自然の魅惑と愛すべき山男たちの素顔を描く書き下ろし長編。
  • 城の中の城
    4.0
    英文学教授の山田信氏は、去年突然渡仏中にパリで洗礼を受けカトリック信者になった、と妻の桂子(30歳)さんに事後告白をした……。夫君の裏切りに、自尊心を傷つけられた桂子さんは、二人の可愛い子供を思いながらも、棄教か離婚かを夫君にせまり、二人だけの宗教戦争がはじまった! 禁じられた愛や夫婦交換を、キリスト教を背景に描き、現代の知識人家庭を風刺する長編小説。
  • しろばんば
    4.4
    1巻825円 (税込)
    野草の匂いと陽光のみなぎる、伊豆湯ヶ島の自然のなかで幼い魂はいかに成長していったか。著者自身の少年時代を描いた自伝小説。

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  • 白百合の崖―山川登美子・歌と恋―
    -
    明治12年、福井県に生まれた山川登美子は与謝野鉄幹主宰の「明星」に参加、与謝野晶子と共に名花二輪と謳われる。登美子はその才能と美貌を“君が才をあまりに妬し”と晶子に詠ませながら、鉄幹への恋も、歌もあきらめ、親の定めた縁談に従う。――鉄幹・晶子の強烈な個性の陰でひっそりと散っていった登美子のあまりにも短い人生。同郷の歌人への深い共感を、愛惜をこめて綴る。
  • 城をひとつ―戦国北条奇略伝―(新潮文庫)
    4.3
    城をひとつ、お取りすればよろしいか――。小田原城に現れた男は不敵にも言い放った。ある時は馬商人、ある時は旅の僧に姿をやつし、敵中深く潜入する。人の心を操るという兵法書『孟徳新書』の「入込」の術で、相手を分断。機を見て一気に城を奪取する。曰く「敵を攻めるのではない。敵の心を攻めるのだ」。江戸城攻略をはじめ、北条五代を支えた謎の軍師一族を名手が初めて描き出す傑作。(解説・春風亭昇太)
  • しをんのしおり
    3.8
    「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ……色恋だけじゃ、ものたりない! なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開――日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ! 「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。

