感情タグBEST3
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改行がないので読みにくさを感じる人は多くいると思うが、私はこれが好み。滝口悠生のワールド感を感じられる。妻と別れた男性がどう生きてきて何を感じて、元妻の記憶の在り方等を淡々と描き綴られている。個人的には市瀬さんと緒乃さんのあの先がどうなるのか?が興味深い。
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以前勤めていた会社の、もう二度と会うことのない同僚を想う、というシチュエーションは、好きな小説でもある保坂和志の「コーリング」を思わせる。「コーリング」はふと思いを馳せる事がコミュニケーションたり得るか、というテーマだったように思うが、こちらは、関係が絶たれてから、孤独の中で記憶が劣化し、本当の意味で関係が消滅していく事をテーマにしているように思った。特に、元妻の合成写真を作り続ける章など。だから、すごく暗いし救いのない気分になる。しかし、その分、最後のサービスが利いてくる。過去を思い返す事が多く、その都度複雑な気分になる自分としてはこういう話は好きだ。
あと、出てくる地名がいちいち自分に関係する地名でびっくりした。宇都宮、神田川、青物横丁など。これは単なる偶然だけど、たまたまその場所を知っているだけで、同郷の人に偶然あったかのように、感情移入できるもんなんだな、と思った。
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記憶と記録と思い出と思い、想い。
ある男の思った事、考えた事、覚えている事、忘れかけている事。思い描いた事。
色々考え、共感した。
茄子の輝きが脳裏に焼き付いている。
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自分の過去についてゆったりと回想するお話。とりとめもない思考がつらつらと描かれている。人の脳内を覗けるこういう感じのお話は結構好き。嫌な登場人物が出てこない。離婚や会社の倒産や決して明るくないイベントを経験しながらも、市瀬の記憶は人々の明るさと共に思い出される。彼はきっと大丈夫なんだろうなと思う。
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「花束みたいな恋をした」で触れられていたことを機に、読んでみました。時が経つにつれ忘れられていく過去の感情や表情、といったものの描写が上手だった。不明瞭な記憶の在り方にとても共感した。
それと比較して、時より描かれる現在の描写は打って変わって繊細で、明確であることがまた面白かった。
今の生活はいずれほとんど忘れてしまうだろうし、日記をつけてみようかななんて思いました。
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いなくなった人を、いた時よりもずっと感じ続けるのは辛い。だからといって暴力的に何かで上書きして消し去ろうと思っても、大人になるとそうもいかないことがわかる。今目の前にある景色を通して、過去を見る。ついてくる。なにもしてないという中にも君を思い出し、なんなら"思い出す"なんて行為もポーズで、ずっと考えている。
むちむちの餃子が食べたくなる。
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主人公は離婚した20代の男性。短編連作で一編ごとに年齢を経ていく。
最初は小さな会社の人間関係を描く会社小説なのかなと思ったが、男性は会社を辞め孤独感が強まる。
最初の短編と最後ではまったく雰囲気が違うように思う。
これちょっとどうなの?と思われる言動や行動もあるのだが、女性が読んだらどうなんだろう。
男性で、柴崎友香や絲山秋子風な作風の人が出てきたなあという感じがした。
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昔の良かった記憶、悪かった記憶を懐かしんで今を平凡に生きる。頭の中をそのまんま言葉にしてるみたいで凄いなあと感じた。
茄子の輝きとは?と思ってたけど読むうちにそういうことねって、愛おしーってなった。
ゆっくり生きていこうじゃないかってなったなー
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『花束みたいな恋をした』に重要なアイテムとして登場していたので読んでみた。過去のかけがえのない記憶についての小説だったので、『花束みたいな恋をした』のテーマに通じるものがある。
小説内では派手な出来事は起こらず、ゆったりとした時間が流れている小説だった。読んでいると、大切な人との過去の記憶を思い出したくなる。主人公は離婚した妻のことをなにかにつけて思い出すのだけど、私たちは過去の延長線上にいるんだなと実感させられる。けれど、どんな大切な思い出だって時の流れには逆らえず、部分部分が風化していってしまう。だから、新しい思い出を塗り重ねて生きていくのかなと感じた。今思い出せる過去を大切にしたいなと思った。消えていってしまう前に。
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忘れていく記憶の数々
ふと思い出す懐かしい情景
ふと親孝行について考えていた
あと何日会えるのか、時間にしたらあと何時間?
