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Posted by ブクログ
まず圧倒されるのが迫ってくるような自然や心理描写の力強さ。
最初の人間がオオカミに徐々に追い詰められるシーンの、犬が少しづつ減っていく所、もうお終いかと思った時に自分の指を見てなんて精巧に出来ているんだろうかと思う所などゾクゾクする。
そして、ホワイトファングが産まれ洞窟から自然界へと出ていくシーンのみずみずしさたるや素晴らしい。ゼルダの伝説botwを始めて遊んだ時のような無限の世界へ飛び出す高揚感がある。
そして、人に飼われるようになった後の掟を叩き込まれてひねくれていく過程の様子や、もはや自由だが厳しい自然界には帰れない様子が痛々しくも現実主義的でとても胸に刺さる。
やはり圧倒的に面白いのは前半部分。後半のなんだか良い話に落ち着く下りは教養小説じみていて手放しに最高とは言えない。
Posted by ブクログ
「狼の仔」として生を受けたホワイト・ファング(白い牙)が、母方に混じった家犬の血の導きで人間社会に順応し、野性との葛藤に苦しみながらも、数奇な運命の果てにめぐり合った「愛」の力によって、アイデンティティと終の住処を獲得するまでを描いた、動物文学の古典。
ちょうど、先に読んだ「荒野の呼び声」のひっくり返しのようなお話です。
ただし、完全に逆ともいえないのは、「荒野」の主人公が完全な家犬であったのに対して、「白い牙」は生粋の狼ではない。彼の母親が犬と狼の混血であるところがミソで、さもなければ、この小説はただの絵空事になってしまったでしょう。
「荒野」同様、作者の経験が生かされて、厳しい自然の描写や、動物の生態観察の細やかさが圧倒的です。
特に冒頭、荒野を犬ぞりでわたっていく旅人が、狼の群れに徐々に追い詰められていく場面は、ホラー小説はだしのスリル。
中盤以降は、アメリカ文学らしい、少々甘い展開ですが、この楽観性が心地よく、多くの人に受け入れられた要因だと思います。
狼にも犬にもなりきれないホワイト・ファングの心理を擬人的に描いてあるのが、傷ついた子供がトラウマから回復するメタファーのようにも読め、意外に古びていない、現代にも通用する作品と感じられました。
Posted by ブクログ
文句のつけようのない傑作。
一行一行、かみ締めるように読んだ。
四分の一のイヌの血を持った、孤独な灰色オオカミの数奇な生涯の物語。
作者のジャック・ロンドンは、ずいぶん波乱に満ちた一生を送ったようだが、なぜこんなにイヌの生態に通じているのだろう?
かのコンラート・ローレンツが「人、イヌにあう」を著し、動物行動学者の目からイヌ、そしてイヌと人間の関係について考察したのは1953年。
この作品が発表されたのは、それからおよそ50年近くもさかのぼる1906年のことである。
偉大な小説家の洞察力とは、これほどまでに卓越したものなのか?!
実に驚くほどの正確さをもって、真実に迫る創作を成し遂げるものなのですね。
どんな優れたイヌの解説書よりも、イヌという種の本質を教えてくれる一冊である、と思う。
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小説・文芸
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