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  • 進化した猿たち―The Best―(新潮文庫)
    3.4
    人間と他の生物とのいちばんの違いは何か。それは、笑いと想像力である――。星新一が長年愛読し、蒐集してきたアメリカのヒトコマ漫画には、われわれ〈進化した猿たち〉の欲望や習性、奇癖が余すところなく描かれていた! 「結婚」「宇宙人」「精神分析」「クリスマス」など、漫画を17のテーマに分け、ブラック・ユーモアと旺盛な想像力で魅せるエッセイ集。幻の名作、待望のリニューアル復刊!
  • 真空地帯
    5.0
    1巻825円 (税込)
    木谷上等兵は二年の刑を終え原隊に戻ってきた。なぜ自分が無実の罪に問われたか、誰が自分を陸軍刑務所に突き落したのか? 秘密のカギを握る者は誰だ、そして真の“犯人”は! 巧みな構成の展開にしたがい“秘密”の核心は軍法会議、すなわち天皇制絶対主義のからくりに集約される。戦後はじめて、軍隊機構の末端である兵営の緻密な描写を通して、日本軍国主義を批判した問題作。
  • 新源氏物語(上)
    4.1
    1~3巻825~869円 (税込)
    現代のヒーローとして甦った〈光る君〉。平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で〈現代〉のよみものとして描いた大ロマン長編――比類ない美貌と知性、そして高貴な身分を持つ源氏は、至福の愛を求めて、許されぬ恋、苦しい恋を重ねる……。上巻には、「眠られぬ夏の夜の空蝉の巻」より「佗びぬればはかなき恋に澪標の巻」までを収める。
  • 新源氏物語 霧ふかき宇治の恋(上)
    4.0
    平安王朝の宮廷ドラマの華麗な覇者、光源氏の、因果応報ともいうべき秘められた業を背負って生れた、もの静かな貴公子・薫。彼を敬愛するがゆえに、その切実な求愛に応えることを拒みとおして逝った大君。運命の恋人たちの愛は、さらに変転しながら、川をくだる……。流麗な文章と巧みな構成を以て、世界の古典を現代に蘇らせた田辺版・新源氏物語、待望の完結編「宇治十帖」上巻。
  • 新源氏物語シリーズ(全5巻)合本版(新潮文庫)
    -
    1巻3,861円 (税込)
    現代のヒーローとして甦った〈光る君〉。平安の宮廷で華麗に繰り広げられた光源氏の愛と葛藤の物語を、新鮮な感覚で〈現代〉のよみものとして描いた大ロマン長編――比類ない美貌と知性、そして高貴な身分を持つ源氏は、至福の愛を求めて、許されぬ恋、苦しい恋を重ねる……。 ※当電子版は新潮文庫版『新源氏物語』上中下巻および『新源氏物語 霧ふかき宇治の恋』上下巻をまとめた合本版です。
  • 紳士協定―私のイギリス物語―
    4.4
    1986年、入省二年目の私はイギリスにいた。語学研修に追われる単調な日々の小さな楽しみは、ステイ先で出会った12歳のグレンとの語らいだった。ロンドン書店巡り、フィッシュ&チップス初体験。小さな冒険を重ね、恋の痛みや将来への不安を語りあった私たちは、ある協定を結んだ……。聡明な少年を苛む英国階級社会の孤独と、若き外交官の職業倫理獲得までの過程を描く告解の記。
  • 新史 太閤記(上)
    4.5
    日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。
  • 新史 太閤記(上下) 合本版
    5.0
    日本史上、もっとも巧みに人の心を捉えた“人蕩し”の天才、豊臣秀吉。生れながらの猿面を人間的魅力に転じ、見事な演出力で次々に名将たちを統合し、ついに日本六十余州を制覇した英雄の生涯を描く歴史長編。古来、幾多の人々に読みつがれ、日本人の夢とロマンを育んできた物語を、冷徹な史眼と新鮮な感覚によって今日の社会に甦らせたもっとも現代的な太閤記である。 ※当電子版は『新史 太閤記』(上)(下)の全二巻をまとめた合本版です。
  • 紳士同盟
    値引きあり
    5.0
    いんちき臭くなければ生きていけない! 思わぬ運命の転変にめぐりあい、莫大な金を必要としたとき、四人はそう悟った。目標は二億円――素人の彼らは老詐欺師のコーチを受け、知恵を傾け、トリックを仕掛け、あの手この手で金をせしめる……。奇妙な男女四人組が、人間の欲望や心理の隙、意識の空白につけこむスマートで爽快、ユーモラスな本格的コン・ゲーム小説。
  • 紳士同盟ふたたび
    -
    あのコン・ゲーム集団〈紳士同盟〉が帰ってきた! 暴力や殺人で金を奪おうとするのは、もう古い。今の世の中、頭脳こそ、腕力や凶器以上の武器なのだ。被害者に被害にあっていると思わせない機智と品格を備えた犯罪、それがコン・ゲームだ。今度の目標は二億三千万円、東京・NYを股にかけ、大胆かつ緻密なトリックをしかけるが……。スマートでユーモラスなコン・ゲーム小説。
  • 新釈遠野物語
    4.0
    東京の或る交響楽団の主席トランペット奏者だったという犬伏太吉老人は、現在、岩手県は遠野山中の岩屋に住まっており、入学したばかりの大学を休学して、遠野近在の国立療養所でアルバイトをしている“ぼく”に、腹の皮がよじれるほど奇天烈な話を語ってきかせた……。“遠野”に限りない愛着を寄せる鬼才が、柳田国男の名著『遠野物語』の世界に挑戦する、現代の怪異譚9話。