時間を何に使うべきか、ちゃんと考えたいと思った
2021/03/26 ★4.3
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人の記憶がいかに曖昧か、って一言でまとめるとそんな感じになってしまうのがもどかしい・・・
完璧に共有される過去なんて存在しないもので、ある事実それ自体は変わらずとも、それぞれの主観で捉えたその事実はもう既に裸の事実とは異なってしまう。そのそれぞれの事実を共有し続けられる、あるいは2人の事実を作っていくことが、共に生きてゆくこと、つまり結婚なのかなと思いました。離婚し独り身の主人公を通して、より引き立たせられた2人で生きてゆくことの幸せを感じました。
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最近読み始めた滝口さん、長嶋有に通ずるセンスを感じるので私のお気に入りに。特に事件が起きるわけでもないけれど、…で?とハマるような感覚。元妻、職場の同僚に想いを馳せる感覚が逸してるところがフフっとなる。
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市瀬の個人的な生活が淡々と綴られた短編が7つ.市瀬が勤める会社やアパートの辺りは以前よく出かけていた場所だったので,情景を思い出しながら読めた.勤め先の千絵ちゃんが物語の中で大きな存在感を示していた.オノをアパートに泊めてやり,後日偶然出会う話も楽しめた.都会に住む普通の男性の日常を空の上から俯瞰したような感じだ.
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書評を読んで興味を持った本。
少し不気味さをもった男性の独り言をずーーっと聞いているような文体だったが、これがなかなかクセになる。人に読ませる為の、理路整然とした独り言ではなく、本当に自分のつぶやきを文字起こしされたのではないか?と思うような、時々飛んでいたり、重複していたり、リアルな独り言だった。そして、そんな内容をちゃんと本にして、しかもちゃんと読み進めさせられる作者の才能に感嘆した。
旅行アルバムの所はかなり怖かった。時々、この人変かな?と思わせる事はあったが、あそこまでだったとは・・。淡々とした無害なつぶやきを散々読んだ最後にこのような一場面が出てきて、とても小説が引き締まったと感じた。なかなかの作者だな、と思い興味を持ったので、違う本も読む事に。
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全部お前の話かよ!だらだら進むから短編かと思ったら
え、花束みたいな恋をしたに出てたのか
「会社で働いている時みたいに、いろんなリスクとか、効率とかを考えて、間違えないように進む道を決めるよりも、自分の毎日を生きるのは自分しかいない、自分たちの毎日は自分たちだけのものなのだから、そのなかで生まれた意志を、それがたとえ馬鹿げていて危険も、生まれた以上は大事にしたい」
なるほど
最後まで読んだ
わかんねえて!
もう少し前だったらこの本かなり共感したと思う
暇すぎて昔出会った人のこと未練がましくずっと考え続けたり、ちょっと出会っただけの異性を貴重なものとして依存したり、1日の中で見かけた人のことずっと考えちゃったり、見かけた取るに足らないものを忘れちゃいけないような気がしたり
ぜーんぶ人生暇すぎて
誰かの言葉を求めてすがるようにしてた頃、手に取る本とか行った場所に運命的な、読んだ意味行った意味をとにかく求めていた頃、何にでも意味を持たせていた頃と今とずいぶん変わったなと思う
暇じゃないわけじゃないけど
大人にはなってないけど若かったのかもな〜だし多少歳をとったせいなのかなあ
昔聞いた曲が昔ほど響かない
やっぱり心が弱ってる時期はある意味感性が豊かになってるんだよなあ
うーんいいのか悪いのか、しんどかったからいい訳ないんだけど
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はじめは、元妻との記憶や同僚の女性に対しての執着に正直気持ち悪い(笑)と思いながら、それでもその描写のとりとめなさに少し気持ち分かる部分もあるなと読み進めた。優しい話かもしれない。
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「花束みたいな恋をした」に登場する作品ということで読んでみた。
1人の男の記憶にまつわる連作短編集という構成。
別れた妻や、元同僚の女の子についての記憶が、少しずつ形を変えながら、繰り返し描き出される。
全体を俯瞰してみると、同じことを違う言葉で言い換えただけの語りのようにも取れるのだけど、そのとりとめのなさや、ずるずると展開していく思考が、人間の「思い出す」という行為をそのまま表しているような感じがした。
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読みやすそうだなと思って読んだけど意外と時間かかってしまった。
自分が汲み取れなかっただけかもしれないけどとりとめもない情景描写が多すぎて読んでてちょっと疲れた…
全体的に切ないのはなんとなくわかるんだけどイマイチ実体が掴めないまま読み終えてしまった。記憶の曖昧さみたいなものを描きたかったのかな?
