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Posted by ブクログ
子育てにおけるかけがえのない瞬間が幾重にも重なっていくような、素敵な本だった。自分の子どもとの思い出を追体験している部分もある、という自覚もあるが、毎日通った保育園への坂道、抱っこしたときの重さ、一緒に見た飛行機、そんな小さい子供と過ごした日々のディテールがまざまざと思い出された。
ただ一方で、子育てのキラキラした部分だけを切り取ったものというわけでもなく、小説家ならではの表現も随所に見られかなり読みごたえもあった。
神聖さすら感じる保育室での赤ちゃんの昼寝、パレスチナの少年に思いをはせながら見る空高く飛ぶ凧、半分になった紙に書かれたももちゃんの「も」。
描き下ろしとして書かれた「名前」のラストは胸をうつものがあった。
Posted by ブクログ
前半は2歳の娘ももちゃんの保育園での
送り迎えに奮闘するお父さんの悲喜交々
ままならない娘の感情に直面したお父さんの戸惑いに悲哀を感じつつ
娘との冷静なやりとりに
おおらかな愛情を感じました
後半は3歳になったももちゃんとお父さんの
日常風景
対話のシーンやふと感じてしまう不安が
とてもリアル
今でこそお父さんの保育園の送り迎えの姿は
良く見かけるけど
私の子育て時代は結構珍しかった
夫が送り迎えをすることが多かった我が家は一時期保育園のお友達にはお母さんのいない子として
認知されてたなぁ
実はこの物語
単なるお父さんの子育て奮闘記に留まらない
ももちゃんのお父さんは我が子を一人の人間として
冷静に観察しその眼差しは
ももちゃんのお友達
お友達のお父さん 保育士さん 登園時に出会う人々にまでしっかりと向けられていました
お父さんにとって保育園は
畏敬の念を抱かせる場所
我が子と共にそこにある全てのものに敬意と慈しみを感じられる場所でした
お父さん目線で描かれた
ももちゃんとの普通でかけがえのない日常は
パステルカラーのように優しく穏やかで
小説を読み終えた今
セピア色になってしまった私の子育て時代も
優しく色づいていくようでした
Posted by ブクログ
わたしにはこどもが居ないし、こどもという存在が近くにいないのだが、この本を読み進めるうちに、もうとっくに失ってしまったこどもの目線で、世界を捉え直せたような感覚になった。親になったひとたちは、こういう体験を一緒にしているんだろうか。
言葉を持たなかったころのこと、言葉を持たないなりに何かを伝えようと泣いていたころのこと、少しずつ言葉を獲得して、訴えればそれが叶うと信じていた、希望しか知らないころのこと。今を懸命に生きていたころのこと。
自分にもそんな頃があったかどうか、正直思い出せない。けれどもしあったとしたら、いつから絶望を覚えたり、過去や未来に思いを馳せるばかりで、今を生きることに集中できなくなったのだろう。そんなことを考えた。
保育園を題材にしているのでこどもが話の中心にはいるものの、ももちゃんのお父さんをはじめ、ご近所さんなど、その周りの人々の心の描写も繊細で時にとてもハッとするものがあった。
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