  • 新・しゃばけ読本(新潮文庫)
    4.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 病弱だけれども、優しくて知恵の働く若だんなと、彼を見守る不思議で愉快な妖(あやかし)たちが、お江戸に起こる難事件珍事件を解決! 大人気しゃばけシリーズのガイドブックが登場です。物語紹介から妖と人物解説、作者&絵師の創作の秘密にも迫ります。巻末に絵本『みぃつけた』を特別収録。初心者からマニアの方まで、シリーズの魅力を楽しみ尽くすための豪華な一冊。『しゃばけ読本』増補改訂版。
  • 心中弁天島
    -
    チンピラやくざと紡績会社の女子工員との出会いから死に至る魂のふれ合いの中に、青春の持つ残酷さを、さわやかに、哀しく描いた表題作。ほとんど戦後日本史の原型ともいうべきものを捉え、焼跡闇市派文学の原点を示す佳品『くらい片隅』。家庭という場で展開されるすさまじい“反米闘争”の寓話『万婦如夜叉』。ほかに『銀座のタイコ』『呪われ児』『殺さないで』『展望塔』を収める。
  • しんせかい(新潮文庫)
    4.5
    十九歳のスミトは、船に乗って北へ向かう。行き着いた【谷】で待ち受けていたのは、俳優や脚本家を志望する若者たちと、自給自足の共同生活だった。過酷な肉体労働、同期との交流、【先生】の演劇指導、地元に残してきた“恋人未満”の存在。スミトの心は日々、揺れ動かされる。著者の原点となる記憶をたぐり、等身大の青春を綴った芥川賞受賞作のほか、入塾試験前夜の希望と不安を写した短編も収録。(解説・朝吹真理子)
  • 新選組おじゃる
    3.3
    沖田総司の命を狙う、新政府一のワルの正体は、岩倉具視だった! 総司と徳川家を守るため、岩倉が潜む江戸城に乱入する新選組。敵方率いる抜刀隊に負けそう……な危機を助けてくれたのは、ご先祖様のぬらりひょん! 江戸妖怪の総大将と共にオカマのお歯黒べったり、九尾の狐、ろくろっ首や唐傘小僧も参戦。城内で火を吹き剣を操り大騒ぎ。新人隊士・市村鉄之助の戦い、ついに完結。
  • 新選組ござる
    3.1
    実家はインチキ拝み屋。ご先祖様は江戸妖怪の総大将ぬらりひょん。14歳の市村鉄之助は剣の才能皆無なのに、愛犬モモと共に新選組に入隊。源義経の亡霊に取り憑かれて滅法強い剣士と化す。将軍家の重大な秘密を握るため、暗殺者に狙われる沖田総司を絶対に守ってみせる! ご先祖様のお仲間の、お歯黒べったり&お岩さん・お菊さんも大きに応援。新感覚時代小説、堂々開幕。
  • 新選組はやる
    3.0
    妖怪レストラン「もず亭」の看板娘・蕗(ふき)が誘拐された! 一報を受け、市村鉄之助始め沖田総司ら新選組が結集、救出に向かう。鉄之助のご先祖様・ぬらりひょん率いる妖怪軍団も作戦に参加し大騒動に。冷気を出す雪女、刀を振り回すカマイタチ。火の玉は炎を放ち、お歯黒べったりは逃げ回る……。姿を現した黒幕は新政府一のワルだった!
  • 神仙の告白 旅路の果てに―僕僕先生―(新潮文庫)
    3.6
    劉欣を失った僕僕一行は、長安で静かな時を過ごしていた。だが突然、王弁が眠りに落ちてしまう。僕僕は王弁を助けるため、天馬の吉良と薬丹の材を探しに行く。一方、神仙たちは僕僕捕獲のため始動し、孫悟空、猪八戒、沙悟浄、関羽までもが行く手を阻む。動きを封じられた僕僕は何を企むか。師弟の完結とは何なのか。二人の最後の旅が今始まる。人界大ピンチのクライマックス直前第十弾!(解説・堀川アサコ)
  • 身体巡礼―ドイツ・オーストリア・チェコ編―
    3.5
    ハプスブルク家の心臓ばかりが埋葬された礼拝堂をウィーンに訪ね、ボヘミアでは骸骨装飾で名高い納骨堂に足を運ぶ。プラハのユダヤ人墓地やカタコンベ、フランクル、マーラー、エゴン・シーレなど歴史的著名人の墓参りで浮かび上がってきた文化と埋葬、生者と死者との関係とはなにか? 長年、人間の体を観察しつつ思考してきた解剖学者が明かす、ヨーロッパ独特の身体性と死生観。
  • 寝台特急「サンライズ出雲」の殺意
    値引きあり
    2.0
    新興の不動産会社社長・岡本敬一郎のマンションで、銀座のママが殺された。その数時間後、寝台特急「サンライズ出雲」の個室寝台が爆破されるが、狙われた男は直前に途中下車し、姿を消していた。さらに、岡本が狙撃されるという事件が発生。狙撃は失敗に終わるが、犯人は警察の追跡を巧みに躱す。殺人と列車爆破と狙撃事件。三つの謎を追う十津川警部の前に、驚愕の事実が……!
  • 新潮記
    -
    高松の松平家は水戸の徳川家と互いに養子を交換する本枝不離の関係にあったが、水戸藩が幕末動乱の策源地となるとともに藩内は尊皇佐幕に二分される。高松藩の尊皇派の中心人物の庶子である早水秀之進は、その生まれのゆえに屈折し、文武に秀でているにもかかわらず時流を冷ややかに眺めるだけであったが、水戸藩への密使に立ち、生死の間をくぐりぬけることで己れのなすべき事を悟る。

