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夢みたいに流れる風景にみとれた私は、原付バイクごとあぜ道へ突 っ込む。空と一緒に回転し、田んぼの泥に塗れた19歳だった私と、14年後の私がつかの間すれ違う。互いの裸を描き合った美術講師の房子や、映画監督の夢をかかえて消えた友の新之助、そして旅先で触れた様々な言葉。切れ切れの記憶を貫いて、ジミヘンのギターは私のそばで静かに発火する。寡黙な10代の無二の輝きを刻む物語。(解説・近田春夫)
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Posted by ブクログ 2018年08月07日
ライ麦畑を捕まえてを彷彿とさせる青春小説。物語の経過の構成が素晴らしくずっと世界に引き込まれていく。日常の中の情熱、衝動。全てを飲み込んでしまうと体内が爆発しそうな青春。一気に滝口悠生に惹かれてしまいました。衝撃作。
Posted by ブクログ 2019年02月22日
芥川賞の嬉しいところは本が薄いこと。じゃなくて、芥川賞に関しては私が薄い本を選んでいるだけでしょか。本作は受賞作ではないけれど、選考会ではそこそこ推されていた模様。確かに芥川賞っぽい。『ボヘミアン・ラプソディ』を観てレイ・フォスターの「ジミヘンと働いたこともある俺様が」という台詞が頭に残っていなかっ...続きを読むたら、書店でこの本を手に取ることはなかったかもしれません。 19歳、原付でちんたら走った東北の旅を振り返る。東日本大震災やアメリカ同時多発テロがいかにもという感じで絡められている小説は正直言って苦手ですが、本作はとてもさりげなく、でも読者の意識の内には残るような描写に好感。 ちょうど誉田哲也の『月光』を読んだ直後だったから、同じ教師と生徒(性別は『月光』と逆)でもこんなふうに描かれていれば笑顔。美術教師と生徒がお互いの裸体モデル、しかも生徒側は仲良し2人組がフルチンで肩を組んでなんてところを想像すると可笑しい。 歳を取り、思い出さないこと思い出せない記憶は何処へ。
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