【感想・ネタバレ】たのしい保育園のレビュー

あらすじ

三歳のももちゃんとお父さんは日々、川べりや公園を歩く。過ぎていく時間と折々の記憶は、いつしか祈りへと昇華していく――。ニュートラルに子育てにたずさわる、新時代の「父」の物語。

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Posted by ブクログ

ずるずる読んでしまう独特の文体と「ももちゃん」というストンとした語感の組み合わせがめちゃくちゃよかった。人間の外部と内部を細かく細かく行き来するような本。最後まで読み終わったときにカバーを外した際の表紙の見え方もすごい。

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2025年08月16日

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子が産まれ保育園に通うようになった。我が子の成長、保育園の友だちや、散歩で出会う近所の人々、鳥や犬、花。子供の成長を通して感じ考えたことが多い。

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2025年06月28日

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かけがえのない時間が流れていた。
この本を読んでいる間と、初子が産まれて毎日てんやわんやしていたあの頃とが繋がったような、すごく特殊な読み味の読書でした。
時間旅行をしたみたいな感覚。

読む前のイメージはてっきり『君が夏を走らせる』(文庫版・9784101297743)のような、物語の中で描かれるおとなとこどもの絆を追う作品なのかと思っていたら、それはそうなんだけどちょっとそうじゃなくて、自分の経験と物語が繋がって自分も並走したような、自分の記憶も物語と混ざり合って反応して、結果として過去へジャンプしたみたいな感じでした。
とにかく読んでいたくて電車もバスも降りたくなかったし働きたくなかったでござる。

全6話構成で〈ももちゃん〉という2〜3歳の女の子の存在によって繋がった連作。
ももちゃんの視点は一切書かれず、〈ももちゃんのお父さん〉や〈ももちゃんのお母さん〉やクラス担任の〈湯美さん〉や近所のおばさん〈富士見さん〉やお友だちの〈あみちゃん〉、〈ふいちゃん〉やみんなとの関わり合い、日々の営みを追うあらすじ。

私がシンパシーを感じたのは、ももちゃん家族が育ったのはまさにコロナ禍中であり、大人はもちろん子ども達もマスク着用を義務付けられて事ある毎に消毒をしていたあの社会を乗り越えてきた‘戦友’であること。
今になって振り返れば色々と思うことはあるけれど、当時は真偽不明の噂が飛び交う目には見えないウイルスとの折り合いの日々で、とうとう我が子や妻が熱を出してクリニックに連れて行った時はやっぱり狼狽えたし、会社に報告する時にも妙な緊張感が漂っていたし、大変だったよなあ。
無論それ以前、上の子はとにかく夜泣きがひどくて精神的にも体力的にも削られて嫌な思いをお互いにしたことがあったし、今なお宿題やれ時間割を見ろ部屋を片付けろとドタバタぐしゃぐしゃだけど、けどあんなに小さかった我が子が重たいランドセル背負って学校まで歩いて行って、いつの間にか割り算とかアルファベットも覚えて漢字もいっぱい書けるようになってて、子どものそういう変化には徐々に鈍感になっていたんだなという勿体なさというか反省に近い気付きを得ました。疲れて帰宅してきたらついつい聞き流しちゃうんだけど、テストで100点取ったらちゃんと褒めないとダメよね。叱ってばっかりだ。

…という訳で、さまざまな想いが去来した一冊でありました。今が愛おしい。こういう話って他人になかなかしないからなんか新鮮ですね。むずかゆい。

また、本がお手元にある方はぜひカバーをめくってみて下さい。文芸書には珍しい、とある仕掛けが隠されています。最初に見た時はさっぱり意味がわからないというか何の絵かわからなかったのですが、《名前》という本書書き下ろしの掌編を読んだらはたと気がつく感動。

こんな所に書いたのは、さてはももちゃんだな。


1刷
2025.6.15

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

筆者の愛情がひしひしと伝わってくる一冊
尊くて大切な一瞬一瞬をシェアしていただいている感覚になる
子育てに限ったことではなく、今日という日はもう来ない。過ぎ去ってから大切さに気づくもの。
だからこそ、今この瞬間を、目の前の人々を大切にして生きていきたいと改めて思わされた

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2025年05月31日

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素晴らしかった。育児の辛さや尊さ、みたいな観点では全くない、子どもを見るなかでの大人の発見や、子ども自身の思考を想像する。
どんどん視点が変わっていって、読んでいると色んな人の目になれるような。
子どもという新しい存在がいることで、出会う人々。その人々が、どんな眼差しで子どもをみているか。保育園の先生だって、一人一人、考えることや感じることは違う。
偶然、保育園のクラスが一緒で、子ども同士が仲良く、他人ではなくなった家族。その子ども。
散歩ですれ違う近所のおばあちゃん。
子どもって未知の存在に、未知の周りがどんどん広がっていく。それってすごく楽しいことだなぁと感動してしまった!
私ももっと観察して対話して、新しさを味わいたいなぁ。何回でも読みます!