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  • 新徴組(新潮文庫)
    4.3
    総司の義兄にして天然理心流の剣客沖田林太郎は、新選組勢と袂を分かち、新徴組創設に加わる。その上役たる酒井玄蕃(げんば)はフランス式兵法をも修めた英才だった。そして戊辰戦争が勃発。庄内藩中老の玄蕃が指揮し林太郎らが支えた歩兵隊のスナイドル銃は、勢いづく官軍を食い止め歯軋りさせた。だが時代は彼らの不敗神話さえ呑み込んでゆく。著者が父祖の地を舞台に描く二人の漢(おとこ)の物語。(解説・池上冬樹)
  • 死んでも忘れない
    3.6
    夫婦と、息子ひとりの3人家族。どこにでもある、新興住宅地の平穏で幸福な一家だった。妻が妊娠したことで、新たなる喜びに一家は包まれる……はずだった。しかし、ある朝、夫が巻き込まれた小さな事件が思いもよらぬ展開を見せ、彼らの運命を大きく狂わせていく――。次第に追い詰められ、崩壊に向かう家族に、果して救いはあるのか? 現代の不安を鋭くえぐった心理サスペンス。
  • 新東京百景
    3.0
    1巻671円 (税込)
    昔日の面影を失いつつある東京の新スポットを絵筆片手に珍行脚―。あるときは服装チェックで入場拒否するヤングスポットに悲憤慷慨し、またあるときは勇んで乗り込んだ浅草のストリップ劇場で昏倒したり。個性的な同行編集者に乗せられ、いざ出発したはいいけれど、古き良き街並みが破壊され変貌を続ける新東京に、思わず怒りがふつふつ煮えたぎる。怒りと憂いと爆笑の漫遊記。
  • 新任警視(上)(新潮文庫)
    4.0
    1~2巻935~990円 (税込)
    1999年8月。東大法学部卒の25歳新任警視・司馬達(しばとおる)は、とある県警の公安課長を命ぜられた。67人もの部下は年齢も経験も遥かに上。新米指揮官は日々戸惑うばかり。しかも、着任地は日本最大の武装カルト教団「MN」の本拠地だ。はたして来る大晦日までに、教団本部〈教皇庁〉を攻略し、2000年問題に乗じた未曾有の重大テロを封圧(ふうあつ)できるか。国家の安寧を守る公安警察の死闘の日々が始まった。
  • 新任刑事(上)(新潮文庫)
    3.8
    1~2巻693~737円 (税込)
    駅前交番から突然、刑事一課強行係に異動となった原田貢(みつぐ)は慌てていた。次々と舞い込む変死体の見分、作成する図面や調書の膨大さ、ツルハシの使い道……。“初めて”だらけの刑事見習いを懸命にこなす中、貢は一本のタレコミを受ける。十年間逃げ続ける指名手配犯「警察官殺しの美彌子(みやこ)」に瓜二つの女が駅前でホステスをしていると。時効完成まで僅か二箇月。刑事らの執念の追及捜査が今始まる。
  • 新任巡査(上)(新潮文庫)
    値引きあり
    4.0
    1~2巻515~781円 (税込)
    上原頼音(ライト)、22歳。職業、今日から警察官。はじめての24時間交番勤務。立番・巡回連絡・職務質問・無線の使い方・出前の取り方……「バカヤロウ」と何度も怒鳴られながら、組織で働く社会人としての、そして地域を守る警察官としての心構えをたたき込まれる。そんな新米巡査の日常の中に、少女連続行方不明事件の手がかりが潜んでいた。圧倒的な熱量とリアリティで描き出す“警察お仕事小説”。
  • 新版 つげ義春とぼく
    4.1
    多忙な現代人が忘れてしまった根源的故郷への思慕を胸に、鄙びた温泉宿を訪ね歩く場末感覚に満ちた「颯爽旅日記」。日常生活の狭間に突如現れる異世界=夢の領域をシュールなイメージとともに採取した「夢日記」。自らの貧困生活を滑稽かつ痛切に綴った「断片的回想記」など、生と死の間で揺らめく人々の物哀しさを描き続けてきた孤高の漫画家、つげ義春の世界を一望する新版エッセイ集。
  • 新版 貧困旅行記
    4.1
    日々鬱陶しく息苦しく、そんな日常や現世から、人知れずそっと蒸発してみたい――やむにやまれぬ漂泊の思いを胸に、鄙びた温泉宿をめぐり、人影途絶えた街道で、夕闇よぎる風音を聞く。窓辺の洗濯物や場末のストリップ小屋に郷愁を感じ、俯きかげんの女や寂しげな男の背に共感を覚える……。主に昭和40年代から50年代を、眺め、佇み、感じながら旅した、つげ式紀行エッセイ決定版。
  • 新版 トットチャンネル
    3.9
    いいお母さんになるやりかた、教えてくれるかも知れない――そうして、一人の少女はNHK専属テレビ女優第1号となり、放送の世界に飛び込んだ。しかし、録音された声を初めて聞いた時は、自分の声じゃないと泣きじゃくるなど、草創期のテレビ界でトットが巻き起こす事件の数々、やがて個性派女優へと開花していく姿を、笑いと涙で綴る感動の青春記。最新メッセージを加えた決定版。
  • 新編 風の又三郎
    3.8
    「やっぱりあいづ又三郎だぞ」谷川の岸の小学校に風のように現われ去っていった転校生に対する、子供たちの親しみと恐れのいりまじった気持を生き生きと描く表題作や、「やまなし」「二十六夜」「祭の晩」「グスコーブドリの伝記」など16編を収録。多くの人々を魅了しつづける賢治童話の世界から、自然の息づきの中で生きる小動物や子供たちの微妙な心の動きを活写する作品を中心に紹介。

