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旅先の妻の表情。大地震後の不安な日々。職場の千絵ちゃんの愛らしさ――。次第に細部をすり減らしながらも、なお熱を発し続ける一つ一つの記憶の、かけがえのない輝き。覚えていることと忘れてしまったことをめぐる6篇の連作に、ある秋の休日の街と人々を鮮やかに切りとる「文化」を併録。芥川賞作家による会心の小説集。
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Posted by ブクログ
2016年に『死んでいない者』で芥川賞を受賞した作者の受賞後第一作。東京の小さな出版社で働く男性の静かな日常が、淡々とした一人語りのようなスタイルで綴られている。一見、なんていう特徴のない文章のように思えるけど、読んでいるうちに、この本の登場人物が生きているという本物の気配が、さざ波みたいにそよ風み...続きを読むたいに浮かび上がってくる瞬間があってハッとさせられたりジワっと温かい気持ちになったりする。「茄子の輝き」というタイトルも、そういう角度から日常の切り取り方をするところがニクいと思う。
改行がないので読みにくさを感じる人は多くいると思うが、私はこれが好み。滝口悠生のワールド感を感じられる。妻と別れた男性がどう生きてきて何を感じて、元妻の記憶の在り方等を淡々と描き綴られている。個人的には市瀬さんと緒乃さんのあの先がどうなるのか?が興味深い。
「花束みたいな恋をした」で触れられていたことを機に、読んでみました。時が経つにつれ忘れられていく過去の感情や表情、といったものの描写が上手だった。不明瞭な記憶の在り方にとても共感した。 それと比較して、時より描かれる現在の描写は打って変わって繊細で、明確であることがまた面白かった。 今の生活はい...続きを読むずれほとんど忘れてしまうだろうし、日記をつけてみようかななんて思いました。
いなくなった人を、いた時よりもずっと感じ続けるのは辛い。だからといって暴力的に何かで上書きして消し去ろうと思っても、大人になるとそうもいかないことがわかる。今目の前にある景色を通して、過去を見る。ついてくる。なにもしてないという中にも君を思い出し、なんなら"思い出す"なんて行為も...続きを読むポーズで、ずっと考えている。 むちむちの餃子が食べたくなる。
昔の良かった記憶、悪かった記憶を懐かしんで今を平凡に生きる。頭の中をそのまんま言葉にしてるみたいで凄いなあと感じた。 茄子の輝きとは?と思ってたけど読むうちにそういうことねって、愛おしーってなった。 ゆっくり生きていこうじゃないかってなったなー
保坂和志や柴崎友香に連なる記憶に関する小説で、自分の記憶も呼び覚まされるような感覚があった。面白かった。
『花束みたいな恋をした』に重要なアイテムとして登場していたので読んでみた。過去のかけがえのない記憶についての小説だったので、『花束みたいな恋をした』のテーマに通じるものがある。 小説内では派手な出来事は起こらず、ゆったりとした時間が流れている小説だった。読んでいると、大切な人との過去の記憶を思い出し...続きを読むたくなる。主人公は離婚した妻のことをなにかにつけて思い出すのだけど、私たちは過去の延長線上にいるんだなと実感させられる。けれど、どんな大切な思い出だって時の流れには逆らえず、部分部分が風化していってしまう。だから、新しい思い出を塗り重ねて生きていくのかなと感じた。今思い出せる過去を大切にしたいなと思った。消えていってしまう前に。
忘れていく記憶の数々 ふと思い出す懐かしい情景 ふと親孝行について考えていた あと何日会えるのか、時間にしたらあと何時間? 時間を何に使うべきか、ちゃんと考えたいと思った 2021/03/26 ★4.3
最近読み始めた滝口さん、長嶋有に通ずるセンスを感じるので私のお気に入りに。特に事件が起きるわけでもないけれど、…で?とハマるような感覚。元妻、職場の同僚に想いを馳せる感覚が逸してるところがフフっとなる。
別れた妻を、その過ごした日々や場所や会話や空気を時間をかけてじっくりと消化していく様が描かれていて、 自分との対話みたいなものが本当に丁寧にかかれていた。 元職場を回想したり、そのくだらない会話だとかよく通った道だとかが、過去になっていくところが、 切ないともちがう、、なんとも言えない気持ちになると...続きを読むころがあぁ〜!!!となった
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