白い人・黄色い人

白い人・黄色い人

473円 (税込)

2pt

『白い人』は、醜悪な主人公とパリサイ的な神学生との対立を、第二次大戦中のドイツ占領下リヨンでのナチ拷問の場に追いつめ、人間実存の根源に神を求める意志の必然性を見いだそうとした芥川受賞作。『黄色い人』は、友人の許婚者をなんらの良心の呵責も感じずに犯す日本青年と、神父を官憲に売った破戒の白人僧を描いて、汎神論的風土における神の意味を追求する初期作品。

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白い人・黄色い人 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    西洋(キリスト教)の「永遠」の感覚と日本(仏教)の「無常感」の対比が面白かった。
    キリスト教では罪を犯しても神に懺悔して赦しを乞えば救われる、死=永遠の命への入り口っていう考え方。
    対して日本では抗えない運命への静観、移ろい衰えていくものへの諦めに近い無常感が根底にある。
    根本的な感覚がこんなにも違

    0
    2025年11月10日

    Posted by ブクログ

    自分が日本人だからか、個人的には『黄色い人』の方が好みでした。黄色人種だからというよりも、日本という多神教が緩やかに生活の中に染み渡っている国で育った日本人という種族の、一神教を古来より信じてきた欧州人との遺伝子レベルでの宗教観の違いが、もしかしたら存在するのかもしれないと思いました。基督者である遠

    0
    2024年10月29日

    Posted by ブクログ

    罪に対して、どう向き合うかが人種により違っていた。どちらにしろ、罪を重ねていけば、やがて死にも罪にも無感動になる。
    『白い人』の主人公や『黄色い人』デュランは、いつの間にか、悪が心に入り込んできている。
    サイコパスだろうと、神父さんだろうと、人間の弱さを利用する悪魔の罠だらけ。

    0
    2024年10月15日

    Posted by ブクログ

    私は神を信じていないので、日本で日本人がキリスト教(どの宗教でもだけど)を信仰することに興味がある。理解したというより興味が増した。わからないことだらけ。

    0
    2023年01月09日

    Posted by ブクログ

    最初は、これを書いたのが日本人だというのが、なんだか信じられなかった。
    今まで何冊か読んできて、海外文学と日本文学の違いを分かったような気でいたのだけれど、実の所、そんなもの、ないのかもしれない。
    ただ、「どんな環境で、どう考えてきたか」が、作者の、作品の、根になるだけなのかもしれない。
    「どれほど

    0
    2017年06月25日

    Posted by ブクログ

    〝理想モデル“を持つ人間は、現実と理想の差を悔い改める事ができる。神の存在は、その理想づくりに役立つ。必ずしも神である必要はない。無神論者が、人目さえなければ常に悪事を働くという事もない。自らの道徳観に照らして善行を行おうとするのは教育だけではなく、本能でもあり、他者との関わりも善行の動機にはなるだ

    0
    2025年08月04日

    Posted by ブクログ

    フランス人の主人公がナチのゲシュタポとなって旧友ジャックの拷問やマリー・テレーズの凌辱に絡んでいく。神のためと言いながら自己陶酔することを許さず、ひたすらに悪魔的な思想と行動、その後の疲労に支配される。
    斜視・すがめで幼い頃から「一生、女たちにもてないよ。お前は」と顔立ちの醜さを宣言された父の仕打ち

    0
    2023年09月17日

    Posted by ブクログ


    遠藤周作は作を重ねる毎どんどん平易で読みやすい文章になっていくが、初期は通読にかなり体力が要る。
    イエスとは何か・キリストとは何かという永年の主題に一歩踏み出した意欲作だが、主人公が殊更露悪的なのも本作の特徴かもしれない。

    0
    2023年01月08日

    Posted by ブクログ

    第一次、第二次戦後派作家に続く『第三の新人』と呼称された新しい世代の文学作家達。
    遠藤周作もまた、安岡章太郎や吉行淳之介に並んで『第三の新人』の新人と呼ばれる作家の一人です。
    ただ、ミスター第三の新人とでも言うべき吉行淳之介に比較すると、遠藤周作の書く作品群には"キリスト教"とい

    0
    2022年06月15日

    Posted by ブクログ

    白と黄色という色をタイトルにした意味が遠藤周作らしいと思う作品。

    二作品はどちらも読みやすい分量。

    白い人はフランス人なのにナチの手先となり拷問を加える側になる。
    黄色い人は、第二次世界大戦に入ろうかと言う頃、日本人クリスチャンが教会や神父を売る、良心とは神とはを日記というものを通して描く。

    0
    2021年11月14日

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