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  • 新編 坪田譲治童話集
    -
    独自の童話と昔話の発掘とで、新しい児童文学を確立した坪田譲治。本書には、なつかしい少年の日々を厳しい現実をふまえながら、鮮やかに描く“善太・三平”ものをはじめ、子供の目に映った老人の生活を通して、人間の生き方を見つめる「お馬」、キツネやタヌキが人を化かすことが信じられていた頃の話「狐狩り」など、人生の真実を、その清新な童心描写で捉えた33編を収める。
  • 新三河物語(上)
    3.8
    永禄3年(1560年)、織田信長の急襲に遭って、今川義元は桶狭間に斃れた。義元に頤使されていた松平元康(家康)は父祖の地、西三河は岡崎城に戻り、悲願の独立を果たす。だが息継ぐ間もなく、一向一揆が勃発。血縁者が敵味方に分かれ、相争う国力消耗の未曾有の事態から家康を救ったのは大久保忠俊(常源)だった。忠俊率いる大久保一党の決死の進退が深く胸を打つ戦国歴史小説の巨編。
  • 針女
    4.0
    死にに行く男が、愛を打ちあけたら、銃後に残される女はどんなに困るだろう――出征した帝大生の弘一が残した〈青春の遺書〉を胸に、針仕事に打ちこむ孤児の清子。やがて戦争は終り、弘一は復員するが、彼の性格は一変していた。二人の愛の結末は? 愛も哀しみも針一本にこめて激動の時代を生きたひとりの女性の姿を通して、日本人が忘れてはならない戦争の傷跡を描く。
  • 深夜の読書
    -
    21世紀を見通す先進的な企業集団西武セゾングループの総帥・堤清二のペンネームは辻井喬。詩人・小説家としても著名で、彼は一日の仕事を終えると、深夜書斎にこもり、創作の傍ら、好きな書物をひもとく。彼の魂が世界と向い合うのは、そんな時だ。西鶴やマルケスを論じる読書日記をはじめ、モーツァルトの音楽やクレーの絵画を鑑賞したエッセイ、自伝的小説等も収めた多彩な文集。
  • 心療内科を訪ねて―心が痛み、心が治す―(新潮文庫)
    3.9
    ひどい腰痛に苦しんだ3年間の地獄体験が、著者を心療内科取材に駆り立てた。潰瘍性大腸炎、顎関節症、高血圧、拒食・過食症、脱毛……原因不明のすべての症状の裏には、心の痛みが隠れていた。心はあらゆる形をとって警告を出していたのだ。様々な症状に苦しむ人々の体験を語り、大反響のルポルタージュ。腰痛、肩こり、不眠、倦怠……の原因は、あなた自身かもしれません――。
  • 地唄
    5.0
    琴に命を賭ける盲目の父と、父に背き日系二世の米国人と結婚した娘――父娘の愛憎の絆を妙なる調べに映す「地唄」、女流舞踊家と老墨絵職人の心の交わりを唐墨の逸品に凝縮させた「墨」、翻訳劇の端役を演ずることになった黒衣の悲喜劇を軽妙に綴る「黒衣」、文楽座の分裂を素材にして芸人の世界の厳しさをえぐった「人形浄瑠璃」。日本の伝統的な芸の世界を追究した珠玉四編を収める。
  • ジェーン・エア(上)
    4.4
    孤児として、伯母に育てられたジェーンは、虐待され、ローウッド寄宿学校にいれられる。そこで八年を過した後、広告を出し家庭教師として赴いた先に居たのは子供と家政婦だけだった。散歩の途中助けた人物こそ、屋敷の主人ロチェスターであると知ったジェーンは、彼と名門の貴婦人とのロマンスを聞き、胸が騒ぐ。