あとなんか読み飛ばしたか?って思うくらい場面の移り変わりがわかりにくかった…
でも東西線沿線はわりと馴染みがあるので親しみを感じたし、小さい会社特有の空気感もわかるな〜と思いながら読めたので良かった。
序盤のお茶の時間が笑えて一番面白かった。
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『長い一日』が微笑ましくて良かったので、同じ作者の二冊目を読んでみた。
味わい深くはあるが、最後の方は読み疲れてしまった。短編7編を収め、うち6編は連作。離婚したあと妻の記憶に囚われたまま呆然と生きる男の日常を綴る。連載ではないため重複が多いこと、男の内面の進展がごくわずかなもので、読んでいる方もうつうつとしてくる。
その心情には共感できるところも多いが、しかしこういう感受性を誇っているとうつ傾向が常態になりそうという危機感も覚えた。
最後の一編は連作よりずっと年寄りの男の話なのだが、30歳頃に離婚した男が喜びの少ない人生を送った果てのようにも思えてうら寂しい。
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茄子と餃子が食べたくなる。
安い居酒屋とか、町中華へ行きたくなる。
千絵ちゃんに抱く感情って名前はないけど素敵だなって思った。そういうのちょっとわかる。
記憶って自分が持ってるモノの中で1番大切だと本気で思う。
でも目まぐるしく過ぎる日々の中で些細な出来事や具体的な感情すべてを覚えていることなんてできなくてなんなら昨日何してたかとか何食べたかすら思い出せない時もあって切なくなる。
Vlogとか日記つけるのありだな、絶対続かないけど。
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ストーリーで何かを得るのではなく、読み進めていく過程で感じる感覚が面白かった。薄れていく記憶の脆さと、時に違う内容で上書きされていくいい加減さ、その中でなぜか残り続ける何でもない断片的な記憶のワンシーン。
主人公の記憶を主人公視点でダラダラと思い出していく。
かなり事細かに、ある意味しつこく、ここまで書く必要ある?と著者に対して思うほど、過度に具体的とさえ感じる文章。
あれ、これさっきもあった、またこの話?とくどいくらい高頻度で登場するとりとめもないエピソードや人。
‥と、思っていたらしばらくして、朧げかつざっくりした情報でしか表現されなくなり、名前さえ登場しなくなるあの人。それはまさに今が過去になり記憶になり、遠ざかっていくから。
うまく言えないが、
【思い出す】という行為を体験する本は初めてでした。
『自分に対して無責任なことなんて言えないような気もするが、本当に無責任なことを言える相手なんて自分しかいないのではないか。』
物語の重要なセリフでもないのに、何故か心に残った。この感想も過去になり、ところであの茄子のなんとかって本てどんな話だったっけ?と、断片的に自分の記憶のように思い出してしまうかもしれない。
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「花束みたいな恋をした」きっかけで読んだ。
まず、なかなか出回っていなくて手に入れるまでに少し時間がかかった。
全体的に淡々とした文章が読みにくく、時間がかかったがオノが登場してからは少し読みやすかった。
人の頭の中を文章化するとこんな感じになるんだろうな。
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途中何回も同じ話が繰り返されてすこししんどかった、飽きた
主人公の煮え切らなさ、未練がましさ、自己愛先行なところ、どこをとっても好きにはなれないのだけど、物語としての実体のなさ、つかみどころのないものが続いていく感じはこの人の本の良いところだよなあとつくづく思う
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花束みたいな恋をしたで出てきたので気になり読んでみた。
日常の描写が細かくて、よくここまで書けるなあと。
そのときには鮮明に覚えていた記憶も、段々と薄れていく。日々は、愛おしいものなんだろうなあ。今の気持ちを大切にしたいし、やっぱり、毎日を生きていくことの積み重ねなんだろうな。
でも、ちょっと自分には難しかったかも!笑
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「花束みたいな恋をした」でこれを読み終えた絹が息を吐くシーンが印象的で気になってて読んでみた
人の記憶ってどこまでも勝手で曖昧。
頭の中の独り言って同じところを何回もくるくるするよね。
共感できる部分もあり、ちょっとそれは気持ち悪いなという部分もあり。
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ある一人のごく普通の成人男性の身の回りで起こる日常や移り変わる心情をを繊細で多様な表現で描いていた。
過去を尊重しつつ、いまを大切に生きていこうと思いました。
また些細な出来事であっても、思考し、なんらかの考えや意見を持つような習慣をつけようと思いました。
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ふとした日常の出来事やもので、蘇る過去のたわいもないエピソードは、無性に愛おしくもあり切なくもあると思う。
思い出すことが年月と共に風化されてしまうのは、人生においての年齢や立場によって回避できないことかもしれない。いい意味でも、悪い意味でも。
主人公の作ったアルバムは、いつか彼の手で捨てられる日がくるだろうか。
作中の「夫婦の日々の記憶が、ふたりの時間、ふたりの過去、離れがたくあらしめる愛着のようなものを形成していく」という言い回しが素敵だった。