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2025年05月27日

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ももちゃんとお父さん、お母さん。
自分自身も含め、子どもの成長の過程ではどうしても零れ落ちてしまう感動、感情、思いを丁寧に描く。
記憶の隙間に埋もれてしまっているような出来事、その時の気持ちまでも。
優しい。

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2025年05月25日

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固有名詞が繰り返されて、絵本のような文体。誰ひとり悪者が出てこなくて、穏やかで、優しくて、まるでももちゃんの日々の成長をももちゃんに読み聞かせしているよう。保育士という職業柄、ももちゃんのお父さんのように、実は自分のお子さんや、園のお友だち、保育士たちまで温かく見守ってくれているお父さんがいるのかもしれないなと思うと、こちらも日々のお仕事の励みになる。

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2025年10月09日

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エッセイのような小説。父目線の育児の様子が細やかに描かれている。「イクメン」と言われるような、男性が育児をしていることに対するある種の特別感は感じず、あくまで自然に子育てをしている様子が伝わってくる。育児をしている中で送る小さな出来事や気づき、変化について、書き留めておかないとすぐに忘れてしまうようなこと、でもできるだけ覚えていたいことが丁寧に描かれていて、子育て経験がある身としては、「そうそう!」と頷きながら、するすると世界観に引き込まれてしまう。子育てをしていると、日々発見や喜び、気づきがあって、その時の思いを忘れずにいたいと思いつつも、日常生活のなかで、いつのまにか埋もれていってしまう。
この本を読むと、そんな埋もれてしまっていた思いが、愛おしいような寂しさと一緒に思い起こされて、大変なことも嬉しいこともいろいろあった、初めての子育てのことを優しい気持ちで振り返ることができる。

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2025年09月04日

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あさきょさんの本棚から。

保育園に通う子どもの姿とその時の父の感情を、父親目線でかなり丁寧に細かく描いている。
幼児の子育て中、(特にワンオペだと)感じたことや気づくことは山ほどある。
けれども、働きながらの子育てとなるとメモする暇もなく、その感情は流されて忘れ去られてしまうことがほとんどだ。
者は父親であり、文筆業をしているからこそ、これだけ日常の些細なことまで書き留められたのかな…と思う。

この本を開けば、あの時のかけがえのないひとときと、いつまでも眺めていたくなるような子ども達の様子がリアルに思い出される。

見たことすべてを連絡帳に書き留めて、保育士さんと共有したいという気持ちには、すごく共感したし、第一子のママ達との戦友のような思いは20年経った今でも変わらない。

そして、保育士さん達への感謝と尊敬の想い。

ただ、急に視点が保育者になったり、近所の人になったりで、始めはやや戸惑うし、読みにくさも。

残念なのは、まだまだ反抗期真っ只中の中学生と闘う毎日で、ゆったりとした気持ちで読むことができなかったこと。
子どもが巣立った後ならきっともっと味わい深いものになるのではないかな。

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2025年07月25日

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文体とか視点の移り変わりが独特だけど、読みづらくはない。言葉にするのが難しい、子育てにまつわる感覚をうまく言語化していて、共感できるというか、なるほどこういうことだったのかも、と腑に落ちる表現がたくさんあった。

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2025年07月08日

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作家とはすごいものよ。こんなふうに日常を切り取っておけるなんて。羨ましい。
子どものお父さん、としての目線に徹底して、保育園への連絡帳の拡大版みたいな書き方がいい。まさざしに愛情が溢れてて、読んでて温かい気持ちになる。あと、自由業のお父さんがたくさんいる保育園、てとこが東京というか、都会を感じさせて、カルチャー誌のコラムっぽい印象もあり、なんだかおしゃれな感じもした。

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2025年06月26日

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緊急事態宣言が発令された2020年からおよそ4年間?の、ももちゃんの成長、新米パパの育児奮闘が中心の物語。

ももちゃんは生後2か月で保育園に入園、お父さんは文筆家で自由業のため、送り迎え担当です。

コロナ禍における育児の複雑な感情を、父親目線で時には母親目線で描いています。子どもの気持ちの描写もとても上手で、ケンカの仲直りの場面のリアルさにはびっくりでした。鋭い観察眼と描写力、恐るべしです。保育の仕事へのリスペクトがひしひしと伝わってきて、とても嬉しい気持ちになりました。小説として楽しめたのはもちろんですが、コロナ禍の現実を、子育て中の親目線で素直に伝えている本書は、今後貴重な資料になるのではないかと思いました。

以前、滝口悠生さんの「死んでいない者」(第154回芥川賞受賞作)を読んだのですが、印象が違っていて、同じ作者?と、ちょっとビックリ。でも新鮮でした。人物視点を変えて描く手法は、どちらも秀逸でした。(本書では、ももちゃん、お父さん、他の登場人物・・・・と語りの主体が変わり面白い。)