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  • 自衛隊失格―私が「特殊部隊」を去った理由―(新潮文庫)
    4.2
    戦前生れの厳格な祖母から「女々しいことをするくらいなら死を選べ」と言い渡されて入隊した海上自衛隊。イージス艦「みょうこう」の航海長だった’99年、人生が一変する。能登半島沖で北朝鮮工作船と対峙したのだ。一触即発の事件を機に防衛庁初、特殊部隊の創設に関わることになる。日本人の奪還という迫り来る使命の為に全精力を傾けた8年間。『邦人奪還』の著者が本気(マジ)で明かす国防の真実。(解説・かわぐちかいじ)
  • 時間の習俗
    3.4
    神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。関係者の一人だが容疑者としては一番無色なタクシー会社の専務は、殺害の数時間後、遠く九州の和布刈(めかり)神社で行われた新年の神事を見物し、カメラに収めていたという完璧すぎるアリバイに不審を持たれる――『点と線』の名コンビ三原警部補と鳥飼老刑事が試行錯誤を繰返しながら巧妙なトリックを解明してゆく本格推理長編。

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  • 磁極反転の日(新潮文庫)
    4.3
    地球のN極とS極が反転し始めた。大規模地磁気嵐が発生し、東京上空にオーロラが出現。異様な寒冷化と降り注ぐ宇宙線に不安が広がる中、女性記者浅田柊の耳に奇妙な話が聞こえてくる。都内の病院から妊婦たちが次々と失踪しているというのだ……。謎の団体、脳科学の闇、不可解な妊婦の死。取材の果て、柊が突き止めた恐るべき真相とは。パニックSFの新たなる傑作。『磁極反転』改題。
  • ジキルとハイド
    3.7
    ロンドンの高名な紳士、ジキル博士の家にある時からハイドという男が出入りし始めた。彼は肌の青白い小男で不愉快な笑みをたたえ、人にかつてない嫌悪、さらには恐怖を抱かせるうえ、ついに殺人事件まで起こしてしまう。しかし、実はジキルが薬物によって邪悪なハイドへと姿を変えていたのだった……。人間の心に潜む善と悪の葛藤を描き、二重人格の代名詞としても名高い怪奇小説。
  • 事件
    -
    事件は神奈川県の小さな町で起った。小学校の同級生だったヨシ子と結婚しようとした十九歳の少年宏が、結婚に反対する彼女の姉を殺害した容疑で逮捕された。当初単純に考えられた事件は、裁判の進展とともに意外な事実が明らかになり、しだいに複雑な様相を呈する──。劇的な展開、圧倒的な現実感(リアリティ)で裁判を描き、裁判は決定的な〈真実〉に到達できるのかをわれわれに問いかける。推理作家協会賞受賞。
  • 地獄は一定すみかぞかし 小説 暁烏敏
    3.0
    1巻770円 (税込)
    下咽頭癌で声を失った「私」はある日、炎天下の路上で『歎異鈔』の一節「地獄は一定……」が耳の奥に響くのを聞いた。これを機に、仏教近代化の旗頭だった破格の念仏僧・暁烏敏の著書に接し、たちまち魅了される。ところが、発声教室で知り合った同病の湯浅よね子は、暁烏を称える「私」との筆談に、なぜか顔を曇らせて……。著者自らの苛烈な闘病を通して問う、信仰の赤裸々な姿。
  • 地震と独身
    3.0
    2011年3月11日以降、震災をめぐる家族の物語は様々な形で語られてきた。一方で、あまり聞こえてこない独身者の声。地震は彼らにどんな影響を与えたのか? 既婚者に代わり必死で働いた人、故郷の東北に戻った人、ボランティアに身を捧げた人、結婚を決めた人……。被災地を訪れ、独身者たちとの対話を重ねて見えてきた、「個」として生きる人々の多様な姿と、新たなつながりの可能性。
  • 事実の読み方
    5.0
    みんながアイスクリームを食べているのに一人だけ食べない子がいる時、その理由をどう考えるか。――通念や先入観による判断の誤りは、日常生活のみならず報道や政治・外交などの場でも起こりうる。情報が溢れる現代において、いかにデータを読み解くか。経済摩擦、技術開発、災害・事故、医療などの諸問題について、予断を排し、「事実」の積み重ねのみによって考察したエッセイ集。
  • じじばばのるつぼ(新潮文庫)
    3.5
    人間だれしも、気づけばあっという間にじじとばば。人生の先輩たちに学ぶべく観察した、その生態とは。レジで世間話をはじめる迷惑なばば、ラブホにしけこむお盛んなじじ。ばばのキテレツなファッション、じじの洒落にならない危険運転。店員に上から目線のじじに、若者に時代錯誤な小言をたれるばば……もしかしたらあなたも、こんなじじばば予備軍かも!? 爆笑&ドッキリの痛快エッセイ集。
  • 自縄自縛の私
    3.9
    どうしてそんなことを? と訊かれたならば、魔がさしたから、としか答えようがない。縄はどんな抱擁よりもきつく、私の躰と心を抱きとめる──。仕事に追われる日々の合間、自分を縛ることを密かな楽しみにしている「私」を描いてR-18文学賞大賞を受賞した表題作、女子高校生の初恋が瑞々しい「渡瀬はいい子だよ」など、“不器用”さすら愛おしい女の子たちをめぐる、全6編。

