あらすじ
三歳のももちゃんとお父さんは日々、川べりや公園を歩く。過ぎていく時間と折々の記憶は、いつしか祈りへと昇華していく――。ニュートラルに子育てにたずさわる、新時代の「父」の物語。
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Posted by ブクログ
既読の「国語と出会いなおす」で絶賛されていて。
ももちゃんとお友だちがひたすらかわいらしかった。
ももちゃんのお父さんみたいな親御さんばっかりだったら、ヒステリーもこの世からなくなるのかなぁ。
初読みの作家さんだと思っていたら、いつのまにか視点が変わって誰の思考かわからなくなるこの感じ、「死んでいない者」を読んでいた。もう少し読んでみたいと思う。
今回は冒頭の部分で胸がいっぱいになってしまった。
ご近所の、そのシーンでしか登場しない、孫がいるくらいの年齢の、でも子どもはいない富士見さんという御婦人が、ぐずるももちゃんとお父さんを見かけたとき。
「〜ときどきそんなふうにいないはずの娘や孫のことを想像する。〜別に子どもを持たなかったことを後悔しているわけでも残念に思っているわけでもなかった。いや、自分がしなかったことにまったく微塵も後悔や残念さがないとは言えない。〜経験したことのないこと、たぶんもう経験できないこと、長く生きれば生きるほど、しなかったことは減るかと思いきや不思議と増えていくもので、自分がしそびれたことについて考えることは実は結構ある。もう少し若い頃は、自分が出会わずにきてしまった事ごとについて、まるで損したみたいに思っていた気がするが、富士見さんはだんだんそういうものではないんじゃないかと思うようになった。蓋を開かずにおいた、大事に残した可能性が、むしろ私の宝物みたいに思えてきた。可能性というのは、若い頃はなまじ手が届く気がするから、ついつい得られるものはなんでも得ようとしていまい、得られなかったものを悔いたりするけど、たぶん得られなかった可能性というのはそんな哀しみではなくて、誰かと思い返したり、写真を見たり、言葉にしたりできる私のこれまでの確かな人生を縁どり彩ってくれるものなんじゃないか。〜」