ブックライブでは、JavaScriptがOFFになっているとご利用いただけない機能があります。JavaScriptを有効にしてご利用ください。
無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで100万冊以上配信中!
来店pt
閲覧履歴
My本棚
カート
フォロー
クーポン
Myページ
3pt
新刊『長い一日』が各紙誌で大評判。 若手随一の小説の名手、芥川賞作家の滝口悠生、初の長編小説。 思い出すことで、見出され、つながっていくもの。注目の芥川賞作家、初めての長篇小説。 風呂トイレつき、駅から徒歩5分で家賃3万円。古アパート「かたばみ荘」では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して……。 人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。
アプリ試し読みはこちら
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
Posted by ブクログ
かたばみ荘という、今にも崩れそうなボロアパートの住人たちにより語られる物語。合間には住人のパートナーによる語りなんかもあり、住んでいた男たちは熱を込めて語り、どんどん脱線して自分の人生譚になる。パートナーはそれを冷静に見ている、その対比が面白い。 彼らの人生は「普通」からズレたようなエピソードが一...続きを読むつはあり、物語に退屈しない。 語る、という行為は小説の本質であって、この一冊はその本質を追求した作品だ。
わたしは滝口悠生の小説とその「フロー」が大好きだ。 語り手自体も、そこにあったエモーションや状況、人称までもが移ろいながら緩やかに繋がり重なり合い、世界を形どり物語は進んでいく。ドライヴやグルーヴを感じるというよりも、文章のなかを漂いながら、突然の感情の発露に引っかかって停まったり、いつのまにか入れ...続きを読む替わったようにも思える語り手に驚いたり、最後に溢れてしまう無意識のような一言に少し戸惑ったりもしながらも、ゆっくりと進んでいく。その引っかかりや戸惑い、それらがつくるスピード感と、それを読むわたしの心地よい違和感。その間に生まれるのが小説の「フロー」というものなような気がしている。 物語と、それ以上に「フロー」自体を楽しみたい(というのは理解できない言語の音楽を聴くのにも近いかもしれない)というときがある。そんなときにわたしは滝口悠生の小説を手に取る。今回は「高架線」。読むのは3回目だ。 古いアパートの一室の歴代の住人とその周辺の7人の人々が、アパートのこと、失踪した住人のことを語りはじめる。その語りはアパートや失踪した住人のことを語りながらも、それを語るためには、語ろうとすると、それまでの人生を語りはじめることになる。語らずにはいられなくなる。人生が、今に、アパートや失踪人に至るその緩やかだったり性急だったり唐突だったりする移り変わりもまたフローになる。 そんなフローに身を任せようと思いながらも、以前読んだときとはフォーカスしてしまう部分、物語に向ける視点の方向や物語から向けられる言葉の意味が変わっていたことに気がつく。 「時間が経って年をとれば、どんなに変わらなそうに見えた人だって結構変わる」そう、以前読んだときとはわたしも変わったのだ、と確実で哀しみも含んだ実感をともないながら思う。もしかしたら、この小説を語る、語りなおすときには、この小説の語り手たちのように、この小説を読んでいる今に至る、少なくとも以前読んだときからのわたしの人生もまた語ることになってしまうのかもしれない。しかしそこには「簡単に話せないような後悔とか反省とか、怒りとか憎しみとかが人の経験には必ずあるでしょう?」ありますね。「それは他の人には、すべてはわかりえないものでしょう?」……たしかに。だから、まだそれを書いたり、考えたりは出来ないというかしたくないです。聞きたくもないですよね。 一旦ため息をつく。 もう一度ページを捲り始める。そこにはやっぱりとても素敵なフローがあった。これまでの人生も含めて改めてそこに身を任せてみれば、また心地よい読書が始まった。安心した。やっぱり滝口悠生の小説が、「フロー」が大好きだ。改めて思った。少し救われた気もしてしまった。次に読むときには、わたしの人生も語れるように、語れるようなものになっていれば良いな、と思う。今乗っている電車は地上を走っているけれど、車窓からは少しだけ青空が見えた。 「そうやって元のところに留まらないで、次々動いて移動していくようなものなんだな、人が生きるということは」本を読むことも同じなのかもしれない、と今はそんな風に考えています。
語りの口調がとても良い読み心地でした。 滝口先生の大学ゼミを受けたことがありますが、どこまでも語りにこだわった授業だった事を思い出しました。 またふとした時に読み返したい。