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  • 自註鹿鳴集
    -
    歴史、美術への深い造詣を背景に、奈良の古寺、古仏を愛してのびやかに“やまとくにはら”へのつきない憧憬を詠みつづけた自然人、会津八一。万葉調を近代化した新鮮、独自の歌に、自ら平明詳細な註を付したこの歌集は、歌と自身の長く豊かな交流を読む人に語りかけて、会津八一の“詩と真実”ともいうべき最晩年の偉業である。
  • 実験(新潮文庫)
    3.0
    新作が書けぬ小説家・下村に届いた旧友春男の近況。長く疎遠だった春男は、三十を過ぎうつ病を発症したという。青春の華やぎを一切拒絶して引きこもる息子を案じ、両親の相談を受けた下村は、筆の進まぬ窮状を脱する好機と、ある不穏な「実験」を思いつくが……。潮風と砂が吹きつける海峡の町で、孤独且つ平和という泥濘であがく人々の精神の危機を冷徹にえぐる表題作ほか2篇。
  • 十頁だけ読んでごらんなさい。十頁たって飽いたらこの本を捨てて下さって宜しい。
    3.7
    好きと打ち明けたい。デートに誘いたい。病気の人を見舞いたい。身内を亡くした人にお悔やみを伝えたい。そんな時、どうしたら自分の気持ちを率直に伝えて、相手の心を動かす手紙を書くことができるのか――。大作家が、多くの例文を挙げて説き明かす「心に届く」手紙の秘訣は、メールを書く時にもきっと役立つ。執筆より半世紀を経て発見され世を瞠目させた幻の原稿、待望の文庫化。

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  • 自転車少年記―あの風の中へ―
    3.9
    1巻484円 (税込)
    あの日、僕は、親友の草太、伸男と、自転車で走り始めた。生まれ育った南房総の風ヶ丘から、目指すは大都会・東京。新世界への旅立ちだ。喜びや挫折を味わいながら、僕らは夢に向け、ペダルをひたすら漕ぎ続けた。仲間と、東京から日本海を目指す自転車ラリーを完走した。もちろん素敵な恋もした。爽快無比の成長小説!

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  • 辞表―高杉良傑作短編集―(新潮文庫)
    4.0
    1巻693円 (税込)
    この会社には将来があるのか――組織を見限り別の道に挑戦する男を描く「エリートの脱藩」。病魔に倒れた社長の後継人事に奔走する男の秘策「社長の遺志」。人員解雇に忙殺される人事部長を描く「人事部長の進退」。社内抗争に巻き込まれた男と同期の友情を描く「エリートの反乱」。社長の劇的な退任劇「社長、解任さる」。己れの矜持を賭けた決断の瞬間を経済小説の巨匠が鮮烈に描く名作。(解説・杉田健二)
  • 自負と偏見
    4.5
    イギリスの静かな田舎町ロングボーンの貸屋敷に、資産家ビングリーが引っ越してきた。ベネット家の長女ジェインとビングリーが惹かれ合う一方、次女エリザベスはビングリーの友人ダーシーの気位の高さに反感を抱く。気難しいダーシーは我知らず、エリザベスに惹かれつつあったのだが……。幸福な結婚に必要なのは、恋心か打算か。軽妙な物語(ストーリー)に普遍の真理を織り交ぜた、永遠の名作。
  • 自分症候群
    -
    涙、笑い、郷愁、ユーモア、夢……。小説家、さだまさしのすべてがここに! 長年に渡り、生命の尊さ愛おしさを歌い続けてきた著者の紡いだ珠玉の数々。ベストセラー『精霊流し』の原型とも言うべき「長崎BREEZE」を初め、静謐な恋愛掌編「Close Your Eyes」、自伝的随想など、悲哀と喜びが糾う人生の小景を、時に優しく時に怜悧に描き出す。幻の初期作品集。