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2025年06月24日

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0歳から3歳までの娘との生活を綴ったイクメンパパの奮闘記。

先週末、アラフィフながら右目の白内障手術をし(左目は来週)嬉しいことに右目の視力が良くなり、メガネの度が合わなくなったため、今週はなかなか本を読めなかった。あと数週間、新しいメガネとコンタクトになるまでゆっくりペースで読書予定。

毎日のように保育園へ送迎をしたももちゃんのお父さんは、贅沢だったと思う。そりゃあ、ぐずるももちゃんのご機嫌をとりながらの送迎は大変だったと思うけど、子供の1番の成長期を間近に見られたのだから、企業戦士(死語かな)のお父さんたちなんかより贅沢だったと思う。

毎朝の散歩の件なんか、ウチの犬の朝の散歩と同じ。道ゆく人と挨拶するし、お友達になる。苗字なんか未だ持ってわからないけど、果物をいただいたり、犬のおやつをもらったり。

日々、ももちゃんの成長を感じられ、余韻に浸る終わり方だった。

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2025年05月31日

Posted by ブクログ

「お母さんのほうが、よかった」と泣き叫ぶももちゃん。全力で抵抗するももちゃんをなだめて保育園につれていこうとするお父さん。その光景が、目に浮かぶほど細かく書かれているのを始めに読んで、子育ての頃が懐かしくよみがえってきました。

お父さんがももちゃんの気持ちを考えたり、ももちゃんの思いに寄り添う様子を、温かく思う自分に気づきました。細かく子どものことが表現されている文章に、惹き付けられました。

子どもは毎日同じことをしているうちに、いつのまにか大きくなっていて、3歳頃までの発育は見落とすのがもったいないくらいだったなと、私はその時期を過ぎてから気づきました。

ももちゃんのお母さんは、お父さんから話を聞き、ももちゃんの成長を感じていました。こんなふうに2人で同じように子育てするような時代になって、よかったなと思いました。そして羨ましく感じました。

保育園の先生や、ももちゃんの友達の親たちとの交流も、みんなで育てている感じがして、そんな感じだったなと思い出しました。

子どもと歩いていると、声をかけられ、笑顔を向けてくれた多くの人がいたことも思い出しました。ももちゃんと保育園の友達とのやりとりを、ほほえましく感じると同時に子どものたくましさも感じました。

ほとんど考えることがなくなっていた子どもの幼い頃を思いだし、あの頃が一番大変だったけれど、子どもと共に自分も育てられた時期だったなと思いました。そしてあの頃、子どもを介して親しくなった人たちと、いつまでも当時に戻れて話せることが、とても幸せなことだと改めて思いました。



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2025年05月24日

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ちょうど息子が春から保育園に通い始め、わかるわかる、この気持ちをこんな風に文章で表してくれてありがとうと思うなど。

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2025年05月06日

Posted by ブクログ

私の苦手とする一見脈絡のない独り言のような文章が続いてるけど、テーマが子育てや保育園の日常なので興味深く読めた。(改行少なめだし)
保育園に通う早生まれのももちゃんは、同じクラスの4月生まれのお友達と比べるとかなり小さい。そのももちゃんの視点(これは多分に父親の想像).
保育園の送り迎えは大抵文筆業の父親が担当してる。その父親の視点、母親の思い、担当保育士の気持ちなどが、行きつ戻りつ細やかに表現されていく。大きなアクションで「ある!ある!」というような出来事ではなく、そうそうこんなことばかりだよなぁ、と思うようなうつろうようなエピソードとそれにまつわる心情を繊細に文章にしている感じ。これはほぼ体験したことがベースだろうなと思われるとても具体的で差し迫った感のあるお話だった。子育て、保育園、自分も同じようなこと感じてた時期があったけれど、それをこんなふうに言語化できるってすごいなぁ。

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2025年11月30日

Posted by ブクログ

保育園に通うももちゃんとそのお友達、お父さんたち、保育士さんたちの日常を目まぐるしく変わるそれぞれの視点から綴られたお話。ひらがなが多く視点も文章内でいつしか変わっているので少し読みにくかった。子育て真っ最中の方たちには共感が多いかもしれない。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

子供を保育園に通わせるお父さんの奮闘記。なんだか可愛い話だった。すごく細かいことまで書いてあり、そうだよそうだよと思いながら読めた。

保育園の連絡帳、いつか見せようっと。

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2025年07月04日

Posted by ブクログ

一つひとつの出来事、発言、情景が事細かに描かれていて、その様子を容易に(というか半強制的に笑)イメージしながら読み進めることが出来る。登場人物の視点で見るその場面の表現が特徴的で面白い。

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2025年05月06日

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