滝口悠生さんの本はこれで3冊目。やっぱり私、この人の本は、他の作家さんと比べても特別な感じで好きみたいだ、と思う。今まで好きな作家は誰か?と聞かれてもモゴモゴしてきたが、この人は自分の好きな作家だと言えそうな気がする。好きな作家がいてもいなくてもいいとは思うんですが。 全体的に、なんかやさしい。登場...続きを読む人物ひとりひとりに敬意があって、頭の中で考えていることを愛おしく考えているようだ。人生って、本当にそういう一瞬でも思ったりしたことの積み重ねでできてるわけで、アウトラインだけたどっていると、見落としてしまうことがある気がする。
宮部みゆき『理由』を思い出した。リレーするように語り手が代わっていくのが面白い。失踪した人物と関係の深い人、ちょっと距離がある人…と主観客観が入り混じって、濃淡が生まれている。『蒲田行進曲』を重ね、かたばみ荘の最後にされる種明かし。気持ちのいい読書だった。『死んでいない者』も読まないと。
ノスタルジックな気持ちにさせる、暖かくて微笑ましい作品でした。「かたばみ荘」の歴代の住人たちが、紡ぐリレー方式のドラマ。著者の作品はこの作品が初めてだったのですが、文字がびっちりでも、文体が語り口調で、出会ったことのないライトな純文学で読みやすかったです。映像化しても面白いかなって、個人的に感じまし...続きを読むた。
新井田は、先輩から譲られたかたばみ荘のある部屋でに住んでいたが、就職とともに部屋を出ることになった。その際に譲った片川三郎は、しばらくすると失踪し、新井田には大家の万田から問い合わせが届く。片川を探さなくて良いので、次の住人を探すように言われるが…。 日記なのか、インタビューなのか最終的明らかにさ...続きを読むれないが、いずれかの形で、新井田から次々と住人またはその周辺の人物による視点による自分語りによって語られることによって、かたばみ荘の記憶を描いていく。 ミステリとして読むのであれば、片山三郎が失踪した理由と行き先であったり、かたばみ荘に住む謎の人物であったり、そもそものかたばみ荘の謎に付いてというところになるのだが、ある意味そのへんはどうでもいいというところが面白いところでも有る。 ふんわりと過去の関係ない話が続くため、当初は散漫に感じるものの、片山三郎の謎が明かされていくうちに話が一旦まとまっていき、『蒲田行進曲』のあたりで理由がわからなく広がって収束してという、なんとなく安部公房を想起させるようなストーリーでも有る。 純文学かと言われると、きっとそうではないのだろうけれども、ふわっと解ったようでわからないような雰囲気は芥川賞系なのだろうなあ。 些細なところだが、七見奈穂子のところは序盤はやけに分が長いまどろっこしい文学的な表現だったのに、途中からさらりと軽い口調になってしまうのと、タムラックスの視点がなかったのが残念なところか。 最終的に、タイトルの『高架線』が比喩なのか直接表現なのかはちょっと判断に苦しむところでは有る。
高架線から見た無数の家。沿線にあるカタバミ荘の住人と関係者の記憶。語り形式だか、話が脱線しすぎ。しかしそれが後からじわじわくる。カタバミは、古くから仏具や真鍮の鏡を磨くために用いられてきたことから、別名「鏡草」とも呼ばれる。このことから「輝く心」という花言葉がつけられたそうな。登場人物は、語ることで...続きを読む気持ちが浄化されたのだろう。面白かった。
から二つ目の駅にある家賃3万円、木造二階建ての古アパート「かたばみ荘」。 出ていく時は次の入居者を探して引き継ぐというシステムのこのアパートの住人たちのつながる人間関係。 独特の語り口とどうつながっていくかわからないストーリーがちょっと苦手な感じで最初は入り込めなかったのですが‥。 順番に語り手が変...続きを読むわり視点が変わるのと読んでいくうちに癖のある登場人物や文章のテンポにハマり、結末の収まりが良くておもしろかったです。
穏やかに進んでいくお話なので、夜寝る前に読むおすすめ本と紹介されていて読んでみた。 築50年以上のおんぼろアパート、かたばみ荘を取り巻く人たちの物語。 何か非現実的なことや大きなことが起こるわけではなく、ゆっくり変わる変わる語り手が自らの視点からの日々を語っていく。 ここから何か起こるか?まだ...続きを読むか?と少し身構えながら読んでしまったのもあり、起承転結があまりないのでこれで終わりか、という感じで終わってしまいました..
レビューをもっと見る
新刊やセール情報をお知らせします。
高架線
新刊情報をお知らせします。
滝口悠生
フォロー機能について
「講談社文庫」の最新刊一覧へ
「小説」無料一覧へ
「小説」ランキングの一覧へ
愛と人生
掌篇歳時記 春夏
死んでいない者
ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス(新潮文庫)
水平線
たのしい保育園
鉄道小説
茄子の輝き
「滝口悠生」のこれもおすすめ一覧へ
一覧 >>
▲高架線 ページトップヘ