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  • ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス(新潮文庫)
    4.0
    夢みたいに流れる風景にみとれた私は、原付バイクごとあぜ道へ突 っ込む。空と一緒に回転し、田んぼの泥に塗れた19歳だった私と、14年後の私がつかの間すれ違う。互いの裸を描き合った美術講師の房子や、映画監督の夢をかかえて消えた友の新之助、そして旅先で触れた様々な言葉。切れ切れの記憶を貫いて、ジミヘンのギターは私のそばで静かに発火する。寡黙な10代の無二の輝きを刻む物語。(解説・近田春夫)
  • ジム・スマイリーの跳び蛙―マーク・トウェイン傑作選―
    3.9
    現代アメリカ文学の父と謳われ、「トム・ソーヤー」「ハックルベリイ・フィン」の物語を生み出した冒険児マーク・トウェイン。その名を一躍世に知らしめた表題作「ジム・スマイリーの跳び蛙」をはじめ、生涯にわたって発表した短編小説、エッセイ、コラム記事の中から、トウェインの真骨頂である活気に溢れ、ユーモアと諷刺に満ちた作品を収録する。柴田元幸が厳選した13編の新訳!
  • ジャイロスコープ
    3.5
    助言あります。スーパーの駐車場にて“相談屋”を営む稲垣さんの下で働くことになった浜田青年。人々のささいな相談事が、驚愕の結末に繋がる「浜田青年ホントスカ」。バスジャック事件の“もし、あの時……”を描く「if」。謎の生物が暴れる野心作「ギア」。洒脱な会話、軽快な文体、そして独特のユーモアが詰まった七つの伊坂ワールド。書下ろし短編「後ろの声がうるさい」収録。
  • 邪眼鳥
    4.2
    顔のあるものがいない…。それが大富豪・入谷精一の葬儀だった。喪主は美貌の後妻・春子。先妻の子供である英作・信子・雅司の三人兄妹弟は、精一の莫大な遺産の出所に疑問を感じ、あるレコードが謎を解く鍵であることを知る。その「夏の初恋」なるSP盤には、奇妙な歌詞が…。富豪の遺族が踏み込んだ時空の迷宮。本格ミステリを凌駕する圧倒的パワー。「RPG試案―夫婦遍歴」併録。
  • ジャングル・ブック
    4.6
    森の洞穴に現れた人間の赤ちゃんは、母オオカミ・ラクシャに預けられて、オオカミの群れの中で育てられた。その少年モウグリを主人公に、ヒグマのバルーと黒ヒョウのバギーラ、モウグリをさらったサル族、岩ニシキヘビで知恵者のカー、人間を恨みモウグリの命を奪おうとするトラのシア・カーンなど、「ジャングルの掟」とともに厳しく生きる者たちを描く永遠の名作、新訳で復活!
  • 十一の色硝子
    -
    初老の男たちの心に残されたつらい戦争の記憶。若き留学時代にふれあった異邦の人々の上に流れた歳月の跡。兄の死と母の遺体の再埋葬にたちあい心をよぎる人生の帰着の姿。歳月、老い、そして人生……。夕暮れの光を受け鮮やかな輝きを見せる色硝子のように、深々と心に刻まれる生の断片。生きることの重みを、人生のうしろ姿を、読む者の心にしみこませる十一話を収めた短編集。

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  • 十九、二十
    5.0
    僕は今十九歳で、あと数週間で二十歳になる―。父が借金を作った。ガールフレンドにはフラれた。せめて帰省の電車賃だけでも稼ごうとバイトを探したが、見つかったのはエロ本専門の出版社だった。岡山から東京に出てきて暮らす大学生、山崎の十代最後の夏は実にさえない夏だった。大人の入口で父の挫折を目にし、とまどう青年の宙ぶらりんで曖昧な時を描く青春小説。

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  • 縦走路
    3.7
    北アルプス、冬の八ヶ岳で二人の山男は、「女流登山家に美人なし」と言う通念をくつがえす、美貌のアルピニスト“千穂”に夢中になる。彼女の旧友でライバルの美根子を交えた四人の間に恋愛感情のもつれが起こるが、命がけの北岳胸壁攻撃の後、千穂は……。きびしい冬山と氷壁を舞台に、“自然対人間”そして“男対女”を通して緊迫したドラマをみごとに描く傑作長編山岳小説。

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  • 重力ピエロ
    4.1
    兄は泉水、二つ下の弟は春、優しい父、美しい母。家族には、過去に辛い出来事があった。その記憶を抱えて兄弟が大人になった頃、事件は始まる。連続放火と、火事を予見するような謎のグラフィティアートの出現。そしてそのグラフィティアートと遺伝子のルールの奇妙なリンク。謎解きに乗り出した兄が遂に直面する圧倒的な真実とは――。溢れくる未知の感動、小説の奇跡が今ここに。

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  • ジュエリーの世界史
    3.8
    高価でお金持ちしか関係ないと思われがちな宝石。しかし、その意外な歴史はあまり知られていない。ティファニーやカルティエはどんな人物? ダイヤモンドの値段はどう決まる? 古代日本人から装身具が消えてしまった謎など、身を飾りたいという欲望とかかわる装飾品の歴史的変遷から、業界人しか知りえない取引の詳細まで、宝石に関する面白い話、満載。『ジュエリイの話』改題。
  • 受胎旅行
    -
    型破りの文体と特異な美意識で、何人も触れなかった人間の愚かさ弱さだらしなさの底の底を、哀しくユーモラスに綴る“現代性風俗誌”。子供ほしさのノイローゼ妻の執拗な妊娠作戦に翻弄され、“種つけ馬”の心境にうちひしがれる男の滑稽さを描く『受胎旅行』、1本5円の“御開帳”のマッチに24歳の生命を焼きつくした女の悽惨、哀切きわまりない物語『マッチ売りの少女』ほか8編。

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